【完結】剣製の魔法少女戦記   作:炎の剣製

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久しぶりに更新します。

結構StrikerS編の最終話でしたので難しかったです。

では、どうぞー。


第百六十六話  『―――おはよう』

 

 

 

 

 

「ふぅ……」

 

クラウディアの艦長席でクロノは安心の吐息を吐く。

聖王のゆりかごが黄金に輝く巨大な二つの刃で切り裂かれていき爆発を引き起こす光景をモニターで見ていたので皆の安否も確認できてよかったと思う。

そこに別モニターが開き、

 

『クロノ! 状況はどうなったんだ!? ゆりかごが爆発したって聞いたけど!』

『シホ達はどうなったんだい!?』

 

相手はユーノとアルフだった。

……あぁ、直で見ていなかったのかとクロノは内心でひとりごちて、

 

「心配するな、二人とも。シホ含めゆりかごに侵入したメンバー、捕らわれのなのは達、実行犯の戦闘機人達は全員無事だ」

『そ、そうか……。じゃあフィアも無事なんだね。よかった……』

『よかった~……』

 

モニターの向こう側でユーノとアルフも安心したのか吐息を吐く。

だが、まだ安心しきれないというのが現状である。

 

「クロノ提督。地上より入電。

まず、レジアス中将が管理局に罪を認めて出頭したとの事。

次に、シュバインオーグ一尉が倒られたそうです。あまりの体と魔力の酷使に運ばれた聖王病院にて入院が決まったそうです。本人は今現在意識がなく危険な状態との事」

「わかった。報告ご苦労。さて、これよりクラウディア艦隊はこのまま第二種警戒体制へ移行し待機だ。当分は様子を見る」

「了解しました」

 

クルーにそう言い、クロノはまだ映し出されているモニターのユーノ達に目を向けて、

 

「さて、ユーノ。この通り僕はまだ現場待機の状態だ。お前達だけでも先にシホ達のもとに行ってやれ」

『わ、わかった!』

「それとなのはも検査入院らしいからさっさと告白してこい。当分会えないかもしれないからな」

『余計なお世話だよ! ま、まぁ行かせてもらうけどさ……』

「ああ。それと後ほど資料作成を手伝ってもらうからな」

『わかってるよ。じゃ!』

 

それでユーノとの通信は切れる。

それで背もたれに体を預け、今一度息を吐き、

 

「(……今回はどうにかなったが、これからが大変だぞ。みんな……)」

 

まだ機動六課の試験運用期間は終わっていない。

やるからには卒業のその時まで存分に成果を示さなければならない。

それに他にもなのはの体に埋め込まれたレリックの件や、最高評議会の今まで行ってきた所業の徹底調査、そして隻眼の魔術師……いや、ヴォルフ・イェーガー率いる戦闘集団にもなんらかの対策を練らなければいけない。

問題はまだまだ山積みである……。

しかし、

 

「(とりあえずはスカリエッティ関連は解決の目処は立った。機動六課設立の目的は一先ずは達成というところだな……。

これから出てくる問題は後手に回ざるを得ないが、その都度対処して行けばいい。どう転ぶか分からないが、管理局はそこまで脆くはないからな……)」

 

そこまでクロノは考えていた。

 

 

 

◆◇―――――――――◇◆

 

 

 

「シホちゃん! シホちゃん!」

「奏者よ、しっかりするのだ!」

「お姉様!」

 

担架で運ばれていくシホの横をなのは達が追従していく。

なのはの殺傷設定による過激な攻撃や落盤による負傷、エクスカリバー・ツヴィリングを使用するために使った三本のカートリッジによる肉体への過剰な負荷……様々な要因が重なりシホはかなり危険な状態に追い込まれていた。

ユニゾンしているアルトリアがユニゾン・アウトされないのがいい証拠である。

そのままシホは治療室へと入っていきランプが灯されて手術が開始された。

なのは達は治療室の前でシホの無事を祈った。

 

「……この気持ちは十年前を思い出させてくれますね」

「そうだね、フィアちゃん…」

 

十年前といえばシホが仮面の男……リーゼロッテに致命傷を食らって運び込まれた時のことを思い出される。

もう、あの時のようにシホには無茶をさせないようにと皆が思っていたのに、今回もまたこうして同じ状況になってしまっている。

なのは達に無力感が襲いかかる。

 

「……奏者からはしっかりと魔力は送られてきている。だからきっと大丈夫だ。奏者なら必ず帰ってくるだろう」

「そうだね。ネロさんがそう言うなら信じられるよ」

 

「なのは!」

 

と、そこにユーノとアルフが急いで駆けつけてきた。

その勢いのままなのはを抱きしめる。

 

「ッ!? ユーノ君!? どうしてここに……?」

「君が救出されたと聞いていても立ってもいられなかったんだ! それより、よかった……なのはが無事で……」

「うん……」

 

それでなのはもユーノからの温もりを感じて安心したのか安らぎの笑みをする。

 

「なのは……君に伝えたいことがあるんだ」

「ユーノ君……。うん、でも今はまだ待ってもらっていいかな?」

「わかってるよ。シホが目覚めたあとでなら、聞いてくれるかな……?」

「うん……。その時はちゃんと聞くね」

 

なのはとユーノがいい雰囲気になっているところに、

 

「ママーーーーー!!」

「なのはー!」

 

さらにヴィヴィオやフェイトもやってきてとてんやわんやな状況になってきた。

フォワード陣達もやってきたりして人が集まってくるたびに騒ぎが起こっているので最終的には看護婦さん達に『静かにしてください!』と注意を受けてしまったという始末である。

……現在シホが手術を受けているというのに結構肝が据わっている連中である。

 

 

 

……それからシホの手術は終わり、病室へと移動されたのだがいまだにシホとアルトリアはユニゾンしたままで金髪碧眼状態のままである。

目も覚めないために当分はみんなが交代でお見舞いに来ることになったのである。

 

 

 

◆◇―――――――――◇◆

 

 

 

……それから一週間が経過したが今だにシホは目覚めない。

ネロがずっと着いて面倒を見ているのだがなかなか目覚めないために、

 

「奏者よ……。いいかげん目覚めんか。そしていつものように余の名前を読んでくれ……」

 

ネロはシホの枕元に顔を寄せて腕組をしてシホの寝顔を覗き見る。

 

「奏者の寝顔も見ていて飽きないが、やはり元気に動いている方が眩しいのだぞ? 奏者はそれがわかっていない……」

 

ツンツンとシホの頬をつつきながらそう続ける。

そこに『コンコン』とドアを叩く音が聞こえてきて、

 

「誰だ? 入ってきて良いぞ」

「はい…」

「うん…」

 

それでドアが開くとそこには花束を抱えているランとレンの姿があった。

 

「おお。ランにレンであったか」

「はい、ネロさん。……それでシホさんはまだ同じ調子ですか?」

「うむ……。今だに目覚めん。思念通話も試みても会話は不可能な状態だ。だがそれでもしっかりと魔力が送られてきているから心配はしていないのだがな……」

「僕が成長した姿を見てもらいたいのに、残念です……」

「そうであるな。レンはもうあまり弱気な姿は見せないようになったからな。そこは奏者が見たら驚くだろう」

「はい!」

「時にランよ。もう体はよいのか?」

「はい……。結構トレディに強烈な洗脳を受けていたんですけど、トレディが私の限界を見極めてくれていたのかそんなに後遺症はなかったんですよ」

「トレディには感謝だね、ラン姉さん」

「そうか。それで逮捕した戦闘機人達はどうしているのだ……? 見に行ったりしているのだろう?」

「はい。昨日に見に行きました。そこでは何名かは従わなかったためにスカリエッティとともにかなり厳重な施設に入れられたそうです。

あ、もちろんトレディは更正プログラムを受けていますのでまだわかりませんが近いうちには出てこられるという話です」

 

 

 

そう、今戦闘機人達はウーノ、ドゥーエ、トーレ、クアットロはスカリエッティとともに軌道拘置所でそれぞれ別々に入れられている。

そして残りのチンク、セイン、オットー、ノーヴェ、ディエチ、ウェンディ、ディード、トレディ、それにルーテシアとアギト、ゼストは海上隔離施設でギンガの指導のもとで更正プログラムを受けている。

ちなみにだがクアットロに記憶を消されたセッテは更正プログラムを受ける以前の問題なのでギンガの指導のもとに追加で一般常識を教え込まれている。

 

それとフェイトがスカリエッティに隻眼の魔術師……いや、ヴォルフ・イェーガーについて聞いているのだがあまり芳しくない。

その理由はというとスカリエッティ自身がいつ、どこでヴォルフ・イェーガーと出会ったのか、さらにはどんな情報を提供したのかすらも覚えていなかったのだ。

これはおそらく暗示をかけられていたのだろうという事だが、

 

『この私が…ッ! あのような男に訳も分からずに操られて協力していたとは…! なんたる屈辱だ!』

 

と、スカリエッティは嘆いていたそうだ。

よってヴォルフ・イェーガーの手がかりは無きに等しい。

 

 

 

―――閑話休題

 

 

 

「そうか。次に余は奏者に付きっきりで看病しているから知らないのだが、なのはの方はどうなったのだ? レリックを埋め込まれたからなにかしら体に変化が生じたのだろう?」

「はい。なんでもなのはさんの体に溶けたレリックはもう完全に摘出不可能なほどに融合してしまっていたらしくて、代わりに封印処置をされたそうです」

「レリックの機能だけを封印したからなのはさんの魔力光も虹色から桃色に戻ったので、なのはさんは一安心していました」

「なるほどのう……。封印ということは限定解除もできるということか」

「はい。聖王教会のカリムさんの手によって封印が解除できるように設定できたということです。だからいざという時には虹色の魔力を振るえるらしいです」

 

それは、なんとも。

なのははいざという時には決戦兵器になれる力を手にしたことになる。

スカリエッティは害を与えるどころかなのは的には得する形になったのは皮肉なのかなんなのかという現状である。

 

「わかった。今のところは現状把握した。ありがとう、ラン、レン」

『はい!』

「それじゃお花、替えてきますね」

 

ランがそう言って病室に飾られているお花を替えにいこうとしたので、

 

「ならば余も付き合おう」

「なら僕も」

 

それで三人でシホの眠る病室を後にする。

三人が出ていった後、シホの体が発光している事も露知らずに。

 

 

 

 

それから三人は部屋を戻ってくると驚きの表情を顔に貼り付ける。

だって、そこにはアルトリアと分離し、朱銀色の髪に戻っているシホが窓の外をアルトリアと一緒に見ていたからだ。

 

「そ、奏者……?」

「シホ、さん……」

「アルトリアさん……」

 

三人に名前を呼ばれてシホとアルトリアはゆっくりと三人の方へと振り向く。

そこには笑顔を作ったシホとアルトリアがいて、一言。

 

「―――おはよう。ネロ、ラン、レン……」

「―――おはようございます。ネロ、ラン、レン……」

 

二人にそう声をかけられてこれが現実なのだと自覚した三人は一斉に二人に飛びかかった。

 

「奏者ぁーーー!!」

「シホさん!」

「アルトリアさん!」

 

そしてシホは熱い歓迎を受けるのであった。

 

「……よしよし。ごめんなさいね、ずっと心配させちゃって」

「まったくだ。余がどれほど心配したことか!」

 

シホがネロの頭を撫でながらそう言って、ネロは感情の赴くままにシホにまるで犬のように擦り寄る。

ランとレンもそんなネロを羨ましそうに見ながらも涙を流していたのだった。

しばらく、病室から嬉し泣きが続いたが、一旦落ち着いたあとに、

 

「……しかし、やはりあのカートリッジはもう使えませんね、シホ」

「そうね。あの時は使う以外に選択肢がなかったから使用したけど、もう使う気にはなれないわね……」

 

そう、例のカートリッジがシホの体に与えたダメージが深刻なものだったために、すでにすずかがこのカートリッジを封印処置を施しているほどだからである。

よってもうあのカートリッジは使えないということだ。

 

「だけど、あれを使ったおかげで魔術回路にはなんにも影響がないことがわかったから、これからは通常のカートリッジなら使うようにしていこうかな……」

 

そんな事を言い出すシホ。

そう、今まで魔術回路になんらかの影響があるかもしれないかもと思っていたために使う機会がなかったのだ。

それを今回のことで使うきっかけができたことはある意味成長なのかもしれない。

 

 

 

それからシホの目覚めは機動六課にすぐに知らされてみんなが来たがっていたようだがやはり順番制のために悔しがっていた人が数名いたらしい。

他にもシホが目覚めた事によってもう気兼ねすることはなくなったためにユーノがなのはにプロポーズをして見事OKをもらったという。

やはりシホのおかげでみんなは元気になるのだろうという事が分かった瞬間である。

 

 

 

―――それから、

 

「……やっぱり、事件が解決したのはいい気分ね。まだ残っている事案があるとはいえ」

「そうだな、奏者よ」

「はい、シホ」

 

聖王病院の中庭の中を衰えた体力のために車椅子を使って移動しているシホ達。

 

「これからまた大変になると思うけど、また頑張りましょうね。アルトリア、ネロ」

「はい。お任せ下さい。私はシホの剣です。昔も今もその想いは変わりありません」

「その通りだ。余はどこまでも奏者についていくからな」

「……ありがとね、二人とも」

 

それでシホは感謝をするのであった。

 

 

 

◆◇―――――――――◇◆

 

 

 

……とある施設。

そこにはヴォルフ・イェーガーが玉座のような椅子に座っていた。

 

「……シホ・E・S・高町は健在か。やはり見込み通りだな。なぁ、そう思うだろう……?」

 

ヴォルフ・イェーガーはある培養液に入れられている人物にそう話しかける。

返事が返ってこないが、それでもヴォルフ・イェーガーは気にしない。

 

「ああ……。しかし、早く会いたいな」

 

誰かに会いたいと言い出すヴォルフ・イェーガー。

それを培養液に入れられている銀髪の少年は無言で聞き入る。

その少年の胸には七つの青い宝石が埋め込まれていた。

知っているものが見ればすぐにわかるだろうロストロギアである。

しかも心臓部には穴が開けられている跡があるではないか。

その少年は、さて……誰なのだろうか。

 

「まだだ。まだ時期ではない。だが必ず君に会うよ……。なぁ、“シルビア”…」

 

ヴォルフ・イェーガーはなにゆえシルビアの名を呟いたのか……?

まだまだ謎だらけである。

 

 

 




なのはの現状や戦闘機人の暮らし。シホの入院生活などは次回から外伝で書いていきます。

とりあえず最後に伏線を残しておきました。



それではご意見・ご感想・誤字脱字報告をお待ちしております。

では。
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