Fate/Sirius Garden   作:watazakana

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あらすじ

冬木大災害にまつわる噂に強く興味を惹かれた千代田昌子。そんな彼女に振り回される天城千歳。彼女達は冬木を駆け回り、冬木大災害幽霊説を寺や教会、地元の名士の家まで行って確かめまくる。
しかし、収穫はゼロ。帰ろうという頃合いに謎の男たちの戦いに巻き込まれる。片や彼女達を「殺す」と言い、片や彼女達を「生かす」と言う。何が何かもわからずに、ただ死にたくないという一点で、彼女達は「生かす」という方に命を預けた。


聖杯について話をしよう

「私の名はセイバー!真名こそは言えぬが、この剣を以って君達の命を預かろう!」

 

人生は、何が起こるかわからないものである。

 

「さすがは最優のサーヴァント、セイバー!魔術回路の質量ともに劣悪な人間をマスターにしても、この強さ……!」

 

防戦から一転、セイバーは攻勢に出ていた。軍人の男の人に瞬きする間も無く肉薄し、その刃を心臓に滑り込ませんとする。軍人の男の人はすぐに体をのけぞらしてかわすも、体制を崩し、セイバーの蹴りが入った。

 

「ぐっ……!」

 

それでも。セイバーが攻勢に出たとしても。軍人の男の人は度々こちらに視線を遣してくる。きっと私達を虎視眈々と狙っている。それでもそうしないのは、きっとセイバーが守ってくれているからだろう。その細くも恵まれた体格に、私達は守られていた。

 

「……マスター、邪魔をしないで欲しい。殺させて欲しい。せめてあの子供達だけは、人間としてある内に殺させて欲しい」

 

突然に、双方の動きが止まった。

 

「……わかった。剣は置かれた(sword was put down)

 

花畑が歪む。歪みきった後に、元の場所に戻った。

 

「セイバー、その子供達を、くれぐれも人でなしにさせるな。地獄を歩ませるからには、その責任があるということを忘れるな」

 

そう軍人の男の人は言い捨てると、青い粒子となって姿を消した。

 

「「はぁああ……助かった……」」

「何あれ……」

「怖かった……」

 

私達は安心して、地べたに座り込んでしまった。

 

「君達……いや、()()()()

「はい?マスター……?」

「そう。君たちが私のマスターだ。令呪を見せて欲しい」

「令呪……?」

 

そういえば、セイバーの呪文を唱えたとき、手の甲に赤いのができた。

 

「これのことですか?」

「そう、それだ」

 

手の甲を差し出すと、セイバーはまじまじと眺めだす。

私の手の甲には、鍵のような模様とその右下に羽のような模様が描かれていた。うわ何これ、擦っても落ちない!

 

「うわ、何これ⁉︎」

 

千代田さんは素っ頓狂な声を上げる。千代田さんのは剣の印象を受けた。共通しているのは、私も、千代田さんも、その図形は二画でできていたことだ。

 

「それは魔術によって刻まれた刻印、私との契約の証だ。擦っても落ちないよ。しかし困ったな……あぁ、立ち話も何だから、歩いて話そう」

 

セイバーは私達の手を掴み立ち上がるのを手助けすると、新都の方へ歩きだした。

 

 

「さて。まずは私たちが行っている戦争は超常のものだと言ったね。その戦争について、聖杯戦争についての話をしよう」

 

聖杯戦争とは、なんでも願い事を叶えるとされる聖杯を巡って行われる戦争だ。戦争とはいっても、国単位で戦うなんてことはない。魔術師と言われる者たちが七人集い、それぞれがサーヴァントと言われる使い魔を召喚する。サーヴァントは歴史上の超有名人と思っていい。織田信長だとか、坂本龍馬とかを召喚し、殺し合いをするんだ。

 

「殺し合い⁉︎」

「だから皆殺しの勢いであの人は襲ってきたんだ……」

「ああ。この戦争は七人の魔術師、マスターと呼ばれる者達とと七騎のサーヴァントと呼ばれる英霊で行われる生き残り戦争だ」

「でも、そんなこと日本でできるの⁉︎」

「本来できないさ。だから以前は人目を盗んで夜中にやっていた」

「でも、あの人は襲ってきたよね。夕方だったけど」

「ああ。今回から、聖杯が争うための結界を張ってくれるようになった。結界は世界から全く切り離されたような空間だから、昼間でも一般人の目を盗んで戦う必要がなくなった。巻き込む可能性もね」

「でも、私達は巻き込まれたよね?」

「……何をもって聖杯が魔術師と一般人を見分けてるかについては欠陥があるようだな……」

 

セイバーはぶつぶつとつぶやく。考え事をしているようだったが、すぐにあきらめた。

 

「今回、聖杯戦争は姿を変えて聖杯争奪戦となった。今回は個人ではない、組織での戦いだ」

「組織?」

「ああ。魔術を取り扱う組織の間での戦い。まず一つは、魔術を使って神の領域に至ろうとする者たちの集まる組織、魔術協会、時計塔。次いで、神秘、魔術の原動力を独り占めにしようとする聖堂教会。最後は、魔術協会と目的は同じだが錬金術を専門に扱う者が多い兵器の墓標、アトラス院。この三つの組織が互いに魔術師を派遣している形となる」

「えっと、質問!」

 

千代田さんが手を上げる。

 

「何だい?」

「組織ってことは、二人以上どの組織もいるってことだよね」

「そうだね」

「私たち、どこにもいないよね」

「そうだね」

「それっていっつも二騎以上と同時に戦わなきゃってことにはならない?」

「「……」」

 

歩みを止める。あれ?これってひょっとしてひょっとしなくても……

 

「拙くない?」

「拙いな」

「拙いよね⁉︎」

 

あわや大パニック。新都に入っていつの間にか普通の人の格好になっているセイバーも流石に失念していたらしい。顔が難しくなっている。

 

「一応ステータスを見てくれないか、マスター」

「え、ステータス?」

 

そんなゲームみたいなものあるの?と訊いてみたらあると即答された。目を凝らしてみなさいと言われたので言われた通りにしたらちゃんとステータスっぽいのが表示されている。

 

「うわ、出た」

「すっご」

「それがステータスだ。ランクがあるだろう」

「えーっと、筋力B、耐久C、敏捷C、魔力B、幸運B、宝具A+……いい方なの?」

 

千代田さんが読み上げるも、基準が分からないので、逆に混乱する。

 

「10年前の第五次聖杯戦争のセイバーの前半のステータスを微妙に上回っているのはありがたい。特に宝具のランクが高いというのも」

「宝具って?」

「宝具というのは、必殺技だ。己の真名を解放し、使い方次第では

戦略レベルで逆転ができる。ただし消費する魔力は大きいからそんなに撃てないし、真名解放は弱点をバラすのとほぼ同じだから、使い所を間違えるといいことなしだ。マスターの魔力では宝具を撃つとき、必ず令呪が必要になるだろう。つまり撃てて三回。よく考えて撃つんだよ」

「そんなこと言われても、よく分からないよ。戦ったこともないのに、使い時なんて」

「うーん……じゃあ心の中で、こいつは倒さなければならないと底から思った時に、使い時を訊いてほしい。それでいいかな?」

「……それならまあ、わかった」

 

なんとまあその声の安心することよ。不思議と懐かしく思えてくる。

 

「二騎同時に相手するのは流石にセイバークラスとてきつい。本来ならもう一段段くらい各ステータスが上がるんだが、まあ贅沢は言ってられない。その時はその時だ。次の話をしよう」

「次の話?」

「聖杯戦争の参加についてだ。契約したとはいえど、マスターの存在は戦争の監督役が知らねばならない。でなければ戦争運営などできやしない。マスターは中学生だったか、ならば明日に教会へ行こう。日曜は礼拝があるから、その後……一時くらいでどうだろうか」

「いいよ。千歳は?」

「いいよ、大丈夫」

「なら、そういうことで。チトセ、君の家は?」

「あ、もうすぐだよセイバー」

 

気づけば冬木中央公園の前まで来ていた。結構広いのでまだあと200mほどあるが、近いといえる距離だ。しかしここで、重大な問題が首をもたげる。

 

「でも、セイバーは大丈夫なの?家とか……」

 

そうセイバーに訊くと、彼は一瞬キョトンとした顔で、そしてすぐにその顔は苦笑に変わった

 

「……考えてなかったな……君達は中学生だ、しかも女の子。私の時代とは違い、今では女の子と私のような知らぬ男が一緒にいると事案?になるんだろう?まあ分からなくもないが……私は霊体化してその辺にいよう。サーヴァントには、睡眠も食事も必要ないからな」

 

まあ歴史のすごい人が来るなら、このギャップは当然ではある。しかし、サーヴァントとはいえど、そんなこと言われてもそうやって寒空の下に放っておくのも気が引ける。何かいい方法はないかと思案した時、千代田さんが口を開いた。

 

「じゃあウチ来る?」

「「えっ」」

「いやー私の両親忙しいというか何というか、お母さんは帰りが週に一回程度なんだよね。ずっと泊まり込みで仕事しなきゃいけなくて、お父さんに至っては海の人だし年に何日もいないから」

 

さらっと出ましたすごい事情。

 

「その……生活はどうしてるの?」

「私と妹でやってる。妹ももう小学6年生だからさ、大体は自分でできちゃうんだよね」

 

だから私んちにおいでよセイバー、と千代田さんはにかり笑った。その眩しい笑顔に最初は遠慮がちだった流石のセイバーも折れてしまった。

 

「……わかった。霊体化していればいいだろう」

「やったー!」

 

 

長かった土曜日の日中も、今思えば短いものである。

 

「会話は念じればいつでもできる。その気になれば私が2人での念話の中継をしよう。私とマスター、双方向の会話がいつでも可能だ」

「私の家、深山町の方だから。じゃあね千歳」

「うん、じゃあね千代田さん」

 

千代田さんが何かを言いかけたが、いいやという顔で背を向け、セイバーとともに歩き出した。

 

嬉しそうだったな、千代田さん。

 

あの笑顔は、見惚れてしまうというものだ。さて、家の前には晩ご飯の匂いが充満している。今日は魚かな。

 

「ただいま!」

 

こうして、聖杯戦争は始まったのであった。

 

 

 

「おい修道士サンよぉ」

「何でしょう、バーサーカー」

 

教会の女性は、声を荒げるバーサーカーにため息をついて答える。バーサーカーの姿は、白い和武装に槍を携えた剛毅な男だった。

 

「何でしょうもどうでしょうもねえ!あのガキども、マスターになりやがったぞ。詰みに入るっつったのはどいつだぁ⁉︎だから殺しときゃあよかったんだよ!」

「……それは予想外でした」

「予想外も奇想天外もねえっつってんだろ!俺に殺させろ!」

「黙りなさいバーサーカー。確かに事実のようですね。では、マスターになったという事実には死という事実を以て対応します。バーサーカー、貴方は教会の外に。セイバーは教会に行くことを提案しますでしょう。貴方はその壁になってください。教会は中立地帯で、貴方も人と同程度の力しか振るえないのなら、教会の外ででもいいでしょう。良かったですね、その天辺の槍がちゃんと振るえて」

 

まるでバーサーカーの未練を突くような物言いに、バーサーカーは眉を潜めた。

 

「なあ、それは俺の名がわかってて言ってんだよなぁ。死んでもいいってことだよなあ!」

「……Eランクとはいえ狂化にかかった獣に言うのもなんですが、貴方が呼びかけに応えた意味がなくなっちゃいますよ?せっかく聖杯に願うことがあるのに」

「ぐ……っ」

 

バーサーカーは黙り込む。

 

「宜しく、お願いしますね」

 




プロフィールを更新しました

サーヴァントステータス

【CLASS】セイバー
【真名】不明
【性別】男性
【身長・体重】180cm・72kg
【属性】秩序・中立

【ステータス】

筋力B 耐久C 敏捷C 魔力B 幸運B 宝具A+

【クラス別スキル】
対魔力:C
魔術に対する抵抗力。一定ランクまでの魔術は無効化し、それ以上のランクのものは効果を削減する。サーヴァント自身の意思で弱め、有益な魔術を受けることも可能。Cランクでは、魔術詠唱が二節以下のものを無効化する。大魔術・儀礼呪法など、大掛かりな魔術は防げない

騎乗:D
乗り物を乗りこなす能力。騎乗の才能。「乗り物」という概念に対して発揮されるスキルであるため、生物・非生物を問わない。
セイバーであるという名目で付与されたスキルのため、ランクは低い。

道具作成(剣):A+
本来ならば「魔術師」のクラス特性。
魔力を帯びた器具、特に剣を作成可能。 A+ランクとなると、神造兵装すら見たことがあるなら作成可能。

【固有スキル】

始祖のカリスマ:C
詳細不明。


魔力放出:B
武器・自身の肉体に魔力を帯びさせ、瞬間的に放出する事によって能力を向上させるスキル。いわば魔力によるジェット噴射。彼自身の戦闘力は高いため、相手によっては使わない時もある。そうして燃費を良くする。



【宝具】

今はまだ、伏せておくべきだ。
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