【完結】剣製の魔法少女戦記   作:炎の剣製

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シホは仮面の男の正体に迫っていきます。

それではどうぞー。


第五十話      『見えてきた光』

 

 

 

Side シホ・E・シュバインオーグ

 

 

対策室にて私達は会議をしているところだった。

まずはフェイトに関してだろう。

 

「フェイトさんはリンカーコアにひどいダメージを受けているけど命に別状はないそうよ」

 

リンディさんのその報告で会議室にいた者たちはホッと息をつく。

 

「私やシホちゃんと同じように魔力を吸収されちゃったんですね」

「アースラの稼働中でよかった。なのはやシホの時以上に救援が早かったから」

「だね」

 

なのはがそう言いクロノがアースラに関して言ってリーゼロッテさんがそれに頷く。

 

「三人が出動してしばらくして駐屯所の管制システムがクラッキングであらかたダウンしちゃって…。

それで指揮や連絡がとれなくて、ゴメンネ…。あたしの責任だ」

 

エイミィさんがそう言って謝罪の言葉を述べる。

でもそれはしょうがないことだと思う。

まさか管理局謹製のシステムに介入できるほどの相手がいるというのが驚きなのだから。

 

「んな事ないよ。エイミィがすぐにシステムを復帰させたからアースラとの連絡が取れたんだし、仮面の男の映像だってちゃんと残せた」

 

リーゼロッテさんが仮面の男の画面を映し出す。

 

「でもおかしいわね? 向こうの機材は管理局で使っているものと同じシステムなのに、それを外部からクラッキングできる人間なんているものなのかしら?」

「そうなんですよ。防壁も警報も全部素通りでいきなりシステムをダウンさせるなんて…」

「ちょっとありえないですね」

「ユニットの組み換えはしているけどもっと強力なブロックを考えなきゃ…」

「それだけすごい技術者がいるってことですか?」

「うん。もしかして組織だってやっているのかもね」

 

なのはがそう言ってリーゼロッテさんがそう答えるけど多分それは違うと思うな。私の考えとしてはスパイかなにかがいるという考えが浮かんでいる。

 

「シホから見て状況はわかっているのか?」

「ええ。シグナムはフェイトとの戦いを邪魔されて仮面の男が去った後、私にテスタロッサにすまないと伝えてくれ、と言われたわ」

「そうか。ところで…シホ、一つ気になったんだがその肩にかけている布で巻かれている長いものはなんだ?」

「…ん? 今頃気づいたの?」

「いや、みんなだいたい気づいていると思うが…」

「フフフ…なに、ただフェイトのリンカーコアの魔力をみすみす奪われるだけだなんて護衛についていった私のプライドが許さないわ。

アーチャーと戦っている間でもフェイトの叫びが聞こえて咄嗟に私は“あるもの”を仮面の男の肩に当ててやったわ」

 

すると一瞬だがリーゼロッテさんの私に向ける視線の感情傾向が変わった。

そこから読み取れたのは、一番強いのは怒りだろう。

ふーん? 面白いわね。

 

「なにを当てたんだ?」

「ふふふ…今は内緒♪」

「そうですか。それじゃ話を戻しまして、アレックス。アースラの航行に問題はないわね?」

「ありません」

「うん…。では少し早いですがこれより司令部をアースラに戻します。各員は所定の位置に」

「「はい!」」

 

そうリンディさんは締めくくるとリンディさんは私となのはの方へと向いて、

 

「なのはさんとシホさんはおウチに戻らないといけないわね」

「あ、はい。でも…」

「フェイトさんの事なら大丈夫。私達がちゃんと見ておくから」

「はい」

「あ、それとちょっといいですか?」

 

私はある提案をする。

 

「なんですか、シホさん?」

「ちょっと帰る前に小話があるので艦長室に寄っていいですか? 一緒に来て欲しいのはリンディさん、クロノにエイミィさん、アルフ、なのはです」

「そっか。それじゃあたしは戻るとするね」

「それじゃ艦長。僕も失礼します」

 

リーゼロッテさんとアレックスさんが部屋を出ていき私達は艦長室へと向かった。

でも向かう前にクロノがリーゼロッテさんの方を向いて険しい顔になっていたけどクロノも気づいた口かな?

そして艦長室に到着して全員入室したら部屋の鍵をロックし、防音の魔術を発動する。

 

「…シホさん。いきなりなにか魔術を執行しませんでしたか?」

「それに手際よく鍵をロックしたよね? 暗証番号もあったと思うんだけど…」

「そんなものはとっくに解析して取得しました」

「…今、さらっと管理局のシステムに喧嘩を売ったような気がしますが今は流しておきましょう。それだけ大事な話があるということですね?」

「はい。話す内容はこの槍についてです」

 

私が布を解き必滅の黄薔薇(ゲイ・ボウ)を顕にする。

 

「今回は黄色い槍か。それはなんの効果があるんだ? それを仮面の男に当てたんだろう?」

「ふふ…正解。わざわざ回収までしたんだから無駄骨にならないことを祈るばかりね」

「シホちゃん。どうして魔力に戻さないの…?」

「それだと効果が消えちゃうからよ。この槍の呪いがね」

「呪い、ですか…」

「もしかしてシホちゃん。その槍って破魔の紅薔薇(ゲイ・ジャルグ)と対になっている槍だったりする…?」

「エイミィさん、よくわかりましたね。この槍は真名を必滅の黄薔薇(ゲイ・ボウ)。与えた傷はこの槍が折れないか消えない限り傷の回復を一切望めない魔の槍です」

「ということは仮面の男の左肩には傷が残っているっていうことですか?」

「はい。かなり深く抉りましたから傷が治癒魔法で治らず焦って今もかなりの激痛が走っていると思いますよ?」

「えげつないねぇ…」

「敵を炙りだすには効果的でしょう? 私の見解としてはスパイがいると睨んでいるのよ。

さっきの話内容ですけどこうも簡単にシステムに侵入してくるなんてそれこそ内通者がいても不思議じゃない」

「君もそう思っていたのか?」

「クロノはもう、その先も感づいているようだけどね」

「まぁね…」

 

私が笑みを浮かべるとクロノもフッと笑う。

それでなになに?とエイミィさんが聞いてくるけどそれで今回はまだ判明していないという事で話すのは保留にしておいた。

 

アーチャーの件に関してはまだはやての事がばれるのはまずいと思って話さない事にした。

どうして私と魂が分裂してしまったのか? という事情はともかく今のアーチャーの状態は記憶を見ることで把握してしまったから。

なぜかは知らないけど鷹の姿で“私達”の世界の使い魔状態になってしまい魔術回路持ちがいなくて契約できず人間の姿になるのも苦労する程魔力が少ないという状態であるということを。

 

そして話はお開きになり私達は部屋から出て行った。

 

 

◆◇―――――――――◇◆

 

 

その翌日の朝方、フィアから宝石剣の欠片の通信機で通信があり新情報が手に入ったとのことで話を聞いていた。

 

『お姉様、新情報です。まだクロノとかにも伝えていないものですけどいいですか?』

「いいけど、ばれない…?」

『大丈夫です。今は休憩の時間を使っていますから。ですけど手短にしますね』

「そ。それじゃお願い」

『わかりました』

 

そしてフィアが教えてくれた情報はまず闇の書は本当の名ではなく正式名称は『夜天の魔導書』。

その用途として本来の目的は各地の偉大な魔導師の技術を蒐集して研究するために作られた、主と共に旅をする魔導書。

破壊の力を振るう様になったのは歴代の魔導師がプログラムを改変してしまったからだと思うらしい。

 

「迷惑な話ね…。夜天の魔導書も災難だっただろうに…」

『全くですね。それじゃ続けます。その改変のせいで旅をする機能と破損したデータを自動修復する機能が故障しているらしいです』

「故障ね…。改変した魔導師もいいかげんな仕事をしたわね」

『はいです。そして一番酷いのが持ち主に対する性質の変化です』

「性質の変化…?」

『一定の期間が蒐集がないと持ち主自身の魔力や資質を侵食し始めるし、完成したら持ち主の魔力を際限なく使わせる。無差別破壊の為に…。

ですからこれまでの主は書が完成してすぐに…』

「ふむ。なるほどね。それで停止や封印方法などとかはわかった…?」

『それは今兄さんと調べているところです。でも…完成前の停止は難しいです』

「どうして…?」

『闇の書が真の主と認識した人間でないとシステムへの管理者権限を使用できないんです』

「管理者権限、ね…」

『つまりですね。プログラムの停止や改変ができないんです』

「それはまた…」

『無理に外部から操作しようとすれば主を吸収して転生しちゃうシステムも入っています』

「なるほど…」

『これで今のところは情報はすべてです』

「わかったわ。ありがとう、フィア」

『いえいえ♪ なんでも言ってください。お姉様の頼みならなんでも聞いてみせます』

「そ、そう…。でもそうなると、外からの力ずくは駄目、闇の書の直接干渉も駄目。と、なると後残されてくる手としてはやっぱり…」

『なにか思いついたんですか、お姉様?』

「ええ。望みはまだ薄いけど闇の書の完成と同時に管理者権限をはやてに握らせればいいんじゃないかしら?」

『それは、難しいのではないでしょうか。完成と共に主は闇の書に意識を奪われてしまいます』

「そこをどうにかするのが私達魔術師の腕の見せ所よ。なんとか考えてみるわ」

『そうですか。頑張ってくださいお姉様』

「ええ。…ところで、ねぇフィア。ちょっといい?」

『はい? なんでしょうか』

「あなた達には確かリーゼ姉妹が手伝っているのよね?」

『はい。それが…?』

「最近おかしい事とかない? 特にリーゼロッテさんのほう…」

『リーゼロッテさんの方ですか? あ、そういえば最近時たま一瞬だけですけど何度か苦悶の表情をする時がありますけどすぐに元の顔に戻るといった行動があります』

 

ビンゴ…!

 

「分かったわフィア。ありがとう。また頑張ってね」

『はいです! それじゃそろそろ休憩時間が終わりますので失礼しますねお姉様』

「ええ」

 

それでフィアとの宝石剣の欠片による通信を終了させると学校の準備をする。

と、そこに違う欠片が光りだした。

その欠片はシャマルさん用であった。

それで通信に出てみると、

 

『あ、シホちゃん!』

「シャマルさん? どうしたんですか?」

『それが…! はやてちゃんが倒れちゃって今病院で検査をしているところなんです』

「はやてが…!?」

 

それで色々と会話をして私は放課後に向かう事をつげて通信を終了した。

 

「もう猶予が切れるのは近いという事か…。出せる手はできるだけうっておいた方がいいわね」

 

そこに「シホちゃーん、朝ごはんだよー」となのはが部屋に入ってきたので私はとりあえず今日の放課後から作戦を立てる事を思案した。

 

 

◆◇―――――――――◇◆

 

 

そして放課後、私はなのは達に用があると言って八神家に向かった。はやては病院に入院するとのことでもう全員帰っているらしいとのことで。

呼び鈴を押し扉を開くと、

 

「あ! シホちゃん!」

「シュバインオーグが来たか」

「シホ! はやてが…!」

「分かっているわ、ヴィータ。もうそんなに時間の猶予がないのでしょう?」

「ああ、もう余り時間をかけられない…」

 

ザフィーラがそう言う。

そこに続けて上のほうにいたのか鷹が一羽舞い降りてきた。

 

「…アーチャー。あなたもいてよかったわ」

「私ははやてを守ると誓っているからな」

「そう。やっぱりあなたは“私”なのね、アーチャー。いえ、衛宮士郎」

「お前こそな。シホ・E・シュバインオーグ…いや、衛宮士郎」

 

シャマルは「え? え?」と戸惑っている。見回してみれば全員困惑の表情をしていた。

 

「アーチャー…。お前、記憶を取り戻していたのか?」

「ああ。言わなかった事を謝罪しよう。この通り記憶はすべて取り戻した。シホ・E・シュバインオーグとの戦いでね」

「本当なのか…? それよりアーチャーはともかくシュバインオーグが衛宮士郎というのはどういうことだ?」

「それはね…?」

 

私はこの世界に来る前の経緯を簡単に説明した。

本当の私の姿は衛宮士郎だが今はイリヤの体を素体にした人形に乗り移った事を。

そして魂が女性に塗り替えられ完全に女性になってしまった事を。

さらに世界を越える際に私と士郎の魂が分離してしまって、士郎の魂が鷹へと姿を変えて私達の世界の使い魔状態になっているという事を。

 

「そんな事が…。だがそれで納得した。子供であるのにその技術はありえないと常々思っていたからな」

「どうして魂が二つに分かれたのか以外はこれが真実よ」

「そうなのか。アーチャー? いや、士郎でいいのか?」

「ああ、シグナム。私とシホ・E・シュバインオーグの記憶は同質のものだという事が分かった時にすべて思い出した」

 

それで守護騎士達は全員驚いた顔をしていた。

 

「でも、士郎が実体のない使い魔化している状態である意味助かったわ」

「…どういう意味だ? 私はこれでかなり苦労しているのだぞ?」

「はやてを助ける手助けが出来るからよ」

『なっ!?』

 

それで全員声を上げる。

 

「それは、一体…?」

「その前に話しておくわ。新たに判明した闇の書…いえ、正式名称『夜天の魔導書』の今の現状を…」

 

それから私はフィアに教えてもらった情報をシグナム達に伝える。

話をしだしていく内にしだいに全員の顔色が険しくなっていく。

そしてすべて話し終えると、

 

「ばかな…!」

「そんな…」

「それじゃはやてを助ける事ができない…!」

「どうすればいいのだ…」

 

守護騎士達は一様に落ち込んでいるようだ。

でもまだ解決策を伝えていない。

 

「だから私なりに解決案があるというのよ。士郎が協力してくれれば救える倍率はかなり上がるわ」

「教えてくれ。私に出来る事ならばなんでもしよう」

「士郎…。そんな自身を犠牲にするような言い方はやめて。イリヤとの自身を大切にし幸せを探すという約束を破りたいの?

それに私達はもう『全てを救う正義の味方』じゃなくて『大切な者達を護れる正義の味方』でしょ? だから私達が犠牲になるなんてやり方は私は断じて認めないわ」

「そう、だったな…忘れるところだった。思い出させてくれてすまない、シホ…」

「いいわよ。私自身の事なんだから」

「そうだな」

 

士郎も落ち着いたようだ。

さて、それじゃ話すとしましょうか。

 

「それじゃ私なりの解決案だけど、それははやてに管理者権限を握らせる事よ」

「で、でもよシホ。完成したらはやての意識は眠りについちまうんだろ? それはどうすんだ…?」

「落ち着きなさいヴィータ。ここからが士郎の出番よ」

「私の…? 何が出来るというのだ? 使い魔状態が関係しているのか?」

「ええ正解。それは、士郎がはやての精神に憑依するのよ」

「憑依…?」

「ええ。闇の書自体の干渉が無理ならはやて自身の方をどうにかしてしまえばいいのよ。

闇の書が完成したらはやては取り込まれる=一緒に憑依している士郎も取り込まれることになる。

もしかしたら闇の書に異物として判断されて吐き出されるか排除される可能性が無きにしもあらずだけど、ここは賭けね。

そして取り込まれた後は士郎が必死に語りかけるのよ。はやての意識を呼び覚ますために…!

そして守護騎士のみんなは過去から続く闇の書の内容ではやてが管理者権限を握るまでの間、闇の書におそらく取り込まれると思う。

それまでどうか耐えていてほしい…。その間は暴走した闇の書の管制人格は私となのは、フェイト達でどうにか抑えるから」

 

それで部屋は静かになる。

だが別段悪い空気じゃない。

わずかの希望が見えてきたことにより部屋の中は少しばかり歓喜に満ちていた。

 

「…本当に何から何まで済まない、シュバインオーグ。主はやての御身、頼むぞ」

「ええ。でも感謝の言葉ははやてを救い出すまで取っておいてほしいわ。私自身、分の悪い賭けだと自覚しているから」

「それでも…はやてを救える可能性が出来たんだ。だからあたし達じゃ無理だから、だから…! 頼むよ、シホ…」

「お願いします、シホちゃん」

「シュバインオーグ、お前を信じるぞ」

「私の力で役に立てるのならいくらでも協力しよう」

「そう。よかったわ。それじゃもう作戦は実行したほうがいいわ。今日中に士郎をはやてに憑依させる。はやてとの精神の同調率を上げるために。だから今夜、病院に忍び込むわよ士郎」

「了解した」

「他のみんなは、気の重い事だと思うけど魔力の蒐集を継続してお願いしていい?」

「任された」

 

作戦は決まり私達は夜にはやての病室に忍び込む事になった。

 

 

 




月姫のレンも夢魔で志貴に夢を見せていたので、使い魔状態の士郎も精神に憑依くらいはできるかなとの独自設定で今回の事を書きました。

それではご意見・ご感想・誤字脱字報告をお待ちしております。

では。
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