【完結】剣製の魔法少女戦記   作:炎の剣製

136 / 207
今回は閑話です。

久しぶりに観察記録シリーズです。

今回は初めてスポットをフィアットに当てました。


第百三十三話  『フィアットのシホ観察記録』

 

 

 

 

 

Side フィアット・スクライア

 

 

 

…ん?

ああー!

やっと私の回が回ってきましたか。

………って、なにメタな発言をしているのでしょう。反省反省…。

さて、気を取り直しまして…。

 

…ティアナの一件が片付いて、ティアナはお姉様にさらに憧れを持ったらしいです。

それで最近はお姉様、ティアナ、それにたまに訓練に付き合うヴァイス陸曹の三人でよく個人レッスンをしている。

それでなのはさんが少し嫉妬していたりするのは、まぁしょうがないですよね。

それと近々お姉様達はフォワード達のみんなにお休みをやろうという話が持ち上がっている。

機動六課が始動してからずっと訓練漬けでしたからねぇ…。

久しぶりの休日を楽しんでもらいたいですね。

え? 私達にはないのか、って?

当然ありますよー。

ただそういう描写が描かれていないだけで適度に休息はとっています。

…って、また誰に説明しているのでしょうね、ホントに…。

 

さて、話は変わりますが本日は私が兼任している無限書庫の兄さんの手伝いで司書の仕事もありません。

それに機動六課での書類仕事も私にとっては軽いものばかりですから暇というわけでもありませんがお姉様でも観察してみましょうかという事にしました。

 

「マグナ、お姉様は今どこにいるか分かりますか?」

《はい、今はオフィスで書類整理などをやっています。見に行きますか、マスター?》

「そうですね。それじゃ私も一緒に残りの分も終わらせてしまいましょう」

 

それでオフィスに向かいお姉様に近づく。

けどお姉様は私が近づいているのがすぐに察知したらしくデスクに向かいながらも、

 

「…フィア? 私になにか用? 気配を殺しているようだけどバレバレよ」

「あ、あはー…バレちゃいましたか。さすがお姉様です」

「フィアは普段は優秀なのに、自分で言うのもなんだけど私絡みになると行動が甘くなるからすぐにわかるのよ」

 

椅子を回転させて私の方に向き直りながらお姉様はそう言う。

うぅ~…そんなに私、脇が甘いですかね。

お姉様をビックリさせるにはもっと精進が必要そうです。

頑張りましょう! おー!!

と、一人、心の中で自分を鼓舞してから話しかける。

 

「お姉様、本日の予定はどうなっていますか…?」

「予定、ね…。そうね、午後の教導はなのはが受け持つって張り切っていたのよ。

だから今日はちょっとくつろげる時間をもらった事だし今ある書類整理が終わったら自分事でもしようかな、と思っているわ」

「そうですか。それじゃ今日は私も手が空いていますのでお付き合いさせてもらっても大丈夫ですか…?」

「ええ、大丈夫よ」

 

と、そこにリインがフヨフヨと飛んでいるのを発見。

お姉様はそれはとてもいいカモを発見したような表情になる。

なにか悪巧みを思いついたのか、でもお姉様に限ってそんな事はないから、はたまたリインにとって良いことなのか。

でも、私が考えている間にすでにお姉様はリインに話しかけていた。

 

「リイン、ちょっと今時間ある…?」

「ん? なんですか、シホさん?」

「ちょっとリインにしか頼めない事をお願いしようと思ったのよ」

「私にですか…?」

「そう。きっとそれははやてにとって心の支えとなっただろうから…」

 

…? どういうことだろう。

はやてに関係する大事な事なのでしょうか?

 

「わかりました。えっと…今用事は、ありません!」

 

リインが元気そうにそう声を上げてお姉様の頭の上に乗った。

いいな~。

私もリインサイズだったらお姉様の頭に…って、そうだ!

最近していないのですっかり忘れていたが、私は昔はお姉様と一緒にいる時はフェレットの状態が普通だったのだ。

 

「お姉様! 久しぶりにフェレットモードになってもいいですか!?」

「別にいいけど…どうしたの?」

「はい! リインを見ていたら昔を思い出しましてフェレットになってお姉様の肩に乗りたくなりました!」

「そ、そう…素直なのは結構なことね」

「フィアットさんも甘えん坊さんですね~」

「リインにそう言われると少し悔しい気持ちになるのはどうしてでしょうか…?」

 

それでつい張り合ってしまう私とリインですがすぐにお互いに笑顔になって、私はフェレットモードになってお姉様の肩に乗る。

 

「そうです。フィアットさんも素直になればいいのです」

「そうですね~」

 

するとオフィスにいる他の人達がなぜか「いいな~」と呟いていたけど誰に対して言っていたのでしょうか?

やっぱりお姉様ですかね?

そんな事を考えていた。

 

「さて、それじゃ私・士郎・キャスターの共通工房へと向かいましょうか。そこでちょっと“平行世界の観測”でも…」

「「えっ!?」」

 

お姉様が何気なく呟いた発言に私とリインは揃って声を上げてしまった。

 

「お、お姉様…? 今、聞き間違いだったら良かったのですけど、平行世界の観測と言いませんでしたか…?」

「ええ、言ったわよ?」

「し、シホさん! やっぱり私は遠慮するですぅ~!」

 

リインが飛んで逃げようとしているがお姉様は素早くリインの襟をむんずと掴む。

 

「もう…失礼しちゃうわね。もう前みたいにうっかり失敗はしないから安心しなさい。

それに今回はリインがいないと話が始まらないんだからおとなしくついてきなさい」

「怖いですよー! 平行世界に飛ばされちゃいます~!」

 

私はもう落ち着きを取り戻しているというのにいまだにリインは飛ばされるのが怖いのか、ジタバタと暴れている。

そこにお姉様は、

 

「えいっ!」

「キュッ!?」

 

思いっきり襟を絞めて無理矢理リインを黙らせ、お姉様と真正面で向かい合い、

 

「もう、失敗しないって、言っているでしょう…? ね…?」

「は、はいです…わかりましたですぅ…」

 

お姉様の黒い笑みでリインはついに反抗心が削がれたのかそれ以降は素直についてきた。

うん。お姉様は美人ですから怒りの笑みは怖いですよねー。

私は反抗しなくて正解でした。

それから三人でお姉様達の工房に到着する。

そこにはすでに魔法陣が敷かれていて準備はバッチシであるようだ。

それで私は気になったのでお姉様に訪ねてみることにした。

 

「…ところでお姉様。今回も平行世界の観測らしいですが、リインが関係しているというのはどういう事でしょうか?」

「あ、それは私も知りたいです」

 

私とリインでそうお姉様に聞いてみる。

するとお姉様は笑みを浮かべながら、

 

「はやてとの一方的だけど約束を果たす時なのよ…」

「約束ですか? はやてちゃんとの…?」

「ええ。フィアとリインは聖杯大戦事件の詳しい内容は覚えているわよね?」

「え? えっと、はい…」

「私ははやてちゃんにお話を聞いただけですけども…」

「それで十分よ。それでその事件ではやての身に何が起こった…?」

「なにがって…あっ!?」

「そ、そうです! “反英雄ヤガミ”の宝具『闇の書の悪夢』の力で悪夢の世界に閉じ込められてしまいましたです!」

 

私とリインは同時にその解に至り、お姉様がこれからなにをしようとしているのかなんとなく理解できた。

 

「その通り…。そして、はやてはその悪夢の世界で誰かの声を聞いて勇気づけられて悪夢を跳ね除けて世界を脱出することができた」

 

そうです。

どうしてこんな大事な話を忘れていたのでしょう。

リインも今思い出したかのような顔になっていますし。

 

「第二魔法、平行世界の運営はうまく運用すれば時間も越えることができる…。

だから、今から平行世界の過去のはやてを助けにいくわよ。

私達のこの世界に似た世界に繋ぐ架け橋になるために…」

「シホさん! ぜひ、お付き合いさせてくださいです!」

 

リインは大声を上げてお姉様に抱きつく。

興奮しているらしく顔がとても赤い。

 

「うん。リインもオッケイなようだし、始めるわね?

あ、それと注意点としてはその世界ではまだリインは生まれていないし、まだ士郎とアインスも付き合っていないから当然ツルギも生まれていない。

そこのところの言葉を注意して発言してね?

でないと意図せずして未来の情報を与えてしまうかもしれないから…」

「了解です!」

「あの、私はどうしていれば…?」

 

私が聞くが、

 

「フィアはただ見守っていて。

はやての話からして干渉できるのはリインの言葉だけだから」

「わかりました」

「それじゃ始めるわね」

 

そしてお姉様は宝石剣を構える。

すると宝石剣から七色の光が溢れ出して魔法陣も赤く光り出す。

 

「…―――私のイメージする時代と時期、場所へと接続…座標、固定」

 

お姉様は目を瞑りながらそう呟き、それから私達でも分からない難しい詠唱を唱え始め出す。

すると少しずつだが目の前にリインサイズなら通れそうな穴が展開し開き出す。

リインはその穴を覗き込んだようで驚きの声を上げた。

 

「はやてちゃんが、氷の中に閉じ込められているです!」

「…座標は正確に合っていたようね。よかったわ」

 

お姉様は無事に成功して安堵の息を吐く。

でも宝石剣を構えているままだ。

きっとこれを解くとこの実験も終わってしまうのだろう。

 

「さぁ、リイン。今、はやての心は折れかかっているわ。だからあなたが救うのよ」

「はいです! ですが、どうやって救えば…?」

「はやてを思いながら語りかけなさい。

そうすればはやてにもきっと言葉は届くはずよ。

時間も有限だからそう長く平行世界の間を繋いでいられないわ。

だから、早く済ませてね?」

「わかりましたです」

 

それでリインは一度目をつぶり息を何度も吐いたり吸ったりを繰り返す。

そして真剣な表情になり、

 

「いきますよー!」

 

と、大声を上げる。

そして優しい声を出して、

 

「大丈夫ですよ、はやてちゃん…」

《誰…?》

 

ッ! 今、はやての声が私にも聞こえてきました。

 

「はやてちゃんはとっても強い人です。だからこんな悪夢もすぐに抜け出すことができます…」

《…あなたは、誰なんや? どうして、私の事を…》

「はやてちゃんは知らなくても、私はよく知っています…」

 

おそらく向こう側でははやては誰なのか考えていることだろうと思います。

でも、耳を傾けてください。

リインは、あなたの家族なのですから。

私は思わず手に汗を掻きながらこれが成功することを祈った。

 

「こんな氷、はやてちゃんならすぐに壊せるはずです!」

《…無理や。体が一切動かせへんのよ?》

「…それは意思がまだ弱いからです…。

もっと、強く想ってください。

シグナムやヴィータちゃん、ザフィーラやシャマル…そしてアインスに士郎パ…じゃなくて士郎さん、キャスターさん、アルクェイドさん、志貴さんの事を。

はやてちゃんの大事な家族、大事な友達、大事な思い出、強い意志、強い心…。

それらをはやてちゃんが心から望めば、きっと奇跡は起きます。だから諦めちゃダメです!」

 

…今、かなりのシリアスモードなのにうっかりリインは士郎さんの事を士郎パパって言いそうになりましたね。

まぁ、目を瞑っておきましょうか。

 

《…私にも、できるかな? そんなすごいことが…》

「はい! はやてちゃんが望めばなんでもできます!」

《…そか。なら気張らんとアカンな!》

 

どうやらあちらのはやても悪夢を跳ね除けられそうですね。

その証拠にリインが、

 

「その調子です。はやてちゃんの意思は今や無限大です。だからこんな場所、すぐに抜け出しましょう…?」

《…そうやな! ありがとな。…それと、せっかくやからあなたのお名前、教えてくれへん…?》

「今は、まだ教えることはできません…」

《…そうか。残念や…》

「でも、いずれまた会えます! はやてちゃんが望むなら私はいつでもあなたに応えます! だから…待っています」

《…そか。なら楽しみにしているわ!》

「はい! 私のマイスターはやて…」

 

リインがそう言葉を言い切った時だった。

 

「…ここまでね」

 

そう言ってお姉様は宝石剣の構えを解くと七色の光は消えていって無色に戻っていく。

 

「シホさん…過去のはやてちゃんと会わせてくださってありがとうございます…」

 

リインは涙を流しながらそうお姉様に告げる。

 

「うん。さて、ここまでなら感動の展開で終われたんだろうけど………そこ!」

「「!?」」

 

お姉様が入口に向かって竹刀を放つ。

 

「あいたぁッ!?」

 

するといきなり声が響いてきてそちらに向くとそこには頭を押さえてうずくまっているはやての姿があった。

 

「はやてちゃん…?」

「はやて…?」

「うぅ…シホちゃん、ひどいで? いきなりはないやろう?」

「盗み聞きをしているはやてが悪いのよ。

ふとした拍子で観測が失敗したら目も当てられないんだから…。で、なにか言う事は?」

「ごめんなさい…」

「よろしい」

 

はやては素直に謝ってきたのでお姉様も素直に許したようである。

それから場は落ち着いてきて、

 

「…でも、やっぱりあの時の声はリインやったんやね?」

 

はやてはリインをその胸に抱きしめる。

 

「うぷっ…はやてちゃん、苦しいです」

「今はこうさせて。私を助けてくれてありがとうな。リイン」

「はいです…」

「そしてシホちゃん、世界を繋げてくれてありがとな」

「ええ」

 

それからはやてとリインの二人はとても仲良さげに部屋を出ていった。

そしてそれを見送った私とお姉様は、

 

「…これでよかったのよね。

平行世界…しかも過去に干渉はあまりしない方がいいと思うんだけど、これは歴史通りに一つの平行世界のはやての未来を救えたわけだしね」

「そうですね…」

 

それで私達はこれからなにをしようかという話になり、

 

「今日分の書類仕事は終わっていることだし、はやての件も解決したことだし…」

「なにをしましょうか…あ、そうだ。お姉様、久しぶりに“アレ”をやってくれませんか?」

「アレ…?」

 

私はある事を提案してみた。

 

 

 

◆◇―――――――――◇◆

 

 

 

時間は夜遅くになり、お姉様も私もつい熱が入ってしまいました。

そこに誰かがお姉様の工房に入ってくる気配がします。

 

「シホ、それにフィアット嬢も。二人とも食事もしないでなにをしているのだ?…って、うおっ!?」

 

どうやら声からして士郎さんらしいですね。

 

「士郎? どうした?」

「何驚いてるんだ?」

 

後から続いてシグナムさんとヴィータも入ってきたようです。

 

「「うわっ!?」」

 

そして二人も驚きの声を上げています。

なにをそんなに驚いているのかというと、理由は一つ。

今、工房の中は、

 

「な、なんで工房の中が宝具だらけになっているんだ!?」

 

そう、私が提案したのは久しぶりに宝具を投影してプチ見学会をしたいという話なのでした。

 

「…ああ、士郎」

「『…ああ、士郎』ではない。なんでこんなに宝具が散乱しているんだ…?」

「いや、フィアが久しぶりに見たいって言うから私もやっていくうちについ熱が入っちゃってね。

投影の定期点検の意味も兼ねていいかなと思って…」

「なるほど…いざという時に投影できなければ宝の持ち腐れだからな」

「でしょ?」

 

それでシグナムとヴィータは投影された宝具を一つずつ見学して行っているようです。

 

「この赤くて歪な大剣は…ネロ殿の宝具だったか?」

「ええ。隕鉄の鞴…『原初の火(アエストゥス・エストゥス)』よ。

マスターの私が投影できなくてどうするっていう感じね」

「こちらはキャスターの神宝である『水天日光天照八野鎮石(すいてんにっこうあまてらすやのしずいし)』ではないか…」

「そうね。なんとか投影できたわ。これは真名開放すると魔力が上昇する効果があるからいいわよね」

「こっちはいつもシホや士郎が使うお馴染みの『干将・莫耶』か。

ランサーの『刺し穿つ死棘の槍(ゲイ・ボルク)』にライダーの『無銘・釘剣』も置いてあるな」

 

それから三人はそれぞれ見学していった。

私も一緒に混じって見学をしている。

 

「この靴はお姉様がまだ空を飛べない頃によく使っていた『天駆ける踵の靴(タラリア)』ですね」

「この長い日本刀は私の戦いの時に使った『物干し竿』だったか?」

「他にもシホのお馴染みの宝具、『偽・螺旋剣(カラド・ボルク)』や『赤原猟犬(フルンティング)』、『無銘・斧剣』まであるぞ。

ん…? 『偽・螺旋剣(カラド・ボルク)』の隣に一緒に置いてある剣はなんだ…?」

「ああ、それは『偽・螺旋剣(カラド・ボルク)』の改造前の宝具『吹き荒ぶ暴風の剣(カラドボルグ)』よ」

「あ、やっぱり改造する前もあったんだな」

「そりゃあるわよ。

エミヤも矢にして使うように『吹き荒ぶ暴風の剣(カラドボルグ)』を『偽・螺旋剣(カラド・ボルク)』に改造したわけだし」

 

普通に言っていますけど宝具を改造するって結構すごいことですよね。

 

「この赤い槍と黄色い槍はディルムッド・オディナの『破魔の紅薔薇(ゲイ・ジャルグ)』と『必滅の黄薔薇(ゲイ・ボウ)』だったな」

「ええ、言っておくけど『必滅の黄薔薇(ゲイ・ボウ)』には触れないでよ? 傷がついたら治癒不可だから」

「それはもう知っているから触らん。

ちなみに二槍と一緒に置いてあるこの二つのセットのような剣は一体…?」

「それは『大なる激情(モラルタ)』に『小なる激情(ベガルタ)』よ。

どちらもディルムッドがもしセイバーのクラスで現界したら持っているだろう宝具ね。

そんなにパッと見は派手じゃないけど、『大なる激情(モラルタ)』の方は真名開放したら至近距離限定でだけどエクスカリバー級の斬撃を放つことが可能ね」

「ほう…エクスカリバー級とは。なにげに危ない代物なのだな」

「なっ! これはアヴェンジャー…ライゼルの宝具だった『紅蓮』に『月下』か?」

 

士郎さんが驚いている。

それはそうですね。

これはかつて士郎さんを苦しめた宝具なのですから。

 

「えぇ。士郎も解析したから剣の丘にはあるでしょ?」

「あ、ああ。確かにあるが…。

それではこの禍々しさを放っているのはもう一人のアヴェンジャー…アンリ・マユの短剣。

左歯噛咬(タルウィ)』に『右歯噛咬(ザリチェ)』か」

「そうよ。ちょっと古傷を暴くようで投影するのに抵抗があったけどなんとかやってみたわ」

「なんだ? この短剣はソードブレイカーの性質も持っているのか?」

「よくわかったわね、シグナム」

 

それで他にも見学を開始すると、

 

「なぁなぁ! この青白い槍はなんだ? シホ!」

「それは北欧神話の主神オーディンの愛用の投擲槍で、真名開放して放ったら標的を貫くまで追い続ける効果を持つ『大神宣言(グングニル)』よ」

「そんなものまで…」

「ギルガメッシュの宝物庫はなんでもあったからね。

ちなみに隣に置いてあるのはケルト神話の主神ルーの五つの鏃の投擲槍。

真名開放すると五つの鏃からそれぞれ光が発射されて標的を吹き飛ばす効果を持つ『轟く五星(ブリューナク)』よ」

「だが、さすがにアーサー王伝説で登場する宝具達は投影しないのだな?」

「ええ、当たり前よ。

約束された勝利の剣(エクスカリバー)』も『無毀なる湖光(アロンダイト)』も『転輪する勝利の剣(エクスカリバー・ガラティーン)』もだけど。

どれもAランク以上の宝具だから私では死を覚悟しないと投影は不可能かもね。

前にエクスカリバーをイリヤと一緒に投影したことがあったけど二度としたくないと思ったほどだし…。

それに投影は出来ても中身がないハリボテができてしまうわ」

 

あれはすごかったですからね。

反動でお姉様はその後に気絶してしまいましたし。

 

「なるほど…それで、ふとした疑問だが、なぜ私達のデバイスまで転がっているんだ?」

 

シグナムさんがそう言う。

指差した方ではレヴァンティンやグラーフアイゼン、バルディッシュやレイジングハートその他知り合いのデバイスが数点転がっていた。

それでお姉様は、

 

「なんとなくやってみたらできたのよ。

武器としては使えるけど、当然意思はないし変形機能もないハリボテよ。

さて…それじゃ魔術の訓練も終了ということで、投影破棄(トレース・カット)

 

そうお姉様が唱えるとそこらに点在していた投影品達が全部幻想のように消え去ってしまった。

改めて見てやっぱりすごいですね…。

 

「士郎、今から料理って平気…?」

「ああ。そのために呼びに来たものだからな」

 

それで私達は食堂へと向かおうとするが、そこでシグナムさんが、

 

「…なぁ。シュバインオーグ、ちょっといいか?」

「なに、シグナム? 急に改まって…?」

「ふとした疑問なのだが、ツルギは『概念抽出魔術』を使うよな?」

「ええ」

「先ほどの宝具をそれぞれ概念だけなら簡単に抽出できるのだから投影魔術より燃費はいいしお手軽に使えるよな?」

「そ、そうね…」

「言ってはなんだが、本当にツルギはチートだな…」

「「………」」

 

その言葉が妙に記憶に残りました。

お姉様も士郎さんも黙り込んでしまいましたし。

いや、本当に将来ツルギ君はどうなってしまうのでしょうかね…?

そんな事を思いました。

そしてこれは久しぶりにお姉様とゆっくり一緒に付き合えることが出来た私ことフィアットの一日でした。マル。

 

 

 




伏線回収の回でした。

そしてプチ宝具博覧会をしました。

どれも戦闘ではシホに士郎は慣れた宝具しか使わないのでちょうどよかったかなと。

それではご意見・ご感想・誤字脱字報告をお待ちしております。

では。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。