FAIRY TAIL~寂しがりの悪魔の妖精~   作:クルス@アルマゲドン

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短めに書こうと思ったらながくなってしまった…


悪魔と悪魔の島

 

遥か昔、1人の悪魔が存在していた。名前は「寂しがりの悪魔」ライナ・エリス・リード。ライナは元は人間だった。どうやって悪魔になったかは本人以外誰も知らない。

ライナは悪魔になってからは常に1人だった。辺境の地に居座り、人を避けるように魔法で結界を張り、誰にも侵入されないし、誰とも関わろうとしなかった。

ライナは恐れていたのだ。自分が悪魔になり、手に入れた強大な力が。

ライナが辺境の地に居座り数年が経った頃に1人の青年がライナの下へ現れた。ライナは驚いた。ライナが張った結界を破壊して入ってきたのだ。張った結界の強度は禁忌魔法・煉獄砕破《アビスブレイク》を防ぐ程のものだ。

結界を破壊した青年の名は『ゼレフ』。

ゼレフはライナの噂を耳にしたのか辺境の地に足を運んでいたのだ。

ライナの噂とは、辺境の地に居座る災厄の悪魔。あの悪魔が動けば世界を破壊する。何よりも人を簡単に殺す。

何故こんな噂が流れているのかというとライナは一度暴走している。力を手に入れた当初の頃、上手く制御出来なかった結果だ。

ゼレフはそんなライナに興味を持った。

そして、2人は出会った。

ライナは久しぶりに他人と会えたことに喜び、ゼレフはライナを一目見た瞬間敵わない相手がいることを喜んだ。

ゼレフは敵わないと分かっていてもライナに勝負を仕掛けた。

ゼレフの一撃一撃が強力な魔法に対して、ライナはその全てを強化魔法を幾重にも重ね合わせた手刀で切り裂いていく。

ゼレフは歓喜した。自分の魔法が紙切れのように切り裂かれ、無力化される。自分を殺せる存在がいるということを知ったのだ。

更にゼレフの攻撃は過激になっていく。一つ一つの魔法が禁忌指定のモノを何発も放つ。それに対してライナは指を動かし、魔法陣を編んでゆく。ライナの魔法も禁忌指定のモノ。ライナはゼレフの魔法を相殺していく。ライナの放つ魔法は全てゼレフの魔法と威力が同じ。ライナは全然と言って良いほど力を出していない。

そんな次元が違う戦いが三日三晩続いた。気付けば辺境の地から島に変わっている程の壮絶な戦いだ。結局、戦いに制したものはライナだった。ライナは三日三晩戦ったというのにも関わらず息切れすらしていない。対してゼレフは魔力切れ、体力の限界によりその場に倒れていた。

互いの体はボロボロ。ライナからすれば初めて此処までされた相手。ゼレフも同じだろう。

戦いが終わるとゼレフはライナに魔法を教えてほしいと頼み込んだ。

ライナは期限を付け承諾した。期限は3年。

それからライナとゼレフの共同生活が始まった。ライナはゼレフに対して殆ど教えることがなかった。故にゼレフが造り上げた魔法を検証する、もしくはライナとゼレフで魔法を造り上げる。そんな日々が続く。

そして、ゼレフは黒魔法を造り上げた。ライナという悪魔から得た知識と経験を駆使し、生きる魔法を完成させた。それにより、ゼレフという存在は完成した。

 

 

 

◇◇◇

 

「ふわぁ。よく寝たぁ~」

 

そう言いながらライナは大きく口を開き欠伸をする。寝起きのせいかライナの目はしっかりと開いていなかった。ライナはゴシゴシと目を擦る。すると、不思議なものが目に入った。

 

「えっと、ルーシィだっけ?縛りプレイとか趣味あん────」

 

「違いますッッ!」

 

「あい、オイラとルーシィはエルザ様に捕まったんだよ」

 

縄に縛られたルーシィとハッピーがいた。ライナはボーッとしながら考える。

 

(そういえばなんでオレの部屋にいるんだ?)

 

ライナはそう考え周りを見回すとあることに気付く。そう、此処はライナの部屋ではないのだ。それなのに何故ライナの部屋にあったベットが此処にあり、ライナは寝ていたのか更に謎は深まる。すると、ライナの頭にピリッとした痛みが走る。痛みが走った瞬間ライナの行動は早かった。即座に原因を調べる為に自身の「すべての式を解く者」を使い、周りを調べていく。この場には原因が無いと分かり、外へ出る。そして、ライナは空を見上げた。

 

「膜か。月の雫《ムーンドリップ》でも使ってるのか?」

 

ライナは空を見上げた瞬間、痛みの原因が分かった。月の雫により、発生され、空に膜をはっていたために悪魔にとっての有害な環境下だということを見抜いた。

 

「こんなものがね~。……壊しちゃっても良いのかな」

 

ライナはボソッと呟く。別にライナとっては気にする必要もないモノだ。少し頭痛がする程度なのだ。

 

「ラ……師匠、何を壊すというのだ?」

 

ライナの背後からエルザがそう問う。ライナは気配に気付いていたのか驚かずに対応する。

 

「ん~有害なモノをかな。それより、ライナで良いってエルザ。昨日だって呼べたじゃんか」

 

「し、しかしだな……」

 

少し気の抜けた声でライナはエルザに言う。対して、エルザは恥ずかしそうにしている。余程、ライナのことを名前で呼ぶのに抵抗があるようだ。

 

「んじゃあ、昔みたいにライナ兄でもいいぞ?」

 

「な、なな、何を言う!そっちの方が恥ずかしいぞ!」

 

エルザは頬を紅潮させ、ライナに怒鳴りつける。ライナはエルザの反応を見て、クスクスと笑っている。エルザはそれに気付き、更に怒る。

そんなやり取りをしながら先程ライナが出てきたテントに戻る。

 

「「ひぃっ!?」」

 

ルーシィとハッピーはエルザの顔を見るなり怯えた声を上げた。ライナは先程まで寝ていたベットに再び寝転がり、大きな欠伸をする。エルザは椅子に座る。

 

「あ、そういえば、なんでオレ此処にいるの?」

 

「ええっ!?何も知らないで来たんですか!?」

 

ルーシィが驚きの声を上げた。ライナは未だにこの状況を説明されていない。故に何をするのか分からないままだ。此処で何もしないならライナは今すぐ熟睡するだろう。休日のライナは寝る寝る寝る。起こされない限り、寝続けるのだ。最悪起きたとしても、ああ、まだ昼かと言い寝て、翌日の夕方に起き、まだ、夕方かと言い寝るのだ。ちなみにこの繰り返しは最高で4日間続いた。

エルザがライナに事情を話すとライナは『デリオラ』という言葉に反応する。それ以外は成る程ねという表情で訊く。

事情を訊き、終えると丁度良くグレイがテントの中に入ってきた。グレイはライナとエルザを見るなり、吃驚した表情になる。

グレイは止める側のだったのにナツ達に加担しているということでギルドの掟を破った者としてカウントされる。首謀者のナツは見当たらないということでエルザはナツを見つけしだいギルドに戻ると言った。

グレイは村の状況を見たのに放っておくのかと問いただすとエルザは見たさの一言。そして、エルザは正式な処理をされたギルドの魔導士に任せるのが筋ではないかと正論を言う。そんなエルザにグレイは言う。

 

「見損なったぞ……エルザ」

 

「何だと?」

 

エルザは先程までとは違う威圧感を出す。ライナはグレイを見つめながら何かを期待している表情をする。

 

「お前までギルドの掟を破るつもりか……ただではすまさんぞ」

 

エルザはグレイに剣を向ける。それに対してグレイは、剣を素手で握る。グレイの手は剣の刃を握り締めたために切れ、血が流れる

 

「勝手にしやがれ!これはオレが選んだ道だ!やらなきゃならねえ事なんだ」

 

そして、グレイは剣を払う。

 

「最後までやらせてもらう。斬りたきゃ斬れよ」

 

そう言うとグレイはテントの外に出て行った。ライナはエルザに対して口を開く。

 

「これは、グレイの勝ちだな」

 

ライナは頬を緩ませながらそう言う。これまでのグレイとエルザを見るとグレイはかなり下手に出ていたが、今回は違う。何か覚悟を持った魔導士の顔だ。

エルザは無言でルーシィとハッピーの縄を斬る。ライナは手持ちにあった魔導具ジッパーを使い、ベットをしまう。

 

魔導具ジッパー。ライナが造り出した魔導具の一つ。異空間にモノをしまい込める。何でも入るがライナは寝具しか入れておらず毎回依頼の時はこれを持ち歩く。

 

ライナはテントの外に出ると村の住人を見つける。ライナは固まった。理由は此処に住んでいる住人は人間ではなく悪魔なのだからだ。ライナは薄々気付いていた。エルザから訊いた話では人間から悪魔になったというのだ。ライナはその話を訊きビクッと体を震わせた。もしかしたら自分と同じ存在が居るのか。そうライナは考えた。しかし、冷静に考えればそれは有り得ない話なのだ。それに空に、はってある膜。月の雫によって出来たものだ。それを踏まえてライナが出した答えは記憶障害。

 

「師匠?どうしたんだ?」

 

「ん、いやなんでもない」

 

ライナはそう答え、遺跡がある方へ走り出す。ライナは遺跡へ向かうと違和感を覚える。違和感を覚えると同時に懐かしい気配も感じた。無意識なのかライナは懐かしい気配の方に向かっていた。

 

そして、ライナはエルザ達とはぐれ、氷付けのデリオラを見つけた。

 

「……随分と久し振りだな。デリオラ」

 

ライナはデリオラを知っていた。というよりはゼレフと一緒に生み出した悪魔の一体なのだからだ。ライナは自身の肉体を鍛えるためにデリオラと毎日のように戦っていたのだ。お陰でライナの身体能力は化け物並となっているのだ。しかし、ゼレフとの別れの際、デリオラはゼレフの魔導書の中に戻っていったのだ。

ライナはそんな思い出に浸りながらデリオラを眺める。ライナは眺める際に「すべての式を解く者」の力を使う。デリオラの纏っている氷は『絶対氷結』《アイスドシエル》。使用者の命を代償に溶けない氷で凍らせるという魔法だ。

しかし、ライナが見たのはデリオラの身体の方だった。

 

「……そっか」

 

何かを知ったライナは寂しそうな表情をしながらデリオラを見つめ、そう呟く。

 

「おやおや、まさか此処に居るとは驚きですね『悪魔の妖精』さん」

 

『悪魔の妖精』──ライナが闇ギルドから呼ばれる二つ名だ。ライナが闇ギルドを潰す際にその理不尽なまでの強さと非情さから付けられたら名だ。この二つ名は知る者は数が少なく殆どの人は知らない。もし、それが知られていても誰も信じようとはしない理由は表では幾つかの二つ名が通っているからだ。

一つは『優しすぎる妖精』。この二つ名は老若男女に呼ばれる。自分のことは後回しにして周りを助ける。物静かで常に優しい。そう優しすぎるのだ。

そして、もう一つの二つ名は『惰眠の妖精』。この二つ名は女性が多く使っているものだ。依頼先などでベットに気持ちよさそうに寝ている顔ライナを幾度も見られついた名。惰眠とは言うもの気持ちよさそうに寝ているライナの顔はどこか惹かれるものがあり、雑誌に取り上げられ、ファンクラブが出来たとか。

 

ライナは『悪魔の妖精』呼んだ人物を見て口を開く。

 

「……なんて趣味が悪い格好してんだ。似合わないぞウルティア」

 

「…まさかこんなに早く気付くなんて────ッ!?」

 

「とりあえず燃えとけぇ!」

 

上からナツがザルティ(ウルティア)に向かって突っ込んだ。ザルティは少し反応が遅れたがナツの攻撃を回避する。

ザルティはナツに何故自分の場所が分かったのかを問うとナツは鼻が良いと答えた。滅竜魔法の恩恵なのかナツの五感は発達しているのだ。

 

「あれ、ライナ!?何で此処に居るんだ!?」

 

ナツはライナが居ることに驚く。ライナはデリオラの方を向き続けている。すると、デリオラの真上の穴から光が落ちてくる。その光こそが月の雫なのだ。そして、デリオラの氷が溶け始める。

ナツは速く止めないととこの場を去ろうとするがザルティの失われた魔法《ロストマジック》時のアークにより阻まれる。

 

「あ~、あっと。ナツ。コイツはオレに任せろ。お前は儀式を止めてこい」

 

先程まで無言だったライナが口を開いた。ナツはなら、お前が行けオレがコイツとと言い切る前にライナはナツを魔法(物理)で上に飛ばす。勿論、天井の壁に穴を空けて。

 

「……まさか、アナタも時のアークを使えるだなんて」

 

「素が出てるぞウルティア」

 

ウルティアが驚いたのはライナが時のアークを使用したということだ。先程空けた穴は時のアークにより、老朽化を進め空けたのだ。ライナは頭をかきながらウルティアに問い始める。

 

「何でお前はデリオラの氷を溶かすのに手を貸すんだ?オレが訊いたところによれば零帝って奴では倒せないと思うんだけど。それにウルティアお前もな」

 

「我がものにしたいからですかね」

 

「あ、まだその役続けるんだ。んじゃあ、その役の名前教えてくれよ」

 

「…相変わらずのマイペースっぷりですね。まあ、そこが良いところなんですけどね。ザルティです」

 

「ん、わかった。じゃあウルティア」

 

「…偽名を訊いておいて本名で呼びますか」

 

呆れ顔でそう言うウルティア。

ライナは眠いですよという顔でウルティアを見続ける。

ウルティアは変身を解き、水晶玉を宙に浮かせる。そのまま空中で停止し、ライナに向かい問う。

 

「それでアナタは私の邪魔をするのですか?」

 

その問いにライナは首を縦に振る。ウルティアはそれを確認した瞬間、水晶玉をライナに向かい飛ばす。ウルティアは時のアークを使い、水晶玉を加速させる。ライナは半眼で避ける動作を見せない。

ウルティアが飛ばした水晶玉がライナに当たる寸前で砕け散った。ウルティアは訳が分からないという顔をする。

 

「時のアークってのは未来と過去を操るモノだ。もし、それを使える者同士が戦うことになったらどちらが勝てると思う?……それは操る量と質が良いヤツだぜ」

 

ライナがそう言った瞬間、ウルティアの周りに何百、いや何千ものナイフが停止していることに気付く。

ウルティアは戦慄した。時のアークは失われた魔法。故に極僅か、もしかしたらウルティア1人しか扱えないものと思っていた。しかし、目の前にウルティア以上に時のアークを扱う者が居るのだ。それに加え、一瞬のうちに展開されたナイフ。ウルティアは訳が分からなかった。

数秒間ウルティアは冷静に考え、答えを出す。

 

「……流石にアナタには敵いませんね。此処は大人しく退くことにします」

 

「おう、懸命な判断だ」

 

ライナは口を緩ませそう言い、空中に停止させてあったナイフを消す。突然の出来事にウルティアは目を丸くする。それも当然、何千もあったナイフを一瞬で展開し、一瞬で消えたのだ。ウルティアは、まだライナには得体の知れない力があると確信する。ウルティアはそんなライナのことを知りたいと思ってしまう。そして、ウルティアはライナの傍まで歩み寄り、言い放つ。

 

「ライナ、いずれ私はアナタを手に入れます」

 

ウルティアはそう言うとライナの頬にキスをする。ライナは突然のことに呆気を取られる。ウルティアは呆気を取られたライナの顔を見て、満足したのかどこかに去っていった。

 

「……吃驚した」

 

ウルティアが去っていった後にライナはそう呟く。

すると、デリオラの氷が完全に溶けそうになっていることにライナは気付いた。

ライナはデリオラに近付き、氷を溶く。

ライナがデリオラの氷を溶かした為にデリオラは完全に復活した。

その雄叫びは、自身が復活したことを知らせるかのように。

また、その威圧感は周りにいる者を怯えさせるように。

おそらく、その場にデリオラの恐怖を知る者が居れば絶望しただろう。そして、意図的に溶かしたライナを恨むだろう。

対してライナは別にデリオラに対して恐怖も無ければ絶望することも無い。デリオラは死に逝く運命なのだと知っているからだ。ただ、デリオラが死ぬ前に、最後にもう一度だけ拳を交えたいが故に氷を溶かしたのだ。そう、デリオラを封じ込めた氷は少しずつだが確実にデリオラの命を削っていた。ライナは「すべての式を解く者」でデリオラの身体の構造を見た瞬間、知ったのだ。デリオラの余命はもう無いと。だからこそ、少しでも早く復活させ、最後に拳を交わろうとしているのだ。

 

デリオラはライナに気付くと、やっと見つけたとでも言うように真っ先にその凶悪で巨大な拳を振り落としてきた。ライナはそれに対し、自身の右拳をデリオラの拳に当てる。拳がぶつかり合い、ミシミシとライナの腕から嫌な音が響く。ライナは歯を食いしばり、更に拳に力を入れる。デリオラは力を入れられたせいか押され、後ろに退く。

 

「マジかよ。オレ弱くなってなんな」

 

ライナはそう呟き、血が流れ、晴れ上がった右腕を見る。ライナの右腕は筋肉が切れ、骨も折れているだろう。

対してデリオラは拳が潰れていた。ライナが力を入れた為に潰れたのだろう。

 

次にライナが先に動く。

ライナはデリオラの頭まで飛び上がり、頭に蹴りを入れる。蹴りはデリオラの側頭部に直撃し、その巨体は横に吹っ飛び、壁に埋まる。

しかし、デリオラこうなることを知っていたかのように蹴りを入れられ際にその腕を振り下ろしライナを地面に叩いていた。ライナは叩かれ、地面に埋まる。

 

「こんにゃろう、覚えてやがるな」

 

ライナは口から血を流しながらそう言う。デリオラは壁に埋まっているがすぐさま抜け出し、埋まっているライナを踏み潰そうと足をあげる。

流石のライナも拙いと思ったのか立ち上がる。動きが鈍くなるデリオラから繰り出された足の振り落としを避け、その足に蹴りを入れ、足払いの形になりデリオラを転ばせた。ライナは転んだデリオラを見た。ライナはデリオラの動きが鈍くなったということで何かを悟ったのか目を閉じライナの口が微かに動く。

 

───あばよ、ダチ公

 

ライナはそう呟いた。誰にも聞こえない呟きで。悲しみを隠すように。

ライナはデリオラと拳を交あわせて気付いたのだ。デリオラが暴れていた理由を。

デリオラが暴れていた理由それは、ライナを探していたのだ。デリオラ自身が全力を尽くして戦える相手、それがライナ。故に、ライナならば満足出来る相手。しかし、その身勝手な行動により、多くの命を奪った。そして、氷の魔導士に封じられた。その結果がこれだ。

 

「……す、すげえ」

 

そんな呟きがライナの耳に入った。ライナは声が聞こえた方を向くとそこにはグレイがいた。

 

「──ッ!?ライナ!危ねえ!」

 

グレイがそう言った。

デリオラの攻撃がライナを襲おうとしていたのだ。

しかし、デリオラの攻撃はライナに届かなかった。デリオラの身体が崩壊し始めたのだ。ライナはデリオラを見ながら言う。

 

「グレイ、お前の師匠はすげぇよ」

 

ライナは自身と身体能力で張り合えるデリオラを人間が殺したということでそう言った。

ライナはグレイに向かい、氷を投げる。グレイはそれを掴むと涙を流し始めた。

 

「僅かだけど、片見として」

 

ライナが投げた氷はデリオラを封じ込めていた氷の一部。ライナが意図的に氷を溶かした際に切り取ったのだ。

ライナなりの優しさなのだろう。

 

「ありがとうございます。…師匠」

 

グレイは氷を握り締めて泣きながらそう言った。

 

 

 

◇◇◇

 

その後、ライナはエルザ達と合流し、デリオラは死んだと伝える。誰もが驚いていた。氷になってデリオラの命を削ったグレイの師匠に。

それからはグレイの兄弟子のリオンに村の人の悪魔化の事を聞いていたが判らないと言われていた。対して、ライナは原因を知っているには知ってるが今はそれどころではない状態なのだ。具体的に言えば、エルザに説教をされている。

 

「師匠、何故魔法を使わず、生身でデリオラとなんて戦ったのだ?」

 

ライナに追求するエルザ。今のエルザの後ろには何やら鬼の面をした幻影が映し出されている。

 

「い、いや~久し振りに肉弾戦も良いかな~って思ってやってみたらオレの動きが鈍くてさ」

 

ライナは少し怯えながらもそう答えた。

 

「それで右腕を粉砕骨折、全身の骨にヒビが入ったと。そもそも、師匠は思い付きで行動するのはやめろ!」

 

「いや、別に自然治癒をあげる魔法に応急処置の魔法で治せるから良いじゃんか」

 

「だからといって、心配する此方の身にもなれ!」

 

エルザがそう言い怒鳴った。ライナはエルザにそう言われ、先程までのだらけきった顔から真面目な顔に変わる。

 

「……悪かった」

 

ライナがそう呟くと沈黙になる。エルザはライナを見続け、ライナは反省しているのか顔を伏せている。

暫く沈黙が続くのかと思ったその時

 

「どぅぇきてる~?」

 

ハッピーがその空気を壊した。流石のナツでも今の状況は理解しているために無言だったのにも関わらず、ハッピーが見事にブレイク。

空気が変わったことにより、エルザは赤面してハッピーの言ったことを否定する。しかし、エルザだけが否定するに対して、ライナは無言。そんな無言のライナに全員の視線が向けられる。

 

「……す~……す~」

 

ライナから聞こえてくるのは規則正しい寝息。そう、ライナが無言だった理由は立ちながら寝ていたからだ。勿論、エルザ以外は呆れるを通り越して笑っていた。

エルザは顔を伏せ、ぷるぷると体を震わせる。その場に居たメンバーは誰が最初に気付いただろうか。もしかしたら、誰もが気付いたかもしれない。………ライナ以外は

 

「……そうか、そうだな、お前はそういう奴だったな!ライナぁぁ!!」

 

エルザの怒りは大噴火した。

 

 

 

 

 

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