仮面ライダーアルカナ -Battle to Tarot- 作:地水
年末のため余裕ができたので、リハビリ感覚で書かせてもらいます。
前回のあらすじ
謎の廃墟に迷い込んだ統人と真依。そこに現れたのは謎の人型の何か達。
異常な空間に巻き込まれた二人の前に一人の男が現れた。
その名は、手塚海之。またの名を仮面ライダーライア。
「俺の名前は手塚海之、仮面ライダーライアだ」
「仮面ライダー……ライア?」
突如目の前に現れた男……手塚に対して、首をかしげる統人。
都市伝説の一つとして仮面ライダーの存在は知っていたが、こうして別の仮面ライダーと会うことは極めて珍しい。
「そうか。仮面ライダーに会うのは珍しいのか」
「っていうか、なんでその仮面ライダーである手塚さんがここに?」
真依が脳裏に浮かんだ質問を恐る恐る伺う。
手塚はその質問を真剣な眼差しで答える。
「ここは、とある仮面ライダー達の生霊というべきかな。それらが集う場所なんだ」
「「とある仮面ライダー達の霊?」」
手塚の言葉に首をかしげる統人と真依。
……話によると、この場所はある人物によって作り出された場所であり、先程まで遭遇した奇々怪々な人達は実体のある幽霊だという。
幽霊になった人たちの特徴はただ一つ、―――仮面ライダーとして戦っていたという共通点だ。
その話を聞いて、思わず真依は口を押える。
「じゃあ、あれって……あの人たちって……」
「カードデッキによって変身していた仮面ライダー、その契約者達だ」
「なるほどねぇ……だけど、どう見ても彼らの様子はおかしかったぞ」
統人の言う通り、いままでこの建物の中で出会ってきた人達は何処か様子がおかしかった。
千歳飴と表して別のものを舐っていたり、いきなり襲い掛かってきたり、一番著しいのは胸に穴が開いた人間。
どう見ても常人とは思えない言動の人達にいくつか納得した。
「霊だから元から死んでいる。だから蹴られようが首を曲げられようが関係ないってか」
「で、でも幽霊って触れないんじゃ!?思いっきり蹴っていたよね!?」
「真依ちゃん、幽霊は時として害するために生者へ手を出すこともあるの。そこらへん覚えておいて」
「ひ、ひぃぃぃ……」
涙目になりながら、統人にすがりつく真依。
そんな彼ら二人の様子を微笑ましい様子で見ながら、手塚は二人を案内を始めた。
―――
場面は移り変わり、廃墟の最奥。
鏡の柱から生み出される人の姿をした何者か……契約者達がはい出てくる光景を、異形の怪人が見守っていた。
「もうすぐだ……もうすぐで満たされる」
怪人は【その時が来る】のを今か今かと待ち望んでいた。
過去の仮面ライダーの力を用いて、自分の望みを果たすその時を。
そこへ水を差す様にとある人物が現れた。
怪人は現れたそのローブを被った人物の方へと振り向くと訊ねてみた。
「どうした?」
「侵入者の中にお前が目を敵にしているライダーが現れた」
「アルカナか。厄介な所にやってきたな……ま、お前がいる限りは大丈夫だろ」
「当然だ。俺は、お前達ドラウ怪人を利用してまでも叶えるべき願いがある」
そう言いながら、怪人……二匹の蛇が絡み合ったような姿をしたドラウ怪人の前でローブの人物はとあるものを取り出す。
それは不死鳥の紋章が描かれたカードデッキ。
ドラウ怪人はそれを見て、一息をつきながら一言を口にした。
「まったく、お前のようなヤツが味方でよかったよ。敵に回ればそれこそこっちが勝ち目がない」
「約束は果たさせてもらう。いやといってもさせる」
「そこらへんは安心しろ。契約や約束事は裏切りがないかぎり義理堅い身なんでな」
蛇のドラウ怪人はそう言いながら、部屋から去っていく。
残ったローブの男は鏡の柱を見ながら、誰にも言うわけでもなく一人呟いた。
「もう少しだ。もう少しで……!」
―――
廃墟の中を探索する統人、真依、手塚の三人。
真依はびくびくと怯えながら、統人の片腕に掴み、いつ出てくるかもわからない契約者に怯えている。
「………」
「ねぇ、真依ちゃん?」
「ひぃ!?」
「怖がってるのは分かるけど、その、そんなに掴まれると、ね?」
「な、なによ統人……」
「あのその、その爆弾は俺の心も爆発しかねないなぁって」
そう言いながら統人は自分の腕を挟んでいる二つのたわわに実った真依の胸を見る。
柔らかな感触と張りのある質感が着衣越しでも伝わってくる。
普段ならここで真依からの文字通りの突っ込みが来るはずなのだが、心霊体験のような状況になっているのか思考が旨く回って追わず真依は涙目で助けを乞う。
「何言ってるかわからないって!」
「ああもうパニックになってる……手塚さん、どうしよう」
落ち着かない真依を落ち着かせようと、統人は手塚に頼ってみようとする。
だが、手塚から帰ってきた答えは統人の予想していた物とは違っていた。
「……残念ながら、それ以上に悪くなる」
「えぇっ、それって」
「俺の占いは当たる」
手塚は何処か悟ったような表情を統人に向けて、コインキャッチを行う。
統人と真依は不思議そうに首をかしげながら、手塚の後をついていく。
やがて、とある扉に手をかけて開いた。
部屋の中に広がる光景を見て、三人は目を丸くして驚いた。
統人と手塚は絶句し、真依は声を張って驚いた。
「「……!!」」
「え、……ええええ!?」
―――それは、絡み合う男女の姿。
床に寝っ転がった長髪の女と、それに覆いかぶさる黒髪の男。
男のそそり立った【欲望】を足を開いた女へ向けて突き立て、快楽が続く限り腰を振る。
女の嬌声と水音が部屋全体に響き渡り、それが何の行為なのかたやすく理解できた。
それを見て何かを察した真依は顔を真っ赤にさせながら情事の光景をその目にまじまじと見ていた。
「お、男の人と女の人のがつな、繋がって……!」
「あーあーお盛んだねえ……ちょっと真依ちゃんには刺激が強いかな」
「~~~~~っっっ!!」
言葉で表現しずらいほどの悲鳴を口にしながら真依は余裕ぶる統人をぽかぽかと両腕で殴る。
手塚はくんずほぐれつやっている男女二人の姿を見て気まずそうにしながら一度ドアで閉めた。
それに気づいた統人は手塚に尋ねる。
「どうした?手塚さんよ、知り合いでもいた?」
「気のせいだ」
「そっか……」
何かを察した統人はそれ以上手塚に訊ねるのをやめた。
その後、別ルートにて三人は向かっていき、最奥へと向かっていく。
「今、俺達が向かっているのは"コアミラー"がある奥へ向かっている」
「コアミラー?」
「全ての元凶……あの契約者達を生み出しているのもそれのせいだ」
「あ、あの謎ゾンビたちが……」
手塚の話を聞いて真依は今まで出会った契約者達を思い出して顔が青ざめる。
続けてコアミラーの話を手塚は二人へ話していく。
「コアミラーがある限り、この怪異は続く。もちろんお前達もここからは出られない」
「なるほどねぇ。要はコアミラーをぶっ壊せばいいってことか」
「ああ、だがそう上手くはいかない。コアミラーの側には強力な敵がいる」
「門番ってところか」
手塚と共に統人は傍らに真依を寄せて突き進んでいく。
やがて、大きな広間にたどり着くと、そこには……幾人にも契約者の姿があった。
男に女、いずれも若い姿をした彼らは、その手にはエンブレムを刻んだカードデッキが握られていた。
「な、何この人たち!?さっきの人達より何かが違う」
「さしずめ中ボス戦ってところか、真依ちゃん。少し下がっていて」
「う、うん!」
真依を後方へ下がらせた統人は、手塚と共に前へと踏み出す。
二人はそれぞれ、アルカナカードとカードデッキを取り出し、変身の準備を行う。
「さて、と。じゃあ見せてもらいますか!先輩ライダーの戦いかたを!」
「お前の方が強いと俺は見ているんだが」
「まあまあ、そう言わず……じゃあいっちょ、いきますか」
統人はタロットベルトを腰に装着、
手塚はカードデッキを近くの壊れたガラスに映し、そこから出てきたVバックルが腰に装着される。
二人は並び立つ契約者の前にて同時に叫んだ。
【The・Fool!】
「「変身!」」
【Reverse・Fool!】
統人の身体へ魔法陣がすり抜け、黒いボディに灰色の装甲へと変えていき、金色の複眼を持った仮面ライダーアルカナ フールフォームへと変身を遂げる。
一方、手塚はVバックルにカードデッキを装填すると、周囲に鏡像が重なってやがて赤紫色の仮面の戦士へと姿を変える。
エイの意匠を入った仮面の戦士……『仮面ライダーライア』は、アルカナと共に並び立つと互いに顔を見合わせる。
「さぁて、いきますかね。先輩」
「フッ、いくぞ。後輩」
互いに短い言葉を交わした後、契約者へと走って向かっていく二人のライダー。
契約者達は手塚と同じくVバックルにカードデッキを装填させ、その姿を変えていく。
メタリックオレンジの蟹のライダー、鈍色の犀のライダー、茶色のガゼルのライダー、白色の虎のライダー、黄緑色のカメレオンのライダー……その他にも多数のライダーが二人へ迎え撃つ。
カメレオンのライダーがアルカナへ飛び掛かる。
「シャァ!!」
「おっとっと!?」
「生きるってことは他人を蹴落とすことなんだ……お前も、蹴落としてやる」
「残念、蹴落とすために下ばっかり見てると上からの不運を見落としちゃうよっと!」
アルカナはフールフォーム特有の身軽さで回避した後、後ろに回って鋭い蹴りをカメレオンのライダーの後頭部へと叩き込む。
すぐさま殴り掛かってきた蟹のライダーの鋏を掴むと、目にも止まらぬ関節技を決め込む。
「ぐあっ!?」
「装甲が分厚いあなたには、関節技で攻めてみましょうってな」
「馬鹿な!私は、絶対生き延びて…!」
「―――どっせぇい!」
アルカナは蟹のライダーを首を中心に嫌な音を立てるほど締め、片手で頭を掴んだままカメレオンのライダーへ投げつけた。
二人のライダーは思いっきり巻き込まれ、地面へと倒れこむ。
一方、ライアは犀のライダーと虎のライダー相手に大立ち回りを繰り広げていた。
ライアは犀のライダーの猛攻を
「くっ!?」
「なぁ、愛してやるよぉ!俺の愛を受け取ってくれよ!!」
「生憎だが……俺はお前の知る、俺じゃない!」
「ぐあっ!?」
ライアは犀のライダーを蹴り飛ばすと、エビルバイザーの刃で斬りつけて応戦をする。
犀のライダーは怯んでしまうが、その横を通り過ぎて虎のライダーとガゼルのライダーが鉤爪と角型ドリルを構えて襲い掛かる。
ライアは咄嗟に交わして距離を取って相手の出方を窺う。
「こいつらは……!」
「お前を倒せば、僕は、英雄になれる……皆が、僕を好きになってもらえる」
「俺はただ、幸せになりたいだけなんだよ……幸せになりたかったんだよ」
「だからさ、アンタ……」
「幸せになれないのは、お前達のせいだ……だから」
「「死んでくれ!」」
片や笑いながら、片や泣きながら叫ぶ両極端のライダーはライアへと襲い掛かる。
ライアは二人の肩を踏み台にして高く跳躍し、デッキから一枚のカードを引き抜き、エビルバイザーに装填する。
【SWING-VENT】
棘の付いた伸縮自在の鞭型武器・エビルウィップを手にしたライアは思いっきり振るう。
犀・ガゼル・虎のライダー三人を巻き込み、高圧電流によって痺れさせる。
アルカナの近くに着地したライアは彼に向かって叫ぶ。
「今だ!」
「りょーかい!これで行きますか」
アルカナはホルダーから一枚のカードを取り出し、それをタロットベルトへと翳した。
【The・Tower】
【Reverse・Tower】
アルカナのタロットベルトから呼び出されたのは、塔を模した巨大な円形状の武器。
砲身にも棍棒にも見えるその武器・タワーブラスターを右腕に取り付けると、そのまま狙いを定める。
「手塚さん、念のために真依ちゃん頼んだよ」
「わかった」
「じゃあ……五人まとめてかかってこい!」
アルカナは五人のライダーに対して、そう言い放った。
ライダー達はそれぞれの反応を見せながら、挑発してきたアルカナへ迫る。
鋏で武装した者、ヨーヨーにも見える武器を取り出す者、両腕の鉤爪を尖らせる者、角型のドリルを回転させる者、犀の角を取り付けた武器を向ける者。
迫りくるライダー達にも余裕ぶった態度を向けているアルカナは、ライアが真依の元へたどり着いたのを見計らうと二人に叫んだ。
「耳と目を塞げ!」
「な、なんて!?」
「いいから塞げ!」
アルカナの言った通り、ライアと真依はそれぞれを目を閉じて耳を塞ぐ。
その直後、アルカナの持つタワーブラスターに轟雷と閃光が纏った。
「――塔よ、崩壊を導け!」
アルカナはライダー達がすぐそばまで迫った瞬間を狙って、タワーブラスターを振るった。
凄まじい轟音が響き渡らせ、ライダー達の文字通り薙ぎ払っていく。
「ぐぎゃ!?」
「ふぎゃっ!?」
「ごぶはっ!!」
「へぶっ!?」
「ぼばはぁっ!!」
強烈な一撃を叩き込まれたライダー達は勢い余って遠くの壁まで叩きつけられ、嫌な音を立てた後、力尽きたように沈黙する。
そのどれもが常人では傷つかないはずの装甲が砕け、四肢が嫌な方向へ曲がり、床には血にも似た赤黒い液体がたまっていた。
その様子を見たアルカナは仮面の下で嫌な顔をしながら、右腕のタワーブラスターに視線を落とした。
「うげぇ……やっぱり、タワーは使いにくいな……流石にオーバーキルすぎる」
「ひ、ひぃぃぃ……」
「……つくづく、お前のようなヤツがライダーバトルに参加してなくてよかったよ」
目の前で起こったタワーブラスターによる蹂躙を見て真依は顔を青ざめ、アルカナの知られざるカードの効果にライアは心底"自分の戦い"にこの仮面ライダーがいなくてよかったと思っていた。
そんな中、奥へと繋がる入口から現れた者がいた。
その存在は惨状を見て、へきへきとしながら口を開く。
「おいおい、ド派手にやるじゃねえか。仮面ライダーアルカナ」
「……!?お前は」
アルカナはその存在を見て、驚いた。
何故ならその存在はアルカナのよく知る存在であったからだ。
二匹の蛇が絡み合った怪人――ウミヘビドラウは、ニヤリと口角を上げて三人の前に姿を現した。
余談
ちまちま書いてはいたんですが、中々うまくいかないですね。
ぎっちりやるとどうしても前編・中編・後編と三部構成になってしまうのがいがめない……。
今回R指定描写を出したんですが、大丈夫ですかね……?大丈夫かな……。
大丈夫じゃないかもしれないけど、変更されるかもしれないかもしれないけどどうしても書きたかった←
後悔はしていない。