ISは実質アーセナル=アーマードコア(真顔)   作:通りすがる傭兵

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第0話 おわりとはじまり

 

 

「いいや違う。私は私だ、お前じゃあないね」

 

 告げられた言葉を、私は否定する。

 

「支配者の意思を、私は認めない。

 人類は変革されるべきだ。だけど、それは彼ら自身の手と足で行われるべき偉業。

私たち(じんるい)の歩みを阻むな。

支配者ごときに縛られてたまるか。

未来は自分で掴み取るものだ。紛れもなく私のものだ!」

 

 刃がヒビ割れ鈍と化した剣を喉元に突きつけ、殺意と共に私は差し伸べられた手を振り払う。

 

「ーーーそうか。我々は、理解し合うことはできないか。

それもまた意思、か。ならば証明しよう。

どちらが体現者となるか。どちらが未来へ達するか。どちらがより相応しいか。

 

証明しようではないかーーー」

 

 

黒色の敵機(クローステール)が火を灯す。

 

白色の愛機(レディアントグリーム)が唸りを上げる。

 

 

勝者には世界の行く末を担う責務と権利が与えられる。

 

これは、そういう戦いだった。

 

 

 

ーーーーーーー

 

 

奇しくも、鏡写しのような存在だった。

 

汎用性によったオールラウンドな武装構成。

 

機動性に寄せたコンセプト。

 

差異があるとすれば選択した武装と機体塗装だ。

 

何者も寄せ付けない黒と、あらゆる色に染まる白。

 

全てを拒絶し変革を望む者、

全てを受け入れ変革を信じる者。

 

同じ根源を持ちながら、彼らは決定的に袂を分かっていた。

 

 

ーーーーー

 

 

 

 赤色のフェムト粒子と火花が弾け、自身の機体を守るVPが減ったことを知らせるアラートが鳴り響く。舌打ちしながらブーストを細かくふかしランダムな回避行動をとるのに対し、黒い機体はそれを嘲笑うかのように赤い光になってその場から消失する瞬間移動で死角を取りに来る。

 

 それすらも織り込み済みかのようにミサイル弾頭を空間に撃ち銃撃することで起爆させるが、爆炎から切り裂くのようにして実体剣をつかえた突進が迫る。

 とっさに左腕のアサルトライフルの銃身を滑り込ませることでいなし、牽制射撃で間合を仕切り直す。

 

 実力の差は歴然だ、奇怪な瞬間移動能力を計算に入れなくとも、傭兵としての経験値、機体の性能の把握やその最大値、信念。あらゆるモノが彼に劣る。

 

でも何故自分がここにいるか。

准将でも悪魔(バレットワークス)でもなく、救世主(SHELL)でもなく、電子の女王(装甲の王冠)でもなく、死神(西の七人)でもなく、ヒーロー(鋼鉄の騎士)でもなく、折れぬ騎士団(不死隊)でもなく。

 

何も背負わぬ新参者(ルーキー)がここに立っているのか。

 

 

知れたこと。

 

 

「託されたから」

 

アサルトライフルを投げ捨て、右肩に懸架したアメノハバキリ(大蛇殺し)を構える。

 

「ほう」

「私には何もない。

守るべき信念も、高尚な理念も、自分の独善心も、背負う罪も、立ち上がる勇気も、越えるべき過去も。

でも、託されたから。

私は想いを翼に篭めて飛んでいける!」

「空虚だな。そんなもののために世界の変革を阻むと。他人の意思に左右される人形が」

「いいや私は人間だ。

何度も刃を交えた。銃火を(せめ)ぎ合った。

ときに殺し合い、ときに背中を預けあった。

 

だからこそ、私はその願いを背負っていいと思えた。私も、その願いを持っていいと思えた。

 確かに私は空っぽだった。それを他人の何かで埋めてる。そうだったかも知れないけど、今は違う!

 

私が背負いたいと思ったから!

 

 これは紛れもなく私の意思、私の願い、私の理念、私の信念、私の独善、私の罪、私の勇気、私の過去。

そして、この世界(わたし)の未来。

誰にも非難はさせない。決して他人の借り物なんて言わせない。

私の全ては、私が決めたこと!」

 

「面白い。ならば、力で証明してみせろ」

 

 言葉とともに武器を投げ捨て、アメノムラクモ(最強の証)を抜き放つ。

 

 これ以上の戯言は不要。

結局は勝者こそ正義、敗者に語る口はない。

 

「はああああああああああっ!」

「おおおおおおおおおおおっ!」

 

互いは吠える。

自分こそ勝者になるのだと己を奮わせ敵の心を折る。

 

 そして、二つの影が交錯した。

 

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