【完結】剣製の魔法少女戦記   作:炎の剣製

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更新します。

今回は志貴達との模擬戦です。

ではどうぞー。


第百七十八話  『とある模擬戦と苦しむ声』

 

 

 

シホがスバルとティアナの話を聞いてから数日、フォワード達はまた教導の中にいた。

その早朝訓練の時間。

 

「おし! いくぞ、お前等!」

『はい!』

 

ヴィータが声を張り上げてシュワリベフリーゲンを実戦用に放ちながら訓練をする。

それをフォワード達は避けるか防ぐなど色々な方法を取っていた。

そしてそれをなのはとシホがモニターで観察している方法をとっている。

いつもの教導の最後にはアルトリア・ネロ・シホの三人か、なのはとオリヴィエの二人、時間があった時はフェイト・ランサーペアによる本格的な連携戦が待っている。

そのために最後まで気が抜けないフォワード達である。

しかし、今日は一味違っていた。

教導の訓練の最後に行う連携戦がアルクェイドと志貴によるペアが待ち構えていた。

 

「え……今日はアルクェイドさんに志貴さんですか?」

「うん、そーよ。これははやての方針でねー。詳しくは聞いていないんだけどね」

 

そう言ってアルクェイドが「あはは」と呑気に笑う。

その一方で志貴はというと、

 

「アルクェイドはともかくとして「あ、志貴ひどーい!」うるさいぞ!………とにかく今日は俺の直死の魔眼の訓練にも付き合ってもらうぞ」

 

アルクェイドを適当にあしらいながら志貴がそう言葉を発する。

志貴は魔眼殺しの眼鏡を外してその目を青く光らせる。

同時に志貴の視界にはツギハギだらけの線が出現する。

それは当然、スバル達にも見えていて死線が丸見えである。

志貴はもう英霊ともあり慣れたものだが、しかしこれを長時間施行するにはやはり神経をすり減らすために中々できないことだが、今回は少し我慢しながらも模擬戦に参加することにしたのだった。

志貴は七ツ夜を構えながら指定位置にアルクェイドとつく。

それにスバル達は不安そうにしながらもそれぞれ構えをする。

特にリオンの能力(仮ではあるが……)をシホによって知らされてからすぐにこの模擬戦というのはなにかあるとスバルとティアナはすぐに思い至った。

だが、もう始まろうとしている模擬戦は止める事はできない。

 

『それじゃ、一分後に始めるねー!』

 

そこでなのはの通信が聞こえてきたために、ティアナ達は一分間の間に作戦会議に入る事にする。

 

「いい? アルクェイドさんの怪力は言わずもがな強力よ。でも、それは避けきればなんとかなる、と思う……!」

「……ティアさん。そこはできれば言い切って欲しかったです」

 

エリオが少し弱腰でそう呟く。

それはティアナも分かっているために「ごめんね……」と前置きの言葉を言って、

 

「でも、アルクェイドさんの攻撃は一撃でも当たったらそこでダウンだと思いなさい!」

「は、はい……! フリード、最初から本気で行こう!」

「キュクー!」

 

それでキャロが竜魂召喚をしてフリードが本来の巨大な姿へと早変わりする。

 

「エリオ君!」

「うん!」

 

それでエリオがフリードに乗り込みその手綱を握る。

 

「エリオ君! 前衛を任せたいけど今回はフリードと一緒に援護に回ってもらっていいかな!?」

「任せてよ、キャロ!」

 

それでエリオとフリードは飛翔して空に舞い上がる。

 

「うん……。前衛のエリオを欠くのは少し痛いけど、そこはセイバーズのランとレン、そしてあたし達の攻撃の要であるスバルに任せるわ! あたしは背後で援護を、キャロは全員分のブーストを!」

「任せてよ、ティア!」

「はい! アルクェイドさんの攻撃は僕が防ぎ切ります!」

「切り込みは私に任せてください!」

「わかりました! 頑張ります!」

 

それで四人は元気よく声を上げる。

それでティアナは「後は……」と残りの命令を口に出す。

 

「後は、そうね。志貴さんのあの変幻自在な動きにも厄介だけど、一番注意するのは直死の魔眼よ! あれはあたしのフェイク・シルエットを完全に無効化できる力を持っているわ!」

 

そう、志貴の視界には生きているモノには必ず死の線と点が写って見えるはずだが、フェイク・シルエットによる幻術は死の線が映りにくい……。

多少は映るだろうがあきらかに人のそれと比べれば薄いものだろう。

それで志貴はそれを戦力としてみず、ただの幻影と判断できるために無視できるのだろう。……それでも志貴は油断せずに切り裂くとは思うが。

そのために志貴の直死の魔眼には幻術は通用しないということになる。

これは事実上ティアナの得意技を初手から封じられているといっても過言ではない事態だ。

アルクェイドは多少誤魔化せる事はできるだろう……。

しかし、志貴には通用しないのだからアルクェイドと今回は組んでいるということもありうまいように切り伏せられるだろう。

ただ、それ以前に志貴の実力は聖杯大戦で証明されたように本気を出してもアルクェイド以下なのだから、パワーバランスははっきり言ってあきらかにアルクェイドはパラメーターがカンストしていると言ってもいい。

これでは志貴とアルクェイドにとってはフォワードのみんなが一斉にかかっても赤子の手をひねる程度の気分で撃墜されるのは目に見えている事実である。

しかし、あくまで模擬戦。されど模擬戦とも言われたらそれでお仕舞いだが、一撃……そう、一撃だけでも二人に与えることができればそれで模擬戦は終了する。

その一撃を六人で導き出すのだ。

 

『それじゃ、始め!』

 

そこでなのはの始めのコールがかかった。

 

「いくわよ、みんな!」

『おうッ!(はいッ!)』

 

それでまずキャロが、

 

「ブーストアップ×5!」

 

全員の体にブーストをかける。

それによって打撃力・防御力をアップさせた。

続いて、

 

「アクセラレーション×5!」

 

次に使用したのは移動系魔法の効果を上げる魔法。

それによってまずスバルがいの一番にアルクェイドへとウィングロードを展開して突貫していく。

 

「うおりゃああああーーーッ!!」

「そい♪」

「うわっ!?」

 

アルクェイドの指先一弾きだけでスバルのリボルバーナックルの拳は逸らされてしまった。

 

「ちょっ、指先だけでって、それって反則ッ!?」

 

しっかりとツッコミをしつつもウィングロードを旋回させて一回その場を離脱していく様はさすがである。

しかし、アルクェイドにはスバルの重たい拳も指先だけで反らせるほどの力を持つというのは、さすが公式チートなだけはある。

スバルは内心でプライドを少し傷つけられていた。

 

「うわぁ……さすがアルクェイドさん」

「―――……気をそらしている暇を与えると思うかい?」

「ッ!?」

 

スバルの移動する隣を追尾する志貴の姿があった。

さすが敏捷のランクがA+なだけはある。

 

「くっ!」

「スバルさん! 援護します! いくわよ、レン!」

「うん! ラン姉さん! アウル、ザンバーを!」

《わかりました! シールド展開!》

 

ランはバルムンクの刃に氷を宿らせる。

レンも同様にシールドザンバーを展開させて氷を纏わせる。

ここで二人の魔力変換資質である【氷結】が効果を発揮する。

そして二人は剣とシールドザンバーを構えて、

 

「「斬氷閃!」」

 

二人は氷の刃の斬撃を放ち、それは志貴に殺到する。

 

「……やられると思うか?」

 

高速で志貴はナイフを振るい斬氷閃の刃を二本とも切り裂いてしまった。

 

「そう簡単にいくと思ったら………、ッ!?」

 

斬氷閃の影に隠れる形でティアナのクロスファイアシュートが隠れて志貴に迫ってきていた。

 

「なるほど……考えたね。しかし」

 

さらなるスピードで志貴はなんなく切り裂く。

そしてまず迫ってきていたランとレンの二人に掬い上げからの蹴りを見舞った。

それをレンがアウルヴァンディルのシールドで防ぎ、ガンッ!という鈍い音を鳴らせる。

レンが防御したことを好機と見たのかランがレンの背中を蹴り空へと飛び上がり、セカンドモードの大剣へと変化させて志貴へと上段から振り下ろす。

だがそれは志貴の前に突如として移動してきたアルクェイドの腕で防がれる。

 

「私の上段からの振り下ろしを!?」

「せーのッ!」

 

アルクェイドはランの大剣を掴みながらラン自身も持ち上げてレンに投げ飛ばした。

その腕力は相当のものである。

 

「え? うわっ!」

 

レンはランをそのままぶつけられる事になり受身も取れずに後ろへと尻餅をつく。

 

「ら、ラン姉さん、バルムンクが重い……!?」

「ご、ごめん! すぐどくから!」

 

バルムンクはセカンドモードは大剣なために重さはファーストモードの2.5倍にまで上がっているのでそれがそのままランごと乗れば相当の重荷になる。

それで二人してあたふたしているところに、

 

「いっくよー!」

 

腕を何度も回してアルクェイドが拳を振りおろそうとしている。

これはやばい!? と二人は思ったが、そこに、

 

「フリード! ブラストフレア!」

「キュクー!」

 

キャロの声にではなくエリオの声に反応して攻撃をしているのは気にしてはいけないが、フリードが口から火球をいくつも放ち、アルクェイドに浴びせる。

だがそれも腕の一振りで軽く消されてしまった。

 

「やっぱり反則級ですね……」

 

そう言いながらも起き上がりながら直様に離脱してまた距離を開けて攻撃を放つランとレン。

ちなみにだが、当たるのと、弾くでは意味合いが違うので当たり判定ではない。

アルクェイドがランとレン、エリオと相対している間に、志貴がすでにティアナとキャロをその視界に捉えていた。

 

「させない!」

 

スバルがそこに拳を構えて志貴に迫ってくる。

志貴は迎撃をしようとする、が……突如として目の前にティアナの弾丸が迫ってくることに気づく。

しかし志貴の目にはすぐに幻術だと悟る。

スバルの拳と幻術の弾丸、どちらを迎撃をするかは考えるまでもなかった。

スバルの拳を捕らえて、柔道技のように投げ飛ばす。

それでスバルは地面に叩きつけられてしまって口から一気に溜まった空気を吐き出す。

 

「うぅ……」

 

頭をグワングワンと揺らしながらもスバルはなんとか立ち上がろうとするが、

 

「沈め……」

 

そこに志貴の手刀が入ってついにはスバルはそこでダウンしてしまった。

 

「これで一人……」

「スバル……ッ!」

 

ティアナが叫ぶが、そこに続けざまにアルクェイドの声が聞こえてくる。

 

「志貴ー! 3人とも倒しちゃったよー!」

 

そこには地面に転がっているエリオ、ラン、レン、そして小さい姿に戻って落ちているフリードの姿があったために前衛はこれで全滅。

それでティアナもキャロも悔しそうな表情になる。

 

「でも、ただやられるわけにはいかないのよ! キャロ、底力を見せるわよ!」

「はい! ティアさん! さらに倍のブーストアップ!」

 

それでティアナの能力が向上する。

 

「いくわよ! サードモード!」

 

それでティアナはブレイズモードを起動する。

 

「照準固定! ファントムブレイザー!!」

 

ティアナ渾身の狙撃砲が放たれる。

それは真っ直ぐに志貴へと向かっていく。

志貴からしてみれば避けようとすれば避けれるが、しかしその諦めない気持ちに敬意を買って切り裂こうとナイフを振ろうとする。

ナイフとファントムブレイザーが衝突する後一歩のところで、

 

「シフト! 拡散!!」

 

極太の狙撃砲がそこで幾重にも分散して志貴の体に命中していく。

 

「ぐぁっ!」

『そこまで!』

 

そこでなのはの模擬戦終了の言葉が聞こえてくる。

どうやらなんとか勝ちを拾えたわね、とティアナは大きい息を吐く。

 

「やれやれ……やられちゃったか」

「もう、志貴? しっかりとしてよねー?」

「す、すまん……アルクェイド。……それより、ティアナちゃん、少しいいかい?」

「あ、はい。なんでしょうか? 志貴さん」

 

突然志貴に話しかけられたので姿勢を正して視線を合わせる。

 

「これで少しは直死の魔眼対策はできたかな……?」

「あ、はい! なんとなくですができました!」

「そうか。よかった……俺は教えるのは苦手だからね」

「いえ、いい戦いを学ばせてもらいました」

「はい!」

 

そこにキャロも真剣な表情で頷いていた。

 

「それなら、いい……必ず友達を救ってやるんだぞ!」

「はい! 必ず!」

 

 

それでフォワード陣 VS 志貴・アルクェイドの模擬戦は辛勝だが勝つことはできた。

しかし、これで改めて実力の差を思い知らされたティアナ達なのであった。

 

 

 

◆◇―――――――――◇◆

 

 

 

………とある管理外世界の薄暗い廃墟の中、そこではリオンが廃墟の中で横たわりながらも苦しみに必死に耐えていた。

 

「ぐぅっ! うぁぁぁぁ……!」

 

何処からかギリギリと何かを締め付ける音が響き、片手で強く胸を抑え、悶え苦しむリオン。

そこに空中に浮かび上がる画面からとある人物の顔が映し出されていた。

その人物は男性であって冷酷に、そして嘲笑うかのような声で、

 

『リオン……一体いつまで遊んでるつもりだい? 俺様はもうすぐ“あの方”に報告せねばならんのに何故あの小娘共相手に戸惑った?』

「そ、それは……。す…すみません……―――さん……次こそは……必ず……」

 

そう答えたリオンに対して男はニヤリと下衆な笑みを浮かべながらある命令を下した。

 

『そうか…それじゃあお前には………………』

 

それでリオンは男性からされた命令に目を見開いた。

それは『スバルとティアナの二人を殺してこい』という命令だったからだ。

リオンは驚愕に満ちた顔で「そんな……」と悲壮に呟く。

男はそんなリオンを無視して続ける。

 

『場所は後でコチラから連絡する。楽しみにしていろ』

「で、でも……!」

『ほう……? 俺様に口答えでもしようというのかい?』

「い、いえ……そんな事は!」

『ふむ、ここでお前にバツを与えておこう』

 

画面越しで男はなにかのコアをギュッと握る。

途端、リオンの胸の痛みがさらに悪化しだして、またしても苦しみ出す。

 

『これでいう事を聞く気になったかい?』

「うあぁあああッ!」

 

しかしリオンはなんとか聞こえているだけであんまり余裕はなかった。

そして男は釘を刺す様にこう続けた。

 

『嫌ならかまわないんだぞ? あの小娘共をコチラに来るよう、手続きして実験動物として扱うだけだ』

「ッ!!」

 

リオンは苦虫を噛み締める様な表情で「わかりました…」と呟いた。

 

『それでいいんだよぉ。それじゃいい知らせをまってるぞ、リオン』

 

それで通信は切れる。

そして辺りが静寂に包まれるとリオンが何かを押し殺し、堪えている声が響いた。

 

「うっ……ひっく……ティア、スバル……ひっく……助けて……」

 

リオンの鳴き声と助けの言葉だけが廃墟の中で虚しく木霊するのであった。

 

 

 




模擬戦で改めてアルクェイドと志貴の力、そして力量の差を思い知った話でした。

リオンを操っている黒幕は誰でしょうかね?

外道なのは確かですがね。




それではご意見・ご感想・誤字脱字報告をお待ちしております。

では。
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