仮面ライダーアルカナ -Battle to Tarot-   作:地水

3 / 11
読者生まれのTさん「ライアとの絡みが見てみたい!」
地水「その手があったか」


ということで、生まれてしまったこの問題エピソード。
平成ライダーらしからぬ怪奇性マックスにした話で、あなたの目は数分間アルカナの世界へと取り込まれるだろう……。






EPISODE:LAIA 前編

 ――――手塚海之

かつて、脅威の的中率でその筋には知られている伝説の占い師。

まるで未来を見通すようなその男は、本人曰く『俺の占いは当たる』というほど的確だ。

十数年経った今でもその男の名前は今も占い師の間では語り継がれている。

今回は、そんな男と出会った奇妙奇天烈な話だ。

 

 

――――

 

 

某所。

とある廃墟の内部にて、【ソレ】はあった。

鏡の柱というべき外見を持ち、廃れた場所には余計に異質な雰囲気を放っている。

 

その巨大な鏡が、光が輝き、何かがはい出てくる。

鏡から生み出されたのは、人型の何か。

おおよそ人の裸体に近い状態で吐き出された何かは、おぼつかない足取りで何処かへ去っていく。

 

……その光景を、一体の怪人が見つめていた。

 

 

 

―――――

 

 

「つまり、廃墟に行った知り合いが帰ってこないからお客さんの変わりに統人が探しに来たの」

 

「まあねぇ……って、真依ちゃんなんでついてきたのさ」

 

とある山道、統人と真依の姿がそこにあった。

彼らは今、【幽霊が出る廃墟】に向かっていった。

最近ネットの間でも噂されているその場所は、行方不明者が続出し、今も存在しているという。

 

「そりゃもう、統人一人だけじゃ危ないし」

 

「こっちは真依ちゃんがいるだけで心配だよ」

 

「ええ……怖くないの?幽霊」

 

「うーん、場合によるかな。悲惨な待遇でなったやつは下手なドラウ怪人より怖いもの」

 

「下手な怪人より怖いんだ……ちょっと待ってその言い草だと幽霊と遭ったことあるの!?」

 

意外な事実に驚く真依を他所に、件の場所へ足を進める統人。

暫く進めていくと、彼らの前方に霧が包んでくる。

前方の視界は真っ白に染まっていき、行先もどこかわからない。

 

「うわぁ、いかにもそれっぽくなった……やばい、怖くなってきた」

 

「これじゃあ何処進んでるか分からないなぁ……真依ちゃん、手出して」

 

「え?いきなりなんなのよ、はい」

 

統人に言われた通り、手を差し伸べる真依。

真依の手をつかむと、指を絡めとってしっかりと握る。

いわゆる恋人繋ぎ……親しい間柄にしか許されない事に真依の頬は真っ赤になる。

 

「ちょっ、統人!?そそそそれ!?」

 

「よし、これで迂闊に離れることはないな」

 

「だからってその繋ぎ方はその……あの……ちょっと」

 

「えー……でも山道だとお姫様抱っこしづらいじゃん。足元悪いし」

 

「誰がそこまでしろといったぁ!?」

 

いつもの夫婦漫才(?)を繰り広げる二人。

真依が統人へ殴り掛かろうと拳を上げた瞬間、"声をかける者"がいた。

 

 

「―――お前達、捕らわれたのか」

 

 

「……え?」

 

自分達にかけられた声の方向へ振り向く統人。

そこには黒髪の若い青年が立っていた。

その手にはコインが握られており、上へ弾きながらキャッチする仕草を繰り返している。

その青年に対し、真依が恐る恐る彼に尋ねる。

 

「あなたは一体?」

 

「占い師、とでも言っておこう。……気をつけろ、お前達にはとてつもない受難が降りかかる」

 

「えっ……受難?」

 

「そうだ。それは逃れられようのない運命……ここから先にあるのは、"なくしたもの達の巣窟"だ。お前達は間違いなくそこにたどり着く」

 

青年は統人と真依の二人に対して静かに告げた。

真依は首を傾げ、統人に顏を向けて尋ねる。

 

「ねえ、統人」

 

「なくしたもの達の巣窟……なくした……無くした……?」

 

「ちょっと、統人!もう……」

 

青年の言われた言葉に考えに耽る統人に眉をひそめる真依。

彼女がどういった意味なのか尋ねようと、顏を振り向いた。

―――そこに、先程の青年の姿はなかった。

 

「えぇ!?あの人一体どこに」

 

「―――真依ちゃん、今すぐここから逃げるよ」

 

「え、いきなり何を」

 

「いいから早く!!」

 

何かに焦りながら来た道を引き返そうと走り出す統人と、それを言われるがまま従って必死についていく真依。

二人はしばしの間、今までやってきた道を走っていく。

彼は何をそんなに焦っているのか、そう思った真依は足の速度を速めていく。

 

やがて、今まで走っていた足を急に止める統人。

真依は急に止まった彼の体に持たれる形で受け止められて止まる。

文句の一つでも言ってやろうかと思った真依だが、彼が見ていたものが視界に入り次の瞬間、言葉を失った。

 

たどり着いたのは不気味な雰囲気を漂わせる謎の廃墟。

ひび割れた壁にはいくつもの蔦がついており、その年季を伺わせている。

こんな建物、先ほど来た時にはなかったはずだ……。

そう思った真依は、自分の肌が逆立つのを感じる。

 

「まさか、例の幽霊が出る……本物?」

 

「遅かったか……」

 

統人は痛恨のミスを犯したような顏で、建物を見つめている。

真依はいつもは見せない彼の表情に不安を覚えつつ、あたりを見渡す。

周囲には建物の他に草木が生い茂る場所と、先の見えない白い霧しか見当たらない。

一体どうした者か、と困り果てる真依の視界に一つの影が飛び込んできた。

それは若い男性で、着崩れたスーツ姿に汚れた白いシャツが覗かせている。

男は、真依に顏を向けながら声をかけてくる。

 

「なぁ、あんた……」

 

「な、なんだ人か……よかった、統人。人がいるよ、あの人の元に……」

 

自分達以外の真依に思わず寄ろうとする真依……だが、その手に力が籠り、思わず振り向く。

統人は信じられないものを見たような顏で真依の手を握る手を強め、男から目を離さない。

強張った表情を浮かべる彼に真依は恐る恐る尋ねる

 

「と、統人?」

 

「真依ちゃん、一つ聞いていいかい?」

 

「え、どうしたの……」

 

 

 

「―――胸に風穴空いて生きてる人間なんているのかい?」

 

 

「え……?」

 

統人の言葉と共に、真依は再び男に視線を向ける。

男の胸にはぽっかりとした大きな穴が見え、そこから向こうの景色が悠々と見えていた。

男の奇妙な出で立ちにようやく気付いた真依は恐怖で顔をひきつらせた。

 

「ひぃ!?」

 

「ははっ、アニメや漫画じゃそういうの見かけるけど、どう見てもそんなんじゃないよねぇ」

 

「なぁあんた……あんただろ、お前なんだろ……私を、こんな穴空けたのはぁぁぁぁ!!」

 

突如激情を露わにしながら、襲い掛かってくる風穴の男。

統人は真依を抱きしめながら向かってた男の足を横蹴りし、転倒させる。

男は無様に倒れこみ、地面に突っ伏した所に背骨へかかと落としを決める。

真依は先程のこともあって平常心を乱しながらも、統人の容赦のなさに突っ込みをいれる。

 

「ひぃぃぃぃ!!蹴った!?蹴ったよね!?蹴っていいのあれ!?」

 

「いいから逃げるよ、真依ちゃん!」

 

パニックになっている真依を抱えて、統人は建物の中へと入っていく。

建物の中は黴臭さと埃によってあまりいい気持ではないが、常人ではない何かに追われている二人にとっては問題ではない。

奥へ奥へと進んでいく二人、背後を振り向きながら風穴の男が追いかけてこないか確かめている。

 

「何なのよあの人……」

 

「さぁてね……少なくとも、まともな事やってないのは確かだよ」

 

「ううう……ホラー映画の登場人物になるなんて思ってもみなかったよ……やだよぅ」

 

「おーよしよし、大丈夫ここ現実だから。お客さんのおばあちゃんが言っていた、血が出るなら殺せるって」

 

涙目になりながら、統人の胸へと飛び込む真依。

彼女の頭を撫でながら、統人はかつてやってきた"天の道の名を持つおばあちゃん"なるお客さんの事を語って宥める。

だがそこへ、鉄パイプが転がるような物音が立てられ、ビクリと体を強張らせながら振り向く二人。

 

「なんだ?」

 

「男の、人?」

 

―――そこにいたのは……地面にへたり込んで虚空を見上げる半裸の男の姿だった。

よく見ると男の顔は所謂イケメンに分類される整った顔をしているが、彼の呆然と空いた口からだらしなく垂れるよだれがその美しさを台無しにしている。

男は気が抜けた声で、同じ言葉を口を呟いていた。

 

「あー……あー……ちとせあめ、ちとせあめ……」

 

「統人……この人」

 

「危険性はない……ただ、この人は……」

 

先程の男と違って、意思疎通はできなさそうだ……。

そう考えていた統人と真依の二人は、静かに静かに後ずさりして去ろうとする。

千歳飴と呟いている男はその場に転がっていた鉄パイプを見やると、それを手に取り、口へと運んでしゃぶりつかせる。

そんなもの舐めて大丈夫か、と目を見開く二人を他所に男は美味しそうにしゃぶりつく。

 

「あははははは……ちとせあめ、おいしい、おいしい」

 

「「………」」

 

千歳飴の男が行う目にも余る酷い行動を見て、絶句する二人。

何を以てそうなったかは知らないが、決していい気分ではない。

早くこの場から逃げ出したい、そう思った二人は急いで別の場所へと足を繰り出した。

 

二人が建物の中を進んでいると、たどり着いたのは漆黒が広がる空間。

よく見えないな、と思った真依は事前に持ってきた荷物のバックから、懐中電灯を取り出す。

電源をいれ、足元を照らす真依……そこにコツンと、足元に何かが当たる。

 

「ん?何かな」

 

「どうしたんだい」

 

「今何か足元に……え!?」

 

足元を照らし出し、【そこにあった物】に驚く。

それは、白い頭の骨だった。

形状からして何かの動物の骨だ……若干、赤みがかかっており、まだ時間がそう立ってない事がわかる。

一体なんでこんなものが、そう思った瞬間、二人の耳に聞こえてきたのは……何かがむさぼるような音。

二人が音がしてみたほうへ見てみれば、そこには骨に食らいつく上半身裸の男。

野性味にあふれた雰囲気を放つその男は、ギロリと鋭い目つきで統人達を見やる。

 

「あんだ……?」

 

「ははは、どうも。ちなみに何を食ってるんだい?あなた」

 

「ああ……ここに入ってきた犬だぁ……やせ細っていて、食えたもんじゃないだがなぁ」

 

「い、犬を……!?」

 

真依は足元に転がる頭蓋骨を二度見する。

おそらくは、目の前にいる男が食らったものだろう……。

犬を食った男に対し、顏が恐怖に染まっていく真依。

そこへ更なる追い打ちをかけるように男が突然言い放つ。

 

「あぁ臭う……お前達、臭うなぁ」

 

「臭うって何がさ。ミスター犬食い」

 

「糞の臭いだぁ……便所の臭いだぁ……臭くて臭くてたまらねえ……」

 

男は立ち上がり、その手に持った犬の骨を地面で叩き割り、鋭く尖った凶器へと変える。

ニヤリと犬歯を覗かせながら男は二人に向かって叫ぶ。

 

 

「―――血をぶちまけろぉ!糞袋ォ!」

 

 

「丁重にお断りしますっ!」

 

 

振り下ろされる凶器を統人の回し蹴りが叩き落とし、そこに追撃と言わんばかりに真依の体を振り回して、回転力を身に任せた彼女の両足を男の顔面に浴びせる。

常人ならオーバーキルともいわんばかりの攻撃を食らった男は、軽く蹴り飛ばされて壁へと叩きつけられる。

何かが砕ける嫌な音と共に、崩れ落ちる男……だがしかし、不気味な笑い声を上げながら、這いずって来ようと向かってくる。

不気味さを感じた統人は真依の体を両腕で抱えたまま、急いでその場から逃げ出した。

 

「楽しくなってきたなぁ!あああああぁ!!」

 

「統人、アイツ追いかけてくる!」

 

「流石のオレでも勘弁してくれ……!」

 

首を嫌な方向に曲げられたのも気にも止めずに"奴"は向かってくる。

犬食いの男から真依を抱えて統人は逃げる……男の言動からして、追いつかれれば鮮血の結末を迎えるのは間違いないだろう。

曲がり角を右へと走っていき、そのまま余力がある限り走っていく。

だが、たどり着いた先にあったのは行き止まり……。

すぐそばまであの男が新しい凶器を引きずり回しながら迫っている。

―――どうしたらいいのか……そう思った矢先、近くにあった窓ガラスから耳鳴り音が聞こえる。

 

「なんだ?この音……?」

 

「一体なんなの?」

 

「―――こっちだ、はやく!」

 

窓ガラスから聞こえてきたのは、一人の男の声。

よく見ると、窓ガラスに映る自分達の姿以外に"甲冑を着た人影"がいることがわかる。

人影は指し示すと上の階を指で指し示し、上るように二人に促す。

 

「ここを上るってこと!?」

 

「致し方なし、スプラッタ展開よりはマシっしょ!」

 

「って、きゃぁ!?」

 

「手を離さないで!離すと落ちるよ!」

 

真依を背中に回し、おんぶ背負いにすると、窓ガラスを開けて外へ出る統人。

近くにあった古びた外配管を上っていき、上の階へと脱出をする。

滑り込む形で地面へと倒れこむ統人と真依。

 

「はぁ……こんな状況じゃなきゃ、いいんだけどね」

 

「え……何が……」

 

「ううん、もうちょっと楽しませて」

 

真依が統人にのしかかる形になっており、豊満な胸が背中に当たっている……いつもなら喜ばしいことだが、統人自身先程から出会っている異常な人達に疲れているのか、口数が少ない。

一気に疲れが来て、動こうとしない二人だが、こちらに足音が響いてきて、気づく二人。

―――そして現れたのは、あの時出会ったコインの男。

男は値踏みするような視線を向けると、何処か納得したような表情を浮かべる。

 

「なるほど、お前もライダーがといったほうが。無事で何よりだ」

 

「ライダーだって?なんでそれを……」

 

「仮面ライダー……場合によっては仮面契約者とも呼ばれているが、前者の方が多いしそっちで合わせる」

 

男は懐から取り出したエイの紋章が描かれたカードデッキを二人に見せる。

見慣れないが妙な共通点を持ったアイテムを見せながら、男は自己紹介を行った。

 

 

「俺の名前は手塚海之、仮面ライダーライアだ」

 

 

 




余談
どうにかして手塚を出したい、しかしRIDER TIME龍騎にてなにやらやらかしている様子(まだ未試聴)

別の要素で何とか印象をかき消すか。

劇場版龍騎は手塚出てないし、かといってTVSP版だと社長とか出したくなって釈が足りない

うーん、どうしたものか……

そこに目がつく、小説仮面ライダー龍騎

今に至る
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。