【完結】剣製の魔法少女戦記   作:炎の剣製

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フェイトの方の夢は原作通りですので省かせていただきます。
シホの見る夢は四日間の記憶と現実がごっちゃしています。

それではどうぞー。


第五十三話    『受け継がれる魂と記憶』

 

 

 

 

 

シホとフェイトが消えてしまった事態になのはとフィアットは気持ちが動転しながらもエイミィにどうなったのかを聞く。

 

「エイミィさん! シホちゃん達が!」

「お姉様が!」

『ちょっと待って………!』

 

エイミィは必死に調べ上げる。

 

『シホちゃんとフェイトちゃんのバイタル、まだ健在。闇の書の内部空間に閉じ込められただけ。助ける方法は現在検討中!』

 

エイミィがそう報告すると一応の安心を得たなのは達であった。

だがそこに割り込みで通信が入ってくる。

相手はリーゼ姉妹だった。

 

『エイミィ。シホはどうなったの!?』

『ロッテ!? い、今シホちゃんは闇の書の内部空間に閉じ込められているみたいなの…』

『…そうか。でもまだ第一プランは続行でよろしく』

『どういうこと?』

『まだ八神はやての精神にアーチャーが語りかける希望が残ってる。

それにもしかしたらシホも内部から八神はやてにたどり着くかもしれない』

『…わかった。なのはちゃん、フィアちゃん! だからまだ闇の書の意思に説得をよろしくね』

「わかりました!」

「はいです!」

 

そして二人を吸収した闇の書は。

 

「…我が主もあの二人も醒める事のない眠りのうちに、終わりなき夢を見る…生と死の狭間の夢、それは永遠だ」

「永遠なんてないよ…。みんな変わってく、変わっていかなきゃいけないんだ。私も、あなたも!」

「そうです! そんなものはまやかしです。夢とは淡いもの…いずれは醒めるものなんです!」

 

二人は杖と槍を構え、

 

「なのはさん、いきますよ! 私は前に出ます! 後方からお願いします!」

「わかったよ、フィアちゃん!」

「お姉様達が帰ってくるまで頑張りましょう!」

「うん!」

 

 

◆◇―――――――――◇◆

 

 

Side シホ・E・シュバインオーグ

 

 

ここは、どこだろう…?

…私は、確か。

夜天の魔道書と戦っている時になにかの攻撃を受けて意識を奪われたはずだ。

光が目を覆う。

それで開けてみるとどこか懐かしい場所だった。

 

「え…? 衛宮家の、私の部屋、か?」

 

ッ!? 声が!

気づいてみて私はあることに気づく。

今は衛宮士郎の体だ。

ど、どういうことだ?

私は…一体?

 

「先輩、起きましたか?」

 

こ、この声は…!

 

ふすまが開かれそこから私の後輩の桜が姿を現した。

 

「さ、桜なのか…?」

「…? もう、どうしたんですか先輩。今日はいつも以上にお寝坊さんのようですね。

すぐに目を覚ましてくださいね。居間ではもう皆さんが待っていますよ?」

「みんな…?」

「はい。藤村先生にセイバーさんにライダー、姉さん、バゼットさんにカレンさんです」

「…!」

「…もう、先輩は本当にどうしたんですか?」

「い、いやなんでもない。すぐに向かうから待っていてくれ」

「わかりました。それじゃすぐに来てくださいね? 今日は先輩の代わりに私が腕によりをかけて料理を作ったんですから♪」

 

笑みを浮かべながら桜は部屋を出ていった。

 

「………」

 

私はしばし無言になる。

だが考えていても埒があかないのですぐに居間に向かうことにした。

居間の前に到着すると、

 

「おや、シロウ。今日はずいぶん遅いようですね」

「…あ、ああライダー。ちょっと寝ぼけていたみたいだ」

「そうですか。それとお早うございますシロウ」

「ああ、おはよう」

 

ライダーは笑みを浮かべながら部屋に入り席につく。

しかし現実ではライダーはいなかった。ならやはりこれは夢、か?

そこには私にとって懐かしい顔が勢ぞろいしていた。

 

「もう士郎~! 遅いよー? お姉ちゃん、お腹が空き過ぎちゃったよー」

「タイガはいつものことでしょう」

「むっ…そういうセイバーちゃんだって士郎が来るまでイライラしていたじゃないか~」

「そ、そんな事はないです。王たるものこれくらいの我慢は…」

「はいはい。藤村先生にセイバーも朝から騒がないでください。それよりおはよう、衛宮君」

「お、おはようリン」

「ッ!? え、衛宮君、いつから私のことを呼び捨てするようになったのかしら? 私は許していないわよ?」

「え? あ、いやなんでだろうな」

「………なによ。まるでアーチャーじゃない…」

 

リンはブツブツと呟きだした。

 

「朝から口説きとはさすがですね衛宮士郎。私もその毒牙にかからないように気をつけましょう」

「カレンは何を言っているんですか。士郎くんが困っているでしょう?」

「あら? バゼット、この早漏れにはちょうどいいくらいのものでしょう?」

 

カレンがまたありもしない事を呟く。

 

「か、カレン…だから私にはそんな記憶はないと…」

「いえ、士郎くんはアヴェンジャーの記憶を受け継いでいるのですからどういった内容かは知っているでしょう」

「そ、それは…」

「なになに? 士郎、お姉ちゃんに隠れてなにかやましい事してんの? お姉ちゃんは許さないぞ!」

「落ち着け、藤ねぇ!」

 

朝食の前から色々と騒ぎ出す一同。

…ああ、これは私がもっとも幸せの時間だと思ったものだ。

ここにはもう私が手にできない輝かしい過去がある。

 

『ごちそうさまでした』

 

全員での食事が終了し私は後片付けをしている最中だ。

桜は最初手伝うと言っていたが朝食から片付けまで悪いと思ったので一人ですると言って断った。

その桜はリンと一緒にお出かけをしていった。

バゼットとカレンも教会の方へと向かっていき藤ねぇも学校へと向かっていった。

ライダーはバイトに向かい今現在家に残っているのは私とセイバーだけだ。

 

「セイバーは、どう思っているのだろうか…この世界について」

 

後片付けを終了しどうしたものかと居間でボーっとしていると突然背後から気配を感じて私は振り向こうとした。

でもそれより早く首に手を回されて後ろから抱きつかれた。

こんな事をするのは…、

 

「シロウ、遊びに来たわよー」

「イリヤ…?」

 

そこには私の最愛の姉の姿があった。

自然と私は涙ぐんでしまった。

 

「…どうしたのシロウ? どこか痛いの…?」

「なんでもないよイリヤ…そう、なんでも…」

「そうかなー?」

「ああ…」

「イリヤスフィール…来ていたのですね」

 

そこにセイバーがやってきた。

それで思い切って私は二人に聞いてみることにした。

 

「なぁ…セイバーにイリヤ。単刀直入に聞くけど…この世界は私の理想の世界の夢なんだよな?」

「「………」」

 

二人は無言。

しばらくして、

 

「…はい、そうですシロウ。あなたは夢を見ているのです」

「だから今こうして私達は自然とシロウと話していられるんだよ?」

「だったら…」

「いいではないですか…」

「えっ…?」

 

セイバーの思いがけないセリフに私は思わず言葉が詰まる。

 

「たとえ夢だとしてもここにはシロウ…あなたの幸せな世界が広がっています」

「永遠に続く悲しみの一切ない私達の理想の世界だよシロウ? 一緒にここで暮らそう…?」

「………」

 

二人からそんな話を振られる。

でも、こんな世界はありえない。だからこそこんな世界にいてはダメだ。

 

「…悪いけど二人共。私はこの世界にはいられない…。一回捨てた身でこの夢の世界に留まることは…みんなに、特にセイバーとイリヤに失礼だ」

「そうですか……………、ふぅ、安心しました。シロウ、私はもしあなたがこの世界に留まる選択をしたら切り捨てるつもりだったんですよ?」

「私も…きっとシロウを殺すわ」

 

それで私は苦笑いを浮かべる。

やっぱり敵わないな。

 

次第に世界にヒビが入っていき世界は砕け、気づけば私は衛宮士郎からシホ・E・シュバインオーグの体に戻っていた。

でも世界は砕けたというのにまだセイバーとイリヤは一緒にいる。

これはどういう事だろうか。

 

「安心してください、シホ。私はあなたと共に存在しています。アンリミテッド・エアの中からシホのおかげで自由に出れるようになりました」

「私もシホの体の中にそのうち戻るわ」

「そっか」

「さて、では行きましょうか」

 

セイバーがそう言う。

でも、行くって言ってもどこへ。

 

「まだシホと完全に統合できていない人の目を覚ましに行くのです」

「ついてきてシホ」

 

イリヤに手を引かれて私は歩き出す。

するといつの間にかいつぞやの夢の世界に立っていた。

 

「ここは…?」

「シホは見ていてください」

 

場面はお城の中に移動する。

そこではイリヤを大人にしたような女性がオッドアイの陛下と呼ばれる女性と話をしている。

 

『聖王陛下…いえ、オリヴィエ王女。

どうかお考え直してください。私は…あなたに忠誠を誓った身、なのにどうして私を聖王家でも一度だけしか使えないという異世界移動という貴重な魔法を使い、飛ばそうとするのですか…!』

『聖なる錬金術師、アインツベルン。すみません…ですがあなたの異質な魔法技術【創造物質化】はもし悪用されようならばこの戦乱の世にさらなる災いが起こる事が明白。

予言でもそれは危険視されていますし、あなたの身も狙われることはもう何度もありました…。私の友と認めているあなたにはそんな辛い運命を味わって欲しくない…』

『しかし…!』

 

今度はノイズはなくしっかりと言葉を認識できる。

でも、やっぱり聖なる錬金術師というのはアインツベルンの事だったのか。

場面は動いていきオリヴィエと呼ばれた王女がアインツベルンと呼ばれる女性を抱きしめて、

 

『ごめんなさい…』

 

抱きしめながらも、なにかの魔法詠唱とともに時空の穴が開き、女性はその穴に吸い込まれていった。

 

『王女! いつか、いつかあなたの元にお戻りします! だから…!』

 

王女は無言で笑みを浮かべた。

そして穴は閉じてしまい、女性は世界をさ迷う…。

 

「…彼女は、アインツベルンはずっと後悔していたのです。そして王女の元へと戻ることができなかった不甲斐ない自分に対して怒りを感じていたのです」

「セイバー…」

「そして、アインツベルンが飛ばされてしまった世界は私達の使う魔術が存在する世界。

さらに異世界間だけでなく時間軸まで飛び越えてしまって彼女がたどり着いたのは私達の世界の千年以上前の事だった…。

彼女はアインツベルンの始祖なのよ」

「ってことはイリヤのご先祖様みたいなもの…?」

「ええ、そう。でも世界に来て修正力が働いたのか彼女は【創造物質化】の魔法を劣化させてしまった。

そして残ったのが第三魔法【魂の物質化】【天の杯(ヘブンズ・フィール)】なのよ。まぁ、彼女はその過去を隠して魔術の世界に血を残したらしいのよ。

でも、使い方を誤ったのか血を継いだ一族は第三魔法すら失い聖杯にまで願うようになったのが今のアインツベルンなのよ」

 

そんな壮大な歴史がアインツベルンにあったんだ。

 

「ちなみに私は四日間の聖杯戦争後に、宝石翁にまだサーヴァントとして存在している間に協力してもらいまだ世界を飛ばされる前のアインツベルンに会っていたのです」

「えっ!?」

「そして【創造物質化】の魔法を執行してもらいサーヴァントの魂をそのままに融合騎…ユニゾンデバイスに物質化させていただいたのです。

宝具であるアヴァロンとエクスカリバーと一緒に。シホの助けになるために…」

「そうだったのセイバー…」

「ええ。そしてアンリミテッド・エアの中に眠りについた後、宝石翁に運命の魔術をかけてもらい長い年月をかけて巡り会えるようにしていただいたのです」

「大師父に助けてもらいっぱなしね、私…」

「感謝をした方がいいですね、シホ」

「ええ。でも、それじゃどうして私と士郎は魂が二つに分かれてしまったの…?」

 

その疑問を述べると二人は曖昧な表情をしだして、

 

「それは…まぁこれから分かることです。ではそろそろ登場してもらいましょうか」

 

 

 

………―――分かりました。

 

 

 

そこに新たな女性の声が背後から聞こえてきて振り向くとそこには先ほどの記憶の女性が立っていた。

 

「こうして話すのは夢以来ですね。シホさん…」

「あなたは…」

「私はアインツベルンの始祖…名は、『シルビア・アインツベルン』です」

「シルビアさん…」

「はい…。この言葉は覚えていますか?

『どうか私の悲願を叶えてください。きっとあなたの時代に王は再誕するでしょう。彼女をどうか守ってください…』

…と、いう言葉を…」

 

これも夢の言葉通りだ。ちゃんとノイズもなくしっかりと聞き取れる。

 

「はい。覚えています。でも、再誕、か…。王というのはやっぱり…?」

「はい。オリヴィエ王女の事です。

私は結局元の世界に、陛下の下に帰ることができなかった。

だからあなたがゼルレッチさんの第二魔法で世界を飛ばされる瞬間、チャンスだと思いました。

まだ私の魂は根源にいかず、イリヤスフィールの中に記憶とともにかすかに残っていたのです。

あなたがイリヤスフィールの魂も宿った体に乗り移った時に私はあなたの魂にも憑依したのです。

でももとよりシホさん、イリヤスフィール、そして私という三人分もの魂が一つの体に納まるわけがなく、魂が収まるちょうどいい分配で世界を飛ばされた瞬間にシホさんの魂が二つに分かれてしまったのです。

そして分かれた魂は世界からの情けとも言うべき判断で彼に似合う動物の使い魔の姿にさせられ記憶をなくし飛ばされたのです」

 

それでシルビアさんは頭を下げて私に謝罪をしてきた。

 

「…なるほど。そんな経緯があって私と士郎は分かれてしまったんですね」

「ごめんなさい…」

「いいですよ。士郎も使い魔という存在になりましたが今私とは別に家族を得ていますから」

「そうですか…。でも、まだ完全に私の魂とシホさんの魂は混ぜ合っていないのです。だから断片的に夢で私の記憶を見せることしかできませんでした…。

ですが、言い方は悪いですがたまたまなのか、それともこれも運命なのか夜天の魔導書があなたを夢の世界に連れてきてくれたおかげですべてがリンクし繋がりました」

 

そしてシルビアさんは私を突然抱きしめて、

 

「今、あなたに私のすべてを託します…」

 

シルビアさんの体が光りだして光の粒子となって私の体に流れ込んでくる。

 

「後は、お願いします…」

 

そう最後に言ってシルビアさんは完全に私の魂と融合した。

途端にシルビアさんの生涯の記憶と知識、経験の情報が流れ込んでくると同時に第二魔法を会得した時と同じように私は根源の渦に手を伸ばすイメージが浮かび、知識が流れ込んできて、気づけば…。

 

「第三魔法………会得してしまったの?」

「その通りです」

「シホもすごい存在になっちゃったよね。第二と第三の魔法を両方使えるんだから。おまけに一回きりだけだけど裏技が使えるんだから!」

 

今まで黙っていたセイバーとイリヤが話しかけてきた。

そう、確かにイリヤの言うとおり一回きりだけどすごい奇跡を起こすことができる。

その一回をどう生かすか殺すかが私の手に握られたわけね。

 

「それでは、そろそろ私はアンリミテッド・エアの中に戻ります。シホ、いつでも呼んでください。私の力はシホとともに…」

 

セイバーはアンリミテッド・エアの中に戻った。

イリヤも笑顔を浮かべて、

 

「シホ、悲しみにくれている子を救ってあげてね…?

それと完全に魂が同調したから今度は緊急時だけじゃなくても私といつでもお話できるし魔術回路も直結できるからいつでも話しかけてね」

「わかったわ、イリヤ」

 

そしてイリヤも私の中に戻っていった。

すべてを正しく認識した私ははやての元へと向かうのだった。

 




アインツベルンの歴史の捏造をしました。
聖王家もついでに捏造魔法。
シルビアはViVidのエレミアとクラウスとも知り合いです。
第二魔法『平行世界の運営』は時間旅行、記録の改竄、事象の改変などもこの魔法に含まれるようである、とあるのでこれくらいの介入は大師父は軽いかと。
……………それとシホさんを強くしすぎでしょうかね?シルビア・アインツベルンの過去から続く知識と経験、そして第三魔法は戦闘面には役は立たないとは言え強力ですし。

それではご意見・ご感想・誤字脱字報告をお待ちしております。

では。
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