【完結】剣製の魔法少女戦記   作:炎の剣製

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今回はリインフォースの想いを描いてみました。
ですがまだ士郎は気づきません。

それではどうぞー。


第六十一話    『外伝9 はやての日常。そして忍び寄る不安』

 

 

 

 

 

 

Side 八神はやて

 

 

なのはちゃん達が旅行から帰ってきてシホちゃんが骨折したっていう話に驚かされた。

しかしシホちゃんやフェイトちゃんも色々と得るものがあって良かったという。

特にシホちゃんは名前を『シホ・E・S・高町』へと変えてより高町家の家族として浸透したという話やし。

 

「でな、士郎もこの際やから衛宮士郎から八神士郎に苗字を変えたらいいと思うんやけどどうやろ、みんな?」

 

本日の家族会議での議案はこれやった。

 

「いや、なんでさ」

「なんでさと言われても士郎ももう八神の家族やろ? だから八神は必須の苗字やと思うんやけど…」

「私はいいと思います」

「そうだな。士郎もあたし等の家族だからな」

「いいと思いますよ、はやてちゃん♪」

「主がそうおっしゃるならば従います」

「士郎…そのだな、私もお前が八神の性を名乗ってくれると私は嬉しいぞ?」

 

…うん? シグナム達の反応は十分想定内やったけどなんやリインフォースの反応が違う。

頬が少し赤くなってるし士郎を見る目がなんていうか…乙女なのである。

その回答に私の脳髄が辿りついた時には私はリインフォースに既に思念通話をやっていた。

 

《リインフォース~?》

《なんですか主はやて…? その、なんていうのですか? いいカモを見つけたような笑みを浮かべてどうしたのですか?》

《いやな、私の勘違いやったらよかったんやけどな。もしかしてリインフォースって士郎の事、好きになったんちゃうか?》

《…! ななな、なにをおっしゃいますか。そ、そんな事はありません!》

《私に誓えるか…?》

《そ、それを使いますか…!?》

《別に何でもないなら誓えるやろ? それで、どうなん? ん?》

《主はやては卑怯です…。私は、そのですね。消えようとしていた時にあなたと士郎がやってきた時に士郎に色々と諭されました。

そしてお前を救うと言われて…私は主はやてと生きたいという言葉と一緒に士郎とも生きていきたいと言ってしまったのです》

《うんうん…それで?》

《はい…。それで救われた後に私は自身で言った言葉を何度も思い直してそれで気づいてしまったのです。私の気持ちを…。

最初は救ってくれたからだと思っていましたが最近になりましてだんだんと気持ちが変わっていくのを自覚しまして…。

それに私はもう人間の器になりまして将達には悪いと思いますが人並みの恋も出来る体になったのです。

それに精神年齢はともかく身体年齢は士郎は二十歳で私は十八歳と近しいものになりました。ですから…》

 

それで顔を赤くするリインフォース。

驚いた…。

まさかあんな駄々っ子やったこの子がこんなに素直な子になるやなんて。

うちの子の成長を見られて私は満足や。

だから。

 

《それなら私はリインフォースの事を応援するわ。

もしかしたら近しい人達が狙ってくるやもしれん。

特に年齢が近い美由希さんとか後はリンディ提督とかそれとセイバーさんとか。

だから今のうちに鈍感な士郎の心をゲットするいい機会や。

それになんやようわからんけど私の乙女の勘では近いうちに士郎に言い寄ってくる人が現れるかもしれないという予想が出ているんや》

《そ、そんな…!》

《だから、な…? それに士郎もシホちゃんと同じで幸せの探求をしているんやしそれを隣で支える人がいればよりいい結果が生まれると思うんや》

《は、はい…。頑張ります…》

 

それで思念通話を終了させる。

と、同時にひっそりと念話を士郎以外に流しておいた私はシグナム達を見る。

 

「主の思うがままに行動されたらどうでしょう…。リインフォースも頑張れ」

「なっ!? まさか、将! 聞いていたのか!?」

「鈍感だからな。ま、頑張れ…」

「ヴィータまで!?」

「私も応援しちゃいますよ、リインフォース」

「シャマル…」

 

念話が筒抜け状態だったことにうちひしがれるリインフォースの姿がそこにあった。

 

「ん? みんなどうしたんだ…?」

 

そこに一人未だに分かっていない鈍感が一人。

ザフィーラが士郎の肩に手を起き、

 

「ま、頑張ることだ…」

「ザフィーラ、なんの事だ…?」

「気にするな。お前もそのうち気づく。だから早く気づいてやれ…」

「何にだ。教えてくれてもいいだろう?」

「私からは何も言えん。この鈍感が…!」

「なんだ? 急に突き放されたぞ…?」

 

あはは…。ザフィーラも際どいところをついてくるな。

見ている身としては面白いな。

でも、リインフォースの気持ちが叶うとええな。

 

 

◆◇―――――――――◇◆

 

 

数日が経ち、今日はなのはちゃん達が遊びに来ています。

シホちゃんもあと少しでギプスが取れるというので早く動かしたいという感じである。

今日はヴィータ以外はみんなは管理局に用があって席を外しとる。

なのでちょうどいいのでリインフォースの気持ちをなのはちゃん達にも教えておこうと思う。

 

「―――って、ことがリインフォースの口から聞けてな」

「そうなんだ~。気持ちが通じるといいね」

「なのは! あたしの髪をいじるな!」

「にゃははー♪」

 

なのはちゃんはヴィータの髪を弄りながらもそう答えている。

 

「士郎さん…リインフォースの気持ちに気づくといいね」

 

フェイトちゃんはマジメに答えてくれとる。

そしてとうの元同一人物の反応というと、

 

「うーん…士郎にね。同じ存在だったから複雑な気持ちだけど、でも士郎の幸せの探求が見つかるいい機会かもしれないわね」

 

と、概ね賛成意見やった。

それで思わず聞いてみた。

 

「シホちゃんはそういうのはあらんの?」

「そういうのって…恋愛事…?」

「そうや。シホちゃんならいい人は何人も寄ってくると思うんやけどな。シルビアさんやイリヤさんの影響かもしれへんけどもう完璧に女の子やし…」

「でも、私は元は男だし…男性と付き合うというイメージが全然沸かないんだけど…」

「それじゃ女の子同士ならOKってわけなん…?」

「う、うーん…」

 

それでシホちゃんは難しい顔をして腕を組み悩み始めた。

そこに念話で、

 

《はやてちゃん、ナイスなの。シホちゃんの気持ちが聞けるいいチャンスだよ》

《そうだね。すずかはシホの事が好きだしフィアットはお姉様と言ってシホの事を慕っているし》

《そうやったね》

 

「うーん…男性と女性とどっちと付き合いたいと考えればどっちかといえばやっぱり女性なのかな…?」

「ほーう…そうなんやね」

「ええ。相手が男性だと私は多分気持ち悪いと思うから。付き合えても友達止まりがいいところでしょうしね」

「そんなら…もし女の子で言い寄ってきたらそれに答えるん…?」

「どうだろう? でも、私なんかに言い寄ってくる女の子なんているのかしら…?」

「それ、ホンマに言っとるん…?」

「そうだけど…?」

「これは、強敵やね…」

「…?」

 

私の言葉にシホちゃんは首を傾げ、なのはちゃんとフェイトちゃんとヴィータは同感だという感じで頷いていた。

これはすずかちゃんとフィアットちゃんがとても苦労しそうや。

ま、それはそれ、これはこれという感じで気持ちを切り替え(そうでもせんと聞いているこっちの身がもたん)という感じで、

 

「そういえばシホちゃん」

「なに?」

「あんな。あの決戦時に見せてくれた固有結界やけどな」

「あぁ…それがどうしたの?」

「後で士郎に聞いたんやけど、あれって自身の心の世界を表に顕現させるっていうすごい大魔術なんやろ?」

「そうよ」

「それでだけど、あの世界がシホちゃんの心なわけよね? 少し哀しい世界やと第一感想として思ったんやけどシホちゃん的にはどう思っとるん?」

「そうね…。でも、私は自身で言うのもなんだけど変わっていると思ったわ。

以前の固有結界の中には草は生えてなかったし川も流れていなかった…。

でも、それもなのはの家族になれたという事で内面が変化してきていると思うのよ。

だからあの世界は私的にはよくなってきていると思うわ」

「そっか…ならええんわ。いらん事を聞いて悪かったんな」

「いいわよ。気にしないから」

 

そう言ってシホちゃんは微笑を浮かべる。

 

「それにエミヤに比べるとどうしても違いはハッキリとするわよ?」

「どんな世界だったん…?」

「そうね…。まず空は灰色の空で覆われて太陽はその姿を隠し、代わりに巨大な歯車がいくつも浮いていて回転して唸りを上げているのよ。

そして地面は荒廃していて炎があちこちの地面から上がっているといった感じの本当に寂しい世界…。私の原初の風景を現したような感じね」

「それは…確かに悲しい世界だね」

「うん。エミヤさんの心はどれだけ守護者という枠組みの中で壊され摩耗したのか想像できないね」

「確かにそれならシホと守護者のエミヤは別人だな。世界が違いすぎるからな」

 

ヴィータがそう言う。

そうやろな。

そんな世界には士郎にもなってほしくないのが本音や。

 

「それと呪文詠唱やけどあん時はゆっくり聞くこともできへんやったけどどういった意味なん?」

「…そうね。それじゃ…。

まずは私と士郎の詠唱から言おうかしら」

 

まず、と言葉に付ける。

もしかしてそこまでエミヤさんと内容も違うんかな。

 

「それじゃいくわね。

 

『体は剣で出来ている。

血潮は鉄で心は硝子。

幾たびの戦場を越えて不敗。

ただの一度も敗走はなく、ただの一度の勝利もなし。

担い手はここに孤り。

剣の丘で鉄を鍛つ。

ならば、我が生涯に意味は不要ず、

この体は、無限の剣で出来ていた』。

 

…これが私と士郎の固有結界の呪文詠唱よ」

 

なんて言えばええんやろ。

なぜか言葉が出てきん。

でも、それでもやっぱし…。

 

「…やっぱり少し寂しい呪文詠唱だね」

 

なのはちゃんがその素直な性格での言葉を述べた。

確かにそうやな。

これは確かに寂しいし悲しいもんや。

 

「…ねぇシホ。エミヤさんの方も知っているんだよね?」

「ええ」

「教えてくれないかな。そうじゃないと区別がちょっとつけられない…」

「わかったわ」

 

フェイトちゃんのお願いでシホちゃんはエミヤさんの呪文詠唱も唱え始める。

 

「…いくわ。

 

『体は剣で出来ている。

血潮は鉄で心は硝子。

幾たびの戦場を越えて不敗。

ただの一度も敗走はなく、ただの一度も理解されない。

彼の者は常に独り、剣の丘で勝利に酔う。

故に、生涯に意味はなく。

その体はきっと剣で出来ていた』。

 

…これが英霊エミヤの最果てにまで行ってしまったものの呪文詠唱よ。

私達の呪文詠唱は自身の生き方に対してある程度肯定的に対して、エミヤの呪文詠唱は自身の否定も含めたような意味合いが込められているのよ…」

 

確かにシホちゃん達のと比べてみるとやっぱり悲しい響きがあるんやね。

 

「なんつーかエミヤは正義の味方という事を最後までやり遂げたんだろ?

士郎に昔話で聞かされたけど最後は死刑台で首を吊りながらもこれですべての悪意は自身に向くと思い納得して逝ったっていう…。

あたしには残念だが考えられないな。そんな生き方は…。

しかもその果てには守護者とかいういつ終わるともわからない永遠の殺しを世界に要求されたんだろ?

あたし達も守護騎士だっていう似たような存在だけどそれは願い下げな話だ」

「そうね。私もそんなのは嫌よ。

私は…いや、私と士郎はもうエミヤとは違う道を歩いているから。

もう自身を犠牲にした生き方はできるだけしたくないのが本心よ」

「なら、それでいいじゃねーか」

「ヴィータ…」

「自身で納得して道を変えたんなら誰にも文句を言える筋合いはねぇよ。

その決めた道をまっすぐに目指していけばいいと…あたしは思うぞ。シホに士郎もな」

「ええ。ありがとう、ヴィータ」

 

ヴィータはいい事を言うなぁ。

さすがうちの子や。

それでシホちゃんも嬉しそうな顔になりヴィータの頭を撫でていた。

普段なら嫌がるところだが今回は素直に撫でられとる。

ヴィータもええ感じに成長しているんやね。

 

 

◆◇―――――――――◇◆

 

 

その後、シホちゃん達に誘われてお散歩をする事になった。

車椅子はヴィータが押してくれるから安全や。

 

「そういえばこうやってのんびりと街を友達と探検する機会はなかったから嬉しいわ」

「それじゃ今日は私とイリヤの歌を聴かせてあげるわ」

「ん? どんなんや?」

 

私が興味津々に聞くと代わりにフェイトちゃんが答えてくれた。

 

「ローレライっていう歌でシホの一番得意な歌なんだよ。

私もこの歌を聴いて癒されたことがあったの」

「うん。シホちゃんの歌は魅力がある歌なんだよ?」

「それは楽しみや」

 

それである公園に向かうとなにやら近所の飼い犬や野生の猫がシホちゃん目当てなんかな? 集まってくる。

それにヴィータも驚きの顔をしだしているんやから私の感性は間違っとらんと思う。

シホちゃんは群がってくる動物達に「久しぶりね、みんな」と言ってそれぞれ頭を撫でたりモフモフしたりしている。

しばらくしてシホちゃんがある椅子に座り、

 

「それじゃまた久しぶりに始めるとしましょうか」

「いい歌を期待しているね」

「シホちゃん、頑張って」

「これからその歌っていうのが聞けるんやね」

「どんだけうまいのかな…?」

 

そしてシホちゃんが歌い始める。

 

「~~~♪~~~♪」

 

なんやいい歌声やね。

心に伝わってくるわ。

これもイリヤさんから譲ってもらった歌だっていうけどこれはもうシホちゃんの歌で行けるで?

 

「~~♪~~♪………」

 

…そして歌い終わる。

ホンマにいい歌声やった。

ヴィータもなにやら感動しているようで拍手を送っていた。

そして再度群がる動物達。

その飼い主達もいい歌だと口々に言って拍手を送っているんや。

 

「…シホちゃん、将来歌手も目指せるんちゃうか…?」

「それは無理よ。歌えるのはイリヤ譲りのこの歌だけだから。

それにこれ以上は目立ちたくないしね」

 

シホちゃんはそう言って笑う。

うーん…もったいない逸材やねぇ。

そのうちプロデュースしたいと思ったくらいや。

 

「それじゃ翠屋にいこうか」

「そうだね」

「はやて、シュークリーム食べていくでしょ? ヴィータもだけど」

「そやね。それじゃ食べていくわ」

「そこのお菓子はギガウマなんだよなー!」

「ヴィータ、ヨダレヨダレ…」

 

翠屋に私らは向かっていった。

でもその途中で前から歩いてくる黒いコートを着て帽子を深く被っている男性っぽい人が私の隣を通り掛ろうとしたその時、

 

ブチッ!

 

「あいたッ!?」

 

なんや!? 急に髪の毛を数本か抜かれてしもうた。

 

「誰だ!? はやてにいたずらする奴は!!?」

 

ヴィータが怒って振り向くがもうすでに男性はその場から姿を消していた。

 

「なんだったんや、一体…?」

「はやて、大丈夫か…?」

「う、うん。私は大丈夫や…でもいきなりなんだったんやろな?」

「いたずらにしては性質が悪いね…」

「そうね…」

「暴力反対なの!」

 

みんなが口々に私を擁護するように喋ってくる。

なんや、ようわからんけど何か、そう何か嫌な予感がした。

私の勘はよう当たるから、変なことが起きないで欲しいと願った。

 

 

◆◇―――――――――◇◆

 

 

…その後、翠屋でお菓子を数点購入して帰宅する。するとしばらくして全員が家に帰ってきた。

 

「あ、そうや。ある報告があるんやけどみんな聞いてくれるか?」

 

それでシグナム達やなのはちゃん達も耳を傾けてくる。

 

「まだ正式にやないけど通院があらかた終わったら、四月の新学期から私もなのはちゃん達と一緒に学校に通えるようになるんよ」

「そうなの!?」

「よかったね、はやて」

「おめでとう、はやて」

「ありがとな!」

「一緒のクラスになれたらいいね」

「そうやね」

 

なのはちゃん達と騒いでいる時がやっぱり楽しいな。

うん。私の人生はこれからや。しっかりと生きていかなな。

 




今回でA's編は終了となります。
次回から新章です。駄作になる可能性がありますので一応今のうちに謝罪しておきます。

それではご意見・ご感想・誤字脱字報告をお待ちしております。

では。
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