【完結】剣製の魔法少女戦記   作:炎の剣製

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今回は原作空白期の設定通りにツヴァイのお話です。


第九十三話    『リインフォースⅡ』

 

 

 

Side 八神はやて

 

 

私は、この一年と少しの間、この日を待ち望んでいた。

あの闇の書事件からアインスが生き残ってともに生まれてくるであろう願った八神家の末っ子である管制人格の目覚めを。

 

「はやてちゃーん! 準備はいい?」

「いいですよ、マリーさん!」

 

足もすっかりリハビリもして治りもう普通に歩けるようになった小学五年生の春先。

私は自身のリンカーコアの一部を摘出して、そのリンカーコアをベースにして管制人格のコアを生み出し今の今まで育んできた愛しい子が生まれようとしている。

少しずつ形をとっていき、その子は人間の姿に変化していく。

もう少し、もう少しで生まれる。

私の子が。

そして生体ポットの中で一つの形が出来上がる。

ヴィータよりも少しばかり幼く設定し、リインフォースと違い銀色ではなく水色の髪をして髪留めには私と同じバッテンがつけられていている。

そして私の騎士甲冑の黒色とは対照的に白色を基準にした服装をした一人の女の子。

アインスとそれを見ながら、

 

「主、ようやく生まれましたね。新たな融合騎が。あなたの支えとなるユニゾンデバイスが…」

「うん…。ここまで来るのに長かった…。元・ユニゾンデバイスのアインスやアルトリアさんというユニゾンデバイスを基本骨子にして生み出した新たな管制人格のデバイス…。

名前は『リインフォース・(ツヴァイ)』や!」

 

最後に名前も入力して少しずつツヴァイは目を開け出す。

 

「…名前認証確認しました。はじめまして。私はリインフォースⅡです。よろしくお願いしますです! マイスターはやて!」

 

あ…。

マイスターはやて…。

その響きを私は以前にも聞いた覚えがある。

そう。あれは聖杯大戦事件でキャスターの宝具『闇の書の悪夢』に取り込まれた時に精神世界でかすかだけど聞いたあの子の言葉、そして声。

あの時は聞き逃してしまったけどもう私は忘れへん。

 

「そうかぁ…。やっぱりあの時の声はツヴァイの声だったんやね…?」

 

私は自然と涙を流してツヴァイを引き寄せて抱きしめる。

 

「マイスターはやて…? どうしたんですか? どこか痛いんですか?」

「ううん、違うんよ。あなたに会えてとっても嬉しいんよ…この涙は嬉し涙や」

「そうですか…」

「生まれてきてくれてありがとな、ツヴァイ」

「はい、はやてちゃん!」

 

ああ、やっぱりあの時に聞いた声と一緒や。ようやく私は巡り会えることができたんやね?

新しい八神家の家族に、末っ子に…!

 

「それと、アインスお姉様でいいのですか…?」

「ああ。リインフォース・アインスだ。よろしく頼む。リインフォース・ツヴァイ」

「はいです! アインスお姉様!」

 

アインスとも仲良くやっていけそうやね。

これなら大丈夫そうや。

 

「よかったですね、はやてちゃん。無事完成して」

「はい。マリーさん、今までツヴァイを生み出すのを手伝ってくれて感謝します」

「いいよー。それよりこれからツヴァイを大切にしていってね」

「はい!」

 

マリーさんに感謝しながら私はアインスとツヴァイと一緒に我が家へ帰ろうと思う。

私の家族達や親友達にツヴァイの事を紹介せんといかない。

 

「それじゃ、帰ろうか。二人とも?」

「はい」

「はいです!」

 

ツヴァイはまだ生まれたてでうまく飛行ができないのかアインスの肩に乗っていた。

 

 

◆◇―――――――――◇◆

 

 

「ただいまー!」

 

私が元気よく家に帰ってきてみんなに聞こえるように声を上げる。

するといの一番にヴィータが走ってきた。

 

「はやて! おかえり!」

「ヴィータ。今帰ったで。それとみんなはもう全員いるか?」

「いるよ。普段はどこかにいっているアルクェイドも今はいる」

「それはちょうどよかった。紹介したい子がおるんよ」

「はやて、それってまさか!」

 

それでアインスに目で合図をする。それで後ろに隠れていたツヴァイが姿を現す。

 

「えっと、ヴィータちゃん、ですよね…?」

「うん!」

 

それでヴィータは嬉しそうに顔を綻ばせる。

 

「私の名前はリインフォース・ツヴァイです。よろしくお願いしますです!」

「あぁ、よろしくな。ツヴァイ! おおーい! みんなー!」

 

ヴィータはツヴァイをすぐに連れてみんながいるだろうリビングへと走っていった。

 

「それじゃ私達もいこうか。アインス」

「えぇ、我が主」

 

それでゆっくりとしながら私とアインスもリビングへと向かう。

そこでは、

 

「きゃー! かわいい!」

「しゃ、シャマル、苦しいですぅ…シグナム、助けてくださいです!」

「まぁ、少しはシャマルの好きにさせてやれ」

「いきなり見捨てられたです!?」

「しかし、やはりアインスに似ているな」

「そうだな」

「ヴィータのご要望通りに幼いようだな」

 

士郎と志貴とザフィーラが感心した目をツヴァイに向けていた。

 

「士郎パパ! 助けてください!」

「だ、だれがパパだね!?」

「…? はやてちゃんに士郎パパは士郎パパと呼ぶんだと教わりましたが…」

「はやて~!」

「士郎、怒ったらアカンよ? ツヴァイが悲しんで泣いてまうよ…?」

「ぐっ…!」

「士郎パパ…やっぱりパパはダメですか…?」

 

ほら。ツヴァイが涙目で士郎に泣きよっている。

計画通りや。あの夢の世界でツヴァイは士郎の事を『士郎さん』と言っとった。

でもそれだと面白くないやろ? 主に私がだが。

それでツヴァイには士郎の事はパパと呼ぶように言い含めておいたのだ。

いや、いい仕事をしたと私は思う。

他にも理由はあるけどそれは士郎が気づく事はないかな…?

 

「ダメですか? 士郎パパ…?」

「…い、いや。別にかまわん。好きに呼べ…」

「わーいです!」

 

ツヴァイはそれで「わーい」と嬉しそうに空を舞って士郎の頭に乗る。

どうやらもう士郎の頭をベストポジションに決めたらしい。

ぬくぬくとした表情をしている。

 

「それでは私がママですかね~?」

「なっ!? それなら私がママだろう!」

 

キャスターとアインスが毎度お馴染みの士郎の隣は私のモノだ合戦を開始した。

士郎もさすがに毎回言い寄られているので最近は気持ちに気付いているらしく「私はどうすればいいのだろう…?」とザフィーラに相談しているらしい。

ザフィーラ本人から聞いた事だから間違いない。

なんや士郎はシホちゃんと似たような悩みを抱えていたりする。

これも成長やね。

 

「アハハ、ツヴァイ、可愛いわね。志貴、私達もせっかくだし作ろっか!」

「ぶはっ!? いきなりなにを言いだすんだ、アルクェイド!」

「えー? 志貴は私が好きなんでしょ? なら私も好きだから両思いでもう後はやるだけでしょ…?」

「少し黙れ! このアーパー女!」

「あ、志貴ひどいー!」

 

アルクェイドと志貴がなにやら乳繰りあっている。

あんたらはさっさと結婚しろと声を出して言いたい。

英霊同士の子供というのも見てみたいしな。

 

「アインスお姉様はアインスお姉様です。キャスターもキャスターです。私の大事な家族です!」

 

ツヴァイの向日葵のような笑顔を向けられて毒気が抜かれたのか全員は少し頬を赤くする。

うん。ツヴァイは癒し要素やね。

全員ツヴァイに癒されているみたいや。

 

「と、そうや。ツヴァイの呼び方を決めようと思うんやけどどうやろ?」

「いいと思いますよ、はやてちゃん」

「私はもう皆の中ではアインスと呼ばれていますからね。リインフォース…いや、長いな。そうだな、リインなどはどうだろうか?」

「リインか。アインス、いい呼び方やね。ツヴァイ、リインはどうや? これなら名前っぽいで?」

「はい! 嬉しいです!」

「よし決まりや。これからツヴァイはリインで決定や!」

「はいです!」

「リインか…。ではこれからそう呼ばせてもらおう」

「リイン。よろしくな!」

「リインちゃん。よろしくね」

「よろしく頼む。リイン」

「リイン、よろしく頼む」

「ま、よろしくなリイン」

「よろしくお願いしますね、リイン」

「よろしくね、リイン」

 

シグナム、ヴィータ、シャマル、ザフィーラ、士郎、志貴、キャスター、アルクェイドの順にリインに声をかける。

それでリインは嬉しそうに士郎の頭の上で「わーいです!」と声をあげている。

 

「そうだ。まだユニゾンをしてへんのやった。試しに私とユニゾンをして適合率を確かめてみようか?」

「はいです」

 

マリーさんのところで試運転をするのを忘れていた私はそれから騎士甲冑を展開して、

 

「それじゃリイン。いくで!」

「はいです!」

『ユニゾン・イン!』

 

私とリインはそれでユニゾンをする。

そしてそれをシャマルがモニターで検査している。

 

「どうや、シャマル?」

「はい。バッチリユニゾンできていますよ。アインスとユニゾンした時とおんなじ適合率です。

後はこれをどれだけ持続できるか試していきましょうね」

「わかったわ」

『はいです!』

 

そうしているとタイミングよくマリーさんから連絡が入ってきた。

 

『はやてちゃん! ごめんなさい、ユニゾン試験をやるのを忘れていました!』

「あ、マリーさん。ちょうどよかったです。今、それをやってるところなんですよ」

『そ、そっかぁ…残念。それじゃ今からユニゾンに関しての一通りの検査内容を送るからもしよかったら終わったら私にデータを送ってもらっていい?』

「いいですよ」

『うん。それじゃ伝える内容はこれだけだからまたね、はやてちゃん。みんなにもよろしくね?』

「わかりました。それじゃまた今度です」

『うん。また今度ね。それじゃ』

 

それでマリーさんと通信を終了する。

 

「それじゃマリーさんから送られた検査内容をこなしていこか。リイン」

『はいです、はやてちゃん』

 

それで検査をこなしていくのだった。

 

 

◆◇―――――――――◇◆

 

 

数日後、私はシホちゃん達を家に呼んだ。

 

「はやて、大事な話ってなに?」

「なんか学校でもそわそわしていたよね?」

「うん」

「そうだね」

「はやてちゃん、なにか嬉しいことがあったの…?」

「隠していないでさっさと教えなさいよ」

 

シホちゃん、なのはちゃん、フェイトちゃん、アリシアちゃん、すずかちゃん、アリサちゃんの順に私に話をふってきた。

なので私はもう隠さないで私のデバイスを取り出し、

 

「リイン、出てきてな」

『はいです、はやてちゃん』

 

それでデバイスからリインが姿を現して空を舞う。

それに全員驚いた表情をして、

 

「ユニゾンデバイス…完成していたのね。名前はなんていうの?」

「私の名前はリインフォース・ツヴァイです。長いのでリインと呼んでくださいです!」

 

ほわっと笑みを浮かべたリイン。それによって和むシホちゃん達。

 

「わーわー! 可愛いよリインちゃん!」

「そうやろ。なのはちゃん! 私のリンカーコアの一部から生まれた私の子や」

「はやてのリンカーコアから…それって親子だって事だね」

「はいです。ちなみにパパは士郎パパです!」

『えっ…?』

 

それで勘違いしたのか全員、特にシホちゃんが顔を青くする。

 

「はやて、士郎がはやてを襲うなんて…考えていなかったわ。ごめんなさい…」

「いややわー。シホちゃんがいの一番に勘違いを指摘してくれなきゃダメやろ?

シホちゃんはツッコミに定評があるんやから。

リインには私が言わせたんよ。士郎の事をパパって呼ぶようにな」

「ちなみにその心は…?」

「もちろん士郎を弄るネタの一つに決まってるやろ? アリサちゃん!」

 

なにをいまさら。だけどそれでシホちゃんはホッとして代わりに士郎に同情しているらしい。

 

「あ、シホさん! 今度アルトリアお姉さんを私に紹介してくださいね? おんなじユニゾンデバイスとして尊敬していますから!」

「わかったわ。リイン」

 

それからリインを中心に色々と雑談を交わしていった。

 

「そういえばな。リインは私以外ともユニゾンができるんよ」

「はやて以外と…? 誰とユニゾンできたの?」

「まずはシグナムやろ。お次はヴィータ、アインス、そして士郎ともユニゾンできたわ」

「士郎パパとユニゾンできたのは嬉しかったです!」

「リインはそれが一番喜んでいたからな~。私としては複雑の極みだったわ…。なんかリインが士郎にとられたみたいで…」

『あははー』

 

それで全員は苦笑いを浮かべていた。

 

「でもやっぱりはやてちゃんが一番ですからね?」

「うん。それなら嬉しいわ、リイン」

「でもはやてもいっぱいデバイス持ちになったわね。ストレージの夜天の魔導書にアームドのシュベルトクロイツ、そしてユニゾンのリインの三つでしょ?」

「ノンノン。リインにも直に『蒼天の書』というストレージデバイスが持たせられるんよ。だから合計四つになるわ」

「それだけはやてちゃんの魔導の制御が困難だって訳だね」

「そうなんよ。それでやっと完全に安定するんよ。自分のことながらやっかいな力や」

 

それで私は「あはは…」と笑う。

あ、それとみんなにも伝えておく事があったんや。

 

「そういえばな。聖杯大戦でキャスターに取り込まれた時に私を助けてくれた声なんやけどリインとおんなじ声やったんよ。

これってどういう事やろか?」

「はやてちゃん、聖杯大戦とはまだはやてちゃん達が九歳の時に起きた事件ですよね? 私はつい最近生まれたから干渉は無理ですよ?」

「うん。それは分かっとるんよ。でもつい気になってな」

 

それでみんなの顔を見ると、シホちゃんが悩む仕草をしている。もしかしてなにか心当たりがあるんやろうか?

 

「はやて、それに関しては少し心当たりがあるわ。でも今はまだ内緒にしておくわ。私の修業不足もあるから…」

「そうなんか。それじゃ教えてくれるのを楽しみにしておくわ」

「えぇ」

 

でも修業不足…シホちゃんの使える魔法は、確か『投影魔術』、『固有結界』、『魂の物質化』、そして…、

あ! 『平行世界の運営』!?

それじゃあの時助けてくれたんはリインだけじゃなくてもしかしてシホちゃんもおったんかな!?

しかも平行世界の二人!

そう考えると色々と辻褄が合う。

そうかぁ…。

シホちゃんとリインがな。

それで私は嬉しくなり、

 

「シホちゃん、リイン。私を助けてくれてありがとな!」

「え…?」

「はい…?」

 

シホちゃんとリインは分からないといった顔をしているけど私の勘は多分あたっているはずや。

だから感謝の言葉を送りたい。私の未来を繋いでくれてありがとう、と。

 

「はやてちゃん、なんか楽しそうだね」

「そうか? まぁ、そうなんやろうな。うん、楽しみや」

 

せっかくみんなに支えられて助けてもらった命。ヤガミのように絶望しないように頑張っていこうか。

 




今回こんなお話でしたが原作をなぞるなら今回の次の話もなのは空白期設定で起こる事件です。

それではご意見・ご感想・誤字脱字報告をお待ちしております。

では。
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