メサイアの続きです。次回はビオラの方書けたらいいなと思っています。
謎の少年がボルト達第7班に連れてこられた先端技術研究所を脱走した事件から少し経ち、スミレがボルトをムギノの事で励ましてからも少し経った日、スミレは隣を歩いている遠野カタスケと共にうずまき邸を目指して歩いていた。
「カワキ君、元気だと良いな」
カワキ……それが謎の少年の名前だ。その名はカタスケから聞いた。殻と呼ばれる組織から逃げてきたと思われる少年で「器」だ。何の器なのかはまだ分からないが忍界を脅かそうとする組織が言う器なんてろくなものでは無い筈だ。最もそれでカワキが責められる言われはない。自分の意思でなったなら兎も角そうでは無いからだ。
『そんな化け物を飼い慣らしているとはな、お前も俺と同類って訳か』
カワキに言われた事を思い出す。それを聞いた時はカワキの中に感じる悲しみを確かに感じた。同じような道を歩いていたスミレだから感じた悲しみ。
だからどれだけ攻撃されようとカワキに反撃しようとはしなかった。反撃何かしたらカワキは誰も信用しなくなる。同じ悲しみを感じたもの同士心を開いて欲しいと思ったのだ。その役目は今は7代目火影で今向かっている家の家主がやってくれているが。
「ここですよ」
カタスケの声でスミレは意識を現実に戻した。そして割と初めて見るうずまき邸、スミレからすればボルトの住んでいる家を見た。内心大きい家だなと思いながらもカタスケが先に歩いで行ったのでついていく。
インターホンを鳴らす。そうすれば女の人の声がする
「はい、うずまきです」
「カタスケです。カワキ君のメンテナンスをしに来ました」
そう言うと家から施錠音がした。カタスケはお礼を言って玄関に行く。スミレもインターホン越しにお礼を言ってカタスケを追った。家に入ると恐らくさっきの女性が出迎えてくれた
「お邪魔します」
カタスケが言ってスミレも同じ台詞を言うと女性……うずまきヒナタは微笑んだ
「いらっしゃい。あら?」
そこでヒナタはスミレを見た。スミレは内心では元上司のハナビと似ていると思った。それもそのはずでハナビの姉なのだから。しかしヒナタとスミレは初対面なのでスミレは自己紹介をした
「あ、カタスケ先生の助手の筧スミレと申します」
「あれ? 委員長」
と家の奥から顔を覗かせたのはボルトである。
「こんにちは、ボルト君」
今の会話でヒナタは内心この子が……と思っていた。ゴースト事件が終了した後、ボルトがナルトに「委員長をアカデミーに戻してくれ」と嘆願していたのを覚えている。その件の委員長というのがスミレ何だろうと。
そしてよくよく見れば何やら2人とも恥ずかしそうに少し頬を染めた。
(やべえ、どんな会話すりゃあいいんだ?)
少し前、ボルトはカワキを連れ帰った任務の時にムギノという上忍が目の前で死んだ。そのことを思い出し落ち込んでいた時にスミレに励まされた。それなら別にと思うかもしれないがその励まされ方が恥ずかしかったのだ。何故ならボルトは顔ごとスミレの胸に押し付けられ頭を撫でられるという割と恥ずかしい励まされ方だったからだ。
しかしスミレは仕事仕事と意識を切り替えてカタスケの後に続いてうずまき邸のリビングに入ると家主のナルトに次女のヒマワリ、そして……
「こんにちは、カワキ君」
カワキは椅子に腰掛けスミレを見ていた。スミレの挨拶を返さないカワキにボルトはイライラの面立ちで言った
「おい、挨拶位返せってばさ」
「うるっせえな。別にいいだろ」
「良くねえよ。お前あの事も謝っちゃいねえんだろ?」
スミレは一瞬あの事って何の事だろうと思ったが直ぐに分かった。カワキが竜胆の研究所から脱走してそれを追いかけてきたスミレに何があったのかはボルトは知らないが次にカワキとスミレを見た光景がカワキがスミレの首を締めているという絵面だけ見れば最悪な光景だった。仲間思いなボルトがあの光景を見た時に感じた感情なんて間近で見続けてきたスミレには分かる。
カワキはそれを聞きバツが悪そうな顔をした。しかしスミレはボルトに慌てて言った
「ぼ、ボルト君。あれは私も悪かったんだから大丈夫だよ」
その理由をスミレは言った。腹が減って体力が無くなっていたカワキにスミレは栄養剤の入った注射を打とうとした。しかし未だに人を信用出来ないカワキにとってその注射は毒かなにかだと思いスミレの首を絞めるに至ったのだ。
確かに絵面だけ見ていればカワキに非があるように思えるがカワキの過去を知っていればスミレにも少し非がある事になる。しかしそれはカワキの過去をスミレが知っている前提になり……
「だけど、何も首を絞める事なんてなかっただろ!」
ボルトもカワキがある程度過去を話してくれたから分かっているつもりだ。だがあの光景だけは許せなかった。栄養剤が嫌なら注射だけ壊すって事も出来た筈でスミレを傷つける必要は無かった筈なのだと。まあ当時のカワキは割と切羽詰まっていたのもあったのだが。
次いでに言うとカワキの過去を知らないスミレには非がない。
「それに、花瓶の事も俺はまだ許しちゃいねえ!」
それを聞いたヒマワリが若干悲しそうな顔をしたのにスミレは気がついた。そしたらムギノの事での励ましの後に近況報告した時に出てきたヒマワリのヒナタへの誕生日プレゼントの事かと思い至った。そしてちらりと部屋を見るとその花瓶がどこにもない。つまり悪意があったのかは知らないがカワキが割ってしまったという事なんだろう。それはボルトが怒るのも必至な気がする。
怒りのボルトの視線と冷静なカワキの視線が交錯する。しかし睨み合いはボルトが玄関に向かうことで終わった
「ちょっと外行ってくる」
「ああ、行ってらっしゃい」
ナルトがそう言って少し経つと玄関のドアが開閉した音がした。見届けたナルトはため息を着く
「全く、なんだかな」
やれやれと言いたげに首を振った。この家に来てからボルトとカワキは上手くいってないのだろう。確かに考えてみれば仲間思いで曲がった事が嫌いなボルト、スミレが見る限り悲しい過去のせいで人を信用してなさげで何よりもスミレの首絞めという割と最悪な光景をボルトに見せつけてしまったカワキが直ぐに仲良くなれる訳なかったのだ。
勿論、カワキの居候はボルトと仲良くするためのものではなくあくまでも目的はカワキの保護だから最悪仲良くはならなくてもいいのだが……
(その雰囲気にしちゃうのはヒマワリちゃんが可哀そうだよ)
横目でヒマワリを見るとしゅんとしている。だれも家庭内で嫌な雰囲気なんて嫌だろう。最もスミレは誰かと食卓を囲んだことなんて数える程しかないのだが。
(どうしたらいいんだろう)
スミレはカタスケの手伝いをしながら頭の隅で考え始めた。結果論だがカワキがもし最初から大人しい性格ならここまで溝が出来なかっただろう。そうするとボルトはおそらくカワキの何かしらあった過去に共感し仲良くなるのは早かったはずだ。
現に今ボルトのカワキに対する評価は「いきなり敵意をむき出しにしてきた奴」と「大切な仲間を傷つけた奴」と「大事な妹の花瓶を割ったやつ」となる。例えスミレが感じたカワキの悲しい過去を聞いたとしても第一印象が強すぎるのだ。
(カワキ君も悪い人ではない。それが分かればマシなのかな?)
どうだろうと内心首をかしげる。普段のボルトならそれでいいかもしれないが今のボルトはどこか焦ってるところも見られる。謎の敵殻の存在がそれに歯車をかける。ボルト達は殻のメンバーと戦った。その犠牲を見たボルトが焦るのは無理もないような気がする。
スミレは気がつけばカワキを見てあれこれ考えていた。カワキはその視線に気が付き荒々しく聞いた
「なんだ?」
「花瓶以外にボルト君となにかあった?」
それを聞いたカワキは「お前には関係ない」とばかりに顔をそらす。スミレは「あったんだな」と内心納得した。それが何なのかが問題だが。
ナルトがカタスケに教えたことをスミレも教えてもらった。楔と呼ばれる手の印はある意味呪いのようなもの。ならカワキがそれをどうしたのかと聞かれたら間違いなく消すことと答えるはず。そして共通点を持つボルトがいれば協力を持ちかけるのではないのか? 突拍子のない考えだが今の所これくらいしか思いつかない。
だけどボルトには花瓶の件で断られたってあたりと考えたときカワキのメンテが終了した。
「お疲れ様です、カタスケ先生」
「君もありがとう」
カワキは手を開いたり閉じたりして感触を確かめている。そしてなんにも異常が無いことを確認しそっぽ向いた。しかしスミレはこれよりも荒々しいカワキを知っているのでまだ短い時間しか経っていないがここが安全な場所だとは理解してもらえたそうだ。
現に今はスミレを振りほどこうとはしていない。それがスミレには嬉しかった。
スミレとカタスケは目的は達成されたのでお暇することにして立ち上がった。そしてスミレはカワキに自分らしくないと思いつつ言った
「ボルト君がね、昔言ったんだ」
カワキはその顔を窓の方に向けているがボルトの名を聞き少しピクッとした
「『どうしても信用してほしいなら言葉じゃなくて行動で示せ』って」
ゴースト事件の際、スミレはボルトが当時ハマっていたカゲマサと呼ばれる俳優の劇中での台詞だから正確にはボルトの言葉ではないのだがスミレはボルトが言ってた所しか見てないので若干勘違いしている。しかし言いたい事は伝わったのかカワキはうざったそうな表情を見せスミレに何か言おうとしたがその前にスミレはナルト達に言った
「お邪魔しました」
一礼して玄関へ向かってしまいカワキはやり場のなくなった気持ちを思わず愚痴た。
「……俺にどうしろってんだよ」
カワキはボルトにこのままへそ曲げられているのは都合が悪い。しかし当のボルトはあの状態だ。あんな状態からどう信用されろというんだとなったのである。
一方、うずまき家を後にしたスミレとカタスケは研究所に戻ってカワキの体の研究……をするはずだったのだがカタスケの方に用事が入ってしまいスミレは意図せず午後は休みになってしまった。
「それではスミレ君、今日は助かったよ」
「いえ、カタスケ先生もお気をつけて」
スミレはカタスケの背中を見送り自分も反対方向に歩み始めた。急に出来てしまった休みだからなにも予定がない。普段は研究所で鵺の暴走を止める科学忍具を考える所だが最近色々ありすぎて割と精神的に疲れた。
だから久しぶりに里に出てみることにした。クラスメイトの雷門デンキが言っていた事だが彼の父親が現役の時里を歩いていたら電車のアイディアの元を話しているの聞きそれで今雷門カンパニーは一大企業になったんだとか。
だから歩いてたら何かいいアイデアが転がってないかなと思ったのである。
「こんなにゆっくり回るの何時ぶりだろう」
科学忍具班になってからは大概竜胆にいたものだから里を歩くのも久しぶりだったりするのだ。しかしその思考は徐々にボルトとカワキの事になっている。
スミレとしては二人には仲良くなってほしいと考えている。同じ楔を持つ同士、そして悲しみも理解し友達になってほしいと思っている。友達がいれば世界は変わる。それはスミレがアカデミーに入ってから一番感じた事だ。
そんな時嬉々とした声がスミレを呼び止めた
「スミレじゃないか!」
少し懐かしい男勝りの声を聴きスミレは嬉しそうに振り返った。そこには活発そうな猫のしっぽのアクセサリーをつけたワサビとナミダのスミレの元の班である15班の二人と今は抜けたスミレの代わりに15班に入っている鉄の国の侍、黒鉄ツバキがいた。
「皆任務は終わったの?」
いきなり午後休が出来てしまったスミレと違い普通なら任務があるところはある。
「ああ、今日の任務は終わったぜ」
「スミレは今日は休みなの?」
ナミダのその言葉について説明するために一行は雷バーガーまでやってきた。それぞれ飲み物、ツバキに関してはハンバーガーセットを頼んで飲み物組は席についた。
スミレはカワキの事について話してもいいところまで話した。そして自分はどうしてほしいのかも
「なんか難しそうな問題だな」
それにナミダも頷く。話を聞いてる限りは正直ボルトが妥協すれば解決する。だけどもボルトはそうしないだろうなとスミレは考えている。ボルトは家族の事をとても大切にしている。それはかつて家庭を顧みないと思っていたナルトの行動があったからだ。まあそれも今は解決してる。だけどもボルトの家族思いは本物だ。それは一度は自分と家族を天秤に賭けたスミレが一番よく分かっている。
三人で悩んでいたら一人だけセットを頼んでいて遅くなったツバキが戻ってきながら言った
「それはスミレさんが悩む必要があることなのですか?」
スミレは何でさん付けなんだろうと一瞬思ったが直ぐにツバキの言葉を聞き返してしまう
「えっ?」
ツバキはスミレの隣にハンバーガーセットを置きながら座る。ツバキは当然という風に言った
「その二人が仲良くなるにせよならないにせよそうなるのは結局その二人次第なのではないのですか?」
確かに一理ある。スミレがここで悩んでも最後は本人たち次第、そこにスミレの願望として仲良くなってほしいというの押し付けてしまったら最悪関係は悪化してしまうかもしれない。スミレも考えなかった訳ではない
「……うん。確かにその通りなんだ」
スミレはそこで言葉を区切り喉を潤すために飲み物を飲む。さっきから緊張しっぱなしだったからかとても美味しく感じた。
「でもね……それでも私がいる事で二人が仲良くなれるならそうして欲しいって思うんだ。……カワキ君は私と同じだから」
その意味はツバキにはわからない。何故ならツバキはまだスミレの過去の事を知らないからだ。しかしワサビとナミダは意味する事が分かったのか若干戸惑った顔になった。ただでさえスミレの境遇も辛いしはっきり言うと珍しい部類にはいる。そしてそんなスミレはアカデミーに入るまでは友達のとの字も知らなかった。周りは皆敵とか思っていたのに徐々に友達が出来てスミレの世界は広がった。そんなスミレだからこそ思った事
「友達がいれば世界は変わるってことをカワキ君に知ってほしい」
そして同じ楔を持つ同士のボルトがそれに本来なった方がいい。その為にカワキと似た境遇の自分が名字通りの「筧」になればいいのではないかと思ったのだ。しかしカワキはまだ余り皆を信用してなさげだ。それがスミレの悩みなのだ。でも止まるという選択肢はない。だからスミレは微笑んで三人に言った
「だから、私は私に出来る事をする」
そう言ってスミレは深呼吸した。自分の思いを言葉にした事で少し胸がスッキリした。顔色が良くなったスミレを見てこれ以上言うのは野暮かとワサビは思い話を変えた
「それでスミレはそのカワキって奴が気になるのか?」
その言葉に先程とは違う雰囲気を感じ取った。若干ニヤリしている所を見るとその意味とは……
「ち、違うよ! そういう意味で気になる訳じゃないよ!」
先程とは打って変わって顔を赤く染めながら両手を前に突き出し否定する。ワサビはそうだろうなと言う風に頷き
「そうだよな、スミレはボルトの事が好きだもんな」
それを聞いて頬だけだったのが顔全体が赤くなって言った。そして口が若干開いて「はわわ」と小さい声で呟いている。しかし何とか声を絞り出した。正し頭が色々パンクして正常な思考が無くなっているので殆ど自爆だが
「ぼ、ボルト君とは少し前一緒にご飯食べただけだよ」
言ってから「はっ!」とスミレは気が付いた。ワサビとナミダが驚愕の表情になり聞いてきた
「もうそこまでやったのか!?」
「スミレって意外に積極的なんだね」
「う……な、何で分かるの?」
それもそうだ。スミレ自身は一度もボルトが好きとは言ってない。今は半ば自爆したようなものだがワサビは完全にカマをかけてきた。少なくともスミレがボルトの事を好きと分からなければ今のカマもかけなかった筈だ。スミレとしてはだいぶ隠している方だ。
ワサビの答えは
「いや、誰が見ても明らかだぜ?」
「へ?」
ワサビはナミダに「なあ?」と言いナミダも首肯する。スミレは自身の顔が赤く染まっていることが理解できてしまった。本人は隠してるつもりなのに周りにはバレてるって……そこで思わず立ち上がりながら聞いた
「ぼ、ボルト君には」
言わないでと言おうとしたらみなまで言うなというふうに手を突き出してきた。
「分かってる。別にバラすつもりもないさ」
ナミダも見ると楽しそうな顔になっていた。スミレは恥ずかしく席に座り直し両手で顔を覆った。羞恥が半端なく落ち着くのに少し時間が……待ってくれなった。今まで余り口を挟まなかったツバキが自覚なしの追い打ちをかける
「スミレさんはボルトの事が好きなのですか?」
自分には分からないと言いたげな顔である。まあツバキは木の葉よりもストイックな環境で育ったのもあると思うが。スミレは恥ずかしながらも頷いた。自分は隠してるつもりなのにバレバレということを聞いて少し勇気が出た。ただ本人が知っているのかが分からないが……。ツバキはスミレの感情が分かった訳でもないが自分のボルトとのエピソードを披露した
「確かにボルトは優しいと思います。ボルトのおかげで我々は大事なもの見失わずに済みましたから」
そのエピソードはスミレには初耳だった。詳しくは省くが任務達成のために個々の力を高めようとした。確かにそれも違ってはいないが大正解という訳でもない。そのことでハナビに怒られた。だが当の本人達には理由が分からなかった。そんな時ツバキはボルトにこの雷バーガーで出会った。ポテトだけを食べていたツバキにボルトはハンバーガーセットの良さを説いた。確かにポテト単体で食べるよりもずっと美味しかった。そういう理屈なのかは分からないがツバキはそれでハナビの言ってた事を理解し15班は崩壊せずに済んだのだ。
スミレはそれを聞きくすっと可愛らしく笑った
「ボルト君らしいな。ちょっと強引な所もあるけど何時も誰かのために動いている」
とスミレは言った時に「はっ!」と前の二人を見るとにやにやしていた。完全に乗せられた。友人の前だからかいつもより気が緩んでしまっている。
にやにやの二人に弁解しながら内心思う
(でも……気が緩むのは幸せの証だよね、お母さん)
★
ワサビ達とはあの後色々話をして別れた。スミレが木の葉に戻って来たことも報告した。一番初めにボルトに話したことというのは内緒にしているが。
スミレは若干夕日に染まっている里を見てどうしようかと悩んだ。実はワサビ達からお帰りパーティー的な奴を提案されたのだが今日は断った。なんとなく行きたいところがあったからだ。そこは幾多の忍が鍛錬に使う場、演習場だった。ここに来たのには訳がある。もしかするとボルトに会えるかもしれないという期待だった。そして
「しゅっ!」
気合の入った声と共に放たれた手裏剣は彼にしては珍しく的を通り過ぎた。演習場にはボルトが一人でいた。汗を流し的を見ているはずなのにどこか遠くを見ている気もした。
手裏剣を投げたのを見届けた後スミレは近寄った。少し鼓動が早くなるのを感じながら声をかけた
「ボルト君」
それに本人であるボルトはびくっとしてスミレの方を向いた。そして驚いた表情を見せ
「委員長……どうしたんだってばさ。こんな所で」
スミレは今も忍の訓練を続けているとはいえまだ実践に戻るつもりはない。そんなスミレがここに来るのがボルトには分からなかったのだ。
「ボルト君ならここにいるかなって思ったから」
ボルトは最近自分の力不足を責めることがある。それを解消するために何が必要なのかと言われれば修業だろう。そして修業のばとなれば場所は限られる。
逆に言えばスミレはボルトを探していたことになる。どちらともなく二人は演習場の木の枝に座った。スミレがボルトの手を見ると若干手裏剣によって擦り切れていた。
「ボルト君、手出して」
ボルトは何も言わずに右手を出した。スミレはその手を取りあの治療スプレーを出して吹きかけた。それをされているボルトは
(委員長にこういうことされるのは二度目だな)
一度目は竜胆の研究所で、あの時は今みたいな状態になるとは思わなかった。手裏剣の擦り傷がなくなっていくのを見ながらそんな事を考える。治療が終わりスミレは離れた。離れていく手を名残惜しく見た後二人は無言で目の前の演習場を見る。最初に口を開いたのはスミレだった
「カワキ君の事、悩んでるの?」
ボルトはびくっとした後口を開いた。
「ああ、俺にはあいつが何なのか全然分からねえ」
初対面の時から敵意むき出しだし誰も信用しないわ脱走するわスミレの首を絞めるわヒマワリの花瓶を割るわ。第一印象からもう最悪である。ただヒマワリの時は素直に謝った。だからこそ分からないのだ。
それはカワキの過去を聞いた今も思う
「あいつが辛い目にあった事はよく分かったさ。でも……だからってやっていい事と悪いことがあるってばさ」
スミレはボルトの言葉を聞いて深呼吸した。そして……スミレが今のボルトに感じてる矛盾を突いた
「それだったら……私もボルト君にとって悪い人だと思うな」
その言葉にボルトは弾かれたようにスミレを見る。スミレの肩にはいつの間にか鵺がいて視線を演習場から動かしてはいなかった。その光景でスミレの言いたいことが分かった。だがボルトとしてはそれは余り見認めたくなくスミレに対して珍しく声を上げる
「全然違うってばさ! 委員長とあいつは!」
その言葉にスミレは前を向いたまま首を振る。ボルトを見ないまま鵺の頭をなで言った
「同じだよ。私も何人の人を犠牲にしようとした」
一拍置いていった
「ボルト君の命すら取ろうとした」
聞き間違えようのない言葉を聞いた時、ボルトは言葉を失いスミレの整った横顔を見続ける。ボルト自身はゴースト事件の時、スミレを止める事の思考を割いてたこともあり意識してなかったが確かにスミレは当時ボルトの命も取ろうとした。
ボルトが違うといってもおそらくスミレは否定するだろう。言葉を発せないボルトにスミレは少し悲しそうな表情で向いた。
「でもボルト君は……うんうん、ボルト君達は罪を犯した私をクラスメイトって言ってくれた。待っていてくれた。私の罪を知った後も仲間って言ってくれた」
そこでスミレは首をかしげボルトに聞いた
「ボルト君はどうしてそう言ってくれたの?」
それににボルトは上手く言えなかった。何時ものボルトならクラスメイトだから当然というと思う。しかしそれは逆に言えばクラスメイトじゃなかったら今ボルトがカワキにしているように化け物扱いするの? と聞いてるようにボルトには聞こえたのだ。
答えられないボルトを見たスミレはボルトの中で葛藤が起こってるのが分かりながらも言った。ボルトにだけはそっち側の人間になって欲しくないから
「私はボルト君にカワキ君と仲良くなって欲しいって思ってる。ボルト君が私にそうしてくれたように今度はカワキ君に手を指し伸ばしてほしいな」
これは完全にスミレの我儘である。ボルトはナルトの話を思い出した。
『お前にはそっちにいてほしくない』
ボルトは深呼吸した後、スミレの方に向いた
「分かったてばさ、委員長」
自分の矛盾に気が付くことが成長への第一歩、だから……
「うん!」
スミレは嬉しそうにほほ笑んだのだった。これが彼らの第一歩になるっ事を祈っていたのだった。…そんな微笑みにボルトが頬染めたのは夕日に照らされたことの勘違いなのかはたまた…
お疲れさまでした。ちゃっかりカワキとツバキ初参戦。
アニメ連動です。その内カワキがスミレに謝るイベントもあるかな?アニオリ描写もいいぞ!
というわけで次回はビオラの方書きます。ではでは~
修業パート誰目線でやる?
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ボルト&ナルト
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スミレ&ビオラ
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自来也&サスケ
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最早全部やれ