【完結】剣製の魔法少女戦記   作:炎の剣製

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更新します。

今回は間を入れて魔術事件対策課の出番を増やす話を作りました。

ではどうぞー。


第百七十九話  『魔術事件対策課への訪問』

 

 

 

 

Side シホ・E・S・高町

 

 

 

………あの事件からすでに一週間が経とうとしている。

それなのに未だ手がかりは無しと来ている……。

ここまで来るとスカリエッティ事件のように長丁場になりそうだと私達機動六課は思うようになってきていた。

仮りそめの日常が今日もまた過ぎようとしていた。

そんな中、私は魔術事件対策課へと向かっていた。

さすがに私達だけで調査するには限界を感じてきていたのかもしれないからだ。

例によって他の部署も様々な場所で最高評議会の息のかかったメンバーの護衛に当たっているが、いつ機械兵士やリオンさんに襲われるかもしれないかもという恐怖に苛まれているという。

それで私達機動六課も、次は誰かの護衛につかされるか分からないから厄介だ。

護衛する人物が善良な人ならまだいい……だけど、中にはこの事件に期を見て逃げ出そうとする輩もいるそうで護衛と脱走の二重の危険性を孕んでいるという少し厄介な事態にまで及んできている。

それでもし脱走して、そしたらそれが責任問題に発展し、さらに果てには脱走後に殺されたという事になったら管理局の面子を潰す事にまでなってしまう。

 

「(はぁ……厄介極まりないわね)」

 

魔術事件対策課へと続いている道を歩きながらも私は色々な思考を巡らせていた。

この際、強引にでも私一人でのフリーでの捜査を―――……。

そんな思考が頭を過ぎる、だがすぐに頭に機動六課のメンバーみんなの顔が浮かんでくる。

そう、もう昔のように無闇矢鱈に動き回って敵を余計に増やす行為をして、その代償として私の帰りを待っているフィアとすずかの二人やみんなが悲しみ涙する光景など見たくはない。

昔のようにすべてを救う正義の味方の時の私だったのなら遠慮など後回しにしていたのだろうけど、あいにくともう私の正義は“大切な者達を護れる正義の味方”に変わっているのだ。

だから命令違反をしてまで無理や無茶をしたらみんなに……特にイリヤに叱られてしまう。

そんな事を思っていたらちょうど思考が読まれていたのだろう、脳内にイリヤの思念通話が伝わってくる。

 

《そうよ、シホ。私はいざとなったら気絶した時のシホの体を操作して守ってやれることはなんとかできるわ。だけど、もうシホの命はシホ一人だけのものじゃないんだから……。

アーチャーみたいに自らが嫌われ役になったり、キリツグのように十のうちの一を切り捨てるなんて考えをしたら………今度こそ、私はなんとしてでもシホを、コロスワ……》

 

あはは……。まいったわね。

イリヤにはすべてお見通しのようである。

伊達に私の中にいるわけではないということだ。

 

《うん、わかっているよ、イリヤ。私はもう道は踏み外さないわ》

《うん。わかってる》

 

なので思念通話で感謝の返事を返しておいた。

だけど、イリヤはこうして少しでも私が理想をまた変えようとする考えを起こした時には必ず私のストッパーとなって私の正義を思い出させてくれる。

感謝はしているし、面倒などと思う事もない。

いつでもイリヤと一緒にいれる事が私にとってはとても嬉しい事なんだから、今のこの温かい日常を過ごしていくのも悪いものじゃないと実感させてくれる。

と、そこに霊体化していたネロからも思念通話が伝わってくる。

 

《そうだぞ、奏者。余は奏者のその歪ながらも真っ直ぐと進む綺麗な魂と心を心の底から気に入っている。

だから奏者はこれからも変わらずにいてくれ。余を……幻滅だけはさせないでくれよ?》

 

ネロの少し不安な気持ちが込められている言葉が聞こえてきて、

 

《……………ええ。ネロ。それにイリヤ。そしてここには今日はフォワード達の教導でいないアルトリアにもだけど、不安や心配はかけないように努力はするわ》

《うん! それでこそシホ。私の可愛い妹ね!》

《だからこそ奏者の事が余は好きなのだ!》

 

自惚れているわけじゃないけど、私は愛されているんだなぁ、としみじみと思う。

なんで昔はこの幸せな気持ちの事にも気づけないほどに駆け抜けてしまったのだろうと思う……しかし、それでも後悔はしない。

それがリンや大師父、橙子さんが助けてくれなければ本来辿るべきはずだった私の進む道の一つだったのだから。

この今の道も決して後悔はしないだろう。

私は決して後悔ということはしてはいけないのだから。

過去を清算してやり直すなどという愚行な行為は絶対にしないと誓う。

 

 

 

………………

 

…………

 

……

 

 

 

………そうこう考えているうちに魔術事件対策課の隊舎へと到着していた。

それで隊舎の中へと入ろうと受け付けに向かうとちょうどそこには少しクセっ毛があって赤い髪が目立つカレンさんがいたので挨拶をする。

 

「こんにちは、カレンさん。久しぶりですね」

「あ、シホさん。こんにちは、久しぶりね。今日シホさんが魔術事件対策課に来た用件ってやっぱり今話題の、()()………?」

 

カレンさんはそれで少し苦い表情になる。

もうなんとなくだが察しているのだろう。

私も別に隠す必要もないし、

 

「はい。最高評議会のメンバー達が次々と殺されていっている事件について部隊長のミゼさんに相談を持ちかけに来たんです」

「やっぱりね。ま、私もそろそろ来る頃じゃないかなーとは思っていたのよ。それじゃ元々シホさんはここの部署だけどシホさんを知らない人もいると思うからミゼ部隊長のところまでは私が案内するわ」

「お願いします」

 

それで受け付けも済ませた後に私はミゼさんのいる部隊長室までカレンさんに連れていってもらっているところである。

だがその道中、通り過ぎる道すがらではよく女性局員の黄色い悲鳴が何度も聞こえてきていてなんだろう、と思っているとカレンさんが苦笑気味に、

 

「シホさんも人気者よねー」

「えっ? 今のって私に対してだったんですか?」

「あれ? 気づいてなかったの? シホさんはスカリエッティ事件であれだけ活躍したんだからこうなるのはある程度は予想はついていたと思ったんだけどね」

 

カレンさんがそう言ってくれる。

……た、確かにそうだけど、やっぱり改めて騒がれると少し気後れしてしまうのは致し方ない。

頬が赤くなっていないか心配である。

 

「ま、行く先々で言われると思うから慣れることね」

「はい………」

 

そんなこんなで私は部隊長室までカレンさんに案内してもらった。

到着してカレンさんは用があると言ってその場を後にしていった。

 

「さて……」

 

それから私は深呼吸をして扉をノックする。

『コンコンッ』と扉を叩くと中から『はーい』という返事が返ってきた。

それで私は扉を開く。

そこではミゼさんがモニターに目を向けて色々と作業をしていた。

そこにはかつて周りからの劣等感から来る後ろ向きな姿など微塵もなく、まさに部隊長と言わんばかりの立派な姿があった。

その姿を見て私は内心では(……あの戦いから十年、成長しましたね)と思う。

デスクワークでキーを叩く音がしばらく続き、キリの良いところにまで来たのだろう……開いていたモニターを閉じて私に目を向けてきて、

 

「待たせてしまってごめんなさいね、シホさん。ちょっと外せない案件があってそちらを優先してしまったわ」

「いえ。構いません。それより……あれから成長しましたね、ミゼさん」

「えっ………急に改まってどうしたの、シホさん……?」

「いえ、ただ……ディルムッド・オディナの言葉を真っ直ぐに受け止めて成長したミゼさんの姿を見たら、なんと言いますか立派になられたんだなと……」

「まぁ……」

 

それでミゼさんも嬉しかったのか頬を赤く染めて少し嬉しそうになる。

そして少し黙ってしばらくして、

 

「……ありがとう、シホさん。どれもこれも全部シホさんが手伝ってくれたおかげなのよ?

魔術に才能があってもやっぱり能力としては低い私を見捨てないでここまで育てて部隊長の座にまで上り詰めさせてくれたのは、シホさんの教えがあったからよ」

「そうですか。よかったです」

 

それで私とミゼさんは少ししみじみとしながらもお互いに笑みを浮かべる。

昔は聖杯大戦で敵対関係ではあったけれど、こうしてみれば関係も変わってくるものね。

十年前の私達からは考えられないことね。

お互いに、だけど。

そう思っているとミゼさんの前にモニターが開く。

モニターの先には少し幼そうな女の子の姿が映っていた。

 

『ミゼ部隊長さん! お飲み物をお持ちしたのです!』

「あら。ありがとうね、ロッテ。入っていいわよ」

『はいなのです!』

 

扉が開き、そこには飲み物が入ったカップとそれが置かれているお椀を持っている子がいた。

外見は銀髪のロングで蒼い瞳の片目にモノクルをかけている身長はキャロと同じくらいの約135cmくらいの女の子である。

その子には私も見覚えがあり、機動六課に配属される前までは私が魔術を鍛えてあげていた子の一人である、今は確か十三歳の名前を『ロッテ・ヒナ』。

それでイリヤを思わせるその外見も相まって可愛らしいので、ついロッテの頭に手を乗せて撫でる私がいる、と。

 

「久しぶりね、ロッテ」

「ひゃあっ! くすぐったいのです、シホさん! でも、お久しぶりなのです!」

 

それで誰もが見惚れるような満面の笑顔を私に向けてくるので余計頭の撫でを強くしてしまう程である。

この子は魔術事件対策課では所謂マスコットキャラとしてのキャラをその手にしているのである。

その低い身長も相まってやっぱり可愛いのよね。

 

「こほんっ!」

 

そこで今まで黙っていたミゼさんの咳払いが聞こえてくる。

あ、いけないわね。用件を忘れていたわ。

それでロッテの頭から手を離す。

だが……、

 

「あっ……」

 

しかし、そこでどこか寂しそうな表情をするのは狙ってやっているのかは定かではない。

もし狙ってやっているのだとしたらかなりの策士の才能があるだろう。

 

「ごめんね、ロッテ。また後でね」

「はいなのです。あ、お茶を淹れてきましたので飲んでください。自信作なのです」

 

それで私の席とミゼさんの席の前のテーブルにお茶を置くロッテ。

その作法はさすが慣れているようで不備はない。

お茶淹れが板についてきているわね。

それでロッテはお辞儀をして「それでは失礼しました」と言って部屋を出ていった。

 

「ロッテ。いい子に育ってきていますね」

「ええ。彼女は最初の頃は記憶喪失で情緒不安定だったんだけど、今では義理の姉のスノウのおかげもあって少し大人しいけどそれでも優しい子になっているわ」

「そうですか」

 

ちなみにスノウという人物は本名『スノウ・ヒナ』。

ロッテと同じく魔術事件対策課に勤めている階級は二等陸尉。

ロッテを少し成長させたような外見で十七歳だというのに身長が低いことがコンプレックスになっている。

でもそれを気にせず義理の妹のロッテを面倒見ているいい子である。

 

 

閑話休題

 

 

それからロッテの淹れてくれたお茶を一口味わって静かな空間をミゼさんとともに味合う。

そしてしばらくしてミゼさんがカップを置き、「さて……」と前置きのセリフを言って、

 

「それじゃ真面目な話し合いといきましょうか。シホさん」

「はい。それで本日のご用件ですが、本当なら機動六課部隊長のはやてが来るのが普通なのですが、今の事件で手が塞がっていまして代わりに私が本日来させてもらいました」

「そうなの。はやてちゃんも大変よね。初の部隊長の座だから。最初の頃、私も大変だった記憶があるわ」

 

そう言って懐かしむミゼさん。

しかしすぐに姿勢を正して、私の方に視線を戻してくる。

視線は逸らさずに挑む。

これ、交渉事の鉄則である。

そうすれば相手の感情や考えていることがなんとなくわかってくるからだ。

なので私も回りくどいことはせずに単刀直入で本題に切り込もうと思う。

 

「まず、私達機動六課が今受け持ちしている案件は最高評議会のメンバーを狩る者達の追跡任務となっています」

「ふむ……」

 

それで今わかるあたりのデータが入ったメモリーをミゼさんに渡して、

 

「後ほど目を通しておいてください。これには今判明している事が入っています」

「これを私に渡すということは、つまりそういうことなのね?」

 

さすがミゼさん。するどいわね。

隠す必要もないので「はい」と答えた後に、

 

「私達機動六課と魔術事件対策課の合同捜査を行いたいと考えています。そのメモリーの中に理由は書いてありますが、どうにもこの事件の影に隻眼の魔術師……ヴォルフ・イェーガーの姿がありそうだと私達は予測しているんです」

「隻眼の魔術師が……。だとしたら私達も動くべきね。魔術による事件が起きるかもしれないという予測だけで私達が動くのに何も問題はないわ」

「ありがとうございます。できる限り情報が入り次第ミゼさんにもデータを送りますので、魔術事件対策課の魔術師達にもすぐに出動できるように手配しておいてください」

「わかったわ。アリサに指示を出しておくわ」

「お願いします」

 

交渉成立となり、「これから短い期間だけどよろしく」という意思表示の握手を交わした後は、今の魔術事件対策課の近況などを聞いている時だった。

誰かからの通信が入ってきたのは……。

私は一回ミゼさんに視線を送り、ミゼさんも『出ても大丈夫よ』とウィンクをしてくれたので気兼ねなく通信に出ることにした。

相手はフェイトだった。

なにか情報が入ったのだろうか……?

 

「どうしたの、フェイト……?」

『あ、シホ。うん、ちょっと情報が出てきてね。すぐに機動六課に戻ってきてもらってもいいかな?』

「ええ。大丈夫よ。………でも、今この通信では話せないことなの?」

『……うん。ちょっと特殊な案件なんだ。機動六課の身内に関しての事もあるし』

 

それで私はなんとなく予想できた。

おそらくリオンさん絡みでスバル、ティアナ関係だろう、と。

 

「ええ、わかったわ。少し帰りが遅くなるけど帰らせてもらうわ」

『早く帰ってきてね』

「ええ」

 

それでフェイトとの通信を切り、ミゼさんの方へと向き直り、

 

「という訳ですみませんがすぐに帰らせていただきます。ミゼさん」

「わかったわ。なにか事情がありそうだしすぐに帰った方がいいと思うから。私に話してもいい情報だったら教えてね」

「はい、それでは失礼しました」

 

それで私は部隊長室を後にして魔術事件対策課の隊舎から出ると急いで機動六課への帰路の道を進むのであった。

 

 

 




今回、数人のオリキャラの名前が出ましたが今回の事件には関係ありませんのでよろしくお願いします。

そして魔術事件対策課との協力を取り付けて、最後になにやら新たな情報が……。これが吉と出るか凶と出るか。




それではご意見・ご感想・誤字脱字報告をお待ちしております。

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一応、アカウントは『@illusion_ex』でニックネームは『フェイ@炎の剣製』です。


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