ISは実質アーセナル=アーマードコア(真顔)   作:通りすがる傭兵

4 / 9

のんびりゆったり2話目です。お楽しみくださいな


第2話 悪魔と淑女はかく出逢いけり

 

 

 

 

「......なるほど、アーセナルとは別物だ」

 

 山田先生の授業を聞きながら呟く。

 外から見てみれば同じように思っていたISとアーセナルだが、蓋を開けてみれば違うことばかりだった。

 

 まず設計思想が大きく異なる。

 

 アーセナルの設計はダメージの大半を装甲で受けるように想定されている。フェムト粒子を用いた粒子兵装にシールドシフトという防御特化モードはあれど大方のダメージは装甲防御に依る。

 対してISは『シールドエネルギー』と『絶対防御』と呼ばれる2種のエネルギー装甲を持つ。これではエネルギー低下による継戦能力の低下は顕著になるが、装甲材質に依らない一定の防御力をを獲得できる。

さらに裏返せば競技形式にはうってつけなシステムでもある。シールドエネルギーの残量がそのままHP(ヒットポイント)として可視化できエンターテイメント性が高い。

 

「......では留姫さん! 52ページの7行目からお願いします!」

「はい」

 

 IS本来の居場所は宇宙探索。宇宙空間ではアーセナルのような実体装甲がどこまで役に立つかと言われるとあまり役には立たないだろう。

 宇宙では装甲での防御力より密閉性が求められる筈だ。この点においてはこのSE方式は理にかなっていると言える。

 

 「......です」

「はい、ありがとうございます。ここまででわからないことがある人はいますか?

 特に織斑君、さっきからすごく難しそうな顔をしてますけど大丈夫ですか? 頼ってもいいんですよ、何せわたしは先生ですので!」

 

 やはり民生用と戦闘用、戦力的にアーセナルが有利か。速度差はあれどパワーは一回りこちらが上。実体装甲とフェムト粒子バリアのおかげで防御力にはかなりの差があり、神経接続方式とイメージインターフェイスでは前者の方が圧倒的にレスポンスが高い。

 

「完全に別物だな......経験値で売り込めそうにないか」

「全然全くわかりません!」

「ええっ!?」

「ん?」

 

 考え事に耽っていると急に前が騒がしい。どうやらイッチーにトラブルがあったようだな。

 

「えっと......わからないん、ですか?」

「はい......ゼンゼンワカリマセン」

「この中で、今までで質問のある人、わからないことがある人はいますか?」

 

 青い顔で意気消沈するイッチーに対し、理解の遅れがあってはまずいと教室に呼びかける先生。

 しかしこれくらいは常識というより予習の範囲、まだまだ白旗を挙げる生徒はいない。

 

「......織斑、まさかとは思うが参考書は読んだんだろうな? 必読と書いてある分厚い冊子だ」

「えっと......その......」

「どうした、言ってみろ」

「渡されたのは覚えてるけど気がついたら入学式でした」

「......1週間やる。全部完璧に覚えろとは言わんが大方は覚えてこい。参考書に書いてあることはここでは()()()()だ。覚えなければ置いていかれるぞ」

「わかった! ありがとうチー姉!」

「ここでは敬語を使えと言っただろう馬鹿者」

「あいたぁ!」

 

 家よろしく正拳突きが頭に突き刺さる。別に暴力反対というつもりはないが、姉はどうも面倒が嫌いらしい。

 私のお節介がその理由のひとつでもあるんだろうけどね。信頼の裏返しのつもり?

 

(......家族のよしみとして教えてやる。これでも学年次席らしいからな)

(助かる!)

(そのかわりちゃーんと報酬は払ってもらうからな)

(じゃあ、コンビニスイーツ1個)

(予算は400円だ。98円のゼリーで手を打つつもりはない)

(......はぁ、わかった。食堂で食費もある程度は浮くだろうしな。チー姉の仕事も安定してそうだし)

「考え事にふけるのはいいが後にしろ」

 

 ギロ、とこちらを睨みつけてくる先生。今は教師モードだから身を引き締めろという事なのだろう。にしても家族に向けるには殺気が......

 

「いいか、ISはその機動性、攻撃力、制圧力。性能のほぼ全てが過去の兵器を遥かに凌ぐ。そのような『兵器』を扱うことを十分に理解しろ。万が一を起こさないための基礎知識と訓練だ。

理解できなくとも規則は守れ。死にたくなければな」

「「「はい!!」」」

 

......ま、普通はそうだよなぁ。

 

 

 

◇◇◇

 

「一夏、少し......」

「ん、おお! 箒じゃないか久しぶり! 元気だったか?」

「声が大きい! 少しここでは話しにくいから屋上に」

「いいぜ。しっかし変わらないな箒は」

 

 休み時間早々になって見覚えのない女子生徒が一夏を引っ張っていった。2人の話ぶりを見るに旧友だか幼馴染だろうが私は知らない。ちょっと寂しいな、私だって皆には会いたい。ただ、あの関係を純粋な友人と呼んでいいものかは怪しいが......戦友だって立派な友人だろう。たぶん。喧嘩するほど仲がいいのなら殺し合うならそれはもうズッ友レベルの仲の良さということになるな。

 

「......さて、予習でもするか」

 

 考えていたら悲しくなってきたので気分転換に参考書と教科書を開く。学年次席とはいえ参考書の内容を詰め込んだけの付け焼き刃。それにイッチーに教えるためには自分に完璧な理解が必要だ。さーてとりあえず最初の部分から。

 

「ちょっとよろしくて?」

「よくないですね、今から勉強するところですので」

「まあなんて態度ですの! 私に話しかけられるだけでも光栄なことなのですから、それ相応の態度があるというものではなくて?」

 

 折角の自由時間を邪魔されたので少し不機嫌な返事を返したらこの様子だ。顔を上げると、美しい金髪を縦巻きにした女子生徒が。顔つきから見るに日本ではなく欧米系なのは確かだが......

 

「ああ、オルコットさんか」

「ええ、入試主席にしてイギリス代表候補生セシリア・オルコットですわ!」

 

 腰に手を当て堂々と宣言するオルコットさん。最初の自己紹介でも名乗っていた通り少し高圧的な態度だ。ついセイヴィアーのことを思い出した。あの人も最初はこんな態度だった、ということはもしかして貴族とか?

 

「して、代表候補生殿がどんなようで?」

「ええ、入試次席の方がどのような人物か知りたくて声をおかけしましたの。まさか織斑千冬の身内とは驚きですわね」

 

 なるほど。こいつ面倒なやつだな?

 

「もしかして、私の弟に取り入ろうって魂胆かな? そうだったら少し私としては君とは仲良く出来そうにないが」

「英国人以外にジョークを言われるとは驚きですわね。男に媚を売るなんて事死んでも私はしませんわ。あんな汚らわしい......」

「わかる」

 

 なにせベッドの下にヤバイエロ本を隠し持っていたからな。チー姉には辛うじて見つからなかったが、私にはお見通しだ。しかし《放送禁止》モノとは思わなかった......

男ってばこんなのばっかり。

さて、そろそろ時間かな。次の授業が始まるよと話を切り上げ、教科書とノートを開く、ん? イッチーともう1人がいないな。あのイッチーと一緒にいたポニーテール女子はどこへ?

 

「やべえもうこんな時間!」

「積もる話もあると言うが長すぎだぞ一夏!」

「ま、間にあっーー」

「5分前行動は人の基本だ馬鹿者!」

 

あーあ、仲良く鉄拳制裁喰らってる。痛そう。

 

 

「さて、これからIS戦闘学の授業を始める。

が、その前にクラス代表を決めてもらおうと思う」

「先生! クラス代表ってなんですか!」

「クラスの代表者だ。再来週クラス代表戦というものがあり、クラスで1人代表を選出し対抗戦を行ってもらう。

 目的としてはISの戦闘を身近に感じてもらうのが目的だ。今の時点では実力がどうこうというものはないが、同じ学年のものが戦っているのをみるだけでも糧になるものだ。

 一応だが学級代表も兼ね、生徒会の会議や委員会への参加も行ってもらう。

 

誰か立候補はあるか? 自薦他薦は問わん」

 

 

 なるほど、学園の中でいちばん最初に戦える立場か、折角だし立候補してみるのも悪くない。

 

「では私やりたいでー」

「織斑()()君を推薦します!」

「私も織斑君で!」

「私もー!」

「さんせーい!」

「なんでさっ!?」

「座れ織斑、皆の邪魔になるだろう」

「いやその、えっ、マジ? 俺でいいわけないだろよく考えろ!」

「「「だって世界の1人の男子だしカッコいいところ見たいじゃん」」」

「あ、じゃあ私もイッチーにやって欲しいな」

「じゃあ私もってなんだルー姉じゃあって!」

 

 よく考えたら学級委員て面倒なイメージしかないしやらなくていいや。平和がいちばん! 争うなんて不毛だよ! 

 

「待ってください、納得がいきませんわ!」

 

 バシンと机を叩き、不満をあらわにしながら立ち上がるオルコット。

 

「そのような選出は認められません!わたくしに、このセシリア・オルコットにそのような屈辱を一年間味わえとおっしゃいますの?!」

「おー言うねぇ、私こういうの大好き」

「実力から行けば私がクラス代表になるのは必然。それを、物珍しいからという理由で極東の猿に代表を任せては困ります!私はIS技術の修練に来ているのであって、サーカスをする気は毛頭ございませんわ!」

 

 戦闘前の下品な啖呵を想像させるような言い回し。優雅な人だと思っていたがなかなかユーモアセンスがある人のようだ、嫌いじゃないよ!

 

 ところでイッチーをこき下ろしてる様子だけどもそれってつまり私に喧嘩を売っているということでは?

 

「いいですか!?クラス代表は実力トップのものなるべき、それは私以外にあり得ませんわ!大体、文化としても後進的な国で暮らさなくてはいけないこと自体、私にとっては耐え難い苦痛でーー」

「メシマズとブラックジョークしか能のない国がなんだって?」

「なっ......貴方私の祖国を侮辱しますの?!」

「先に言ったのはソッチだ! やられたらやり返すのが礼儀ってもんだろ!」

 

 卓を叩きながら立ち上がった一夏の言葉に一瞬だけ気圧されるが、キッと一夏を睨みつけて指差して宣言する。

 

「決闘ですわ!」

「やってやろうじゃねえか!」

「何にせよ、この私の実力を知らしめる良い機会です! イギリス代表候補生の実力を思い知りなさい!」

「わたしもしりたいなー。せんせー、わたしくらすだいひょうってのになりたくなりました」

 

 おい、決闘(デュエル)しろよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。