【完結】剣製の魔法少女戦記   作:炎の剣製

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今回は前回の投稿で勘がいい人は気づいたと思いますがシホの相棒だった人が出現します。
そして謎のデバイスが少しだけお目見えです。

それでは、どうぞー。


第三十話      『デバイス起動』

 

 

 

 

Side 高町なのは

 

 

…目を、覚ます。

覚ましたら白い天井が見えた。

確か、私は…胸から突然人の手が生えてきたけど構わずスターライトブレイカーを放った後、そのまま気絶してしまったんだ。

そして私を見てくれている先生にここはどこと聞いたら『時空管理局本局』だと聞いた。

その後、少し検査を受けている間、フェイトちゃんの事を聞いたら「大丈夫」と言ってくれたけど、

 

「それで、その…シホちゃんは?」

「………」

 

先生は目を細めて何も答えてくれない。

それにどうしてそんな悲しそうな顔をしているの…?

私以外はそんなに傷を負っていなかったんでしょ?

疑念が渦巻くと同時に、とても嫌な予感がした。

それにこの場には他の皆がいない…。

どうして、どうして皆いないの…?

気づけば私は先生の裾を握っていた。

 

「シホちゃんのところに…連れてってもらえませんか?」

「それは…」

 

先生はなお言葉を渋っている。

そこにちょうどフェイトちゃんとクロノ君が部屋に入ってきた。

だけど、二人とも表情はとても暗い。私に元気に振舞うようにしているけど、それは過去に見たお母さん達の姿と重なって見えた。

 

「フェイト、ちゃん…。シホちゃん、は…?」

「なのは…」

「先生、僕達は外に出ていましょう。フェイト…気持ちは分かるがなのはには正直に話そう。そして落ち着いたら後から来てくれ…」

「うん。ごめん、クロノ…」

 

クロノ君はそういい残しその場から出て行った。

残されたのは私とフェイトちゃんだけ…。

本当なら再開の喜びをしたいところなのに、空気がとても重たい…。

 

「なのは、聞いて…」

「フェイトちゃんも、どうしたの? 私はもう大丈夫だよ。それより…シホちゃんや皆のところにいこう?」

「なのは…ゆっくりと落ち着いて聞いて。シホは今…」

「いや…! 聞きたくない!」

「…シホの事を話すんだ。だから気を取り乱さないで聞いて、お願いだから…!」

 

フェイトちゃんは突然抱きついてきてその目に涙をにじませる。

その途端、不安感がさらに増大した…。でも、聞かなきゃいけない。

 

「うん…、フェイトちゃん、話して…」

「なのは。今、シホは―――………」

 

私はフェイトちゃんの話した内容を聞いて顔を青くした。

 

 

◆◇―――――――――◇◆

 

 

Side リンディ・ハラオウン

 

 

…緊急治療室の前でユーノくん、アルフさんは無言で佇んでいる。

フィアットさんに至っては魔術回路の暴走の件について説明が終わった後、気が抜けてしまったのか地面にうずくまって涙を流しっぱなしだ。

それをエイミィがどうにか落ち着かせようとしているが、エイミィすらそうしていなければもらい泣きをしてしまいそうだ。

 

「…先生、シホさんの容態は…?」

 

私は皆に聞こえないように離れた場所で医師にシホさんの容態を聞いていた。

 

「…それが、非常に危険な状態です。

様々な打撲と切り傷が目立ち一番酷いのは脇腹ですね。

なまじ白い肌ですからそこだけまるで濃い絵の具を塗られたみたいに青く、そしてひどく腫れあがっています。調べてみたところ、肋骨が数本折れて内臓にまで達していまして…。

それに私達は実際には見ていませんがそこから剣が幾重にも突き出していたと聞きます。

今はもう無くなっていますが映像を見たときは私達も我が目を疑いました。

魔術回路の暴走と聞きますが…いや、彼女の世界の魔術師達は全員そういった自身の属性にあったなにかしらの暴走の危険を孕みながらも魔術を行使していると聞きますからシビアとしかいえません…」

「ええ。そこは私も異論ありません…」

「でしょう? …さて、話が脱線しましたが他に魔力ダメージに関してもそうです。

彼女はバリアジャケットを纏わないで戦闘をしていたそうで、それで本来軽いものも直に体に受けていたから何かの特殊な服装で緩和させていたようですが相当なものでしょう。

そしてもっとも最悪なのは、最後に受けたという魔法の傷です。あれは非殺傷設定などされていませんでした。あきらかに殺す目的があったと言わざるをえません。

両手両足に深々と突き刺さっていたらしく治療魔法でなんとか塞ぎましたが…当分は目を覚ましても満足に動くのは不可能かと…」

「そうですか…。いえ、ありがとうございます。引き続き治療をお願いします…」

「全力を尽くしてみます」

 

医師は報告をしてまた治療室の中に入っていった。

私は一瞬中が見えてしまい思わず口をおさえて涙を流した。

治療室の中のシホさんは体中に包帯を巻かれ、それでも血が滲んでいて口にはめられている酸素マスクでも見て分かるくらい荒い息遣いをしている痛々しい姿を垣間見てしまったからだ。

 

ふと、気づくとクロノ、なのはさん、フェイトさんが遅れて治療室の前にやってきていた。

なのはさんはフィアットさんに抱きついて一緒に涙を流して、フェイトさんもアルフさんに抱きしめられた途端、声を殺して涙を流している。

まだこの子達にはこんな場面には直面して欲しくなかった。

クロノですらやりきれない気持ちからか壁に拳を叩きつけている。

だけどいつまでもこのままではいけないと思い私は皆に声をかけた。

 

「皆さん、お気持ちは分かりますが今は静かに、シホさんの回復を祈りましょう…」

 

それで皆さんはどうにか泣き止みましたけど、一向に重苦しい空気は消えません。

それにあんなシホさんのスプラッターな光景を見たのだから当然ね。

なにか話でみんなの気を紛らわさないといけません。

 

「ねぇ、クロノ。シホさんの首飾りの宝石は今持っているかしら…?」

「…はい。先程、検査を終えまして返されました。結果は起動した事はしたのですが、また眠りについてしまったみたいで応答に答えてくれません。

ですからシホが目覚めたら返そうと思っていますが…」

「そう…」

 

いけない…。話を外してしまった。

だけど、そこでフィアットさんが、

 

「せっかく…私専用のデバイスができたからお姉様に見せてあげようとしたのに、こんな事になるなんて…」

 

フィアットさんは懐からシホさんの宝石と色違いの碧色のデバイスを取り出した。

形はフィアットさんの希望でそうなった。デバイスモードはミッドチルダ式には珍しく槍型である。

 

 

閑話休題

 

 

フィアットさんがそれを仕舞おうとした時、それは起きた。

クロノのポケットに入っていたシホさんの宝石が浮かび上がって、それに共鳴したのかフィアットさんの宝石も空中に浮かび上がった。

全員その場で何が起きているのか分からず驚きの表情をして、私はとりあえずまずマリーにすぐに来てもらうように連絡した。

 

《破損箇所をあなたを取り込んで修復します。一時、その身を私に委ねて取り込んでも構いませんか? マスターを救う為に必要な事です》

《私が役に立つのでしたらいくらでも。私もマスターの泣き顔は見たくありません》

《了解いたしました。では、取り込む前にあなたの名をお聞きしたい》

《マグナと申します》

《マグナ、ですか。いい名です。それではマグナ、あなたを今から吸収します》

 

フィアットさんのマグナと謎のデバイスが会話しだしてお互い意見が一致したらしく、マグナはまるで散っていくように謎のデバイスに吸収されていった。

 

 

 

《破損箇所、修復開始…。

デバイスフォルムパターンをマスターの剣の丘から抽出した武装で補います。

ファーストフォルム【干将・莫耶】を元に【ツヴィリングフォルム(双子座形態)】。

セカンドフォルム【無銘 西洋弓】を元に【シュッツェフォルム(射手座形態)】。

サードフォルム【干将・莫耶オーバーエッジ】を元に【オーバーエッジフォルム】。

…基本各フォルム設定完了。以降、フォームは増える可能性アリ。

魔法の構築、かつての私の技を継承完了。

魔術回路直結、全情報取得。魔術式デバイスシステムを復旧。マスターが使用する“魔術・技術・真名開放”を擬似的に再現、継承完了。非殺傷設定完了。

修正項目、マスターの内に“魔力変換資質【風王】”の存在を確認。各フォルム書き直し設定完了。

カートリッジシステム、破損箇所修復完了。正常起動。

騎士甲冑をマスターの武装から選出。過去・現在・未来の設定をもとに再構築、設定完了。

 

マグナの情報…ミッドチルダ式デバイスの情報を登録。

マグナの意識データをそのまま維持し、アームドデバイスの設定を追加。

カートリッジシステム、継承完了。

各フォルム、マグナのマスターの意向の元、再構築完了。

 

以後、私とマグナはミッドチルダ式・ベルカ式・魔術式の三面を持つデバイスとなり新たなデバイス“トリニティデバイス”として登録。

最後項目、私の内に眠る人格を呼び起こします…。ユニゾンデバイス“セイバー・アルトリア・ペンドラゴン”の目覚めの時。

全破損箇所修復完了。システムオールグリーン、デバイス名“アンリミテッド・エア”起動》

 

 

 

起動という言葉がトリガーになり、サファイヤの宝石…アンリミテッド・エアと呼ばれたデバイスは一際大きな輝きを放ち、それは廊下を埋め尽くす。

そして光が晴れた時には、その場には、

 

「サーヴァント…いえ、ユニゾンデバイス、セイバー。ここに現界いたしました」

 

金髪碧目で青と白を基調としたドレスの上に銀の騎士甲冑を着たセイバーと名乗る女性がいた。

皆さんはあまりの出来事に目を丸くしていますがどうにか接触を試みてみようと思って、

 

「あの、あなたは一体…?」

「説明は後ほど。それよりシロウ。いえ、シホ…マスターは現在どこにいますか?」

「えっと、治療室の中で今手術中ですが…」

「そうですか…。はぁ、やはり数年経ってもイリヤスフィールの願いがあっても根本的なところは変わっていませんね…」

 

そういうとセイバーさんは私達の制止も聞かず治療室に入っていってしまいました。

当然、中にいたスタッフは勝手に入ってくるなと怒鳴ってきますが、

 

「マスターの一大事だ。切り捨てられたくなければ静かにしていただけるとありがたい…」

 

セイバーさんの威厳のある言葉で全員押し黙ってしまった。しかし物騒な物言いですね…。

それでもう良いとばかりにセイバーさんは痛々しい姿のシホさんの前に立ち、

 

「シホ…また会えて嬉しいですが、このような再会は私としては不本意ですよ?

ですがもう安心してください。宝石翁からあなたの体には私の鞘が再度埋め込まれていると聞きました。

サーヴァントではなくなったこの身では聖杯戦争の時のようにすぐには全快いたしませんし、こうして鞘の能力を発揮するのも限定的で今回はこれ一度限り…。ですがシホの為です。力は惜しみません」

 

セイバーさんはシホさんを抱き上げてその身を光らせるとシホさんの体も発光しだして包帯がシュルシュルと解けていって傷口が見る見るうちに塞がっていき、一番酷かった脇腹の青痣もしだいに消えていった。

この光景を見て奇跡という言葉が一番相応しいだろう。

多少の傷はまだ残っているもののほとんど治っていてシホさん本来の白い肌が露出した。

それで唯一、助けがあるとすればシホさんの体には先程までの布が被されていて裸は晒していなかった。クロノとユーノ君が顔を赤くしているから後で二人とも叱らなければいけませんね。

それはともかく、セイバーさんは一息つくとシホさんを台に降ろし、その手にフィアットさんのデバイスを具現化させ、

 

「マグナの持ち主は貴女ですね。今後もシホと仲良くしてあげてください」

「は、はい…!」

 

フィアットさんにマグナを返し、

 

「そうです。マグナ、あなたにはもうその名だけでは色々と不足でしょう。あなたに新たな名を授けます。…“マグナ・スピア”と」

《感謝します。その名、ありがたく名乗らせてもらいます。マスターも今後、この名でよろしくお願いします》

「う、うん…でもマグナだけで呼んでもいいよね?」

《マスターがそう望むのならば…》

「よかったぁ…」

 

安心しているフィアットさんを微笑ましそうにセイバーさんは見ながら、

 

「…さて、それでは私はまだ目覚めたばかりですので本調子ではありません。

ですからまだシホが『本当の力』が目覚めるその時まで眠りに着く事にします。

それとシホには『無茶はほどほどに』とお伝えください。

傷は治ったとはいえ、当分の戦闘行為は出来るほど体は快復はしていないのですから…。

最後に、私の変わりにアンリミテッド・エアがあなたの力になるでしょうとも、伝えてください。

それではまたいつか…」

 

セイバーさんはその存在を薄めて一つの光玉となりアンリミテッド・エアの中に入っていった。

先程からの一連の騒動がまるで嘘のように、でもシホさんの体は治った事は事実で一同は少し間を置いた後、盛大に喜びの声を上げた。

でも、私とクロノ、エイミィはいくつか疑問点を上げあっていた。

 

どうしてシホさんの魔法陣は古代ベルカ式と呼ばれるものなのか…。

今まで発見されているので魔力変換資質は【炎熱】【電気】【氷結】の三種だけ。魔力変換物質【風王】などというものは聞いた事がない…。

剣の丘、サーヴァント、聖杯戦争、トリニティデバイス、セイバーというユニゾンデバイス。

そしてなによりセイバーさんが言ったシホさんの本当の力の目覚めとは一体…。

 

 

◆◇―――――――――◇◆

 

 

Side シホ・E・シュバインオーグ

 

 

…夢を見ている。

その夢の中でイリヤに似た、でも姿は成人した綺麗な女性。

その女性は右目が緑、左目が赤のオッドアイのどこかセイバーに似た王の威厳を持つ女性に片膝をつき、忠誠を誓っている風景。

 

『■■■下…いえ、■■■■■王女。

どうか■■■■■てくだ■■。■は…あ■■に忠■■■った■、■■にど■■■私を■■家でも■■■■■■使■■いという■■■移■■いう■■■■■を■■、■■■■■する■■■■…!』

『■■■■■術■、■■■■■ルン。■■■■■…で■■■■た■■■な魔■■術【■■■■■】はもし■■■■■■ならばこ■■■■世にさら■■■いが■■る事が■■。

■■■も■■は危■■■■■い■■し、あな■■身も■■■■こ■■もう■■■ありました…。私の■■■■■いる■■■■はそん■■い運■■■■■■欲しく■■…』

『し■■…!』

 

王女と呼ばれた女性は涙を流している彼女を抱きしめ、

 

『■め■な■■…』

 

抱きしめながらも、なにかの魔法詠唱とともになにかの穴が開き、女性はその穴に吸い込まれていった。

 

『■女! い■■、い■か■■■の元に■■■■■■! だ■■…!』

 

王女は無言で笑みを浮かべた。

そして謎の穴は閉じてしまい、女性は世界をさ迷う…。

 

 

 

なに、この夢は…? ノイズ交じりで内容がまったく理解できないし、きっとこの記憶も私のものじゃない…。一体…?

ふと、さ迷う女性は私のほうに歩み寄ってきた。

え…? これは、夢のはずなのに女性は意識してこちらに歩いてくる。

そして私の前に立ち、

 

『どう■私の■■を■■■くだ■■。きっと■■■の■代に■■■■するで■■う。■■■どうか■■■くだ■■…』

 

また、ノイズがして女性の言葉が聞き取れない…!

しばらくして急に私の意識は光に向かっていく…。

 

 

……………

…………

………

 

 

…そこで私は目を覚ました。ここは、どこかの医療施設、かな。

それよりさっきの夢はなんだったのだろう…? あまり内容が思い出せない…。

それより私はやけに電気の光が眩しいので光を遮ろうとしたけど、手があまりいう事を利いてくれない。

それどころか全身があまり動かせない。

それで無理に動かそうとして、

 

「痛ッ…!」

 

激痛が全身を駆け巡る。

よく見れば体中に包帯が巻かれている。 なんで…?

ふと、ベッドの上に重みを感じてそちらを見たらフィアが目を腫らして寝ていた。

どうやら私の事を見ていてくれたらしい。

起こすのも悪いと思ったけど現状を知りたいのでフィアを起こすことにした。

…だけど起こした瞬間、

 

「お、お姉様ッーーー!!」

「いだあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ーーー!!!???」

 

盛大に抱きつかれてあまりの激痛に絶叫してしまったのは、忘れたい…。

そしてまた気絶した。ブラックアウトする前に皆が駆けつけてきたけど、もう…ダメ。

 

 

◆◇―――――――――◇◆

 

 

Side 高町なのは

 

 

『いだあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ーーー!!!???』

 

私達はシホちゃんがもう大丈夫だという事が分かって、安心してユーノ君からレイジングハートとバルディッシュの破損状況の件について聞いていた時。

シホちゃんのとても尋常じゃないほどの叫び声がメンテナンスルームまで轟いてきて病室に向かうと気絶して白目を剥いているのにそれに気づいていないのかギュウッとシホちゃんを抱き“絞めて”いるフィアちゃんの姿があった。

 

「お姉様、お姉様ッ!!」

 

…よほど嬉しかったのかな?

でも、全身が動かせないほどの重症を負ったシホちゃんに容赦なく抱きつくなんて、

 

「フィアちゃん…」

「え…なのはさん…?」

「少し、頭冷やそうか…」

 

 

ミギャーーー!!?

 

 

フィアちゃんには少し地獄を見せてあげました。

内容は…言えません♪

あれー? どうしたのフェイトちゃん、そんなに顔を蒼白にしてガタガタと体を震わせて。

それにクロノ君とユーノ君は仲が悪いのにどうして怖いものでも見たような目をしてお互いに身を寄せ合っているの?

アルフさん、どうして動物形態になって毛を逆立たせて隅っこで丸くなっているの?

…まぁ、別にいいよね。シホちゃんの身を案じてした事だから私は何もいけないことはしていません。

 

 

 




最後はネタですが魔王を降臨させました。まだこれでも片鱗です(笑。

それではご意見・ご感想・誤字脱字報告をお待ちしております。

では。
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