【完結】剣製の魔法少女戦記   作:炎の剣製

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なのはが消えた時の話を書きます。

そして隠されていた秘密も…。

それではどうぞー。


第百五十二話  『なのはのあの後と、隠された秘密』

 

 

…高町なのはは、暗い部屋の中で静かに目を覚ました。

 

(…こ、こは…?)

 

周りはいまだ薄暗い部屋の中であったために、しかも手足も動かすことができずにいた。

そして周りがどこなのかも把握できないでいた。

それでしょうがなく今私はどうしてこんな事になってしまったのかを思い出すことにした。

あれは、確か…、と想いを馳せるなのはは少しずづだが思い出していった。

 

(そう…シホちゃんとフェイトちゃんと公開意見陳述会会場から抜け出して、スバル達と合流した後だった…)

 

 

 

◆◇―――――――――◇◆

 

 

 

Side 高町なのは

 

 

 

「まず、スターズは―――…」

 

それはシホちゃんがこれからのみんなの方針を打ち出そうとした時だった。

 

《高町なのは…》

「うっ!?」

 

突如として頭の中に謎の男の人の声が響いてきて、私は思わずたちくらみを起こして倒れそうになった。

それは隣でいたオリヴィエさんによって支えられた。

 

「大丈夫ですか、なのは?」

「う、うん。オリヴィエさん…」

 

私はなんとか言葉を返すが、頭の中にまたしても男性の声が響いてくる。

 

《私の声が聞こえるな? 高町なのは…》

《あなたは、誰なの…?》

《聞こえているようで何よりだ。ならば目にも神経を巡らせろ。そうすればお前にもある映像が映し出されるだろう…》

 

それで私は目にも力を込めてみた。

瞬間、私の目には別の場所の光景が映し出された。

そこには、

 

《お母さん…!?》

 

謎のフードの男性が私のお母さんを気絶させていて手に抱えている光景が映し出された。

 

《ククク…どうだ。高町なのは。お前の母は今私の手にうちにある》

《何が目的なの!?》

《目的、か…。そうだな、隣にいるお前のサーヴァント、ファイター…オリヴィエ・ゼーケブレヒトを連れて指定する場所まで一緒に来るがいい》

《なんで、オリヴィエさんを…?》

《理由まで話すと思っているのか? 聞かれれば答えが必ず返ってくると思ったら間違いだぞ、高町なのは》

 

いちいち癪に障る言葉を男は言いながら私を脅迫してくる。

 

《いいか? お前とオリヴィエだけで来るのだ。他の者も連れてきたらお前の母の命はないと思え》

《くっ…!》

 

そして即座に私の頭の中に居場所が示される。

どうやってこんな芸当を仕掛けてきているのかわからないけど、お母さんが人質に取られているとなっては従うしかない。

それで謎の思念通話は終了して私は顔を青くしているのだろう、フェイトちゃんが心配げな表情で私の顔を怪訝な表情で伺ってきている。

今この場でみんなに協力を仰ぎたい。

でも、みんなに相談したらお母さんの命がない…!

もう、相手の言葉に乗るしかなくなってしまった…。

 

「シホちゃん! お願い! ちょっとオリヴィエさんと一緒に単独行動をさせて! 用が済んだらすぐに戻るから…!」

「用が、って…」

「お願い…今は、私を信じて…」

 

シホちゃんにもお母さんのことを伝えたかった。

でも、きっと私がいなくなったらシホちゃんは探すと思う。

そうするだろうとすぐに予想できることが嬉しい…、そしてそのシホちゃんの気持ちを逆手にとる行動を取ろうとしている自分が今、いかに無力かを悟る。

そしてなんとかシホちゃんとみんなに了承をとって私はオリヴィエさんとともにその場を後にした。

指定された場所に向かう道中、

 

「しかし、どうしたのですか、なのは。こんな行動をとってしまっては後後に響きますよ?」

「うん、わかってる…。でも、今はただ従うしかないの…」

「従う…? なのは、なにか私たちに隠していますね?」

 

うっ…。オリヴィエさんには気づかれてしまった。

でも、オリヴィエさんには伝えてはいけないという事は言っていなかった。

なら…!

それでも私は不安になり一応念話で話しかけた。

 

《…うん。どういう仕組みかは知らないけど私に謎の男が思念通話をかけてきたの。そして、お母さんが捕らわれの身になっていたの…》

《桃子が!?》

 

それでオリヴィエさんが驚きの表情をする。

そうだよね、私もとても驚いてる。

なにより、お兄ちゃんやお父さんが黙っているとは思えない。

謎の男はどうやってお母さんを誘拐したのか…?

お父さん達も無事なのか心配だ…。

いろいろと考えながらも指定された場所に私とオリヴィエさんは到着した。

そこはどこかの廃場だった。

中には電気がついていなくていつかのランサーさんがディルムッドさんと戦った戦闘場を思い出させてくれるようなところだ。

オリヴィエさんと慎重に中を進むと中心らしき場所に明かりが灯される。

そこにはフードの男性が立っていた。

しかもよく見ると地面に反射した光で顔が伺え知れてその顔の右目には線が入っていた。

もしかして、隻眼の魔術師!?

 

「あなたは、もしかして隻眼の魔術師ですか…?」

 

オリヴィエさんが手甲の腕を構えながら警戒する。

 

《そうだ。私は隻眼の魔術師…》

《またっ! どうして思念通話で会話を!》

《ククク…まだ手がかりは掴まれたくないからね》

 

私と隻眼の魔術師の間で思念通話が繰り広げられているが、それはオリヴィエさんやレイジングハートには聞こえていないのだろう。

レイジングハートは《マスター…?》と話しかけてきて、オリヴィエさんもこちらを伺いながらも警戒を続けている。

 

《そうですか。でも、いつ私にこんな仕掛けをしたんですか…?》

《お前も薄々気付いているのではないか?》

《それって…》

《そう、お前達がガジェットの出現の報告で出動した時だ。

敵がすべて消えて、気が緩んでいる時を狙わせてもらった》

《やっぱり…。あれから頭痛がするようになったのは、あなたのせいだったんですね!》

《ククク…、そうだ》

《それはもういいです。…それで、お母さんはどこですか!》

《ふっ…。これかね?》

 

隻眼の魔術師はその手になにかの魔術なのだろう、地面に転がっている石が瞬時に形を取り出してそれは集まると光り輝き、お母さんと瓜二つの姿に変化した。

これって、もしかして!?

 

《罠ですか!?》

《そう、お前とオリヴィエを誘い出すための紛い物だよ。お前の本当の母は今も第97管理外世界・地球で普通に暮らしていることだろう》

《騙したんですね…》

《その通り…。とろこで高町なのはよ。ここは空気が薄いとは思わないか…?》

《なにを…うっ!?》

 

隻眼の魔術師の言葉に私はある事を自覚した。

息が、苦しい…!

突然、どうして?

それで私はその場に力が抜けて倒れてしまう。

 

「なのはっ!? 突然どうしたのですか!?」

《マスターッ!》

 

オリヴィエさんとレイジングハートが必死に話しかけてくるが、言葉が出せない。

思念通話で伝えようとしても集中ができずに魔力も練れない。

これ、は一体!?

 

《フフフ…、苦しいだろう? 私の魔術でお前の周囲だけ空気を薄くしてやったのだよ。高山病の上位版と思って頂ければ幸いだ》

《ッ…、くっ…!》

 

思念通話ですらままならないこの状況。

どうにか、どうにかしないと…!

 

「貴様! なのはに何かしたのですか!?」

 

オリヴィエさんが殺気を出しながら拳を構えるが、隻眼の魔術師は不敵に笑みを浮かべるだけ。

 

「答えなさい!」

 

それでオリヴィエさんは魔力放出で七色の魔力の光を出しながら駆けていく。

だ、め…。オリヴィエさん、それは罠だよ!

私が罠だということも伝えることもできずにオリヴィエさんの拳が隻眼の魔術師に迫ろうとしたその時だった。

突如、隻眼の魔術師の前にフードを着た謎の人が現れて、その手に見覚えのある歪な短剣を握っていた。

オリヴィエさんも瞬時に気づいたのか足を止めようとしていたみたいだけど、完全には止まることができずに、フードの人もオリヴィエさんに駆け出してその短剣を突き刺した。

その時だった。

私とオリヴィエさんの間の繋がりが切られた感じがして、見れば右手の令呪が消えていた。

そんな…!

 

「なっ…!?」

 

オリヴィエさんもその事に気づき、顔を驚愕に染められている。

次に魔力供給が途切れて力が抜けてしまったのかその場で膝をつく。

だが驚きはさらに続き、

 

「…告げる。

汝の身は我の下に、我が命運は汝の拳に…。

聖杯のよる辺に従い、この意、この理に従うのなら―――我に従え。ならばこの命運、汝が拳に預けよう…」

 

そこで初めて隻眼の魔術師は声を発した。

それがまさか再契約の呪文!?

でも、オリヴィエさんがそれに応じるわけがない!

だけど、

 

「そんな…!? 私は、あなたを主と望んでいない! なのに、なぜあなたの手の甲に令呪が!?」

「ククク…成功したようだな」

 

隻眼の魔術師はその手に宿っている三画の令呪をさすりながら笑みを浮かべる。

 

「答えさない!」

 

オリヴィエさんは拳を握りながら隻眼の魔術師に仕掛けたけど、フードの人物がそれを遮る。

 

「くっ…!」

「サーヴァント・オリヴィエよ。第一の令呪に命じる。『主替えを承諾せよ』!」

「なっ!?」

 

瞬間、オリヴィエさんの体に紫電が走って令呪の効果が体中に巡っているようにも見えた。

そして、オリヴィエさんはその場で立ち止まり、ギリギリと拳を鳴らしているように見えた。

顔は俯かせて悔しがっていることが大いにわかる。

 

「ふっ…。これで普通に話すことができるな。いや、“アヴェンジャー”の時の令呪がそのまま残っていた為に再利用できてよかったよ」

 

アヴェンジャーって…!

もしかして、ライゼルさんを召喚したのは隻眼の魔術師だったの!?

 

「…すみません、なのは! 私が不甲斐ないばかりに…!!」

 

オリヴィエさんは今にも泣き出しそうな顔をしながら私に申し訳なさそうに話しかけてきた。

綺麗な顔が今はとても悔しそうに彩られている。

私は、その場に駆け寄りたい。

でも、まともに息もできない状況でそれはできない。

悔しい…!

 

「さぁ、オリヴィエ・ゼーケブレヒト! お前には“聖王のゆりかご”を起動してもらうぞ! さて…高町なのはよ。しばし眠るがいい…」

 

隻眼の魔術師は私の首に指を当てた。

その指先には黒い呪いのようなものが宿っていることに気づいたのは、気絶したあとだった…。

 

 

 

……………

…………

………

 

 

 

「ッ!」

 

そこまで思い出して、私は手足に力を入れてなんとか動こうとしたけど、『ガシャンッ!』という足かせ手かせがはめられているために動くことができないことをまた思い出した。

 

「オリヴィエさんは! ここは、どこ!?」

「―――気分はどうかね? エースオブエース…いや、高町なのは」

 

そこに暗い部屋に声が響いてきた。

そして明かりが点灯するとそこには、

 

「ジェイル・スカリエッティ!?」

「…ふむ、どうやら脳には異常は見られないようだね。魔術師殿はどうやって君を捕獲したのか心配したものだからね…」

 

スカリエッティは笑みを浮かべながらそう言う。

 

「…なにを。私に、なにをするつもりなの…?」

「ほう…。もうなにかされるという事は想定済みかね? 先読みのセンスはなかなかだよ。では、ご期待に応えて少し話をしてやろうかね」

 

スカリエッティは「くっくっく…」と笑いながらもなにかの話をしだす。

 

「私は常々気になっていたのだよ。

魔術師殿に聞いたのだが、サーヴァントとはなにか触媒があればお目当ての英霊が召喚できるという。

だが調査した結果、高町なのは…君はなにも触媒もなくオリヴィエ・ゼーケブレヒトを召喚したというではないか?」

「それが…なんだって言うんですか?」

「フフフ…それで私は考えたのだよ。もしや、君は…いや、君達家族は『聖王家』の一族、その末裔なのではないかとね」

「なっ!?」

 

私はその発言に驚きの表情を作る。

どうしてそうなるのかと…!

 

「…君も信じられないだろう。私もそう簡単にはこの説には納得はしていない。

だがね、もし聖王家の“ゆりかご”に選ばれなかった数名かが古代ベルカ時代に他の世界に逃亡を図っていたら…とね。

ま、それも私の仮説に過ぎないがね…」

「…………」

 

スカリエッティは笑みを崩さずにそう語る。

私はそれで言葉を失っていた。

そんな暴論をスカリエッティは信じているのか、と。

 

「そのための、今回の試みだ。ウーノ…?」

「はい…」

 

そこに一人の女性がとあるケースを持って部屋に入ってきた。

あのケースは…もしかしてレリックケース!?

 

「その顔だと察しているようだね。そう、レリックだ。

これは本来、オリヴィエ・ゼーケブレヒトのクローンである“ヴィヴィオ”に埋め込むものなのだったのだがね…!」

「ッ! ヴィヴィオは!? 機動六課は!?」

 

私がそう聞くと、一瞬スカリエッティは笑みを消したが、すぐに余裕の笑みを取り戻して、

 

「…今回は失敗だよ。君とオリヴィエ陛下を捕らえて、ヴィヴィオも奪おうとしたのだがね。

しかし、所詮クローンには用はない。

君達も気づいていたのだろう? 私がヴィヴィオを狙っていたことを…。

そのための機動六課待機戦力だったのだろう?

だから、君たちの考えの裏をかかせてもらった。警備に力を注げば、その分君たち本隊の戦力は分散するとね。

ヴィヴィオはいい役を買ってくれたよ。(デコイ)という名のね…!

それで君達が手に入ればヴィヴィオなど惜しくはないのだよ!」

 

そこまで語り終えてスカリエッティは大声で笑い出す。

私がこの先、なにをされるのかおぼろげに予想しながらも、

 

「ハハハハハ…フッ。さて、では実験と行こうか。

さぁ、高町なのは。体の力を抜きたまえ…今から君の体にレリックを埋め込もう」

「そんな…」

 

予想が当たり、私は少しながらも絶望を味わう。

叫びをあげようとも思ったけど、それではスカリエッティを調子づかせるだけだ。

だからせめてもの抵抗として睨みを効かせることしかできなかった。

でも、レリックはどんどんと私の胸の上まで持ってこられて、思わず私は涙腺が緩む。

嫌だ、やめて、と思うも抵抗などできない…。

 

「さぁ、開始だ!」

 

そしてレリックは私の胸に入ってきた。

途端、体に激痛が走る。

こんな事に、なるなんて…!

どんどんとレリックは私の胸に入っていき、完全に入り込んだ途端、私の体に膨大な熱が生まれるのを自覚した。

 

「うっ、あっ!?」

「すごい! いい反応だ! レリックが高町なのはの体に適合するどころか溶けてしまったぞ! 全身に…!!」

 

私はスカリエッティの笑い声を冷めたもう一つの思考で聞きながらも、体の中で生まれた膨大な魔力を押さえ込むことができずに外に漏れ出してしまった。

それは私の魔力光…“桃色”ではなく、オリヴィエさんと同じ“虹色”の魔力光へと変化していた。

信じられなかった…。

まさか、本当に私は聖王家の末裔だったというの…?

そこまでで私の意識は闇に沈んだ…。

 

 

 

◆◇―――――――――◇◆

 

 

 

…レイジングハートの残された映像を見ていたシホ達はというと、

 

「そんな…。隻眼の魔術師は、やはりスカリエッティと手を組んでいた…?」

「それより、あのフードの持っていた歪な短剣って、まさか!?」

「ええ。間違いないわ…。あれは破戒すべき全ての符(ルールブレイカー)…」

 

シホがそう呟く。

その声には悔しさが滲んでいた。

 

「アヴェンジャー、ライゼルを召喚したのは、やっぱり隻眼の魔術師だったのね…」

 

シホは、心の中で、

 

(なのは、オリヴィエ陛下…必ず救うわ。だから、待っていて…!)

 

そう、誓うのだった。

 

 

 




なのはに隻眼の魔術師が接触したのは、第百三十九話『六課最強は? そして強さとは?』の時です。

聖王家にはViVidで何人もの聖王のゆりかご適任者候補がたくさんいたという話です。

それで今回のなのはのオリジナル末裔秘話の話に繋げました。

だからなのはは内に眠る聖王家の血が触媒となってオリヴィエを召喚できたという感じです。

それではご意見・ご感想・誤字脱字報告をお待ちしております。

では。
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