【完結】剣製の魔法少女戦記   作:炎の剣製

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守護騎士との出会い話を書きました。

それではどうぞー。


第四十六話    『守護騎士との出会いの話』

 

 

 

 

Side シホ・E・シュバインオーグ

 

 

私の暴露話が終わりを告げて、改めて今回の事件について話し合われる事になった。

 

「それでですがエミヤは私と同じ能力を持っている。だから敵に回ったならそれだけ脅威ということになります。

だから今度接触したら戦うのは私が担当します。奴と対抗できるのは私だけだから」

「わかりました。でも無茶はだめですからね?」

「はい。それはわかっています」

 

私は笑みを浮かべながらそれに肯定した。

もう過去の話で自分でも思う無茶ぶりな性格は存分に知られたためにリンディさんも遠慮はしない方向で決めたらしい。

 

「それと魔力が回復するまで戦闘行為も禁止だからな」

「わかってるわよ。もう昔みたいに無茶はあまりしないと決めてるから」

「ならいいが…。さて、とりあえず主は判明したからいいとして次に守護騎士達の性質の話だな。彼らは人間でも使い魔でもない」

 

それでなのは達は驚きの声を漏らす。

 

「闇の書に合わせて魔法技術で作られた疑似人格。

主の命令に従って行動する、ただそれだけのためのプログラムにすぎないはずなんだ」

 

確かにそれが本当ならシグナム達は世界から召喚された意思を剥奪された英霊達と一緒の類にされるけど、けど私はシグナム達のうちに秘めた思いを知っているからただプログラムだけではないと思う。

だけどそれを聞いてフェイトが僅かに反応を示す。

 

「あの、使い魔でも人間でもない擬似生命っていうと………わたしみたいな」

「違うわ!!」

 

リンディさんの力強い否定の言葉でみんなは少し驚く。

でも、確かにそうだ。

フェイトはアリシアのクローンでもあるけどしっかりと命を宿して生まれてきた立派な人間だ。

誰がなんと言おうとその事実は変わらない。

 

「フェイトさんは、生まれ方が少し違っていただけで、ちゃんと命を受けて生み出された人間でしょ」

「検査の結果でも、ちゃんとそう出てただろ。変なこと言うものじゃない!」

 

とりあえずリンディさん達がフェイトの味方でよかったと思う。

フェイトの境遇だと運が悪ければIFの話になってくるけど実験材料にされていた未来も最悪あったかもしれないのだから。

 

「はい。ごめんなさい…」

 

それでフェイトは萎縮してしまい素直に謝った。

エイミィさんが空気を変えようと思ってモニターを表示させた。

 

「守護者達は闇の書に内蔵されたプログラムが人の形をとったもの。

闇の書は転生と再生を繰り返すけど、この四人はずっと闇の書とともに様々な主の下を渡り歩いている…」

「意思疎通のための会話能力は過去の事件でも確認されてるんだけどね。感情を見せたって例は今までないの」

 

おそらくだけど今までの主ははやてのように愛情を注ぐほど密接な関係にはならずにただ従うだけの騎士として付き従ってきたからだろう。

 

「闇の書の蒐集と主の護衛…彼らの役目はそれだけですものね」

「でもあの帽子の子、ヴィータちゃんは怒ったり悲しんだりしてたし…」

「シグナムからもはっきりとした人格を感じました。なすべきことがあるって…仲間と主の為だって…」

「主のため、か…。同一人物のシホとしてはエミヤの行動はどう思う?」

「わからない。…彼は英霊のエミヤなのか、それとも平行世界のもう一人の私なのかが、エミヤがいうように記憶喪失でわからない以上判断のつけようがないわ」

「そうか」

 

後で会ってしっかりと記憶を思い出してもらわないといけないわね。

 

「それにしても、闇の書についてもう少し詳しいデータが欲しいな」

 

それに関しては私も同感である。なにか詳しい情報がつかめればはやてを救う手掛かりが見つかるかもしれないから。

それで何を思ったのかクロノがユーノとフィアに頼み事をした。

 

「ユーノ、フィアット。明日から少し頼みたい事がある」

「ん? いいけど…」

「なんですか、クロノ…?」

「ちょっとね」

 

二人に用? ってことは調べ者関係かしら?

なら、フィアもこっちの事情を説明して引き込んでおこうかな?

そんな事を思いながらその晩はフェイト達の家で食事をしてなのは達と一緒に自宅に帰宅した。

 

 

◆◇―――――――――◇◆

 

 

Side フェイト・テスタロッサ

 

 

なのはとシホ達が帰宅していた後、リンディ提督達とまた話し合いをしていた。

 

「しかし、シホの話は思った以上に応えたな」

「そうだねー。シホちゃんって話に聞いただけだけど本当に元は男性だったのかなってくらい女の子だし」

「その件ではないんだが…まぁ世界を超えたときの修正といったか。精神を子供にまで退化させて、さらに魂を女性に塗り替えてしまうなんて世界というのは本当に神秘の力を秘めているな」

「うん、そうだね」

「ですがそれが今のシホさんを構成しているのですからいいことだと思うわ。昔の衛宮士郎という理想を追い続けていた青年の頃のままだったら今回の件から手を引かせていたと思いますし」

「そうですね。今でも少し無茶な部分があるけどそれはイリヤという義姉のまさに命がけのおかけで自身の命を勘定にいれていない所や無茶する性格は矯正されたんだと思いますし」

「…でも、シホの元の世界って、世界のあり方を否定できるほど私は偉くないですけど…なんていうか聞いていて嫌な世界だと思いました」

「そうだね、フェイト。あたしが特に嫌だと思ったのはその世界の魔術師のあり方だね。

中にはシホやその師匠さん達みたいな人もいるだろうけどそんなのは極稀で基本人助けなんて二の次な連中の集まりだろ?」

「そうですね。魔術の実験といって町一つを生贄に捧げるなんてわけない人もいるわけですし。

それに紛争地域の人々はどうせ死ぬんだから、殺されるんだからと勝手に決め付けて尊い命に値段をつけて攫っては実験材料にしてしまう魔術師もいるわけでして…。

とても私達魔導師とは相容れそうにありませんね」

「ですが僕達の世界にもそういった人を攫う違法組織は存在するわけで一概に世界のあり方を否定できないのが痛いところですね。

そしてそんな世界だったからこそシホはすべてを救う正義の味方という夢物語のような理想を目指してしまった。

衛宮切嗣という人物を否定するわけではないけど、シホが言うように呪いという言葉はしっくりとくる。その際たる例が英霊エミヤという存在だな」

 

その名前が出てきた途端、私は悲しい気分になった。

 

「…私は、一度は母さんに存在を否定されたけど最後の瞬間には本当の想いを知ることが出来た。

でも、シホはエミヤとの戦いで未来の自分自身の手で存在を全否定されてしまった…。

結果的にエミヤはシホを認めたらしいけど、でもそこまで後悔するほどに正義の味方になるべきではなかったと思うようになるのにはどれだけ絶望を味わってきたのかな…?」

「世界の奴隷…世界を滅ぼしうる因子が発生したと世界が認識して初めて召喚される守護者。

しかし召喚されるタイミングはいつもすでに手遅れな現場。

関わったすべての人間を殺す事によって事態を終息させる自由意思を奪われたエミヤ曰く掃除屋…」

「世界という意思も残酷ですね。エミヤは世界と契約すればもっと助けられる人の数が増えると思い契約したのに殺戮だけを命じるんですから…」

「シホは…イリヤさんのおかげで世界ともう契約をしないと心に決めているけど、でもまた語りかけてくるかもしれないと思うと…怖いです」

 

私は自分の体を抱きしめて震える体を必死に抑えた。

 

「語りかけてくる世界の声か。そんなオカルト染みた話ももしかしたらこの世界にも存在するのかもしれないな。

この世界の地球にもシホの世界の地球と同様に様々な英雄の話があるし、次元世界も含めるとベルカ時代の名のある王や騎士達も座という場所にいるかもしれない。

なんせ過去・現在・未来・並行世界・果てには創作の架空の人物ですら名が残れば英霊として昇華するんだからな」

「でも私は、シホにそんな場所にいってほしくない」

「そうだね。でももう大丈夫じゃないかな?

今のシホちゃんは正義の味方という理想はある事には変わりないけど、けどもう内容は【すべてを救う正義の味方】から【大切な人達を守れる正義の味方】に変化しているから。

きっと大丈夫だよ」

「そうですね。それにイリヤさんの願いであるシホさんの幸せの探求も私達で一緒に探していけばいいと思うわ」

「そうですね、母さん。だからシホの秘密は管理局には伝えないほうがいいと思います。

なんせシホは言い方があれですが質量兵器の塊ですからばれたらレアスキル判定どころでは無くなってしまいます。

だから報告は今まで通り武器庫からの転送魔術として話を通しましょう」

「そうね」

 

うん。それはもうみんな承知していると思う。

だってシホは新たな人生で幸せを探求しようと頑張っているのにこの内容でシホがまた何らかの組織に目をつけられたらいけないから。

そこでふと私は自分の相棒であるバルディッシュになにも聞こえないように施していなかった事に気づく。

 

「…バルディッシュ。もしかしてさっきのシホの話した内容。記録しているとか言わないよね?」

《……………》

「ねぇ、なんで答えてくれないのかな?」

 

それでつい何度もシェイクしてしまった。

 

「…とりあえず、後で調べてみようか。記録されていたらやばいからもしされていたらそのフォルダだけ消去しなきゃいけないからね」

「そう考えるとレイジングハート、マグナ、アンリミテッド・エアも聞いていた訳だな」

「後で全機点検をお願いね、エイミィ」

「了解です、艦長。あ~、でも…」

 

そこでなにやらエイミィがなにか怪しい笑みを浮かべだした。

なんだろう。よくないことが起こりそう。

 

「この間の銭湯の時にね、美由希ちゃんに聞いたんだけどお風呂の時のシホちゃんはとってもしおらしくなるんだって。

思考が女性寄りになっちゃったけどやっぱり男性のときの名残があるのかな? 恥ずかしいのかもね、シホちゃん」

「それは当然だろう、エイミィ。もう女性とはいえ男性の時の記憶が残っているんだから」

「そういえばなのはやすずかに聞いた話だといつもお風呂は一人で済ませちゃうらしいよ、シホは。

だけどそれを良しとしない美由希さんや桃子さんがシホが入浴中にいつも乱入していっているらしい」

「ちょっと待って。美由希ちゃん達ってシホちゃんの真実を知っているメンバーだよね? なのにお風呂に乱入するって…」

「なのはが美由希さんに聞いたところシホは男女関係なく裸を見られるのが恥ずかしいらしくてそんな姿がなにかの琴線に触れているとか…。

なんでもエイミィの聞いた話と同じでお風呂時に限り数倍しおらしくなるとか言うんです」

「なんとなくその気持ち、分かるかも…」

 

なにかを想像したのかエイミィの顔が妙ににやけている。

 

「でも、あれ? すずかってシホの事が好きなんだよね? それってもしかして元男の子だからって事なのかな?」

「多分そうだろうね。話に聞いた誘拐未遂事件で颯爽と助けにやってきたシホちゃんの姿に惚れちゃったんだね、きっと!」

「それはそうと話を戻していいか?」

 

私とエイミィで色々話を盛り上げていたときにクロノが話を変えてきた。

もう少しこの話題をしたかったけどしょうがないか。

 

「シホの話で色々と判明した事があるのは確かだ。

投影という特殊な魔術、しかしそれは本当は固有結界という大魔術から零れ落ちた副産物。

宝具という神秘の塊をも作り出せる異常性…。

これはさっきも言った通り転送魔術として処理するとして、でもそれは今回敵として出てきたエミヤにも言えることだからもしかしたらシホからではなくエミヤから情報がばれてしまうかもしれない」

「そうだね。シホは転送魔法と言い張っているけどエミヤは特に隠している感じはしないから」

「不安ですね」

「まぁ今はどうしようもできないから保留として次に問題になってくるのがなぜシホが古代ベルカの魔法を使えるか、だ。

これに関しては以前から調べていたけどアインツベルン…これが大きく関係してくる」

「どういうこと? クロノ…」

「シホの世界のアインツベルンという一族はもしかしたら元を辿れば僕達の世界の人間だったかもしれないということだ」

 

それって、やっぱりシホの見た謎の夢が関係してくるのかな?

 

「エイミィ、データを頼む」

「了解」

 

それでエイミィが操作して映像を展開させると以前に聞いたオリヴィエ・ゼーゲブレヒトという人物の絵画が映された。

 

「聖王には『聖なる錬金術師』というアインツベルンの魔導騎士が専属でついていたという。

そしてシホが夢の中で見たという王女の力によって異世界に飛ばされるという女性の夢。

さらにシホの元の体の原型はアインツベルン。

この三つの事柄は偶然という言葉で無視できる代物じゃない」

「そうね、クロノ。私の感が正しければ明日ユーノ君とフィアットさんを無限書庫に連れて行くのでしょ? ならこれも一緒に調べてもらったらどうかしら」

「わかりました」

 

これでなにか分かればいいな。

シホの事だから気になっていると思うし。

そんな感じで一応今日の話し合いは幕を閉じた。

 

 

◆◇―――――――――◇◆

 

 

Side エミヤ?

 

 

昨日の戦いから翌日になり今はヴィータだけが蒐集に出ていて残りははやての帰りを待っているところだ。

そこにシャマルが電話をしていたのかリビングに入ってきた。

 

「はやてちゃん、もうじき帰ってくるそうよ」

「そうか」

「ヴィータちゃんは、まだ?」

「かなり遠出らしい。夕方には戻るそうだ」

「あなたは、シグナム?」

「なにがだ?」

「だいぶ魔力が消耗しているみたいだから」

「お前達の将はそう軟弱には出来ていない。それをいうならアーチャーはどうなんだ?」

「私か? 今は大丈夫だ。節約モードで魔力の消費も抑えているからな。派手に投影を繰り返さない限り支障はない。

…しかしシグナムはあの最初の出会いの印象から比べればだいぶ物腰が柔らかくなったものだな」

 

シャマルもその意見には賛成のようで私の言葉に合わすように、

 

「そうね。シグナムも昔はそんな風には笑わなかったわ」

「そうだったか…?」

「はやてのお陰というべきだな。私も当初ここに来た時には神経をかなり逆立たせていたからな」

「シグナムだけじゃない。アーチャーさんもだけど、私達は全員ずいぶん変わったわ。みんな、はやてちゃんが私達のマスターになってからよね」

 

それで私はヴォルケンリッター達との出会いを思い出す。

 

 

◆◇―――――――――◇◆

 

 

…あれははやての誕生日の日の事だった。

その時まではまだ皆はいなく石田先生が家に来て共に祝って帰っていった後、

 

「今年は寂しくないわ。アーチャーが一緒にいてくれるから」

「そうか。しかし、本来の姿に戻れずこんな鷹の姿ではやての手伝いも禄に出来ずすまない…」

「ええんよ。アーチャーは記憶喪失でおまけに鷹さんの姿で確かに役に立ってへん…」

「ぐっ…」

「けど、一緒にいてくれるだけで私は嬉しいんよ。色々なお話もできるしな。アーチャーは記憶喪失の割に自分の事以外は博識やからな」

「それならば幸いだ」

 

それで私ははやての部屋に着くとはやてはベッドに入り私も高いところに設置してある台にとまり静かな時間を過している時の事だった。

突如として本棚に納まっていた以前から魔力が感じる鎖で巻かれた茶色の本が起動しだした。

 

「何事だ!?」

「本が…宙に浮いとる」

 

それで私ははやてを守るように前に出た。

しばらくして本を縛っていた鎖が砕け散り本が閉じると「起動」という音声を発して次にははやての胸辺りから小さい魔力の塊(後にリンカーコアだと知る)がでてきて一際光を放ち私も目を瞑ってしまう。

光が晴れると私とはやての前には四人の男女が片膝をつき跪いていた。

 

「…闇の書の起動を確認しました」

「我らは闇の書の蒐集を行い、主を守る守護騎士にてございます」

「夜天の主の下に集いし騎士」

「ヴォルケンリッター。何なりとご命令を…」

 

主、というのはおそらくはやての事だろう。

見ればはやてはあまりの出来事に気絶してしまっていた。

だから変わりに私が話をすることにした。

だが私が「お前達は何者だ?」と問いただすと逆に「お前こそ何者だ!?」と激昂気味に赤い髪の少女に問い返されてしまった。

 

「私か? 私ははやての…使い魔、みたいなもので家族だ」

「みたいなものとは…?」

「契約を結べていないのだよ…」

 

それから私について少なからず伝えるとなんとなくだが納得してくれたようだ。

 

「それでだが、はやてが気絶してしまっているのでね。一応だが病院に連れて行きたいのだが私では連れて行けない。

こちらは面識はあるが相手の先生は私をただの鳥だと思っている事だからな。

だから変わりに病院に連れて行ってもらって構わないか? 一応検査しないとはやての身が心配だ」

「承知した」

「君達の紹介や闇の書といったか?などの話などに関してははやてが起きている時にでも一緒にしてくれれば助かる」

「わかりました」

「了解した」

「……………」

 

そこで赤毛の少女が黙って睨みつけてくる。

 

「どうした…?」

「お前、なんか気に食わねぇ!」

「ほぅ、やるかね?」

 

そう言うとハンマーのような武器を取り出したので、私は空中に複数の剣を投影して構える。

しばらく膠着状態が続いていたが、

 

「やめんか馬鹿者」

 

ポニーテールの女性が赤毛の少女に拳骨を振り下ろしていた。

 

「いってぇ…なにすんだよ!」

「それはこちらの言葉だ。仮にも主の家族と名乗るものに矛を向けるとは何事だ」

「だけどよ…」

「ヴィータちゃん、ただ気に食わないからって手を出しちゃ駄目でしょ?」

「少しは落ち着け、ヴィータ」

 

どうやら一段落がついたようだ。

それで私は剣達を消した。

 

「ッ!」

 

だがそこで久方ぶりに魔術を行使したのが原因でその場で崩れ落ちてしまった。

 

「おい、どうした!?」

「…す、すまない。契約者がいないのでどうしても魔力を使う=身を削る行為になってしまうのだ」

「先にそれを言えよ!」

「先に仕掛けてきたのはお前だろうに…」

「うっ…!」

 

それでヴィータと呼ばれた少女は気まずそうな表情をする。

しかしいい加減気絶したはやてをどうにかしないとと思った私は話を再開して、

 

「それよりはやてを運ぶのを手伝ってくれ。病院は私が案内する。その…できれば名前を教えてくれれば助かる」

「そうだったな。私はヴォルケンリッターの将で『剣の騎士』である“シグナム”だ」

「…あたしは『鉄槌の騎士』の“ヴィータ”だ」

「私は『湖の騎士』の“シャマル”です」

「私は『盾の守護獣』、“ザフィーラ”だ」

「そうか。では私からも紹介したほうがいいな。記憶喪失で名は思い出せないが『錬鉄の魔術使い』、仮名で“アーチャー”だ。よろしく頼む」

 

それから病院まではやてを運び私が石田先生の肩に止まると、

 

「アーチャーくん、はやてちゃんを連れてきてくれてありがとう。でも、あの人達はどなたさんですか?」

 

いや、一応鳥の私に話しかけても話せるわけないだろう。

私はいつもはやてと共に病院まで来ているから怪しまれていないがヴォルケンリッターの一同は服装が統一した黒一色の服装なので怪しさ全開である。

どうしたものかと考えていたがそこではやてが目を覚ましてなにやらシグナムと念話かなにかで会話をしているようだ。

話がついたのかはやては口を開く。

 

「あー、石田先生。あの人達は私の親戚なんです」

 

そんな感じであれよあれよという間にシグナム達ははやての親戚ということになり家に帰された。

そして家に到着して守護騎士達ははやてに自分達の使命について語ろうとしているが、どうやら私は関係ないらしく話をする前に席を外してもらえないかと言われた。

はやての身を案じてどうするべきかと悩んだが隣からはやての「待った!」という声が聞こえてきた。

 

「アーチャーも私の立派な家族や。だから仲間はずれしたらあかん!」

「ですが…」

「言うこと聞かんのやったら話はきかんよ?」

 

それではやての言い分にヴォルケンリッター達は折れて私も話しに参加できた。

内容としては自分達ヴォルケンリッターについてと闇の書、魔力の蒐集についてなど。特に関心を示した内容は666という数字。これにはなにやら不吉なものを感じた。

しかしはやては話を聞き終えると、

 

「私はなにかそういった縁があるんかもな」

 

笑いながらそういった事を話すはやては私との出会いのことを思い出しているのだろう。

確かにそうかもしれないな。

守護騎士達は何のことかわかっていないみたいだがな。

 

「まあ、とりあえず、わかったことが一つある。

闇の書の主として、守護騎士みんなの衣食住きっちり面倒見なあかん言うことや。

幸い住むとこはあるし、料理は得意や。

みんなのお洋服買うてくるからサイズ計らせてな?」

 

守護騎士達は面を食らったような表情をしているようだ。

それで私は思わず吹いて、

 

「ふっ、はやてらしいな」

「そやろー! ホンマはアーチャーの服も今からでも手配したいところなんよ?

でも人型になると魔力消費が激しい言うから我慢してったけど今回はいい機会や!」

「そうか。まぁいつまでもこんな服装にしとくわけにもいかないからな」

 

それからはやてが全員分のサイズを測り服装などを購入していった。

しかし、以前から思っていたがはやての親の友人で財産管理をしているグレアムという人物は何者なのか?

はやてが財政難に会わないのもこの人のおかげといってもいい。

 

 

閑話休題

 

 

とにかくはやては守護騎士達を私同様に家族に扱い、闇の書の蒐集に関しては望まなかった。

願えば足の麻痺も治せるかもしれない。

でもはやてはその為に人様に迷惑をかけるのは駄目だといって蒐集の禁止を命じた。

だから私達はただ家族が増えて一段と賑やかになった家庭で楽しく過していった。

 

だが、そんな日々に陰りが出てきた。

守護騎士達が現れてから半年くらい経った頃。

はやての足の病の進行速度が上がっていていずれ内蔵機能にも達して命にもかかわるという知らせ。

 

シグナム達がいうにはこれはただの病ではなく、闇の書の呪いというものだった。

はやての体…正確に言えばリンカーコアと闇の書は密接に繋がっていて抑圧された強大な魔力がはやての体を蝕み健全な肉体行動はおろか、生命活動さえ阻害しているという。

そして闇の書の第一の覚醒で呪いの進行は加速した。

シグナムがいうには覚醒と共に現れた彼女らの活動も維持していて、極僅かとはいえはやての魔力を使用している事も無関係ではないらしい。

その事実を知ったヴィータはシャマルに病気を治せないかと泣きついていた。

皆も同じ思いでその表情から辛いものが滲み出ていた。

それはそうだ。知らず知らずのうちに自分達が主であるはやてを苦しめていた要因になっていたのだから。

そしてシグナム達はある決断を決める。

私には相談しないで四人だけでビルの屋上に集い、

 

「主の体を蝕んでいるのは闇の書の呪い」

「はやてちゃんが、闇の書の主として真の覚醒を得れば」

「我等が主の病は消える。少なくとも、進みは止まる!」

「はやての未来を血で汚したくないから、人殺しはしない。だけど、それ以外なら…なんだってする!!」

 

そして四人の地面に魔法陣が浮かび上がり、全員の姿が甲冑姿に変わっていく。

 

「申し訳ありません、我等が主。ただ一度だけ、あなたとの誓いを破ります」

「―――ならば私にもその話、かませてくれないかね?」

 

そこに私が登場すると全員が驚きの表情をした。

 

「アーチャーさん…。どうして…伝えていなかったのに」

「君達が切羽詰った行動を取るとすればおのずとわかる答えだ。それに、水臭いぞ? 私もはやての事を助けたいと思っている」

「でもお前はまともに戦える体じゃないだろ!!」

「その通りだ。だが気持ちだけはお前達には負けない自信はある」

「…本当にいいのか? これから私達が行う事に手を貸せばお前も犯罪者扱いされるのだぞ?」

「承知だ。そうでなければここに出てこない。…だが、今はまだ魔力が足りない。だから今は私もより魔力を溜めることにする。その時が来たら手を貸そう」

「…すまない。私達の問題にお前も巻き込んでしまい…」

「気にするな」

 

それから私達ははやてには内緒で蒐集活動をすることに決めたのだった。

そのすべてははやてを助けるために…!

 

 

◆◇―――――――――◇◆

 

 

「あの決意から時間が経った。ページもシュバインオーグのおかげで決壊魔法でのページの使用分以上は貯まった」

「シホちゃんの協力も得られた今では心強いものを感じますね」

「しかし、闇の書の完成が破滅を招くというのは…。悪い予感というのは当たるものだな」

「アーチャーは予想していたのか?」

「なんとなくはな…。呪いというのは大抵ろくな事にならないからな。魔術の世界でもそれは当然だった」

「お前の知識でどうにかならないか?」

「不甲斐ないが私にもそういった詳しい知識はない」

 

それでシグナム達は暗い表情をしてしまった。

 

「そう暗くなるな。まだ希望を見失ってはいけない。シホ・E・シュバインオーグが色々と裏から調べているのだろう? 今はそれを待とうではないか」

「そう、ですね…今はもうシホちゃんの情報だけがはやてちゃんを救う手ですから」

「だがそれでも蒐集はやめない。それが破滅を招くかもしれないとしても…」

「そうね」

「そうだな」

 

そして私達は改めてはやてを救う事を心に誓った。

 

 

 




結構過去話は続きますね。

それではご意見・ご感想・誤字脱字報告をお待ちしております。

では。
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