【完結】剣製の魔法少女戦記   作:炎の剣製

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更新します。

今回はスターズです。

どうぞー。


第百九十一話  『スターズ隊の戦い、驚愕するティアナ』

 

 

 

オリヴィエ、スバル、ティアナ、ヴァイス率いるなのはのスターズ隊はある施設の守りについていた。

この施設には数人の最高評議会の息のかかった者たちが入れられている場所だ。

そんなこともあって厳重に見張りがされていた。

なのは達と他の部隊の人も含めて五十人くらいはいるだろうか………?

そんな中を総合指揮することになったなのはがみんなに向かって挨拶をする。

 

「………さて、こうして急場しのぎで集められた部隊ですが私がこの部隊の指揮を務めることになりました高町なのは一等空尉です」

 

それから各部隊の代表のものとも挨拶を交わしていきなのはは早速とばかりに本題に入る。

 

「さて、それでですがもうじきここにもジグルド元提督が率いるブリューナク隊とキリングドールの兵隊がやってくると思います。もちろん狙われるのはここの施設に入れられている最高評議会の息のかかった者たちだと思われます。それで私達は彼らを守るためにここに集まったわけです」

「しかし、高町一等空尉。彼らはジグルドさんのいう通り犯罪者です。だから………」

「だから、なに………?」

 

ある一人の魔導師がそう言葉を続けようとしてなのはの睨みも効いた笑みに萎縮してしまい言葉を途切れさせた。

しかしなのはもわかっている。

こんな状況になることは目に見えていた。

最高評議会のメンバーもジグルドも両方とも犯罪者。

しかし、ジグルド達はその犯罪者を粛清と称して殺しにかかってきている。

気持ちは分からなくもないがそれでも人殺しを黙って見過ごすほど落ちぶれていない。

こんな時のために今まで培ってきた守る力をたとえ犯罪者だとしても守るのが管理局魔導師の責務だ。

その旨を吟味して説明していく。

そしてその発言した魔導師も「はい、了解しました」と言って納得してそれからは作戦進行の成り行きを黙って聞いているのであった。

そんな姿を見てスバルとティアナは思念通話である会話をしていた。

 

《ねぇねぇティア。やっぱりなのはさんってかっこいいよね! こんな時に冷静に作戦を立てているから》

《こんな時だからよ。一人でも冷静を欠いたら相手の思うつぼだからね。はぁー………》

 

ティアナは思念通話でため息をつくという器用なことをしていた。

そんなティアナの態度にスバルはふと不思議に思ったことを聞くことにした。

 

《なんか、ティア。不安そうだね》

《そうかしら………?》

《そうだよー。なんかいつも以上に不安に駆られている感じだよ? もうリオンは助け出したんだから後はジグルドさん達を捕まえるだけ、簡単じゃないけどいつも通りの実力を出せばなんとかなるって!》

《それだけなら、いいんだけどね………》

 

そう言ってティアナは胸に手を添える。

なにか不安なのだ。

この気持ちはリオンとパークロードで戦う前日に感じた胸の痛みとおんなじ感覚だった。

何か良くないことが起きる。

そう、ティアナの直感が告げていた。

そこまで考えて、

 

(いけないけない! スバルにこういった手前であたしが不安に潰されていたんじゃダメじゃない………ッ! 今は作戦に集中しないと!)

 

そう思ってティアナは自身の頬を何度か軽く叩く。

痛い、と感じながらも気まぐれ程度には気分は落ち着いてきたところで、

 

「おい、ティアナ」

「………えっ? なんですか、ヴァイス陸曹?」

「なんですか、じゃねーぞ。とっくに作戦会議は終わったから俺たちも配置につくぞ。幸い前衛部隊はスバルにオリヴィエさんと他数名が担ってくれているから俺たちは後方から的確に支援ができる」

「そ、そうですね。精一杯頑張ります………」

「ならいいが、なぁティアナ。こんな時になんだがお前、なんかまたミスショットをやるような気配がするぞ?」

「ばっ、ばかな事言わないでください! もうあんなことはやりませんから!」

「そうか? なら俺の勘違いだったか。だがな、ティアナ。悩みがあるんだったらさっさと打ち明けとけ。じゃねーと本番で取り返しのつかねぇことになるかんな。今回の作戦はそれほどに重要度は高いんだからシャキッとしていけよ」

「わ、わかっていますよ」

「ならばよし!だ。お互い頑張ろうぜ」

 

そう言ってヴァイスは配置についていった。

そんな後姿を見送りながらも少しばかり頬が赤くなっていることに気づいたティアナは再度頬を叩いていた。

 

(こんなものはただの気の迷いだ。すぐに消えてなくなるからあたしは冷静になるのよ。ヴァイス陸曹がかっこよく見えたなんて口に出せないから………ッ!)

 

そんなことを考えているまだ自身の気持ちに気づかないティアナなのであった。

 

 

 

◆◇―――――――――◇◆

 

 

 

そして時間通りになってたくさんのキリングドールと複数のブリューナク隊がここの施設に向かって多方面からしかけてきた。

 

「まずは相手の出鼻を挫きます! 砲撃部隊、私に続いてください! ディバインバスター!!」

「撃ちぬくぜ!」

「いきます! ファントムブレイザー!!」

 

なのはの指揮のもとブレイズモードを構えるティアナ、ストームレイダーを構えるヴァイス、と砲撃ができる後衛の魔導師による砲撃が次々とキリングドールに向かっていく。

特に激しかったのがなのはのディバインバスターでその一撃だけで十体くらいのキリングドールが破壊されてブリューナク隊のメンバーも数人戦闘不能に追い込む。

こういう時に相手を殺さずに鎮圧できる魔導の力は便利なものである。

 

「ひゅー♪ さすがなのはさんだ。おい、ティアナ負けてらんねーぞ」

「そうですね。狙い撃ちます」

 

しばらく砲撃の嵐が続く。

しかし相手もただやられているわけではなくキリングドールを盾にして攻撃をしてくる。

こうしてきたら後は膠着することになる。

しばらくにらみ合いが続き、しばらくして、

 

「………ん? はっ、なのは! この気配はサーヴァント、らしきもののようです!」

「やっぱりヴォルフ・イェーガーが絡んできていたね。オリヴィエさん、お願いできる?」

「わかりました。この手に勝利を………!」

 

そう言ってオリヴィエは気配が感じた方へと突貫していく。

しかし同時に複数の矢がオリヴィエに向かって飛んでくる。

 

「矢! ということは相手はアーチャーのサーヴァントですか!」

 

オリヴィエがクラスの正体に気づき始めてきたことに、関係なしに矢は魔導師部隊に次々と降り注いでくる。

あちらこちらから「ぐわっ!」や「ぐっ!」という苦悶の声が響いてくる。

その弓捌きはオリヴィエを真正面にしても他に気を回せるほどに器用で大胆であった。

幸いなのはやスバルはプロテクションで身を守っていたがこれで形勢逆転と言わんばかりにオレンジ色の髪をして目を覆うバイザーをかけているジグルドの右腕と言われている男、“タスラム”がその手に銃型のデバイスを構えて無言で駆けてきていた。

 

「あいつ、正気か!? 銃一丁でこの部隊につっこんでくるなんて!」

 

ヴァイスがそう言葉を発しながらもストームレイダーで狙いをつける。

しかし、そのあまりにも早い移動で弾丸が当たらない。

ティアナもブレイズモードを構えて撃とうとしているのだが、先ほどからタスラムが現れたと同時に起こり始めた動悸に頭が少しパニックになっていた。

 

(どうして!? なんであの人を見ていると動悸が早まるの!?)

 

震える銃口を狙いを定めながらもティアナはタスラムに向かって魔弾を放つ。

それが運が良かったのか、あるいはタスラムが敢えて喰らったのかティアナの魔弾は顔にヒットする。

そしてバイザーが吹き飛ばされる。

その隠された顔が顕わになった時だった。

 

「あっ………」

 

ティアナの思考はしばし停止してしまった。

そこにはタスラムという男が立っていた。

しかし素顔はティアナに似ていて優しげながらも今は戦闘のために厳しくなっている。

しかしティアナはその素顔に驚愕を禁じえないでいた。

だって、タスラムの正体は、

 

「………ティアナ。腕を上げたね」

「兄、さん………?」

「なんだと!?」

 

そう、タスラムの正体はティアナの兄、『ティーダ・ランスター』だったのである。

その衝撃の事実にティアナはただただ茫然としてしまい、ヴァイスは心の底から驚きの声を上げていた。

当たり前だ。

ティーダは六年前にあの事件で重傷を負い病院に搬送中に体ごと行方不明になってしまっていて正式には死亡扱いだったのだから。

だが、今ティアナの目の前にティーダは生きた姿でそこにいる。

それが嬉しい反面、どうして犯罪組織に加担しているのかという思いがティアナのクロスミラージュを持つ手を震わせた。

今にも銃口を落としそうになりながらもなんとか必死に堪えてティアナはティーダに威嚇の意味も込めて銃口を向けている。

ティーダもティーダで優しい笑みを浮かべながらも、しかしすぐにつらそうな表情になり、

 

「ティアナ。通させてもらうよ。この先には殺さなきゃいけない人たちがいるんだ」

「ダ、メよ。兄さん、やめて! こんなことは………!」

 

ティアナはとうとう堪え切れなくなってきたのか涙をポロポロと流しながらも必死にティーダにやめてと必死の説得をする。

そんなティアナの横でヴァイスが堪忍袋の緒が切れたような憤怒の表情を浮かべている。

 

「てめぇ………ティアナの兄貴なんだろうが! なんで今までティアナの前に顔を出さないでいた!? こいつがどんだけ悲しい思いをしていたかわからねぇほど馬鹿じゃねーだろ!? それになんだ! 今更顔を出したと思ったら犯罪者気取りか!? ふざけんじゃねーよ!!」

 

ヴァイスが珍しくティアナのために怒りを顕わにしている。

しかしこれはティアナの今までの想いを知っていれば当然の反応であった。

兄の意思を継いで執務官になろうと頑張ってきたというのに今ティーダはティアナの敵として立ちはだかっている。

それがヴァイスにはどうしても我慢ならなかった。

そんなことを兄がしていいことなのかと! 否! 断じて否だ!

そうヴァイスは思い、

 

「てめぇはティアナの兄貴失格だ!」

「………そうだね。君のいう通り僕はティアナの兄としては失格なのだろうね。でも、瀕死の僕のことを助けてくれたジグルド提督の恩義に報いるためにも今は心を修羅と化すよ。そこを、どいてもらうよ? いくよ、幻影の牙………ミラージュファング」

《了解です》

 

ミラージュファングというデバイスはそう発して強行突撃形態であるダガーモードへとその姿を変える。

それでティアナも胸が苦しいながらも同じくクロスミラージュをダガーモードへと変えて、

 

「兄さん、あなたを止める………! やぁあああーーー!!」

「来い、ティアナ! はぁあああーーー!!」

 

そこからはティアナとティーダの銃剣による剣戟が始まった。

お互いに魔力刃をぶつけ合い戦いを演じる。

時に魔弾も放ち距離を離しながらも戦いは続いていく。

しかし次第にそれはティアナが優勢になり始めた。

やはりシホの教えがよかったのか、ティーダは少し息を切らせているのに対してティアナはまだまだ余裕でいる。

 

「やはり、強いねティアナ。見違えたよ」

「兄さんを目指して強くなったのよ! なのに、だってのに………ッ!」

 

ティアナの信念は少なからず揺らいでいた。

今まで信じてきていたものがまるごと崩れ去ったかのような喪失感を味わう。

内心ではもうはち切れんばかりに心がぐちゃぐちゃであった。

もう、このたまりにたまった困惑をすべてティーダにぶつけようと思うくらいには。

だがそんな時だった。

遠くである言葉が響いてくる。

 

「―――“射殺す百頭(ナインライブズ)”!!」

 

その言葉とともに九つの矢がまるでホーミングレーザーのように背後にある施設に向かっていき直撃して破砕音を響かせる。

そう、九つの矢は施設をまるごと破壊してしまったのだ。

当然中にいたものも無事ではないだろう………。

 

「勝負は決したようだね。僕たちは退散させてもらうよ。………ティアナ、また会おう」

 

そう言ってティーダ含む残りの部隊は転移魔法を使用して各自撤退をしてしまったのであった。

 

「くっ!」

 

そこに今まで前衛で戦っていたスバルがティアナ達のもとへとやってきて、

 

「やられた! 守り切れなかった!!」

 

スバルが悔しそうにそう嘆く。

だがそこになのはも空から降りてきて、

 

「大丈夫だよ、スバル。さしずめ施設の人達および最高評議会のメンバーは地下に逃げていたから無事だよ。今通信が入ってきているからそれも確認済み。確かに逃がしてしまったのは悔しい………。けど、まだ誰も死んでいない。逆転できるよ!」

「そうです。私もサーヴァントらしきものを逃がしてしまいましたが、収穫はありました。あとはシホ達と話し合う必要がありますね」

 

オリヴィエもなのはの隣に現れて苦い表情ながらもそう告げる。

だが、今ティアナはそんなことに気を回している余裕はなかった。

 

「……………」

 

無言で俯き涙を流していたのだった。

そんなティアナに対してヴァイスはなんと言葉をかけていいかわからないが、とりあえず泣いているティアナの頭に手を乗せて、

 

「元気出せ………奴は必ず俺たちで捕まえようぜ。な? ティアナ」

 

ヴァイスの下手な慰めでもティアナは無言ながらも頷くのであった。

 

 




なんとタスラムの正体はティーダ・ランスターさんでした。え? わかってた?

そして謎のアーチャーの正体は宝具名で明らかに………!?

ティアナの気持ちは立て直せるのか? というかヴァイスの株が一気に上がった感じ………。





それではご意見・ご感想・誤字脱字報告をお待ちしております。

では。 
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