【完結】剣製の魔法少女戦記   作:炎の剣製

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後編になります。
今回はティアナ視点で語っていきます。


第百十四話    『陸士訓練校の変わったトリオ(後編)』

 

 

 

Side ティアナ・ランスター

 

 

あのナカジマとリオンさんに話した決意から少し経過した。

最近のナカジマとリオンさんは二人して近代ベルカチームの方に行っているので、一人ミッド式のあたしとしてはうるさいのがいないので個人のスキルを上げることに集中できる。

そんな中で宿舎に戻ってみると二人してなにかを記入している。

あ、アンケートか。

 

「アンタ達、もうアンケート記入しているのね?」

「うん!」

「早く書いたほうがいいからね」

 

それならあたしも書いちゃおうかなと思っていて、ふとナカジマとリオンさんが二人してあたしのことを見てくる。

多方あたしがなにを書くのか気になっているんでしょうね。

なら先制パンチをしてみようかしら?

二人が油断している隙に、

 

「ティアナ、残念。その行動は予知済みだよ?」

「あんたのその予知能力は便利よね? ON、OFFもしっかりと効くのが羨ましいわ」

 

奪えたのはナカジマのアンケート用紙だけだった。

リオンさんはうまく逃れたようである。

でも、

 

「私のも見ていいよ。ティアナ」

「そう? ありがとう」

 

それでナカジマとリオンさんのを同時に見ると二人共、

まずナカジマは備考欄に『在校中はティアナ・ランスター訓練生とリオン・ネームレス訓練生とのトリオ継続を希望します』。

リオンさんも同じような内容だった。

 

「あんた達ねー…?」

 

あたしは呆れていた。

でも、卒業後の進路は少し違っていた。

ナカジマはあたしと同じ災害担当希望だった。

でもリオンさんは、『行く場所はすでに決まっています。場所については秘匿とさせていただきます』と書いてあった。

 

「ナカジマは、あたしと同じで災害担当か」

「ランスターさんと同じ希望なんだ! やった!」

 

それでナカジマは嬉しそうな顔をする。

なんか、あたしの勘だとこいつとはかなりの付き合いになりそうだと感じてしまうのが恐ろしい…。

 

「ま、いいけどね。それで理由は…?」

「うん。あたしは人助けできる部署ならどこでもいいかなと思ってね。

災害や、危険があれば火の中、地の底、水の中なんて当たり前で災担や救助隊は魔法戦技能を十分に活かせるお仕事だし。

それにランスターさんも陸体で活躍、昇進して魔導師ランクアップ&空隊入りもして、それでようやく執務官試験を受けるんだよね?」

「そういうのは辛いだろうけど応援するよ」

 

ナカジマとリオンさんがそう言って応援してくるけど、

 

「…あんた達にうっかり漏らしちゃったのが最初の過ちよね…」

「そんなこと言わずに頑張ろう!」

「ま、なんだかんだで長年の付き合いになりそうだしね…。

それより、リオンさん。あんたはいくところがすでに決まっているの?」

「…うん。ちょっと他人の人には言えない場所に行くことが決まっているんだ…」

 

それでリオンさんは少し辛そうな表情になるのをあたしは見逃さなかった。

それはナカジマも同じようで。

 

「どこか変な部署なの? もしかしてそこの上司に苛められているとか…?」

「ううん…そんなんじゃないんだ、そんなんじゃ…でも、ねぇ、ティアナにスバル…」

 

なにやらリオンさんが改まって真剣な表情で話をしてくる。

 

「もしね、もしもだよ? 私が…その―――…」

 

なにかを言いかけている。

でも、少しして顔を何度も振って、

 

「やっぱりなんでもない! 二人共気にしないでね! 私は二人とは違う道を行くことになるだろうけど、お互いに頑張っていこう!」

 

先程までの少し無理をしている表情が嘘のように元気に戻ったために、ナカジマは心配していたけど付き合いが短いあたしはなんでもないなら別にいいか…くらいにしか考えていなかった。

でも、もう少し深く関わっていたならリオンさんを助けたいと思ったのだろうな…と、そう遠くない将来に思い知る事になる。

そして衝撃の出会いも体験することも…。

今はまだ自分のことだけしか考えていなかった無知なあたしなのだった。

 

…それからナカジマに週末のお休みを誘われたけど、あたしは断った、つもりだったがワガママと強引さで結局付き合わされる羽目になってしまった。

 

 

◆◇―――――――――◇◆

 

 

そしてお休みの日、あたしとナカジマ、リオンさんは「パークロード」まで遊びに来ているのだった。

それで付き合わされてやれやれ…と思っていると、リオンさんが、

 

「お疲れ、ティアナ」

「ありがと、リオンさん…」

 

慰められてなんとか気持ち落ち着いてきた。

それから会うというナカジマのお姉さんがいる場所へとやってくるとそこには少しナカジマと似ている女性がいた。

 

「ギン姉!」

「スバル!」

 

二人は会えることが嬉しいのかいろいろと話を交わしていた。

あの元気の良さのノリはお姉さんも持っているのね…。

っていうか、もしかしてナカジマってお姉ちゃんっ子だったりする…?

色々と考えているとナカジマの姉のギンガさんがこっちにやってきて、

 

「紹介するね。こちらはランスターさんにリオンだよ」

「初めまして。ギンガ・ナカジマです。スバルがいつもお世話になっています」

 

ギンガさんは優しそうな笑みを浮かべて挨拶をしてきたのでとりあえずあたしとリオンさんは挨拶をしておくのだった。

 

「えっと、ティアナ・ランスターです」

「リオン・ネームレスです」

 

二人で挨拶を交わした後、ナカジマが四人分のアイスを買ってくるね、と言ってアイス屋に行ってしまった。

それでちょうどいいわね、とギンガさんが話してあたし達に色々と話を聞いてくる。

 

「スバルはどうですか? 迷惑はかけていない…?」

「妹さんは優秀ですよ」

「はい。最初はムラがあったのに今ではもうしっかりとしていますから。個人成績も上位なんですよ」

「本当に…? それならよかった。それでランスターさんとネームレスさんはご家族は…?」

 

痛いところをついてきた。

でも今のうちに言っておくのもいいだろう。

もうナカジマとリオンさんにも話してあることだしね。

 

「あたしは…一人です。両親はあたしが生まれてすぐに、育ての兄も三年前に事件で…それで天涯孤独ってやつです」

「私も…生まれた時からすでに一人だったので親の顔は知りません」

「ごめんなさい…」

 

それでギンガさんは申し訳なさそうに謝ってくる。

 

「気にしないでください」

「はい。私達は気にしませんから」

「あたしは兄の残してくれた遺族補償もありますし…」

「私もちょっとした場所からお金はもらっていますから」

「そう…ランスターさんは遺族補償ってお兄さんも局員?」

「はい…」

「憧れだったりする…?」

「今も憧れています…」

 

ギンガさんはそう…と行った後、空を見上げながら、

 

「ランスターさんもネームレスさんもスバルから聞いているかな?

うちも母が亡くなっているんだ。私達がまだ小さい頃なんだけどね」

「はい、聞いています」

「私も聞きました」

「スバルがやっているシューティング・アーツね…あれもともと母がやっていたの。

だから私は小さい頃から、スバルも基礎くらいはやってたんだけど、あの子って少し臆病なところがあるでしょ?」

「あ、はい」

「それは時たま感じます」

 

ナカジマって時々怖気付く事があるのよね。

 

「それで、怖いのとか痛いのとか他人を痛くするのとかが嫌だからってあんまりシューティング・アーツをちゃんとやっていなかったのよ」

「そうなんですか」

「今からは少し想像つきませんね。スバルは勢いがありますから」

「うん。それも理由があってね。あの事故からSAも魔法も真剣にやるようになったの」

「「あの事故…?」」

 

あたしとリオンさんは同時に首をひねる。

それでギンガさんは気づいたのか、

 

「聞いていなかったのね。去年の春に起こった空港火災なんだけどね」

「あ、空港一個丸々ダメになったっていうあれですね?」

「そんな事があったの…?」

「リオンさん、あんた知らないの? 結構有名だったのよ?」

「う、うん…その頃はまだ目覚めていなかったから…」

「目覚めて…?」

「あ! ううん、なんでもないよ!?」

 

なんか気になる単語を聞いたけどよくわからないので今は放っておこう。

 

「続けるわね? スバルと私はその事故に巻き込まれちゃったの」

「え…?」

 

巻き込まれたって、あれに…?

 

「空港でかなり奥の方で一人ぼっちでね。もう絶望的な状況だったんだけど…」

「それって去年の事ですよね? それから半年ちょっとで訓練校に?」

「信じられないです…」

「うん。怪我はワリと軽めだったしね。それで決めちゃったのよ。

私と父さんは止めたんだけど訓練校を出て局員になるんだって大急ぎで色々と学んで練習していたの」

 

あー…あのワガママは身内にも効果あるんだ…。

 

「魔法学校とかは行ってなかったんですか…?」

「うん。普通校よ。だからまだ魔法は初心者と言っても過言じゃないわ」

「ますます信じられないです…」

 

リオンさんと一緒に同じような顔をあたしはしていた。

 

「魔法歴1年以下…なるほど。道理で飲み込みが早いと思いましたよ」

「確かに習ってからすぐに覚えてきたよね。でも、それだとやっぱり事故のショックで…?」

 

リオンさんがそうギンガさんに聞く。

 

「いえ、なんていうか出会っちゃったのよ」

「出会った…?」

「空港火災でスバルの憧れと理想そのままの人達にね」

「…ああ、もしかして高町なのは二等空尉ですか…?」

「それとシホ・E・S・高町二等空尉…」

「そうなの。スバルは二人の写真の切り抜きをお守りにしているのも知っているんでしょう? それからなのよ。二人を憧れに持つようになったのは。

憧れを見つけて、自分を見つめて、スバルは泣いていたの…弱い自分が嫌だって、強くなりたいって」

 

ギンガさんはナカジマの気持ちを分かっているのだろう。同調しているみたいね。

 

「ああ、ごめんなさいね。私ばかり話しちゃって…」

「いえ…」

「大丈夫です」

「あの子、メールでよくランスターさんとネームレスさんのことばっかり書いているのよ?

だから二人の話も聞きたいなって…」

「はぁ…」

「いいですよ?」

 

リオンさんはすぐに頷く。

っていうかギンガさんってナカジマと同じで二人揃って本当にじっと目を見て話すのね…少しやりづらいかも。

それで二人で、あたしは射撃系や幻術魔法、リオンさんはサーベルによる近接戦にレアスキルの未来予知などを話すとギンガさんは目を輝かせて、

 

「幻術を使うんだ! すごいわね! それに渋い! どんなの練習しているの!?」

「えっと…まぁ基礎的なことくらいで…」

「ベルカ式はそっち系がほとんどないから羨ましいなー! それにリオンさんも未来予知ってすごいレアスキルを持っているのね!」

「はい、まぁ五秒だけのパッとしない能力ですけどね…」

「それでもすごいわ!」

 

なんか、ギンガさんってノリがナカジマと同じだ。

それからナカジマが四人分のアイスを持って帰ってくるとギンガさんは自分のことのようにあたし達の事を話している。

なんか、姉妹揃って騒がしいなぁ…。

それから挨拶だけするって約束が結局フルで付き合ってしまった。

そしてなんかナカジマのリボルバーナックルの話になると少し声のトーンが落ちた気がした。

それであたしは聞いてみると、

 

「リボルバーナックルね…母の形見なの。母は両手で使っていたんだけど、今は私とスバルで片方ずつね」

「あたしが右利き。ギン姉が左利きで使っているんだ!」

「へー、そうなんですか」

 

リオンさんは素直に感心しているけど、あたしは以前にちょっと意地悪なことを言った覚えがある。

それを謝らないといけないわね。

リオンも気づいたのか、

 

「ティアナはやっぱり優しいね。スバルに謝ろうとか考えているでしょ?」

「言わないでよ? 恥ずかしいんだから…」

「うん!」

 

どうもリオンって子がいまだに掴めないわね。

先を見透かされているような感じだわ。

それから寮に帰ってナカジマが寝ている間にリオンさんも手伝ってくれてあたしはリボルバーナックルを綺麗にしてやった。

そして朝になりナカジマが何度も聞いてくるけど何度も躱していく。

その度にリオンさんはクスクスと笑っている。

覚えときなさいよ…?

それで謝ったのはいいけど、

 

「いつかのアレ…? え?…え? ランスターさん、何かしたっけ?」

 

ナカジマ自身が覚えていないという始末である。謝りぞんだ!

それでまた一方的な口撃をカマしてしまい周りから笑われる始末であった。

それから気まぐれであたしはナカジマの事をスバルと呼び、リオンさんの事をリオンって呼ぶと二人共揃って、

 

「「うん、ティア!」」

「ちょ…! どうして二人共知っているのよ!?」

「ギン姉に話したでしょ?」

「私はスバルに聞いたんだよ」

「友達とか仲良しの子はそう呼んでいたって…」

「あたしとあんた達とは友達でも仲良しでもないっ!」

「「でも、今はトリオでしょ?」」

「ああ、もうなんでこんな時だけアンタ達二人は息がピッタリなのよ!?」

「だから呼ばせて…仲間としての呼び方として」

「私もティアって呼びたいな」

 

あたしはそれで顔が赤くなってくるのを抑えられない。

まったくもー、こいつら二人は恥ずかしがらずに言うんだから!

それで結局あたしが折れる形で承諾してしまった。

もう、しょうがないわね。

でも、あたしはこの時に気づいておくべきだった。

リオンとはともかくスバルとはかなり長い付き合いになってしまう事に…。

 

 

◆◇―――――――――◇◆

 

 

そんな訓練校の日々を続けていき、とうとう卒業が迫ってきたそんな時に夜に三人で込み入った話をしようという事になった。

 

「それじゃまずリオンからかな? リオンはどんな秘密を持っているのかな?」

「そんな…そんな重要な秘密はないよ。あっても二人に話せるようなものでもないしね」

 

リオンはそう言って少し暗い表情をする。

やっぱりなにか隠しているのかしら?

 

「そ。まぁ、いいわ。それじゃスバルは…?」

「あー、それじゃ驚かないでね? 実はあたし、普通の人じゃないんだ」

「は…?」

「戦闘機人って知ってる? 違法の技術だけど、ギン姉とあたしは体に機械が埋め込まれているんだ」

「あんた…軽く話すわね? いいの? そんな重要な話をしてもらっちゃって…」

「いいんだ。二人には話しておきたかったから」

 

それからスバルは色々と経緯を話してくれた。

ここまで話されたんじゃあたしも話さないわけにはいかないじゃない。

それで兄…ティーダ・ランスターの事を話すことにした。

 

「兄さんはあたしの憧れの人だったんだ。でも違法魔導師の追跡で手傷を負わせはしたんだけど取り逃がしちゃってその返り討ちのせいで死んじゃった。

でも、そこまでならまだよかった。でも、兄さんの遺体はどこかに隠されたのか行方不明になってしまったらしいの。

だからお墓には骨は入っていないのよ。

しかも、兄さんの上司は、

 

『犯人を追い詰めたくせに取り逃がすなんて首都航空隊の魔導師としてあるまじき失態だ。

たとえ死んでも取り押さえるべきだった。しかも行方不明になるなんてどういう事だ。馬鹿者め!』

 

とか、ふざけたことを言い出したのよ。果てには『任務を失敗するような役立たずは云々…』とか言い出してさ。

その上司はそれが原因で退職させられたらしいけどね。いい気味だわ。

それで、だからあたしは兄さんの、ランスターの魔法は無駄じゃなかったって事を証明するために今頑張っているのよ」

 

それを話終わるとスバルとリオンは二人して涙を流しているのだった。

 

「ちょ、どうしたのよ二人共…?」

「お兄さん、可哀想だよ」

「うん…」

「……………、ありがとう、二人共」

 

兄さんのために泣いてくれる二人に感謝をしておいた。

それから他にもまるで本当の友達のようにあたし達は会話をしていった。

 

 

◆◇―――――――――◇◆

 

 

そして卒業式の日、

 

「それじゃティア、スバル。進路は別だからトリオはここで解消だけど絆は一緒だからね?」

「うん、リオン!」

「あなたも頑張んなさい」

「うん。最後に聞いておきたいことがあるんだけどいいかな?」

「なに? 言ってみて」

「うん。前に言えなかったことなんだけど、もし、もしもだよ? 私が危機に陥ったら…その時は、助けてくれるかな?」

「当然だよ! あたし達は友達なんだよ!」

「ま、その場面に出くわしたらできるだけ助けてあげるわ。でも、本当にあんたの進路ってどこなの?」

「ごめん…それだけはやっぱり秘密なんだ」

「そっか…連絡が取れないから残念だね」

「うん…。でも運が良かったらまた会えるかもしれないからその時はよろしくね!」

「うん!」

「ええ」

 

あたしとスバルは二人で返事を返す。

 

「それじゃ、またね。二人共…」

 

リオンは涙を流しながら訓練校を卒業していった。

それじゃあたし達も頑張っていきましょうかね?

 

 

◆◇―――――――――◇◆

 

 

リオンはある隊舎にやってきて、

 

「よく帰ってきたねぇ、リオン。ひと時の自由は楽しかったかね? くくく…」

「ッ…」

「おっと、俺様に歯向かうのはお勧めしないよ? お前の自由は俺様が握っているんだからね」

 

その男は嫌な笑みを浮かべながらそう語る。

 

「私は、これからなにをすればいいのよ…」

 

リオンは苦虫を噛み潰したような表情をする。

 

「さて、まだ当分はあのお方の手足として頑張ることだね。俺様は裏から操らせてもらうからね。くくく…」

 

リオンは心の中で、

 

(ティア、スバル…助けて!)

 

と、呟くのだった。

 

将来、リオンはスバル達ととある理由で対峙する事になる。

でも、そんな未来は予知できるほどリオンには力がなかった。

リオンの未来には今のところ暗雲が立ち込めているのだった。

 

 

 




リオンは秘密はまだ公開しません。いずれですね。
そして最後に出てきたこの謎の男はかなりクレイジーな設定です。
名前はまだ公開しません。裏方の男ですから。

それではご意見・ご感想・誤字脱字報告をお待ちしております。

では。
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