【完結】剣製の魔法少女戦記   作:炎の剣製

108 / 207
ワインレッド様からのリクエストで「自分の子供が誘拐なりなんなりされてはどうでしょうか?」というのを題材に書いてみました。
それとhalchan様からのリクエストで「妊娠発覚の時の騒動とか、プロポーズの言葉とかの回想」も一緒に行いました。
それではどうぞー。



第百五話      『誘拐されるツルギ。激怒する一同』

 

 

 

 

…とある裏社会のもの達がすずかとアリサの誘拐ということにことごとく失敗し任務に携わった部下がそのほとんどが刑務所入りを果たしているというのが現状である。

 

「…隊長。もうあきらめませんか? なにやら月村とバニングスには凄腕のボディーガードがいるようで手を出した瞬間にそくざに刑務所入りは確定だとまことしやかにささやかれていますし…。

それに自分達とは別の組織がいくつも壊滅させられたという話ですしね」

 

それは高町一家(士郎、恭也、美由希、シホ、アルトリア、ネロ)の精鋭揃いがことごとく壊滅させているからである。

シホの解析魔術と忍謹製の数々の道具が効果を発揮しているのでもう何度もいくともの裏組織は一網打尽にされている。

すずかとアリサはある意味裏組織をおびきだすオトリと成り果てていたりする。本人達もそこは承知済みなのでオッケイである。

もしうっかり連れ去られても魔術を行使すれば簡単に抜け出せるし最悪アサシンとライダーが助けに入るのがテンプレートと化してきていた。

ある意味裏組織以上にシホ達は裏の人間でもあるのでそんな事は日常茶飯事である。

そんな裏事情を知らないこの隊長と部下は、

 

「…うむ、それは俺も聞き及んでいる。だからもう上にはおまえの言った内容は何度も伝えたんだがな…」

「また突っぱねられましたか…?」

「ああ。どうにかしてなんとしてでも捕まえろと口を酸っぱくして言われたよ。下の俺達は命令に従うしかないのさ」

「そうっすね…」

 

それで隊長の男とその部下はため息をつくのだった。

だがそこに部下の男が名案だと言わんばかりに、

 

「でしたらまず関係を持つ周りの奴らを誘拐して外掘りを埋めていく作戦はどうですかね…?」

「それは妙案だな。よし、では計画を立ててみるとしようか」

 

男達はそれで動きだす。

しかし後にこの行為を後悔をする事になるだろう。

彼らは逆鱗を触る行為をしてしまう。

今引き返していればよかったのだと思う時がやってくるだろう。

そう思ったのは刑務所の檻に入れられた後であった。

いと哀れ…。

 

 

◆◇―――――――――◇◆

 

 

Side ヴィータ

 

 

今日は管理局の仕事がないから一日ゆっくりとしていられる。

なのはも落ち着いてきたしまた墜ちることもないだろう。

また無茶をするかもしれないという不安はあるがそれはお互い様だ。

あたしもはやて達の危機だったら無茶をしてしまう可能性はなきにしもあらずだからな。

ま、せっかくの休みなんだからゆっくりしよう。

それに今のあたしの最近の楽しみといえば…、

 

「あーうー…」

 

ツルギを可愛がることだからなぁ~。

アインスの奴も家にいるにはいるが最近はご近所のママさん達と色々と話をするのも楽しいらしいし。

うちには料理、家事、洗濯できる奴は多いがそれでも人が多い分、それを一日で終わらすとなると必然的に忙しくなる。

だからツルギの面倒を見れないときは誰かが代わりに面倒を見ることがうちでは常識となっている。

今日はあたしの役割担当の番である。

ツルギは可愛いからあたしはいつでも面倒を見てやりたいが他の奴らもそれは同意見だからわがままを言うわけにもいかない。

それにたまにできるからこそいいんだ。

そう思い、そしてあの驚きの日々をあたしは回想する。

 

 

………………

……………

…………

 

 

それはアヴェンジャーとの戦いの後からさらに仲良くなった士郎とアインス。

そんな時に二人は何度か夜に帰って来ないことが度々あった。

なにをしていたのかは聞き出していないが色々と頑張っていたのだろう。

そんな夏過ぎの事だった。

アインスが何度もトイレに駆け込み嘔吐することが多くなった。

それで家族一同で何事か!?…という事態になりすぐさま病院に運ばれたアインス。

病院での先生の一言、

 

「これは、つわりですね…」

「つわり…?」

 

あたしはそんな単語を知らなかったがはやてはすぐに分かったらしく、

 

「それじゃ先生、まさかアインスは…!」

「はい。妊娠しています。おめでとうございます」

 

それで家に帰ったあたし達は一気に喧騒ムードに包まれた。

士郎もそれで今出せる金額の指輪を至急で買ってきて、

 

「お前を必ず幸せにする。だから私と結婚してくれ…!」

「嬉しいぞ、士郎…。必ず幸せにしてくれ…信じているからな」

「ああ…」

 

と、指輪を渡しながらのプロポーズをあたし達の前で堂々とアインスに言っていた時はもうかなりの騒ぎだった。

アインスもそれで最近かなり緩い涙腺で嬉し涙を流していた。

それからだな。

色々とアインスの事を気遣うようになったのは。

キャスターも嫉妬をするかと思われたのに逆に清々した顔で、

 

ご主人様(マスター)とお幸せになってくださいな。アインス…」

 

と言っていた。それからはもうギスギスな空間は形成されなくなった。

それでやっとはやてやあたし達も胃薬を飲まずに済むようになった。

そして二人はそのまま結婚という流れになってありったけの知り合いを呼んで盛大に結婚式は開かれた。

ゼルレッチの爺ちゃんなんか「はははっ! なかなか愉快だな!」と豪快に笑っていた。

それだけ士郎の結婚が嬉しかったのだろう。

ブーケを投げた時なんかエイミィが受け取っていたからあれはなにかあるな?…と睨んだりもした。

それからは妊婦さんとしてアインスはプールに通ったり編み物を始めたりと色々と手を出し始めた。

みんなに支えられながらアインスはお腹を少しずつ膨らませていってはやてやなのは、シホ達が中学生にあがった年の五月にツルギを出産したんだ。

出産現場には士郎しか立ち会えなかったけど部屋の中から聞こえてきた産声を聞いた時は感動したもんだな。

リインなんか感動しまくって涙を流していたほどだ。

 

 

そんな事を思い出しながらツルギが乗っている乳母車を押している時だった。

なにやら不穏な気配がするなぁ…。

なんだ? 誰かに見られている感じがする。

でも魔力の気配はしないからただの人間か?

するとたちどころにあたしとツルギは変な黒づくめの集団に囲まれてしまった。

 

「…なんだ、てめーら?」

 

あたしが殺気を出して威嚇するが慣れているようであまり効果は見られなかった。

 

「…お前達を人質にしてさらわせてもらう。恨むなら月村とバニングスを恨むんだな」

「あー…」

 

…なるほど。話は読めた。こりゃ最近アサシンとライダーのおかげで誘拐されなくなったすずかとアリサの代わりにあたしとツルギを誘拐しようという魂胆か。

そしてあわよくば人質を増やしていくという算段だろう。

あたしがこの場で全員ねじ伏せてもいいんだけどそれだとなんか面白くないな…。

こういう奴らは一人いたらGのごとくいっぱい出てくるといった感じだからな。

ここはひとまずおとなしく人質になっておくとしようかな。

それに念話で伝えれば士郎やシホは般若のごとくこいつらを倒しに来るだろう。

それまで待とう。少し演技も入れておこう。

 

「ふ、ふざけんな! あたしとツルギに手を出したら承知しねーぞ!?」

「気丈なお嬢ちゃんだ。だがもう我らはどんな手を使っても作戦を成功させないといけない!」

「やめろー! ツルギから離れろー!!」

 

と、演技をしながらも捕まるあたしとツルギ。

…ふん。地獄を見ればいいさ。

怒ったら怖ぇからな。士郎達は…。

 

 

◆◇―――――――――◇◆

 

 

Side 八神はやて

 

 

なかなか帰ってこないヴィータ達を心配しているアインスが家の中にいた。

 

「…ヴィータ。どうした? もう二時間以上も帰ってこないじゃないか? ツルギをそろそろおむつを替えて寝させたいというのに…」

 

アインス、焦りすぎや。

オロオロとし過ぎやで?

そこにもうすでに全員帰ってきていた他のみんなはというと、

 

「ヴィータがこんなに遅いとは珍しいな…」

「ヴィータちゃん、ツルギ君を連れ回しているのかしら…?」

 

シグナムとシャマルがそう心配していた。

それで私は提案というように、

 

「そんならヴィータに念話をとってみるか? 妨害がない限りは繋がると思うしな」

 

それでヴィータと思念通話を行う。

 

《ヴィーター? 今どこにおるん…?》

《はやてか…? いや、今はちょっと場所は分かんない》

《…どないしたん? なにか揉め事か》

《みんなにはツルギと一緒に誘拐されたと伝えておいて》

《なっ…!?》

 

誘拐やて…!?

 

《ま、あたしがみずから捕まったんだけどな》

《って、へ…? どない事?》

《いや、前に何度もすずかとアリサが誘拐されそうになったけどアサシンとライダーが逆に捕まえているとかいう話を聞いたんで今回は見た目子供のあたしに来たんだなと思ってなー》

《…ヴィータも結構余裕やね》

《まぁな。ねじ伏せることもできたけど今回はこいつらを全員あぶりだす為にみずから捕まってみたんだ。安心しろ。ツルギは無事だから》

《そか…。わかった。それじゃシホちゃん達にも要請願うわ。助けに行くから待っといてな? ヴィータ》

《おう。待ってるね、はやて》

 

それで私はヴィータとの思念通話を切ると、みんなに真剣な顔になって、

 

「ヴィータとツルギが誘拐されたみたいや…!」

『な、なんだってー!?』

 

それで全員は立ち上がる。

私は内心で、

 

(んー…みんないいリアクションをするなぁ…)

 

と、思っていたり。

 

「というわけで救出班と逮捕の班に分かれようと思う。

シホちゃん達家族にも協力してもらおうか」

「そうだな、はやて。…クククッ…ツルギを誘拐したことを二度と立ち直れないくらいの恐怖を植えつけて後悔させてやるとしようかね?」

 

士郎はそう言ってこわい笑みを顔に刻んでいた。

もう手加減無用だということだろう。

裏組織の人達、御愁傷様や…。

 

 

◆◇―――――――――◇◆

 

 

それから士郎達はシホ達とも合流して、

 

「…とうとうやりやがったわね。ツルギ君を誘拐するなんて、そうとう地獄を見たいらしいわね?」

 

シホがその表情を怒りに染める。

恭也や美由希も、

 

「シホちゃんの言うとおりだね。私達で倒しちゃおうか!」

「そうだな、美由希!」

 

御神流のフル装備でそう答える。

今回はかなりヤル気だ。

 

「士郎さん、すみません…さらわれたツルギとヴィータのために手を煩わせてしまい…」

「なに…気にしないでいいよ、士郎くん。子供を持つ同じ親の仲じゃないか」

「ありがとうございます」

 

ダブル士郎はそう言って真剣に話をしているのだった。

 

「俺ももう他人事じゃありませんからね」

 

恭也もそう続く。

最近やっと忍と結婚して忍はお腹に子供も宿しているので感情移入していたり。

 

「さて、それじゃヴィータのグラーフアイゼンの発信する電波をたどってみて到着した施設だけど…侵入して救出する班を士郎、キャスター、シグナム、志貴、ザフィーラの五人…」

「そして壊滅班がシホ、アルトリア、ネロ、そして高町一家なのだな」

「そうなるわね。それじゃそれぞれ解析して侵入していくわよ」

「了解した。そちらは頼むぞ、シホ」

「ええ、士郎もね」

 

 

………………

……………

…………

 

 

士郎がまず解析をかけて中に侵入していく。

 

「やはりこういう時には士郎の解析は便利だな…」

「そうだな、志貴」

 

志貴とザフィーラがそう話す。

 

「ある意味解析魔術は超絶技だな。前に無限書庫の貴重な書物の探索にも役に立ったのだろう?」

「はいです。ご主人様(マスター)はこの魔術が一番才能ありますからねぇ~」

 

シグナムとキャスターがそう話している。

 

「ほら、みんな。無駄口をたたいていないでさっさとヴィータとツルギを救出するぞ。居場所も判明しているところだしな」

 

そんな時に各所から爆発音が響いてくる。

どうやらシホ達が派手に暴れているのだろう。

実にいい音がしてくる。

そんな時に士郎達の目の前から何人もの黒いスーツの男が現れる。

 

「なんだてめーらぁ!?」

「貴様たちこそ倒させてもらうぞ。私の息子をさらった事、心の底から後悔させてやる…!」

 

士郎はその顔の口元に弧が描かれてまるでワラキアのごとく阿修羅の表情で一瞬で男共と肉迫し浸透勁を食らわせていき吹き飛ばしていく。

さらには首の骨を折る一歩手前の手刀をかまして他の四人が動く前に全員を片付けてしまった。

 

「…士郎だけでも十分だったかもな…」

「ああ。父親は強し、だな…」

 

そんな事を施設の中を壊滅させていきながら進んでいくとヴィータの声が聞こえてきたので強化魔術で錠を劣化させ破壊し中に入る。

 

「ヴィータ! 無事か!?」

「あ、士郎にみんなか。遅かったな」

 

そこには何人もの男共がグラーフアイゼンによって沈んでいる光景が映された。

 

「ヴィータ。こいつらは…?」

 

シグナムの問いかけにヴィータは苦い表情になりながら、

 

「あたしにいやらしい目つきをして襲いかかろうとしてきやがったから捕まっているのに嫌気が差して倒しちまった。キモいぜ、こいつら…」

「そ、そうか。それでツルギは今どこに…?」

「ああ、大丈夫だ。今はそこの物陰に隠してあるからな」

 

それで士郎が向かうとそこにはすやすやと眠っている無事の姿のツルギがいた。

 

「よかった…。ツルギ…」

 

士郎はツルギを抱きしめた。

感動の再会である。

だがそこにヴィータにやられた男どもの一人がゆらっと立ち上がりその手にナイフを出して士郎を襲おうとする。

それに全員は気づいたが、間に合わないと思った矢先だった。

 

「ぎゃあああああ!?」

 

そいつは突如として炎で体が燃え上がり、次には電撃が体を伝わり痺れて、風が起こり切り刻まれ、最後には体が凍りついていた。そして男はそのまま気絶した。

 

「…は? キャスター、さすがにこれはオーバーではないか?」

「え…? 私ではありませんよご主人様(マスター)?」

「それじゃ誰が…」

「パーパ…」

「ツルギ…?」

 

そこにはいつの間にか目を覚まして士郎の事を「パパ」と呼んでニコッと笑っているツルギの姿があった。

しかもその指先一本一本に違う属性の魔力の残滓が宿っていた。

 

「ま、まさかツルギがしたのか…!?」

「そのようですね。ご主人様(マスター)…私の即効の診断でやったのはツルギ君で間違いありません」

「すごい潜在能力だな。もう属性魔術を操っているとは…」

「さすが士郎とアインスの子供だな」

「だな。しかもツルギの善意でやったみたいだからな。父親想いだな、ツルギは」

 

ツルギの潜在能力に全員は驚愕しながらもとりあえず外に出ることにした。

そして外に出るとすでにシホ達がいて、

 

「あ、士郎。こいつらの親玉も捕らえたからもう安心していいわよ。久しぶりに暴れさせてもらったしね。そっちもヴィータとツルギ君をちゃんと救出できたんでしょ?」

「あ、ああ…」

「…? どうしたのよ。そんな曖昧な表情をして…」

「それがな―――…」

 

それで士郎はシホにツルギの潜在能力の一端を教えた。

 

「…そう。やっぱりツルギ君は色々とすごいわね。物ごころがついてきたら魔術制御を最初に学ばせたほうがいいわね」

「そうだな。よろしく頼む」

「ええ」

 

それで後は士郎(高町の方)の伝手の刑務所に全員ぶち込んで今回の件は一件落着となった。

ツルギの力も見られたので満足とのことである。

しかし、ツルギのこの力が、まだ氷山の一角でしかないということに後に気付かされるのだが、まだまだ先の話である。

それと驚いていて流していたのだが、少しして士郎は「パパ」と初めて呼ばれたことに気づき喜びの笑みを浮かべているのだった。

 

 

 




ヴィータがなにげに役者を気取っていたり。
ツルギも属性魔術だけはいっちょ前に使いました。
息子あるいは娘に「パパ」と呼ばれるのは至上の喜びだと思います。

それではご意見・ご感想・誤字脱字報告をお待ちしております。

では。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。