【完結】剣製の魔法少女戦記   作:炎の剣製

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更新します。

今回はタイトル通り口上戦です。

ではどうぞー。


第百九十七話  『口上戦』

 

 

 

 

ジグルド達ブリューナク隊と機動六課含む地上部隊の少し長い夜は終わりを迎えて翌朝になった。

機動六課がレジアスを施設へと連れていくのは九時過ぎという事になっている。

他の部隊はもし機動六課が失敗をしてレジアスが殺されてしまい、キリングドールが各地で暴れる事態になった時にすぐに動けるように待機している状態だ。

つまり、機動六課にすべての運命が握られているわけになる。

だから失敗したら機動六課がすべての責任を取らされるかもしれないという事だ。

はやては出発前に気合を入れるために前線メンバーをブリーフィングルームに集合させた。

 

「さて、こうして集まったわけやけどこれから私等がすべての運命を握る作戦に出発することになる」

 

はやての言葉に全員が気合を入れる。

 

「迷いもあるだろう、葛藤もあるだろう……でも、それはジグルド提督を捕まえた後にでもいくらでもできる。だから今日の作戦、みんなして切り抜けような!」

『はい!』

「よし! 機動六課! 出発―――………「待ってください!」って、なんや?」

 

はやてが出発と言おうとした時にブリーフィングルームの扉が開かれてリオンが中に入ってきた。

 

「リオン………?」

「どうしたのリオン………?」

 

スバルやティアナなどはどうしてここでリオンが部屋に入ってくるのだろうと思った。

だがリオンは気にせずに、

 

「私も、私も戦場に連れて行ってください!」

「なんやて………?」

 

リオンは突然自分も戦場に連れてってくれと言いだしてはやてやなのは、フェイト、シホの隊長陣の表情は厳しものになる。

この大事な作戦に機動六課ではなく別の、しかも罪を犯しているリオンが入ったら土壇場でもし裏切りをされたらたまったものではない。

もちろんリオンがそんな事をするとは思っていない。

しかし、一部隊を預かる身としてははやてはリオンの部隊への参加を賛成できなかった。

 

「理由を聞こうか。リオン、なんでこんな大事な作戦に参加しようって思ったんや?」

「そうよ。リオン、あなたはもうこれ以上戦わなくてもいいんだから」

 

はやての言葉にシホが追従する。

 

「それとも、もしかしてモリアに復讐でもするの………?」

 

フェイトの言葉にリオンは「いえ」と首を振る。

だったらなんでと思う。

リオンは口を開き、

 

「確かにモリアに対しては恨みはなくはないです……。でも、それとは別に私はたくさんスバルやティアに迷惑をかけました……。そしてモリアもまだみなさんに迷惑をかけています。だから少しでもお手伝いがしたいんです。モリアを捕まえる手助けをしたいんです! だからお願いします! 私も参加するのを許してください!!」

 

そう言って精一杯頭を下げるリオン。

それではやてはどうしたものかという表情になる。

この限られた戦力の中で確かにリオンの力はありがたいものだ。

しかし、やはりというべきか部隊長としてはなかなか賛成できない。

連携という意味でも即席で参加するリオンはみんなとは連携を取りにくいからもしかしたらお荷物になる可能性も否めない。

チームプレーは大事だ。

今までともに訓練を重ねてきた仲間だからこそ時には何倍もの力を発揮することも稀ではない。

だからこそはやてはリオンに「参加は無理や」と言おうとした時だった。

 

「八神部隊長! お願いです! リオンの参加を許してください!」

「あたしからもお願いします。リオンの面倒はあたしとスバルが見ますから!」

「でも、本当に大丈夫なんやろうな………?」

 

はやては二人の気持ちを察して、でもと決定を出すのに悩む。

 

「大丈夫です! リオンは訓練生時代に何度も一緒にトリオを組んできた仲です。だから今回もきっとうまくいかせます!」

「スバル。ティアナ。その言葉に二言はねーな?」

 

ヴィータが睨みを効かせながらスバルとティアナの二人にそう問いかける。

それは暗にもし足手まといなら容赦しねーぞということである。

それに二人は無言で大丈夫という意味で頷く。

 

「はぁー………だとさ、はやて。なんならあたしもスターズ分隊の副隊長としてこの三人のお守りをするぜ? そんならいいか?」

「ヴィータ………うん、なら任せてええか?」

「おう! 任せとけ!」

 

はやてにようやくリオン参加のお許しを受けてスバル達は喜んだ。

だがそこではやてが「ただし!」と声をあげて、

 

「勝手な行動はダメな。私欲だけで動いて隊に迷惑だけはかけないように。ええな?」

「わ、わかりました!」

 

それでリオンの参加も決まったことで。

 

「さて、それじゃ改めて機動六課、出撃や!」

『了解!』

 

一同はそれぞれ動き出した。

 

 

 

◆◇―――――――――◇◆

 

 

 

ジグルドは今ある残存魔導師とモリアの製造した各地に配置してある以外のキリングドール残りすべてを従えて三提督を後ろ手に縄で縛りながらも機動六課とレジアスが来るのを今か今かと待っていた。

そんな時にミゼットがジグルドに向けて話しかける。

 

「ジグルド坊………」

「はい。なんでしょうか、ミゼット提督?」

「もしや、このクーデターはジョン坊のために起こしたのですか………?」

「………、なにを言うかと思えば。私は私の意思でこのクーデターを起こしたのです。そこに嘘偽りはありません」

「そうですか………。ならもう一つ聞きます。………ジグルド坊、あんた、もしかして死ぬ気なの?」

「さて、どうでしょうね………?」

 

ジグルドは「ふっ………」と笑い誤魔化す。

それはこれから来る機動六課が握っているということである。

未来というのは不確定だ。

いついかなる時に何が起こるのかわからない。

だから準備を怠らなかった。

自身を徹底的に追い込んできた。

それが今回で成果として現れるのだ。

そう、ジグルドは心の中で思い、そして、

 

「ジグルド提督、来ました……」

「来たか……」

 

見れば機動六課前線メンバーがレジアスを連れてやってきていた。

しかしジグルドはレジアスの後ろにいる機動六課勢ぞろいの戦力に少しばかり武者震いを感じていた。

そう……たった、二十人にも満たない人数だというのにはやてを筆頭にシホ、なのは、フェイトの隊長陣、そしてヴィータ達副隊長陣、そしてフォワード陣。さらにはサーヴァント勢。

それに対してこちらはジグルド自身にタスラム、凰華、ロボ、セイラ、モリアそして六十人ほどのブリューナク隊の魔導師たち。そして総動員してあるキリングドール五百体以上。

数にしては圧倒的にこちらが有利だ。

しかし、それでも決して怯まない気の強さを感じる強者たちの姿。

その姿にジグルドは管理局の未来の一端を感じた。

だが今はそんな思いは胸の奥にしまっておくことにするジグルド。

 

「八神君。レジアスを連れてきたという事は私達の要望に応じるという事でいいかな?」

「いえいえ。ただの一部隊である私めがそんな簡単に管理局の全制度撤廃なんて大それたことをできるわけがありません。ですから代わりにレジアス殿をお連れした次第です」

「ほう………ということは片方だけでも応じるというわけだな?」

「それもまた御冗談を。レジアス殿はまだ管理局に必要とされているお方です。そんな簡単に見殺しにするわけあらへんです」

「では………交渉決裂ということでいいのかな?」

「いえ、まだです。ですがその前にレジアス殿があなたにいくつか言いたいことがあるそうです。聞いていただけないでしょうか?」

「………いいだろう」

 

はやてとジグルドの最初の口上戦はひとまずという感じでレジアスが発言することで収められた。

しかしあのまま口上戦が続けられていたらどうなっていたか想像したくないフォワードの面々は顔を青くしていたり………。

 

「こうして会うのは久しぶりだな。ジグルド“元”提督よ」

「ええ、確かにな。レジアス“元”中将」

 

お互いに役職の前に『元』をつけて皮肉から始まるあたり二人の仲の悪さが垣間見える瞬間である。

 

「まずはお前に言いたいことがある。聞いてもらえるか? ジグルドよ」

「いいだろう。言ってみろ」

「まずは六年前のあの事件はすまなかった。儂が気づいておれば止められたものを。ジョン・バルコムを筆頭に数名の犠牲者を出してしまった事は申し訳なく思う」

「ほう。ジョンの事を知っていたか」

「知っているとも。当時の若いものでは腕の立つ魔導師であったからな。ジョン・バルコムは」

「ならば、なぜ………なぜ見殺しにした!? お前なら止められたのだろう!?」

 

ジグルドはそう叫ぶ。

ジョンの息子であるロボも言葉には出さないが悔しそうに顔を歪めている。

彼も当時は四歳でまだ物心はついておらずジョンのことはジグルドを通してでしか知らなかったがそれでもその武勇伝には憧れを持っていた。

だからこそロボは必死に耐えている。今か今かと牙を研いで………。

 

「大体にして『管理局の正義の象徴』という称号も本来なら私ではなく、ジョンに与えられるべき肩書きだった」

「何……?」

「わからんか? ジョンは私たちを逃がすためにレフティー、ロッシ、トミーと共に大軍と戦い、己の正義と信念を貫いて死んだ……」

 

ジグルドは一度視線をはずし、空を見上げた。

 

「奴こそ本物の正義を貫く覚悟を持った本物の(おとこ)だった……」

 

再び視線をレジアスに戻すがそ瞳には怒りが篭っていた。

 

「だが、現実はどうだ? マスコミ連中は彼等を唯の殉職者扱い。対して無様に生き恥をさらした私を英雄扱い……私にとって『管理局の正義の象徴』は途轍もない重荷だったよ。

そしてレジアス、貴様ならこの苦しみ……わかるのではないか? 事故とはいえ、かつてゼスト殿を死に追いやった貴様なら……!」

「!?」

 

そう言われてレジアスは目を見開く。

そう、それはレジアスが犯してしまった過ち……。

 

「そう、確かに儂の至らなさがあった。スカリエッティか……。今思えば儂もどうかしていたと思う。しかし、もう儂は二度とそんな奴とは協力はせんと誓っているのだ。そして今度こそ管理局の未来を支えていきたいのだ」

「貴様ごときが変えられるとは到底思えないがな」

「ふっ、言うな青二才が。ならば、こんなこと(クーデター)などをしてお前は管理局を本気で変えたいと思っているのか?」

「思っているとも。私は今まで……己が罪を……朋友(とも)を見殺しにした罪はどう償うべきかこの六年の間ずっと考えてきた……その答えをようやく見つけた。償うべき罪を……裁かれるべき罰を!!」

 

ジグルドの言葉を聞いたレジアスの表情は怒りに満ち始めた。

 

「それがこの反乱(クーデター)か!?こんな事をして貴様の親友が喜ぶと思っているのか!?」

「思わん! だがこれ以上胡坐をかいたら未来を担うべき多くの若者たちが評議会のエサにされるのは目に見えていた。だからこの反乱を起こしたのだ!」

「何もかも矛盾しているぞジグルド! ならば貴様の正義とは一体何だ!?」

 

レジアスの質問に対し、ジグルドは「フッ……」と不敵な笑みを浮かべて答えた。

 

「悪をなして巨悪を絶つ……それがこのジグルド・ブリュンヒルデが背負う罰であり、掲げる正義だ!!」

 

そうジグルドは言い放った。

しかし、それはもう後戻りのできない宣言とも言える。

だからこそレジアスは問う。

 

「……それがどれだけ大変な事かわかって言っているのか?」

「その覚悟はある」

「覚悟とな? はっ、笑わせてくれる。所詮もうお前とその部下達は管理局には必要とされない犯罪者集団なのだぞ? そこを理解していないほど愚かではあるまい?」

「………ああ、ああ、分かっているとも。それでも私の考えに賛同してくれるものがいると私は信じているのだよ、レジアス」

「くく………。その理解者というのははぐれ者かなにかか? よほどのものでなければお前の考えになど賛同なぞせんだろう」

「ならばお前にはそれはいるとでもいうのか………?」

「今の儂にはいないだろうな」

 

レジアスは『今は』という部分を強調して言った。

それはいずれ立て直して増やしていくという意味も込めてある。

それに気づいたのであろうジグルドは、

 

「レジアス………お前にそんな未来があるとでも思っているのか?」

「まだまだ儂は諦めんぞ。儂を信頼してくれるものがいる限り何度でも復帰して見せるとも!」

「ならばお前の未来、正義の名のもとに私が断ち切ってやろう!」

 

それでジグルドはデバイスであるアスカロンの剣先をレジアスに向けた。

 

「ほう………先に刃を抜いたか、ジグルド。ならばこの口上戦は儂の勝ちだな」

「抜かせ。貴様はいつでも粛清出来る故にこの口上戦の勝ちは貴様に譲っただけだレジアス!」

 

口上戦はひとまずレジアスが勝利する形に終わった。

先に刃を抜いたのだからジグルドにはなにも言うべきことはない。

そして完全に臨戦態勢のジグルドにそれに乗ってやる気になっているブリューナク隊の面々。

 

「………さて、すまないな、八神よ。どうも熱くなってしまって戦う以外に方法はなくなってしまったようだ。だから後は頼むぞ」

 

そう言って謝るレジアス。

素直に謝れるようにもなったのだから少しは性格が丸くなった証拠だろう。

そんなレジアスに対して、

 

「あはは。わかってました、なんとなくこうなるのは。ではレジアスさん、あなたの護衛はランにレン、ギンガが務めます。お願いな、三人とも」

「お任せください! 必ず守ります」

「僕たちが責任をもって!」

「了解しました!」

 

それでレジアスを連れて後方へと下がる三人。

 

「………さて、ではジグルド提督。先に剣を抜いたのはあなた方です。よって交渉はそちらが先に破ったという事で私達があなた方を捕まえます」

「ふん。さすがタヌキだな」

「いえいえ。この程度は普通ですって」

「ならば、モリア………。各地のキリングドールを起動しろ」

「くくく。了解ですよ、ジグルド提督」

 

それで悪い笑みを浮かべたモリアが一つのボタンを押そうとしていた。

だがその時、

 

 

―――ザンッ!

 

 

「はへ………?」

 

モリアのボタンを持っている手が落ちた。

モリアは何が起きたのかわからずに目を点にする。

そこに気配遮断を行っていた志貴の姿が顕わになる。

気配を現すと同時にモリアの腕を切り落としたのだろう。

地面に落ちた腕はバチバチと火花を上げている。

 

「くっ!?」

「やはり機械の腕だったか………しかしこれで各地のキリングドールはただの鉄クズになったな」

 

ボタンを拾い上げた志貴がモリアを睨みながら言う。

 

「く、くそう! て、撤退だ!!」

 

そうモリアは叫んで無意味な弾幕をまき散らしてその場から転移して消え去った。

 

「ふぅ、逃がしたか………」

 

それでシュンッ!と志貴は一瞬にしてはやての隣へと移動する。

 

「ナイスや、志貴」

「なんだろうな……? 命令とはいえ俺は前にもこんなことをしたことがあるだけになんかやる気だせないな」

「まぁまぁ。………それじゃジグルド提督。おとなしく三提督を解放してください」

「そう簡単にはできない相談だ。まだ、キリングドールは五百体以上はこちらにいるのだぞ? ブリューナク隊、構え! 私達の底力を見せてやるぞ!!」

『おーーーー!!』

 

それでキリングドールは全機起動してブリューナク隊の面々も向かってきた。

ここにこのクーデターの最後の戦いが幕を開けた。

 

 

 




これでジグルドは後がなくなりました。
さて、ここからどんな番狂わせが起こるのか………。
次回から戦闘です。



それではご意見・ご感想・誤字脱字報告をお待ちしております。

では。
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