ISは実質アーセナル=アーマードコア(真顔) 作:通りすがる傭兵
いざやると描写が難しいですね。昔はかけてたんだがなあ。
「生体データ認証完了。おはようございます」
「オービタルへようこそ、ーーーー」
「あなたの参戦を、心より歓迎します」
空間投影されるディスプレイ。
鉄と油の匂い漂うガレージ。
目の前に鎮座する人型兵器アーセナル。
私の新しい人生の始まりを祝ってくれるものは誰一人いなかった。自分でさえこの門出を呪ったものだ。
否応無く駆り出されるであろう戦場。
蹂躙される恐怖。
死が身近にあることの異常。
覚悟の無い己への嫌悪。
そればかりに思いをめぐらせ、逃げられない現実と向かい合わざるを得なかった無力さへの不条理を叫んだ。
「どうして、私だけ……私だけなの!」
◇◇◇
「新入生の皆さん、入学おめでとうございます。 ようこそ、IS学園へ!
実技試験でお会いした生徒さんもいると思いますが、私の名前は山田真耶。この学級の副担任です。皆さん、どうぞよろしくお願いしますね」
緑髪の小柄な女性が教壇で手を広げ、祝福の気持ちを全身で表現する。礼儀としてよろしくお願いします、とかるく椅子の上で会釈を返すと何人かも同じように続く。それを聞いてか嬉しそうに身を震わせていた。
「では出席番号順に自己紹介をしてもらいましょうか! あ、からなので相川さんからですね」
「はい!」
教室左前の生徒が元気よく立ち上がり自己紹介を始めた。私は名字が織斑だから順番はすぐに回ってくるので自己紹介を今のうちに考えておかないと。しかし自己紹介か、あまりやってこなかったから難しいな、聞いてみよう。
「イッチー、自己紹介の内容は考えてあるのか? 参考にさせてくれ」
「ばばっばば、バッチリダゼ?」
注目がよそにそれているうちにツンツンと目の前の一夏の背中をつつき小声で囁くと、帰ってきたのは頼りない返事。
これではダメそうだ。プランBに移行する。
「ではイッチー、わたしがアドバイスしてやろう」
「ほんとか、助かる......」
緊張しっぱなしで強張っていた顔が幾分か解れた。やはりわたしがいるというだけで随分と気が楽になった様子だ。このまま適当なことを言ってイッチーを煽ててあげればいい感じの自己紹介をしてくれるだろう。それを丸パクリすれば全く問題がないな。
「知り合いから聞いたのだが、自己紹介の時には......」
「お、織斑くん、織斑くーん?」
「は、はいっ!?」
反射的に勢いよく立ち上がってしまったせいで話す機会を失ってしまった。そのイッチーの前には心配そうに山田先生がイッチーの顔を見上げている。どうやらあっという間に順番が回ってきてしまっていたらしい。
「ご、ごめんね織斑君。もう次は織斑君の番なんだよね。お、大声出しちゃってごめんね、怒ってない?」
「い、いえいえ大丈夫ですよ! 俺がぼーっとしてただけですし! はい! バッチリです!」
「そう、それは良かったです!」
ぱあっと顔を輝かせる山田先生。なんだろう、年上なのに年上といった感じがしないな。こういった喜怒哀楽が激しい人をみると懐かしくおぼえる。つい顔を思い浮かべてしまった友人に想いを馳せる。中国と台湾で元気にやっているだろうか。
「では、お願いしますね!」
「はい!」
1番前の席なので回れ右で皆の方向へ向き直り......おい。顔が青いぞ。もしかして何も考えていなかったのか? 人を慮るのは悪癖とは言わんがそれにかまけて本題を忘れるのはいかんな。わたしが困る。
しばらく黙ったのち、覚悟を決めた顔で大きく息を吸い込み、そして。
「織斑一夏! 以上です!」
シンプルイズベスト。趣味なんて語らなくても名前さえわかれば問題ないんだと言わんばかりの漢らしい態度。嫌いじゃないよ。あとついでに私が同じ自己紹介しても問題の一切がない。完璧だ......もしみんながいれば笑われちゃうようなひどいアイデアだけどいい自己紹介なんて気の利いた事はできない。
さて次はわたしか。と椅子を引いて立とうとしたところで自動ドアの開く音と、なぜか聴き慣れた声色が聞こえた。
「まともに自己紹介をする気がないとは......いい度胸だ。気に入った。大方吹き込まれたのだろうがな」
「「げえっ!? 関羽(呂布)!!」」
「誰が三国志の英傑か馬鹿者。あと姉弟で意見は統一しろ」
ばしばしーん、と出席簿が一閃し頭を打ち据える。うごご......アウター時代だったら人体改造でこれくらい見切れる視力があるのに。
痛む頭を抑えつつ見上げればすぐに分かった。我らが織斑千冬姉さんである。今日もスーツを着こなし、バリバリの仕事人といった雰囲気を醸し出している。
とはいえ、この場ではこう呼び直したほうがいいだろうか。
第1、回モンド・グロッソ総合優勝及び第2回準優勝。
『
IS競技黎明期から剣一本でトップを走り続けた女傑。時代が進み銃器や重火器に対応し始めても頑として剣一本で戦い続けた天才。第2回こそトラブルで決勝を辞退することとなったが、出場していれば優勝できたと信じる人は多い。それほどまでの絶対的覇者であり実力者なのだ。
この間引退を発表して世間を騒がせていたが、まさかここにいるとは。確かに指導者になるのは当然だと思ってたけど、よりにもよってうちのクラスの担当か。まさか担任という事はあるまい、家のように四六時中顔を合わせるわけでもないだろうから昔みたいにふざけるたびに頭を叩かれる心配は
「わたしがこのクラスの担任織斑千冬だ」
「うそでしょ......夢なら覚め」
「ほう?」
姉の威圧感の前に程よく静まり返っていたクラスルームの間にわたしの呟きはよく響いていたらしい。
再度痛み出した頭を抑えていると、山田先生の代わりに壇上にたつ姉さんが話し始めた。世界的スーパースターの登場にざわめく中、はっきりと通る凛とした声で自己紹介を始めた。
「皆がよく知る通り。わたしが担任の織斑千冬だ。諸君、入学おめでとう。
そして、この1番前に座っているのが織斑一夏、不肖わたしの弟だ。
現在初めての男性操縦者ということもあって学園側も扱いには非常に困っている。しかし変に扱うよりかは、普通の級友として扱って欲しい。
......自己紹介を中断したらしいな。では続きからだ。織斑。早くしろ」
「はーい」
つい家にいる感覚で返事をしたら次はないぞと言わんばかりの眼光で睨まれてしまった......殺気なしであそこまで厳しい目を向けられたのは初めてだ。せっかく親しみやすい感じにしたかったのに。
そうだ、弾に教えてもらった自己紹介をやってみよう。人気者間違いなしと言われた代物だ、大ウケするに違いない。
「......私は織斑留姫。一夏の姉だ。
もし一夏が欲しくば、私の尸を超えてゆけ」
......
............
..................
「い、以上です......」
誰も何も言ってくれなかった。恥ずかし
「キャーーーー! 素敵ぃ!」
「やっぱり千冬様の妹ってだけであってカッコイイ!」
「なんかこう、ワイルド系じゃなくてインテリ系の顔してる! 推せる!」
「美しい姉弟愛......つまりそういうことでは?」
「待て、どっちか攻めかは十分に検討される必要がある」
「織斑くんもカッコ良かったけど家族揃ってイケメン揃いなんて羨ましいねーこの」
「強くならねば......!」
人生で聞いたことのないほどの黄色い声が耳をつんざく。思わず耳を塞いでしまったが歓迎してくれているという事はその喜びようでわかった。ナイス弾。君はいい親友だ。
「毎年よくこれだけの馬鹿共が集められるものだ、それとも何か? 私のクラスにだけ馬鹿を集中させるように仕組んでいるのか? ......学年主任に問いただす必要がありそうだ。頭が痛い......」
「......がんばれ、チー姉。あとお酒は控え目に」
「ここでは織斑先生と呼べ。それに飲まねばやってられん......!」
こんな感じで愉快なお姉ちゃんを主人公にして物語に絡めていこうと思います。
こういったポジションは少ないように思うので開拓の支配があるというもの。