【完結】剣製の魔法少女戦記   作:炎の剣製

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更新します。

前回からの翌日の話です。

ではどうぞー。


第百八十四話  『事情聴取と過去』

 

 

 

 

 

 

―――………あなたは■■■■■。

 

 

 

―――そんな!?

 

 

 

―――私が、私達がなんとかするから………。

 

 

 

―――でも!

 

 

 

―――もう、時間がないわ。ごめんね………。

 

 

 

クル、くる、繰ると………。

悪夢は、何度も繰り返される………。

夢が繰り返される限り、彼女のカルマは無くならない。

 

 

 

◆◇―――――――――◇◆

 

 

 

………リオンをモリアの手から助け出して翌日、医務室でリオンは眠りについていた。

目を覚まさないリオンの横では徹夜をしたのであろうスバルとティアナの二人が目に隈を作りながらもリオンの手を握ってあげていた。

まだ先日の傷が治りきっていないというのに、よくやるわね………。と医務室を預かるシャマルは少し呆れながらも、しかし目をつむってあげていた。

スバルが少し暗い感じに表情を俯かせながらも、

 

「リオン、魘されているね」

「そうね。訓練校の時にはこんな姿を見たことがないから、まだまだあたし達にはこんな姿を見せられなかったって事かしらね」

 

そう、リオンは先ほどから何度も悪夢を見ているのだろうか、汗を掻き魘されている。

時折、「みんな………」や「やだ、姉さん………」、「ううっ…や、やだ…みんな……死んじゃヤダ……っ!」と物騒なことまで呟いている。

みんなというのは誰なのだろうか、姉さんというのは誰のことなのだろうか、生き死にに関係する過去があるのか、という疑問が湧く。

が、それは話してくれるかはわからないがリオンが目を覚ました後にでも聞けることだろうと今は気にしないことにしたスバルとティアナの二人。

聞き耳を立てているシャマルも気になっているようで、

 

「スバル。リオンちゃんからなにかその『みんな』や『姉さん』という単語に関係していそうな話題は聞いたことはない………?」

「いえ………聞いたことはありません。なんで、話してくれなかったんだろう?」

 

そう言ってスバルはさらに涙目で俯く。

そんなスバルの頭をティアナは撫でながらも、

 

「きっと、あたし達に話せないことだったのよ。その理由は、スバルもわかるわよね………?」

 

ティアナのその問いにスバルは静かに「うん」と頷き、

 

「きっと、リオンの出生に関しての事だと思う。あたしも戦闘機人の件はティア達に話すのは少し躊躇した経験があるからわかる………」

 

スバルは己の過去もリオンに重ねながらもそう言葉を続ける。

そんな時だった。

 

「うっ………みんな、姉さん! ダメ! 私は放っておいていいから、逃げて………ッ!!」

 

と、一際大きな声を上げて最後に、

 

「姉さんッ!!」

 

そう言うところで上半身を起き上がらせてリオンは虚空に手を伸ばしながら目を覚ました。

そんなリオンの姿に三人は驚きながらも、まずスバルはリオンの伸ばした手を取ってあげて、

 

「大丈夫だよ、リオン。ここにはリオンを害する者はいないから」

 

安心させる笑みを浮かべた。

ティアナもリオンの肩に手を置き、

 

「だから安心しなさい……」

「スバル………? ティア………?」

 

リオンは起きたばかりでまだ寝ぼけ眼なのか何度も目をパチクリさせている。

そして、

 

「ッ! 眼鏡はどこ!」

 

急にリオンは目を閉じて眼鏡を探す行動を取り始める。

そんな態度にティアナは安心した表情で、「はい」とリオンに眼鏡を渡す。

リオンは急いで眼鏡をかけると安心した表情になり、落ち着いたのか改めて今の現状を理解して把握すると、

 

 

「あっ!? スバルッ! ティアッ! 二人とも大丈夫!? モリアさんに何も酷い事されてない!?」

「平気だよ、リオン………シホさん達が助けてくれたから」

「ええ」

 

二人がそう答えるとリオンは涙をボロボロと流し、

 

「よかった……スバル、ティア……二人に何かあったら私、わたし………ッ!」

 

両手で顔を覆い、安堵の声を上げる。

そんなリオンを安心させるように何度も安らぎの言葉をかけるスバルとティアナ。

そこには訓練校時代の頃の仲良し三人組の姿があった………。

 

 

 

………それからしばらくしてようやく落ち着いてきたのか、

 

「それよりリオン。貴女、まだ眼鏡をかける時に目をつぶっているのね。目を開けながらできないの?」

「そ、それは、事情があってね………」

「ふーん? まぁ、いいけどね」

 

ティアナはそれで流すことにしたのだった。

それからリオンは二人に向き直って改めて言葉を発する。

 

「二人とも……ごめんなさい。私の勝手な我儘で二人に迷惑をかけるばかりか、二人を傷つけた。謝って許される事じゃないのは解ってるけど、それでも…うっ…ひっく……ごめんなさい」

 

それでまた涙を流し始めるリオン。

そんなリオンにスバルとティアナの二人は、

 

「安心して」

「うん。気にしていないから!」

 

あっけらかんとそう答えた。

そんな二人にどう対応したらいいか迷っているリオンを置いて、そこに医務室の扉が開く音がする。

そこにははやてを筆頭にシホ、なのは、フェイト、ヴィータ、シグナムの隊長、副隊長陣。

それにアルトリア、ネロ、オリヴィエ、ランサー、志貴のサーヴァント陣。そして残りのフォワード四人のメンバーが医務室に入ってきた。

それに対してリオンは少し身構える。

それを察したのだろう、はやては安心の笑みを浮かべながら、

 

「安心し。リオンさんには危害とかは加えるつもりはないからな。気持ち楽にしてくれると助かるわ」

「は、はい………」

 

それでリオンも安心したのか肩の力を抜く。

それから少し静かな雰囲気に部屋が満たされる。

 

「うん。これでええな。さて、それじゃリオンさん。これから本題に入らせてもらうけど。ええな?」

「………はい」

「それじゃ突然で悪いんやけど、リオンさんの体を調べる時に気付いたんやけどね。

わたしやなのはちゃん、フェイトちゃん。それにシホちゃんのDNAがリオンさんの体から検出されたんや。それに他にも大勢の別々の遺伝子がな。改めて聞くで? アンタ………何モンや?」

「ッ!」

 

はやての鋭い眼差しに加え、言外に“嘘は許さない”という威圧感が込められていた。

リオンは涙を流しながら諦めたかのような儚い顔付きで話し出す。

 

「わかりました………お話しします」

 

それではやて達はリオンを会議室へと連れていき話を聞くことになった。

この会話内容が外に漏れないように常にシャーリーやすずかが見張っていてくれるという。ありがたいことである。

それで全員が席に着席してリオンがポツリポツリと話し始める。

 

「私の正体を話す前に言っておきます。私は、本当はこの世に生きちゃいけない存在なんです」

「生きちゃいけない存在………? それって、どういう事?」

 

スバルが困惑の表情でそう尋ねる。

他の周囲の六課のメンバーも困惑の表情を浮かべている。

命とは千差万別だが皆がそれぞれ思い思いに生きている。

それを自身で否定するリオンの胸中はいまだわからないことだらけだ。

だけど、これからそれを聞ける。

たとえそれがパンドラの箱の中身だとしても………。

 

 

「私は人としてではなく、生物兵器として作られた存在なんです。

モリアは私は知りませんが誰かに秘密裏に生物兵器の開発を考案しました。“エース級魔導師を大量生産し、戦力の増強をしよう”って……っ」

「そんな………!」

「それじゃ、もしかしてあなたも………?」

 

フェイトとエリオが少し表情を蒼白とさせながらそう聞く。

それにリオンは、「はい」と頷いて、

 

「その為にモリアはまず、あらゆるエース級魔導師やストライカー級の魔導師達の遺伝子を片っ端からかき集めました。

その中には当然、はやてさん、フェイトさん、なのはさん、シホさんの遺伝子データも含まれていたそうです」

「なるほどね」

 

そこでシホが声を上げる。

 

「なにかわかったん? シホちゃん」

「ええ。少しおかしいと思っていたのよ。私の魔力変換資質【風王】………これは現在確認されているのは私だけ。なのにリオンさんは普通に使っていた。これはつまり私の遺伝子が働いた結果ということになるわけよ」

「はい。シホさんの言う通りです。

モリアは“プロジェクトF”のデータや管理局で登録された当人の戦闘データを元に短期間で大量のクローンを産み出す方法をアイツは編み出した。

だけど産まれたクローン達は魔力ランクが低く、精々CかBが限界だった………」

 

リオンはそれを言い終わるとここからが本題だという感じで無意識のうちに拳を強く握りしめながら語る。

 

「だからモリアは最後の方法として……“あらゆるエース級魔導師の遺伝子を組み合わせて、最強の魔導師を産み出す”…つまり合成獣(キメラ)を創るという方針で研究し、産み出されたのが……この私なんです」

「胸糞悪い話だなぁ、おい?」

「全くですね。人の命を何だと思っているのでしょうか」

「全くですね」

「うむ。狂人、というやつだな。どこの世にもそんな輩はいるものだからな」

 

サーヴァント陣が本音を言う。

それは皆同じ気持ちのために無言で頷いていた。

 

「だけど私も魔力は低く、当時は体も弱かったから何もできなかった。

その都度モリアから虐待を受けて何が悪いのか分らなくて何時も泣いていた。

そしてある日アイツは私たち20人のクローンを一つの部屋に集めて、『最後の実験を行うからこれが終わったらお前らを解放してやる』と言ってまるで自由をあげるような言い方で私たちを連れていきました」

 

そこでまたリオンの瞳から涙が流れ出して、より一層拳の握る力が強まる。爪が皮膚に食い込んでいるのだろう。血が垂れている。

 

「でもそれは真っ赤なウソ。

その部屋は人間とは別に魔法生物の合成獣の研究で失敗した怪物たちの…エサ場でした。

20人いた私たちは1人、また1人と怪物たちに食べられて、最後に残ったのが私だけ。それでようやく分かった。

アイツは…アイツ等は初めから私たちを生かすつもりなんて無かった。

『解放』って意味は私たちクローンの世話から解放される、つまり処分ってことだった!

でもそれに気付いた瞬間には怪物の爪を受けて死を待つだけかと思っていたんだけどこの魔眼()を開眼したの」

 

そう言ってリオンは眼鏡を外し、一度閉じて再度開くと両目が怖いくらいに綺麗な蒼い眼に変わった。

それに志貴は内心で「やっぱりな………」と思っていた。

 

「やっぱり直死の魔眼だったか……」

「そういう名前なんですか?」

「ああ。俺も同じ眼を持っているからわかる」

「そうなんですか。ともかく、この魔眼()を開眼した瞬間に自然と理解できたの。

これはあらゆるモノを殺せる眼だって。

この眼には“線”と“点”が見えて、それに沿ってやれば例え素手でも確実に敵を殺せるって解ったの。

だからこの魔眼()で怪物たちを皆殺しにした。

あとはモリアを殺すだけだったんだけど、出血に加えて体を激しく動かしたからすぐ気を失って……気付いた時にはモリアにリンカーコアを抜かれてアイツの飼い犬をやらされた………」

 

リオンの悲痛な告白に全員が言葉を失っていた。

どうしたらそこまでひどい仕打ちができるのか………。

 

「モリア・モルドレッド………許せないな」

「ああ、そうだなシグナム。あたしのアイゼンで触れること自体が嫌なほどだぜ」

 

ヴィータとシグナムがモリアに対しての怒りを顕わにする。

それくらい怒りが込められているものであるのだ。リオンの告白は。

 

「ねぇ、フェイトちゃん」

「うん、なのは。言わなくてもわかるよ。モリアは必ず私達の手で捕まえよう……!」

「うん!」

 

なのはとフェイトも逮捕に熱意を燃やしていた。

他の面々も隠し切れない怒りで燃え上っていた。

ここに全員の意見が一致した。

モリアは必ず捕まえることを。

そしてリオンの語りは再開して、

 

「あとは魔導師としての基礎訓練と一般知識を叩き込まれて、任務としてあの訓練校で行かされてスバルとティアに出会った。

最初はただのターゲット程度しか見ていなかったけど………2人と過ごすうちに楽しく、うれしく思えてきたの…。

クローンの皆は兄妹って感じだったけど、兄妹は皆死んでから私にとって初めての友達はスバルとティアだけだった。

だからモリアへの報告の時は『誰もいない』って言えた。

例えコアを握られても、ひどい仕打ちを受けても“友達を守ってる”って実感できたから…耐えられた。

暗殺の命令を受ける時も“2人ともう一度会う”って約束を支えに耐えた」

 

六課のメンバーである者は驚愕の表情でリオンを見つめる。

またある者はこのような非人道的な方法を取ったモリアに対し怒りを覚えながら拳を強く握り締めながらリオンの言葉を聞くなど様々だったが、スバルとティアナは特に酷く、涙を流しながらリオンの話を聞き続けた。

そしてリオンは涙を流しながらスバルとティアナに話しかけた。

 

「ごめんね、今まで黙ってて、ごめんね。気持ち悪いよね? こんな…人間ですらない私なんて」

 

我慢の限界だったのかスバルとティアナは涙を流しながらリオンを抱きしめた。

 

「ティア? スバル?」

「この…バカリオン! どうしてそんな大事なことを私たちに相談してくれなかったの!?」

「ッ!!…ティ…ア…」

 

ティアナの言葉にリオンは目を見開く。

 

「リオン…ごめんね。そんなツライ目に…苦しい目にあってたのに気付けなくて…ごめんね」

「スバ…ル…」

 

スバルの言葉にまた涙腺から再び涙がなかれるリオン。

 

「リオン、覚えてる? あの時『私が危機に陥ったら助けてくれるかな』って………」

「うん。覚えてる」

「だったらもう、遅いかもしれないけど改めて言わせて。力になるよ、リオン」

「ど、どうして? わたしは人間じゃないし、人殺しなのにどうして私に構うの?」

 

リオンはこんな私にまだ構ってくれる二人に対して少し信じられなかった。

だが、スバルとティアナの二人は構わずに言い放った。

 

「そんなの」

「決まってるじゃない、バカリオン」

 

二人は今できるだけの笑みをリオンに向ける。

そして、

 

「「友達だから(だ)よ!!」」

「ッ!………ふっ、グッ…ご、ごめんなさい。

ティア、スバル、ごめんなさいっ…ごめんなさいっ……ふっ、ぐすっ…ぅあああああああああああああぁぁぁぁぁん!!

ごめんなさい! ごめんなさい! うあああああああああああああああああああああん!!!」

 

リオンはダムが決壊したかのように泣き続けた。今まで溜め込んでいたモノを涙で洗い流す様に………。

聞いていた周りのメンバーは三人に深い友情の絆を感じて、改めて助けられてよかったと思うのであった。

 

 

 




スバルとティアナの優しさにリオンの心は溶かされた。

という話でした。

次回はモリアについて触れていこうと思います。



それではご意見・ご感想・誤字脱字報告をお待ちしております。

では。
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