【完結】剣製の魔法少女戦記   作:炎の剣製

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更新します。

今回はライトニング部隊です。

では、どうぞー。


第百九十二話  『ファング隊…友達との戦い』

 

 

なのは達スターズ隊が戦闘を繰り広げている時、同時間にライトニング隊もキリングドール率いるブリューナク隊と戦闘を繰り広げていた。

現在の守護部隊の指揮および隊長はフェイトが一任されているために前線部隊はほぼランサーとシグナムが中心となってキリングドールを押しとどめている。

そんな中、キリングドールでは敵わないと悟ったらしく敵部隊後方からとある三人の人物が姿を現す。

その人物たちとは、

 

「ロボ君!?」

「セイラさんに凰華さん!?」

 

エリオがロボの名を、キャロがセイラと凰華の名を叫ぶ。

出てきたのはブリューナク隊に在籍している魔導師である、

 

ロボ・バルコム三等陸士。

セイラ・ヒラガ三等陸士。

獅堂凰華陸曹。

 

この三人であった。

ロボはとある休日の時にエリオとキャロが知り合った時からの知り合いで、セイラと凰華に関しては公開意見陳述会での警備の際に知り合いになった関係である。

ロボはエリオの姿を確認すると「ニッ」と笑みを浮かべる。

 

「おー、エリオ。それにキャロか。こんなところで会うなんてなぁ………」

「お久しぶりです。エリオさんにキャロさん」

 

敵同士だというのにロボとセイラは二人ともエリオとキャロと普段通りのような態度で話しかけてくる。

その態度にエリオは我慢ならなかったのか、

 

「ロボ君! どうしてこんなことに加担するの!? 君までジグルド提督の悪事に協力して犯罪者になることはないんだよ!?」

「そうです! セイラさんもこんなことをしないでおとなしく投降してください!」

 

エリオとキャロが必死になって二人を説得する。

しかしその説得が裏目になったのかは定かではないが、先ほどまで気安い感じだったのに急にロボとセイラの表情から感情が消えて次の瞬間には怒りの表情に近いものになっていた。

それにエリオとキャロはビクッ!と肩を震わせた。

どうしてそんな表情になるというのだろうか、どうしてそんなに怒りを顕わにするのだろうか、と。

 

「………何も知らないくせにオジキの悪口を言うなよ」

 

冷え切ったような声でロボはエリオに話しかける。

周りでたくさんのキリングドールと魔導師が争っている中でこの場だけはどこか切り取られたように話し声がよく響いてきた。

 

「オジキはな。偉大な人なんだよ。でも最高評議会が裏で色々と悪事を働いていたのを分かっていても確たる証拠が見つけられなくていつも嘆いていた。俺の親父が死んだときもそうだ」

「ロボ君の、お父さん………?」

「俺の親父………ジョン・バルコムはオジキとともに最高評議会が裏から手引きして起こした事件を解決するために、このミッドチルダを守るために戦い、そして親父は散った………」

 

ロボは淡々と語る。

その表情を俯かせながらもしっかりと聞こえるように、

 

「オジキも親父も正義を貫いた。それでも、最高評議会の連中ときたら………ッ!」

 

ギリッ!と歯ぎしりをするロボ。

そこにはエリオ達の知っている人懐っこい性格のロボはいなく、代わりにまるで最高評議会に牙をむく狼のような、狩人のような冷酷な姿があった。

 

「だから、復讐するの………?」

「勘違いをするな。これは復讐とかそんな小悪党の考えそうなことじゃねーんだよ。オジキも言ったろ? これは粛清だと!」

「それでも! もう最高評議会の人達はいずれ裁かれることになっている! 罪を認めている! だからこれ以上の粛清なんて意味ないよ!」

「意味ない、だと? これだから甘ちゃんなんだな」

「僕たちが甘いだって………?」

「そうだろ! 最高評議会の連中は罪を認めている? 償っている? いいや、それはないね。そんなものは一時凌ぎの言い訳だ。出所して外に出てくればまた同じことを繰り返す。また罪もない人々の不幸を招く。俺たちはそれが一番許せねーんだよ!」

「そんなことは………!」

「ない、と言い切れるのか………?」

「それは、けど………!」

 

それでエリオの言葉は止まってしまう。

 

「失ったものの気持ちなんて所詮仲間を失ったことのない奴になんかわからないんだよ!」

 

それを聞いてエリオは少し涙目になり、対して黙って見守っていたキャロはカチンときた。

エリオはかつて家族だと思っていた人達に捨てられた過去がある。

仲間を失うという事は今のところはないが家族という縁を確かに失ったのだ。

キャロも部族から追放されてフリードやヴォルテールがいたが寂しい思いをした。

エリオとキャロはフェイトが現れるまで深い暗闇の中にいた。

だから理由は違えど失ったものの気持ちもわかるのだ。

だからキャロは言う。

 

「あなたこそエリオ君の過去のことを何も知らないくせにでかい口を叩かないでください!」

「エリオの過去………?」

「エリオ君は………!」

 

キャロが言いかけるときに突然肩に重みを感じてキャロは振り向くとそこにはどこか寂しい表情をしたシグナムがいた。

どうやら話を聞いていたのだろう。

 

「キャロ………。彼らに今エリオのことを話しても聞き入れてもらえないだろう………」

「でも、シグナム副隊長!」

「今は頭を冷やせ」

 

コチン!と軽く突かれてキャロはシュン………と大人しくなる。

それでエリオとキャロの脇を通りシグナムが前に出てくる。

同時にあちらも静観していた獅堂凰華が前に出てくる。

 

「私は機動六課ライトニング分隊副隊長シグナム二等空尉だ」

「あたしはブリューナク隊第一小隊“ファング隊”の隊長、獅堂凰華陸曹だ」

 

二人が名乗りあった瞬間に一瞬だが二人の間で火花が散ったのをエリオ達は感じた。

 

「お前たちの目的はやはり復讐ではなく粛清なのか………?」

「そうよ。あたし達はそのために今まで牙を研いできた」

「そうか………。お前たちの上司であるジグルド元提督には不信感などはないのだな?」

「あるわけがない。我らは彼のことは十分に理解しているし目的もしっかりと聞いている。だから信頼している」

「その目的とは一体なんだ?」

「聞かれて話すと思っているの? 少なくともあたしは話さないね。聞きたければ………」

 

そう言って凰華はデバイスなのか、それとも本物の真剣なのか定かではないが簡素な刀『村雨』を構える。

それに呼応してシグナムも鞘からレヴァンティンを抜き、構える。

 

「倒してから聞けという事か」

「ご明察だ。ロボ、セイラ………いくぞ。ファング隊の戦いをというものを見せてやるぞ」

「おう!」

「了解しました!」

 

それでロボはトンファー型のデバイスである『ブランカ』を構える。

セイラもその十本の指に装着させている爪の先から銀色の尖った糸を垂らして構える。

 

「やるしかないんだね………」

「フリード、いくよ?」

「キュクー!」

 

それでエリオとキャロも構えを取る。

最初に飛び出してきたのは凰華だった。

シグナムに向かって突撃してくる。

 

「誰よりも勇敢に……誰よりも速く……戦場を駆け抜ける先駆けの牙……我等は我欲に動く醜い獣(ケダモノ)にあらず。理想の為なら汚れる覚悟を背負う気高い(ケモノ)だ! 参る!!」

 

そして六人の戦いが始まった。

 

 

 

◆◇―――――――――◇◆

 

 

 

「うおりゃー!」

 

ロボが両腕に持たれているブランカを何度も勢いよく振ってエリオのストラーダに衝撃を与えていく。

それに対してエリオは何度も受ける攻撃をなんとか受け流しては反撃をして捌いていた。

 

「ははっ! やるな、エリオ!」

「ロボ君もね! こんな戦いじゃなきゃもっと楽しめただろうに!」

「確かにな。でももう俺は、俺たちの正義は止められねーんだよ!」

「僕たちだって掲げている正義はある!」

「そりゃあるだろうな! だが俺たちの正義には劣る!」

「そんなことはない! いくよ、ストラーダ!」

《わかりました!》

 

それでエリオは一旦ロボから瞬動術で離れてストラーダのブースターを点火させる。

 

「いくよロボ君!」

《スピーアアングリフ!》

 

電撃の魔力を吹かせながら突撃していくエリオ。

それに対してロボはというと、

 

「ブランカ! ギアを上げていくぞ!」

《了解だぜ!》

 

そしてロボは何度もブランカを振っていく。

次第に振っていく速度が上がっていくにつれて風が巻き起こりだして、そしてエリオと激突する。

二人はぶつかった瞬間に同時に後方へとはじけ飛んだ。

ロボはまだまだ余裕という表情をしていたが、エリオは違った。

 

「………ストラーダ。今の攻撃、見えた?」

《なんとかですが。十度の打撃を受けて私達は吹き飛ばされました》

 

そう、ロボはあの一瞬の瞬間にストラーダに十にもおよぶブランカの打撃を繰りだしていたのだ。

エリオの突撃とロボの十連撃、二人の攻撃はそれによって拮抗してはじけ飛んでしまったのだ。

 

「あの連撃をまともに受けたらやばいね」

《そのようです。現に今も私のボディは衝撃が残っているために震えています》

 

エリオはストラーダの先を見る。

先ほどの衝撃がまだ殺し切られていないようで僅かながら震えているのだ。

ロボの力がエリオと同年代でありながらかなり強いという事が窺い知れる。

 

「でも!」

 

それでエリオはストラーダに魔力刃を展開させる。

 

「僕は負けられないんだ!」

「俺も負けられねぇんだよ! オジキの理想のためにな!」

 

それでエリオとロボはまた再度激突を繰り返していくのであった。

 

 

 

……………一方、キャロとセイラの戦いはキャロの劣勢であった。

 

「キュ、キュクー!?」

「フリード!?」

 

竜魂召喚で真の姿で戦っているフリードがセイラの操る十のうちの五本の糸によって拘束され何度も地面に叩きつけられていた。

 

「ふふ………私の縛糸の威力はいかがですか?」

 

セイラは片手の糸でフリードを拘束していたのだ。

しかも叩きつけるほどの操作性を持っているのでまだまだセイラの底は知れない。

 

「フリード! 引きちぎって!」

 

キャロはブースト魔法をフリードにかけてフリードは思いっきり力を込めて糸を引きちぎった。

 

「よし! フリード、ブラストフレア!」

「ガァ―――!」

 

フリードの口から火球が放たれてセイラへと迫る。

しかしセイラは慌てずに糸を前方にまとめて、そして、

 

「ストリングシールド!」

 

銀の糸が色を、形を変えて一つの盾へと変貌してフリードのブラストフレアを防ぎきってしまった。

 

「そんな! フリードのブラストフレアが………ッ!」

「まだまだ甘いですよ。私の糸術はまだまだいくつもあります。そしてロボ様………若の邪魔立ては許しません!」

「くっ!?」

 

接近しては縛られ、距離を置いて攻撃すれば糸による反撃かシールドで防がれてしまう。

フルバックのキャロにとってこれほど戦いにくい相手はいないだろう。

しかし、今回の目的はあくまで防衛。

よって、彼らの攻勢を後ろの施設に通さなければいいのだ。

そんな思いでキャロは必死にセイラに喰らいついていた。

 

 

 

 

 

 

 

「おおおおおおーーー!!」

「でやぁあああーーー!!」

 

シグナムと凰華はそれこそ乾坤一擲の想いでお互いに剣をぶつけあっていた。

何度も剣戟の音が響き渡る。

 

「獅堂陸曹、貴様やるな!」

「お前こそな、シグナム!」

 

二人はお互いに褒めあっていた。

おそらく凰華もシグナムと同じく戦闘狂(バトルジャンキー)なのだろう。

案外なにもなければ気が合うのかもしれない。

 

「しかし、何度か打ち合ってみたからこそ分かる。獅堂陸曹、お前は私には勝てないという事が」

 

シグナムはこう言うが決して慢心から来る言葉なわけではない。

戦うのならば常に本気で戦う。

それこそベルカの騎士だ、と常日頃から言っているからだ。

だからこそ嘘はつかずに正直な気持ちで凰華の力量を見抜いてこの言葉が出たのだ。

それに対して凰華というと、

 

「はぁー………分かっちゃいたけどな。あたしにはそれほど剣の腕はないってな。でもな、あたしだってただやられるほどお人よしじゃないんだよな」

 

すると凰華の手の甲にある宝珠が光り輝く。

それにシグナムは「むっ」と声を上げる。

 

「あたしは剣士じゃない。本当は“召喚士”だ! いくぞ、来れ我が守護獣! 我が身を護る盾となり、我が眼前の敵を討ち倒す剣となれ! 天凰(てんおう)召喚!!」

「ビュオオオオーーーッ!!」

 

瞬間、凰華の足元に魔法陣が形成されてそこから三メートルはゆうに超えている紅い大型の鷹が姿を現す。

 

「獅堂陸曹、これがお前の力か?」

「いんや、まだだ! いくぜ、天凰! 憑依融合!!」

 

そしてまたしても天凰が光り輝き凰華と体を重ねていく。

 

「これは!? まさかユニゾンと同じ!?」

 

シグナムは性質が似ている経験をしているためにすぐに凰華の力を見抜いた。

光が晴れてそこにはもう天凰という鷹の姿はなかった。

代わりに凰華の背中には紅い翼が生えて手も鉤爪のように尖っていて刀は二本の小太刀へと変貌していた。

まさに憑依した姿がそこにはあったのだ。

 

「ふぅ………この憑依融合は時間制限もあるが召喚獣と召喚士の心が重なっていないとできない秘法なんだ。そんじゃ、いくぜ!」

「ッ!?」

 

シグナムは次の瞬間には目を見開く。

一瞬………そう、一瞬でシグナムの右肩を凰華は通り過ぎてすれ違い様に小太刀を振るっていたのだ。

シグナムの右肩からは血渋きが多少あがりシグナムは痛みから肩を押さえる。

 

「これは………早いな」

「そうさ! この形態ならかなりのスピードを出せる。次は、ただじゃおかないよ?」

「面白い! 真正面から叩っ斬る!」

 

シグナムは怯むどころか逆に楽しそうに笑みを浮かべて久しぶりに来る高揚感に身を任せて己もスピードの限界を駆使して凰華とぶつかり合うのであった。

 

 

 

◆◇―――――――――◇◆

 

 

 

「あちらはあちらで楽しそうだねぇ。なぁ、槍兵の嬢ちゃんよ?」

「……………」

 

ランサーは横目で三者三様の戦いを見ながら三度目の戦いとなるフードを羽織った謎の槍使いの女と戦っていた。

槍使いの女はランサーの声掛けにも相も変わらず無言を通していた。

 

「おうおう。まただんまりか? ったく、調子が狂うぜ。なら、殺しあうか……?」

「……………今はお前の相手をしているほど暇じゃない」

「お! 初めて喋ったな」

 

ランサーは敵だというのに面白そうに笑う。

それに対して槍使いの女は、槍を施設に向けて構える。

 

「………今は殺さないでおいておく。いくぞ………大神(グン)―――」

 

宝具発動の真名解放の途中でランサーは槍の真名を悟ったのだろう。

大きく目を見開く。

そう、それはルーン魔術の祖と言われているとある神の持つ槍の名。

それは!

 

「―――宣言(グニル)ッ!!」

 

グングニル。

その真名解放とともに槍は青白い光とともに施設へと高速で向かっていき、突き刺さった瞬間に一気に膨大なエネルギーを放出させて爆音とともに貫いていき施設はボロボロと崩れ去っていった。

 

「………まさかなぁ、てめぇの正体が奴とはな」

「………もうここに用はない。さらばだ………」

 

それでフードの槍使いの女は高速でその場を離れていった。

そして施設が破壊されたのを合図としロボ、セイラ、凰華もそれぞれキリがよく弾幕攻撃をして目くらましをし生き残った隊員とともに転移魔法で撤退していくのであった。

去った後はというと、

 

「私がしっかりと指揮を取っていればこんなことにはならなかったのに………」

「まぁ、宝具を使われたんだ。あれはしょうがないぜ、フェイト。次を頑張ろうぜ」

 

落ち込むフェイトにランサーが励ましの言葉をかけていたのだった。

そしてエリオ達はというと、

 

「ロボ君達にとっての正義って何なの………? 僕たちの管理局の正義は間違っているとでもいうの………?」

「エリオ君………」

 

エリオは自身の正義について悩み、キャロも一緒になって考え込んでいたのであった。

 

 

 




ファング隊との戦い。
エリオとキャロにとっては悲しい友達との戦いです。
そして槍兵の正体も明らかに………?



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では。
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