【完結】剣製の魔法少女戦記   作:炎の剣製

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更新します。

ユーノのオリ妹登場します。

では、どうぞー。


第五話        『なのは、魔法少女になる』

 

 

Side シホ・E・シュバインオーグ

 

 

 

とりあえず二匹のフェレットは動物病院に預けて先生が診断した結果、傷も酷いが衰弱が主な原因だといった。

そして治療も終わり二匹のうちの一匹が目を覚まして周りを見回している。

もしかしたら警戒されているかもしれないけど、何度か私達の顔を見比べて、そしてなのはの方をそのつぶらな瞳でじっと見つめ出した。

 

(…もしかして、なのはの魔力に反応しているのかしら…? 今の私は魔術回路を閉じて、どういうものか分からないけど魔力のコアみたいな核から流れる魔力も外に漏れないように礼装をつけて防いでいるし…)

 

しばらくなのはの方を見ていたフェレットはなのはが指を近づけた所、舐められたのでなのははとても喜んでいた。

だがすぐに気絶してしまったようだ。

それで今日は病院で様子見として経過を見て後日どうするか決めることになった。

なのは達三人は私と違いこれから塾なので、私はもうしばらく様子を見ているといって三人を塾に行かせた。

先生も少しならまだ閉めないからいいと言ってくれたのでよしとする。

 

「さてと…」

 

私は一度先生がこちらに来ないかを確認後、人払いの結界を構築した。

それで先ほどまた気絶してしまったフェレットが反応するかと思った。

けど、そちらは無理に体を動かしたせいで体力を消耗していたらしく寝ているままだったが、代わりに怪我が酷い方の白いバンダナを首に巻いているフェレットが反応を示した。

 

《あなたは…もしかして“魔導師”の人なのですか…? 先ほどまで全然魔力を感じなかったのに、急に膨大な魔力が溢れたと思ったら小規模な結界がはられましたから…》

《やっぱり思念通話ね…。でも“魔導師”? “魔術師”ではないの?》

《魔術師? 私は聞いた事がありません。もしかしたらこの世界の魔力を扱う人の事を魔術師というのですか?》

《うーん…そうね。今はうまく説明できないからお互いの詳しい事情は後ほどお話しましょう? とりあえず今人払いはしてあるから生の声で会話しても平気よ》

 

一瞬、目を見張るフェレットだけどすぐに理解したらしい。

 

「わかりました…」

「それよりあなた達は使い魔かなにかの類なの…? 思念通話に魔力、それに人語…あきらかに普通の動物ではないわね?」

「はい。この姿はとある事故で、隣で寝ている私の双子の兄の“ユーノ・スクライア”と…私こと“フィアット・スクライア”は多大な魔力の消費で回復の為に仮の姿としてこの姿をとっているだけであなた達と同じ人間です」

「どうしてその姿を取らざるえないほどの魔力消費と傷を負ったのかしら? もしかしてこの町になにかよからぬモノがうろついているとでも言うの?」

「あなた…とても鋭いのですね。はい、まぁ…これも後ほどゆっくりとお話したいと思います。ところで…あなたのお名前はなんていうんですか?」

「あ…ごめんなさい。そっか、そっちは教えてくれたのに私も名乗らなきゃフェアではないわよね」

 

私は一度目を瞑り、

 

「…私の名前は“シホ・E・シュバインオーグ”よ。この世界には他に存在しているかわからないけど一応魔術師というものをやっているわ。これからよろしくね、フィアット」

 

笑顔を浮かべながらフィアットに自己紹介をした。

だけどまたフィアットは他の皆と同じく顔を赤くしてしまった。

…やっぱりイリヤの顔で笑顔を浮かべると誰でもこうなっちゃうのかな?

どこからか【この鈍感!】という天の声が聞こえてきたけど反応すると碌な事がないので無視をした。

 

「は、はい…その、私の事はフィアと呼んでください。お姉様…!」

「は? え?…お姉様?」

「はい! お姉様はまさに私の理想像の女性です!」

 

私はたぶん今盛大に頬を引き攣らせているのだろう。

しかしそれをなんとか抑えて、

 

「と、とりあえず…フィアでいいのね?」

「はい、お姉様!」

「………、まぁいいわ。ところでそちらで寝ているユーノっていう兄の赤い宝石の首飾りにも魔力が感じたんで気になっていたけど…あなたの首にはまるでロザリオみたいなひび割れたアクセサリーにも魔力を感じるわ。これって一体なんなの?」

「あ! もしかして罅割れてしまっているんですか?」

「ええ…。とてもではないけど直すのには時間がかかりそうね」

 

私はそう言いながらフィアの首飾りを触った。

しかし、それがトリガーになったのかわからないけど、おそらく私の魔力に反応したのかそのロザリオがすごい輝きを放ち出した。

 

「嘘!? 今まで私が使っても全然反応を見せてくれなかったデバイスがお姉様に反応を!」

「デバイス!? それって…」

 

デバイスとはなにかって聞こうとしたが、光り輝いていたロザリオが空中に上がって形を崩し始めたと思った途端、リンから持っていていいと言われ、今では私の大切なものとなっているルビーの宝石の首飾りも浮かび上がった。

その両者がまるで共鳴するかのように光りだして崩れたロザリオが宝石に吸収されていった。

私とフィアはその光景を呆然と眺めていることしかできなかった。

次第に光は収縮しはじめて私の手の平にはルビーからサファイア色に変色して、今まで私の蘇生の為に使いきって空だった宝石から膨大な魔力が感じられる。

だが、それは一瞬で魔力反応がフッ…と止んでもう感じられなくなった。

 

「えっと…なにが起こったの? フィアはわかる?」

「私にもなにがなんだか分かりません。もしかしたら再構成したのかもしれません…謎の多いデバイスでしたから」

「さっきまでこの宝石には魔力は一欠けらも残ってなかったからちょうどいい触媒になったってことね」

「ごめんなさいです…お姉様の大切な宝石だったみたいでしたのに」

「気にしないで。それよりデバイスって? 今はもうなんの反応もないんだけれど…」

「それは…うっ!」

 

フィアは体を震わした。多分、傷が響いたのだろう。

 

「だ、大丈夫…?」

「は、はい…兄さんより傷が深かったらしくて、もう休まないと…」

「そう…。それじゃとりあえずそろそろ病院が閉じる時間だからまた明日来るわね?」

「はい、お姉様…」

「あ、そうだわ。少し待って。今から治癒魔術をかけるから」

 

私はフィアと一緒にユーノという兄の方にも手を近づかせて、魔力を掌に流しながら、

 

「この者達の傷を癒したまえ…」

 

白い光とともにフィアとユーノの傷が完全ではないが塞がった。

それにフィアはとても驚いているようだ。

イリヤの知識だと治癒魔術は錬金術で新たな細胞を作るといったものだったけど、通常の魔力のみでの治癒魔術の知識もあって助かったわ。

錬金術で治癒を施すって事は新たな細胞組織を臓器移植みたいに作り出す方法だから、知識があっても技術がない私が使うとどうしても負担をかけてしまうから。

 

「すごい…魔力の回復はさすがに無理ですけど体の痛みがほとんどなくなりました」

「これで幾分マシになったはずよ。それじゃもう人払いの結界を解除するわ」

 

解除した途端、先生がやってきて「もう時間だから」と言ってきたので分かりましたと返事を返した。

 

《それじゃ、また後ほどにね。フィア》

《はい、お姉様!》

 

私はそうして高町家に帰っていった。

 

 

 

◆◇―――――――――◇◆

 

 

 

シホは家に帰宅後に宝石に吸収された“デバイス”というものについて調べることにした。

だが解析魔術を執行しても分かるのは宝石の構成材質と融合したロザリオの表面的な部分だけで中身に関してはエラーの連続。

おそらく自身では理解しきれない部分がそのデバイスというものには含まれているのだろうとシホは納得し、後でフィアとユーノとやらに聞く事にした。

しばらくしてなのはが塾から帰ってきた。

なのはの方はフェレットを自分で飼いたいらしく夕食時にその事を伝えるとシホに教えてくれた。

少しして夕食時になりシホは今度は洋食などを和食風に合わせた料理を桃子と一緒に創作しながら作って味見も込めて夕食を出した。

それにまたなのはと美由希は落ち込みながらも、なのはは食後にフェレット二匹を飼ってもいいか士郎達に相談した。

 

「…一匹ならともかく二匹かぁ」

 

士郎は飼ってもいいか悩んでいた。

別段、桃子も反対はなくしっかりと飼えればいいと言ってくれたが、二匹も同時になのはが飼えるかどうかと皆で悩んでいたところ。

 

「私からもお願いします」

「シホちゃん!」

 

なのははシホが協力してくれるようでとても喜んでいた。

そして士郎達も高町家に来てからシホの遠慮がちではない初めての真剣なお願いに快く了承してくれた。

シホは飼ってもいいという報告を聞いてすぐに感謝の言葉を伝えて、なのははシホに抱きついて「ありがとー!」と言ってくれたので、シホも「どういたしまして」と言った。

 

 

 

その夜、シホは道場で結界を構築し干将・莫耶を投影して一人で稽古をしていた。

 

《お姉様!》

《フィア? どうしたの?》

《助けてください! 危険が…危険が迫って…ッ!》

 

だが、急に思念通話でフィアットの助けの声が聞こえてきたが、すぐになにかの妨害で途切れてしまった。

だからシホはもしもの場合を考えてこの体に合った聖骸布の上着を投影して羽織り家を飛び出そうとした。

だが、ふとなのはの気配(というより魔力)が家から離れていく感じがした。

この事態にシホはフィアット達だけではなく、なのはにも危険が迫っていると即座に判断し、すぐに家を飛び出した。

だがシホが家を飛び出した所には士郎、恭也、美由希が立っていた。

 

「士郎さん…」

「なのはがどこかに行ってしまって探していたけど、シホちゃんまで…一体どうしたんだい?」

「…今は私にも分かりません。ですがなにかなのはの身に危険が迫っているのは確かです。だから、少し出かけてきます」

「シホちゃん…」

 

美由希がシホの身を案じる。

シホの境遇を少なからず知っているだけに戦いというものにはもう関わって欲しくないというのが三人の共通の本心だった。

だけどシホは笑顔を浮かべて、

 

「大丈夫です。必ずなのはも連れて帰ってきます。ここは…私の帰ってこれる家で、迎えてくれる大切な家族がいますから…!」

 

三人は驚きと同時に顔を笑みで綻ばした。

シホは笑顔を浮かべながらも、次の瞬間には目を細めて魔術師の顔を前面に出し、

 

同調開始(トレース・オン)…!」

 

と、呪文を唱え身体を強化しなのはの魔力の跡を常人が出せるかどうか怪しい速度でシホは駆けていった。

 

美由希は、

 

「シホちゃんが…初めてあたし達の事を家族って言ってくれたよ!」

と言って恭也に嬉しさのあまり泣きついていた。

そして士郎と恭也も、

 

「もう安心かな? 今のシホちゃんは最初に会った頃の危うさが幾分軽くなっていた」

「そうだな、父さん…」

 

 

 

三人はシホの姿が見えなくなった方をじっと眺めていた…。

 

 

 

◆◇―――――――――◇◆

 

 

 

Side シホ・E・シュバインオーグ

 

 

 

(少し恥ずかしい台詞をいったかな…)

 

私は高町家から出ていった時の言葉に、そう思いながらも走る速度を緩めずに走っていく。

 

……―――リーンッ。

 

「鈴の音…?」

 

私がそう感じた時には周りの景色が沼の湿気のこもったような陰気な空間に染まっていく。

これはすぐに結界内に侵入したのだと判断。

そして遠くの方からまるで大型の獣が走り回っているような振動が響いてくる。

私は一度脚を強化して電柱の上に登り、さらに眼を強化してなのはの魔力が感じる方を見るとなにか黒い巨大な丸い魔物になのはは追いかけられていた。

そして、なのはの腕にはフィアとユーノが抱えられている。

ユーノの方がなのはに「あなたには資質があります。どうか力を貸してください!」と言っている。

私はその光景を目にして、

 

(まさか、なにも知らない女の子に力を託すって言うの? フィアが言っていたようにあの赤いデバイスを…。なのはは争いを好まない性格だ。もし力を手に入れたら取り返しがつかないことになる)

 

私はそれを阻止するために足をさらに強化して電柱の天辺を何度も飛び跳ねて、なのは達に襲い掛かろうとしている魔物に助走をつけた跳び蹴りをお見舞いした。

 

 

 

◆◇―――――――――◇◆

 

 

 

なのはは、いやユーノとフィアットも正直目の前の光景を疑った。

先ほどまで猛威を振るっていた魔物が空から降ってきた女の子の一蹴りによって後方に吹き飛ばされたのだから。

そしてフワッとした感じで着地し、

 

「フィア…それになのはも無事だったようね」

 

女性は安心したような吐息をついた後、こちらに振り向いた。

その女性はシホだった。

その事になのははとても混乱した。

 

「え? えぇ!? シホちゃん!?」

「とりあえず落ち着きなさい。…あの魔物は私が退治する。フィア! 援護して!」

「わかりました、お姉様!」

「「お姉様!?」」

 

とりあえず、なのはとユーノはこの際無視してシホはフィアットを肩に乗せて事前に投影していた干将・莫耶を構えた。

 

「フィア…あの魔物はなに?」

「あれはジュエルシードと言った危険なロストロギアを取り込んで魔物となったものです、お姉様」

「ジュエルシードにロストロギア…まだ事情は分からないけど、とにかく危険物と見て排除してしまって構わないのね?」

「はい! ですがジュエルシードはできれば回収したいものなのです。だから…」

「…了解。なのは、とりあえずあなたは隠れて見ていなさい」

「う、うん…」

 

なのはにそう伝えシホは干将・莫耶を握る手に力を込めて身体強化も施して突撃した。

当然魔物も応戦しようとして飛び掛ってくる。

だがシホはなんなく双剣をクロスに構え、

 

「せいッ!」

 

双剣はいとも容易く魔物を四分割にして、即座に双剣を腰の鞘入れにしまい、振り向きざまに追い討ちをかけるかのように洋弓と四本の矢を投影して四つに分断されていた魔物にそれぞれ秒単位で矢を放ち、刺さった瞬間を見計らって、

 

壊れた幻想(ブロークン・ファンタズム)!」

 

矢の幻想を開放し、破裂した魔力が小爆発を起こし魔物は辺り一面に飛び散った。

だがシホは気を緩めずになのはの腕を掴んで、

 

「ひとまずここから離脱するわよ!」

 

すぐにその場を後にした。

シホはそのジュエルシードというものをどうにかしない限りあの魔物は再生すると踏んでいた。

それはまさに正解でシホ達が立ち去った後、かなりのダメージを受けたはずの魔物は神秘の籠もった武器で八つ裂きにされたために再生は遅いもののまた一つに纏まろうとしていた。

 

 

 

………………

……………

…………

 

 

 

ひとまず離脱できたシホ達だが、

 

「シホちゃん、さっきのなに!? すごい早くてよくわからなかった!」

「僕もあなたの使う術に興味がわきました」

「あれがお姉様の魔術なんですね! 感動しました!」

「………」

 

三人(?)が騒いでいる中でシホはこめかみを押さえながら、

 

「今はまず現状を把握しなさい! まだあの魔物は生きているのよ!?」

「「「は、はい…!」」」

 

三人はシホのあまりの剣幕にすぐにおとなしくなった。

それでしばらくしてシホは落ち着いたのか少し前髪を掻き揚げながら、

 

「でも、参ったわね…」

「敵の再生能力がですか、お姉様?」

「それもあるわ。でも、そんなものはどうだっていいの。なのはには私の裏の姿を見せたくなかったのよ…」

 

その言葉に一同はしばらく沈黙。

シホはなのはが自身に対して恐怖心を抱くのでないかと…そう危惧していた。

だが、なのははその逆でどっちかというと憧れのような眼差しをしていた。

 

「そんなことないよ。シホちゃんの力は私達を守ってくれた…だから怖くなんかないよ?」

「なのは…ありがとう」

「うん!」

 

それでシホは気持ちが幾分楽になり思考を元に戻して、

 

「…さて、それでフィア。あの魔物はどうやって倒したらそのジュエルシードってものを取り出す事ができるの? 私なら存在そのものをこの世から消し去ることもできるけど、ジュエルシードは大切なモノなのでしょ?」

「はい…。お姉様の宝石に宿ったデバイスを起動して使いたいところなんですけど、まだ発掘されてよく解明されていないデバイスな為に起動方法もわからないんです。だから…」

 

フィアットはちらっとなのはの方を見た。

 

「ふぅ…なるほどね。どうやら私にもそのユーノっていうフィアの兄が言っていた“資質”があるらしい。

けど、今はその“デバイス”っていう奴の方が中身がブラックだらけで使い物にならなくて、尚且つ私の宝石と融合しちゃったから一度どこかで調べてもらわないとどうしようもない。

…私の方のデバイスはこういう解釈でいいかしら?」

「はい。だからその分使い方も分かっていて、それにお姉様と同格か下位の魔力を持ち合わせている…なのはさんに兄さんのデバイス“レイジングハート”を使って封印してもらいたいのです」

「やっぱり、か…。私としては魔力資質が膨大でもただの一般人でしかないなのはにはお勧めしたくないわ」

「シホちゃんも一般人じゃ…?」

「…さっきの一連の光景を見て私を一般人だと思うなら脳外科か眼科をお勧めしたいところよ?

でも、今私はもう使い方がわからないけどデバイスは所持しちゃってる。

ユーノとフィアは私の治癒魔術で傷は塞がっているけどデバイスを扱えるほど今は魔力がない。

さらにそのジュエルシードって奴はそのデバイスを使わないといつまでも封印はできない。

だから最善策としてなのはに頼らざる得ないのが現状でベストな判断。…これでよろしい?」

 

三人はシホの丁寧かつ的確なまとめに驚いていたが、ユーノとフィアットは概ね正しいので頷いた。

 

「そう…それじゃしかたがないわ。私個人は反対だけど現状が現状だし私が奴の足止めをしている間にちゃっちゃと契約しちゃいなさい?」

 

そしてシホはまたホルダーから双剣を取り出して駆けていった。

駆けていった先にはまるで猪のように魔物が迫ってきている。

魔物から幾重もの触手が放たれるが、シホはそれを意に介さず次々とそれらを切り裂いて本体を攻撃していく。

再生しているとはいえ、その倍以上の攻撃をシホは与えているので魔物はどんどん傷だらけになっていく。

その光景を見ていたフィアットはというと、

 

「お姉様…素敵だわ。やっぱり私の目に狂いはなかった」

 

と、頬を赤くしながら呟いている。

それを見ていた兄・ユーノは妹が特殊な性癖に目覚めてしまったことを嘆きながらも呪文をなのはに教えようとする。

 

「一緒に唱えて。我、使命を受けし者なり…」

「えっと…我、使命を受けし者なり…」

「契約の下、その力を解き放て」

「契約の下、その力を解き放て」

「風は空に、星は天に。そして、不屈の心はこの胸に」

「風は空に、星は天に。そして、不屈の心はこの胸に」

 

ユーノとともに唱えていたなのはだが途中から自分で唱えるようになり、

 

「「この手に魔法を。レイジングハート、セット・アップ!」」

《stand by ready. set up.》

 

ユーノと同時に最後の呪文を唱えた瞬間、桃色の光が空高く舞い上がる。

シホはデバイスによって引き出されたその膨大ななのはの魔力反応に魔物を大きく吹き飛ばして一度見入る。

見ると光の中でレイジングハートと呼ばれる赤い水晶玉が杖の形に変形していき、なのはの姿もフィアットがいうには自身の守りの衣服のイメージで構成されるというが、なぜか聖祥の制服が構成材質モデルになっている。

そう…なのはは“魔法少女”になったのだ。

シホはそれを見て、とある古い記憶が呼び起こされる。

…アカイアクマの洋館で開けてしまったミミックの箱。

その中に入っていた羽根つきのアーパーステッキ…その名も!

…記憶強制封印!

一番から…(以下略)。カット! カット! カット!!

 

何度か頭を振るっているシホだったが、すぐに戦闘思考に戻し、

 

「さぁ、なのは! さっさとユーノにその魔法の杖の使い方を教わってこいつを倒してジュエルシードってモノを封印しなさい!」

「う、うん!」

 

シホはそう言いまた魔物に駆けていった。

だがなのはの魔力に反応したらしく魔物はなのはの方に向かっていった。

とうのなのはは目を瞑り使い方の^_^まイメージを頭に思い浮かべ、すぐにゆっくりと目を開けると杖を掲げ、

 

《protection.》

 

レイジングハートから電子音のような女性の声とともに桃色の膜――防御魔法――が展開し魔物の攻撃を防いだ。

防がれたために動きが怯んだ隙を狙って、

 

「リリカルマジカル。ジュエルシード21!」

 

なのはの掛け声とともにレイジングハートから光の翼が展開される。

のちにシホはこれがシーリングモードだと聞かされる。

 

(でも…魔法の呪文キーがリリカルマジカルって…もしリンがいたら同情の視線を送っていたかしら?)

 

シホがそんなどうしようもないことを考えているうちにそのシーリングモードから何本もの光の帯が魔物に向かって流れて縛り上げる。

それによって魔物は苦しみだし額にXXI…つまり21番の文字が浮かび上がる。

 

「リリカルマジカル。ジュエルシード、シリアル21。封印!」

 

それによって魔物が輝きだして一気に弾けた後、地面にジュエルシードと呼ばれる青い宝石だけが転がっていた。

ユーノの指示でレイジングハートを近づけるとジュエルシードはレイジングハートのコアの部分に吸収された。

これで終わったらしく、なのはの姿は解除され元の服装に戻っていった。

これも後にバリアジャケットというものだと聞かされる事になる。

シホはゆっくりと話をしたかったが魔物が盛大に暴れてくれたために(シホは自分も暴れていたがその事を棚上げした)辺りはボロボロでパトカーのサイレンも聞こえてきた為に、

 

「逃げるわよ!」

「ふ、ふえぇぇぇーーーッ!?」

 

なのはを両手で抱える。ちなみにお姫様抱っこである。

それでなのはは顔を赤くしたがシホは構わない。

そしてユーノはなのはの腕の中、フィアットはシホの肩の上に乗った。

シホはなのはが落ちないで姿勢が安定した事を確認した後、足に魔力を込めて、来た時と同じように電柱を足場になるべく遠くに移動していった。

 

 

 

◆◇―――――――――◇◆

 

 

 

とりあえず一同は人気のない公園に身を潜めながら、

 

「…ふぅ、ここまで来ればもう大丈夫ね?」

「お姉様はすごいですね。魔力の流れを感じましたけどそれ以上に身体能力がずば抜けていました」

「それは日々鍛えている事も関わってくるけど、私達の使う魔術には身体強化というものがあって、大まかに言うとまず言葉の通り身体のあらゆる強化、他にある一部をその瞬間だけ強化…眼力がいい例ね。

私は先ほどの攻撃どおり剣術も使えば遠距離からの弓矢での射撃も使う。

相手の動きを的確に捉えるのには重宝させてもらっているわ。

…っと、そうだわ。

そんな事は今はいいのよ。フィア、早速だけど色々と教えてくれないかしら?

一体ジュエルシード…その他にもロストロギア、そしてデバイス、この世界の魔法ってものを…。

…ところで、なのはとユーノはどうしたのかしら?」

 

シホが見ると、なのはは目を回していて、さらにユーノはなのはの腕の中だった為に盛大に振り回されてぐったりしていた。

シホは思った。

いわゆる…やりすぎた? である。

 

「…とりあえず詳しい事情は家に帰ってからにしましょう? なのはも正気に戻さなきゃいけないし…」

「…そうですね、お姉様」

 

シホ達は溜息をつきながら帰り際になんとかなのはを正常に戻すまでこじつけてから帰宅した。

当然、恭也と美由希が待ち構えていて、なのはは気が引けたのか一歩後ずさるが、シホが目配せしてそれに二人も応えてくれたので事なきを得た。

そして二匹のフェレットを見た美由希が思わず抱きしめていた。

続いて家の中では美由希以上に桃子はユーノの方を抱きしめて悶絶していた(フィアットは逃れてシホの肩に乗っていた)。

だが、その際フィアットは心の中で、

 

(…フェレットの姿を利用して優しくしてもらっている兄さんの顔がなぜか緩んでいるわ。…兄さん不潔よ!)

 

と、思っていた。

 

ともかくこれからどうするかはもう夜更けの為に明日相談することになった。

 

 

 




シホ前衛、なのは後衛な感じですね。

それではご意見・ご感想・誤字脱字報告をお待ちしております。

では。
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