例の事故シーンなどなど、大幅な加筆修正を行いました!
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翌日、ボルトとスミレはビオラを目に映しながらほぼ同時に起床した。
スミレは内心ボルトの寝顔が見られなかったことを残念に思いながらも、小さく微笑んで起床の挨拶を交わす。
「おはよう、ボルト君」
「ああ、委員長もおはよう」
目覚めとしては2人ともよく眠れたようで、ボルトの口元によだれが出ているのを見てスミレは思わず笑った。
「ボルト君、よだれ」
「えッ、うわマジかよ」
そう言って慌てて拭う。
アカデミーでは余り見せない姿に、スミレの心は喜色に満たされる。
その喜色の意味を、まだスミレは知らない訳だけれど。
「んぅ…ママ…」
すると、2人の声に触発されたのかビオラがスミレの事を小さな手で掴みながら瞼を開いた。
スミレはそんなビオラを、一瞬ためらったのちに抱き寄せる。
ビオラは嬉しそうにはにかみ、スミレに抱きつき返す。
「おはよう、ビオラ」
ボルトはさらっと言われたこの言葉に気がついた。
昨日まで、スミレはビオラはちゃん付けにしていた筈なのにナチュラルに呼び捨てにしていた。
それが親子なら当たり前の事だと、知っているので当たり前といえば当たり前なのかもしれないが、なぜだかむず痒かった。
3人はそうして起床を終え、朝のいつも通りが始まる。
既にナルトは公務で火影屋敷へ、朝はいつもヒナタとヒマワリ、そしてボルトが朝ごはんを食べているのだが今日はスミレとビオラもいる。
その事に不思議な感慨を持ちながら、ボルトとスミレは登校の時間になった。
ボルトはビオラがヒマワリとじゃれているのを見ると、スミレへ内緒話をするかのようなテンションで耳元に話しかけた。
「委員長、ビオラがヒマワリに気を取られている内に行くぞ」
「え…どうして…あ」
途中まで疑問に思っていたスミレだったが、昨日の夕方からのビオラの引き止め攻撃が来るからだと察した。
心が痛い事この上ないが、あの攻撃を一度喰らえばその精神的疲労は昨日のボルトが証明している。
ボルトの真意に気がついたスミレは、複雑な顔をしながらも頷く。
まずはボルトが自室で自分とスミレの分の鞄を持ってきて、廊下でスミレに合図を送る。
ビオラはヒマワリによって遊ばれているのを確認したスミレは、ヒナタに黙礼して忍として培ったスキルをフル活用して玄関まで向かった。
(よし、今日は泣かれずに行けるってばさ!)
流石なのか、スミレの忍び足はボルトのそれよりも数段上で、勝ち誇ったようにボルトは拳を握る。
ただし、ママパパレーダーが数段上のものを持っていると、2人は知らなかったのだが。
確かにスミレが玄関から出ていく瞬間を見ていなかったビオラだったが、気がつかない事は無い。
なぜなら、赤ん坊は常に母の温もりを求めているものだからだ。
「あ、ビオラちゃん!」
リビングの方からヒマワリの声がしたと思った瞬間、ボルトはハッとしスミレへ急かした。
「い、委員長早く行くぞ!」
「やだ──ーっ! ビオラも行く〜──!」
一足遅かった。
ボルトの声がかかると同時、リビングの方から超特急でビオラが姿を現し唖然としているスミレへ突撃を噛ました。
当然赤ん坊の全体重が乗った突撃程度でスミレがこけたりする事は無かったのだが、違う意味で倒されかけた。
また、それも今度はスミレにまで置いて行かれると思ったビオラは凄まじいまでの泣き顔だったのだ。
「はわわ、び、ビオラちゃんはお留守番をして、ね?」
「や〜ー!!」
昨日のボルトと、ビオラのようなやり取りを今度はスミレがやる羽目になってしまっていた。
なんなら、そのレベルは昨日よりもハイレベルだと言えよう。
理由としては当然
「だって昨日パパ遅かったからやー!」
昨日ボルトは早めに帰ると約束したのにも拘らず、もはやわざと補修になって現実逃避の為に帰る時間を遅らせたという前科がある。
得てして嘘をつかれた時の事は赤ん坊は覚えやすい。
昨日のボルトの裏切りをこれでもかと根に持っていたらしい。
因みに言うまでもないが、スミレはとんだとばっちりである。
ボルトはどうやってこの場を収めるかを考えて、結局思う先に出た言葉は
「今日は昨日よりも早く帰るからさ、な?」
昨日と同じ言葉だが、今を収めるのはこの言葉しか思いつかなかったのもある。
もはやなだめるためのレパートリーがこれしかない訳だが、ビオラはビオラで素直なのかウルウルした瞳で2人を見上げて
「ほんと?」
「「ほんとほんと」」
ただこの場を鎮めたい2人は、ビックリなくらい息をぴったりと合わせて返事をした。
それでビオラは不承不承という感じで頷いた。
「……わあた」
「うん、良い子だね」
余りの可愛さと申し訳なさに、スミレはビオラの頭を撫でてあげるとへにゃりと喜色を浮かべる。
分かりやすく、そして可愛いビオラにスミレはいつの間にか首ったけになってしまっていた。
ただ、時は金なり。
ボルトは慌てて扉を開ける
「委員長、早く行かねえと遅刻しちまう!」
「う、うん!それじゃあお邪魔しました!」
慌ててヒナタに一礼したスミレは、ボルト共にアカデミーへ駆けだした。
ずっと歩いていたら遅刻が確定してしまう距離だったので、有無を言わさずに走るボルトの後をスミレは苦も無く追いかける。
そうして、アカデミー自体が見えてくるとボルトは歩きにシフトチェンジした。
スミレもボルトの隣に並ぶと、そのまま歩き始めた。
「はぁ、今日はまだ余裕で間に合いそうで良かったってばさ」
「ボルト君、昨日はビオラにせがまれたから遅かったんだね」
「ああ、今日はまだマシな方だったぜ」
辟易としているようだったが、本当に心の底から嫌がっているという訳でもなく、どんな対応すればいいのかが分からないからの意味合いが強いようにスミレには感じた。
通学路を歩いていくと、ちらほらとアカデミー生の姿が見える。
最も、殆どが普通科の人達で今の時代忍者になろうっていう生徒の方が少ないが。
そんな人達の波に流されながら、ボルトはおもむろに水風船を取り出した。
「螺旋丸…やっぱり難しい?」
膨れたり、収まったりする水風船を見ながら問いかけるとボルトは視線を動かすことなく答える。
「ああ、父ちゃんがあんなに簡単にやってるように見えんのにこんな難しいなんて聞いてねえってばさ」
「でも、サスケさんに弟子入りするための条件…なんだよね?」
「うん。だから絶対出来るようにならなきゃならねえんだ」
うちはサスケ、うずまきナルトの親友にしてライバル。
この忍界に置いて最強の一角として数えられ、六道仙人が開眼したと言う輪廻眼に唯一開眼したという忍。
スミレは父タヌキによって木ノ葉の情報を詰め込まれた際に、彼の情報も当然得ていた。
というよりも、ある意味サスケの事をタヌキは一番警戒していたからだ。
なぜなら彼は輪廻眼で鵺の異界にまで来ることが出来る存在。
スミレの戦闘力では到底どうにもできない相手だと、タヌキも分かっていたのだ。
まあ、そのサスケも普段は放浪しているからほぼ計画には彼をどうにかする方法なんて考えていなかった訳だが。
「ボルト君…どうしてそこまでして」
しかし、スミレの興味はサスケではなくそのサスケにいきなり弟子入りを志願したと言うボルトにあった。
スミレがこれまでのアカデミー生活で感じたうずまきボルトという少年は、いかに効率よく物事を進めるのかを考える人で、なまじ天才的な才能を持っているが故に修業という概念自体を嫌っている節があった。
なのに、昨日今日のボルトはその嫌っているかもしれない修業として、螺旋眼を身に着けようとしていた。
その事がスミレには不思議だった。
スミレの言葉を聞いて、ボルトは膨れていた水風船を沈め、どこか後悔するように眼を細めていた
「修学旅行の時…かぐらがさ、俺が弱かったばっかりに取り返しのつかない事をしちまう所だったんだってばさ」
「…」
修学旅行の時の顛末をスミレは知らない。
ボルトの知らない所で、ボルトをサポートしていたりはしていたが恩着せのつもりなんて無いから黙っているだけだ。
ただ彼が、喧嘩と称して霧隠れの事件を未然に止めたんだって事は何となく分かっていた。
それに、霧隠れの中忍にして自分達の案内役を買ってくれたかぐらが関わっている事もまた。
「だから、もう友達も、仲間も、…クラスメイトを守るためには力がいるんだってばさ」
その言葉を聞いた瞬間、スミレはその言葉の中には自分の事件も入っている事に気がついた。
ゴースト事件もまた、ボルトの意欲を燃え盛らせるには十分な理由だったのだと察した。
その事実に、スミレは申し訳なさを少し感じてしまった。
けど、今のスミレにはこれしか言う事が出来ない。
「うん。頑張って。でも·····」
「?」
言葉途中でボルトは疑問符を命一杯に浮かべるが、スミレは苦笑い気味に立ち止まり
「もうアカデミーに着くよ?」
「あっ」
完全に通学途中だった事を忘れていたボルトは、思わず水風船を落としてしまったのだった。
*
人波激しい生徒達の合間を縫って、ボルトとスミレは自分達の教室へと辿りつく。
「おはよう!」
軽快にドアを開け、定番の挨拶をしながら入ると既にシカダイやいのじん含めた親友たちも挨拶をし返す。
「おう」
「おはよう、ボルト君」
「今日もまた遅刻寸前なんて…」
順にシカダイ、デンキ、いのじんが返した言葉なのだがいのじんは途中で止まってしまった。
その理由は言うまでも無く後ろからスミレが入って来たからだ。
ただ入って来ただけならいのじんとて何も思わない。
しかし、2人は昨日の事がある。
屋上で、2人きりで、スミレの手作りお弁当を食べていた事は既にクラス中に広まっていたからだ。
そして今朝も一緒に登校、それも普段は早めに登校する事が多いスミレも。
年頃の男ならば色んな意味で勘繰ってしまう状況証拠は揃ってしまっていた。
なによりもクラスがざわついたのは
「な、なああの2人、同じ机に当たり前のように座ったぞ」
シカダイが唖然としていた。
クラスメイト達へ挨拶をし終えた2人は昨日と同じ机に、まるでそうする事が決定事項だとでも言いたげに着席した。
あのサラダですら目を丸くしてしまっている。
昨日ならばまだボルトが適当に選んだ席だからとか、考えられる要因はあったのだが今はボルトも、そしてそれに続いたスミレもまるで迷いが無かった。
2人は始業までの残りの時間それぞれ過ごす。
ボルトは水風船を割るイメージ練習、スミレは今日の予習の為に教科書を取り出して全く別々の事。
けどその距離感は昨日よりもずっと近くて、例えるのならば休みの日に父親が新聞を、母親がキッチンで朝ごはんを作っているかのような緩やかな時間が2人の間に流れていた。
何人たりとも入る事が出来ない、2人だけの空間がいつの間にか完成してしまっていた。
全く自分達に絡みに来ないボルトも、それを当たり前のように受け入れているスミレにも、クラスメイト達は混乱を極めることとなった。
そんなこんなで、シノがやって来るとそれに気がついたスミレによって号令がかかり…いつもと同じようで同じじゃない一日をスタートさせるのだった。
といっても、2人の様子が変わったからといって授業の内容や課題まで変わる訳ではない。
昨日よりもビオラの精神的攻撃がマシだったボルトは、今日は無事に課題をやり終える。
どちらかというと、昨日以前に戻っただけだが調子を取り戻しているのは確かだ。
しかし、昨日の授業を真面目にやっていなかった弊害が現れてしまう。
それは……
「今回組むスリーマンセルが卒業前最後のスリーマンセルとなる。明日の休みが終わればそのスリーマンセルで実戦形式の試験をやる。気を引き締めるように!」
(そうだった!忘れてたってばさ!)
ビオラの事ですっかり頭から抜け落ちていたボルトである。
言われてから咄嗟に面子を考える。本当は昨日の内に言われていたらしいが、上の空だったボルトは聴いていなかった。
だからすでに周りではスリーマンセルを組んでいる面子の方が多い。
ミツキは恐らくあっちから声をかけてくるだろうから問題ないとして、あと一人。
猪鹿蝶は当然として、イワベエやサラダはどうだろうか?
しかし様子を見る限り既に2人は組んでしまっているようだ。
残りのデンキ、メタルも他の人達と組んでしまっている。
ボルトは殆ど意識しないまま隣を見ると、スミレはスミレで戸惑ったように目線をうろうろさせていた。
スミレの実力は、里への反逆を企てたことからも既にアカデミー生レベルを超えている。
それはあの異界で見た戦いで分かっている。
それにこの様子なら彼女もまだスリーマンセルを組んでいないと見える。
そうと決まれば――と思ったら先にチャイムが鳴り響き、待ちに待ったお昼ご飯にクラスメイト達が一気に弛緩した空気を醸し出した。
「あの、ボルト君」
「ん? 何だ委員長?」
スミレに話しかけようとしていたボルトは、逆に話しかけられたことにカウンターを食らった気分になる。
彼女はそんなボルトに一瞬疑問符を浮かべたが、直ぐに自分の用事を語った。
「あの、ヒナタさんと一緒にお弁当作ったから一緒に食べよ?」
昨日はボルトからの頼みだったから声をかけたのだが、今日はそのボルトの母と共同でお弁当を作ったと言うまるで母娘のような出来事に、スミレは羞恥心を感じていた。
ボルトも、朝からスミレがヒナタとキッチンで朝ごはんを一緒に作っていたのは見ていたが、まさかお弁当までやっているとは知らなくて呆けた表情を見せてしまう。
けど直ぐに嬉しそうに笑った。
「分かったってばさ。じゃあ屋上行くか?」
「う、うん」
ボルトと同じように、嬉しそうにはにかんだスミレは鞄からうずまき家のお弁当箱を二つ取り出し片方をボルトへ渡す。
また屋上で2人きりになれることに、どことなく嬉しさを感じながらスミレはボルトに寄り添うように教室を出て行ったのだった。
「あの2人、また屋上に行くみたいだね」
「いやいや待てミツキ!」
「なについて行こうとしてんのよあんた!」
残されたミツキはスリーマンセルの事で声をかけようとしていたのだが、2人が屋上へ行ってしまったのでなんの悪気も無く追いかけようとして、シカダイに止められチョウチョウには咎められる。
なぜそんな事をされねばならないのか分からないミツキは、怪しい笑みを浮かべて首を傾げたのだった。
因みにだが、当然のようにクラスの中では2人の話題が尽きる事なかった。
「ハッ、クション!」
「くちゅん!」
屋上へ辿り着き、適当に腰を掛けた2人は唐突に襲って来たくしゃみに抗う事が出来ず、揃ってくしゃみをした。
同じタイミングでしたくしゃみに2人は思わず顔を見合わせ、苦笑いした。
「誰かが噂した気がするってばさ」
「うん、私も」
珍しい事もあるものだと、2人はお弁当箱を取り出した。
今日のはヒナタとスミレの合作弁当。
昨日もボルトに自分が作ったお弁当を食べてもらった訳だが、やはり彼がふたを開けようとするのを見ると緊張してしまうスミレだ。
そうしてボルトが弁当箱を開けると、目の前に広がったのは昨日と同じ、所せましと様々なおかずが入っているカラフルなお弁当だった。
球体の玉子焼きに、たこさんウインナー、ポテトサラダや小さなハンバーグなど、ボルトが好きそうなものが詰め込まれていた。
これにはさすがのボルトも感嘆を上げるしかなかった。
「おおー!! 美味しそうだってばさ!!」
昨日と同じ言葉、けど作った本人にしてみればこれ以上の誉め言葉も中々ない。
それが気になる相手からのものだと尚更に。
「はわわ、ありがとう」
スミレも自分のものを開ける。
普段のスミレのお弁当は基本的に前日の晩御飯の残りが多かったりするが、昨日今日はボルトの為に作ったお弁当。
その感想は一番気になる事だった。
「「いただきます!!」」
合掌し、食し始める。
「おう、このサラダめっちゃ美味えな!」
普段はスミレが自分の部屋で作っている特性ドレッシングをかけたサラダを食べたボルトは、満足そうに顔をほころばせる。
ボルトの表情は、なにかおかずを食べるたびに美味しそうに笑ってくれて、スミレはぽかぽかと胸が暖かくなるのを感じている。
そうして食べていた時、これまでうまそうにに食べていたボルトの箸が止まったのを見て、スミレは訝し気に彼の様子を伺う。
なにか不味いものでもあっただろうか、一末の不安を抱えたスミレだったがそれは杞憂に終わる。
ボルトが見つめていたのは、今朝は時間があったから作ってみた球体の玉子焼き。
特に味付けに変化を加えた訳でもないから問題ない筈だが、ボルトの視線に不安を感じたスミレは首を傾げていると
「なるほど!!」
「な、何が?」
「水風船を割る為のイメージが出来たんだってばさ!」
ボルトに食べられた玉子焼きは、丁度断面図が垣間見えて、その模様が水風船の中の水の流れをイメージさせたのだ。
もっとも、スミレは螺旋丸を学ぶわけでもないし、よく分からない感覚の話だったので首を傾げざる負えなかったがボルトが嬉しそうだったので微笑を浮かべた。
そうして、2人はお弁当を食べ終える。
「「ごちそうさまでした」」
示し合わせた訳でもない合掌の声が重なり、2人は見合わせるとお互い恥ずかしそうにはにかむ。
スミレはそんな羞恥を誤魔化すようにお弁当を片付け、そのままおしゃべりに話を咲かせる。
最近のアカデミーの話、最近里に出来た甘味処の話、そしてビオラの話。
少ない休み時間の中で、2人は話しつくして…ボルトは思い出したかのように聞いた。
「そうだ、委員長」
「どうしたの?」
「スリーマンセル、まだなら組んでくれないか?」
それを聞いたスミレは、てっきり才能や人柄からして既にボルトは誰かと組んでいたものだと思っていたので少し驚いた。
そして、次第に嬉しそうにはにかみ頷いた。
「うん!嬉しい…よろしく、ボルト君」
ボルトも笑って頷いた。
「ああ、よろしくだってばさ!」
直後、午後の授業の予鈴が鳴り響き示し合わせたかのように2人は立ち上がる。
各自のお弁当を手に持ち、教室まで戻るまでに本番ではどんなフォーメンション、戦い方をするのかを議論しながら話し合った。
教室へ戻ると、やはりクラスメイトの視線が刺さったが2人はお互いに夢中で気がつく事は無かった。
当たり前のように同じ机に座ると、今までシカダイたちに足止めされていたミツキがするりと近づき、無事にスリーマンセルが結成された。
「よし! じゃあこれで俺とミツキと委員長でスリーマンセルだな!」
ミツキはいつものように掴みどころのない笑顔で、スミレは少し恥ずかしそうな顔をそれぞれしていた。
その後、何事も無く午後の授業も終わり、本当なら3人で当日のフォーメンションの確認とかをしたかったのだが、ビオラに泣きつかれたら精神的に問題が残る。
という訳で、当日はボルトとミツキが前衛、スミレが援護という事で落ち着き解散となる。
親への報告があるというミツキはさっさと姿を消してしまい、ボルトとスミレもうずまき邸へ帰ろうと揃って校門へ向かった。
「あ…」
しかし、スミレはよくよく考えれば大事なことを忘れており、もちろん忍としては問題ないのだが女の子としては問題がある事を思い出し立ち止まった。
この2日間のビオラの口撃に辟易しているのか、ボルトはどこぞのランニングマンの体勢のままスミレへ振り返る。
「どうしたんだってばさ?」
「えっと…その」
「?」
流石に、異性であるボルトに言うのはなんとなくこっぱずかしいと思うスミレだったが言わなければ始まりもしないと諦めて正直に言った。
「着替え、取って来ても良いかな?」
「あ」
スミレは昨夜から泊っているが、突発的だったこともあって替えの服がない。
もちろん復讐者として訓練を受けたのだから、今更服を着替えずに何日も過ごすなんて事は何も思わないが里の中にいて、そのチャンスがあるのに取りに帰らないと言うのは…それも異性の家にいるのに聊か…否、かなり問題があるように思えたのだ。
ボルトは戸惑ったように視線を漂わせ、すぐさまに答えを返した
「じゃあ委員長の家に行くか」
「う、うん。ありがとう」
2人はスミレのアパートへ向かう事となった。
何気にボルトは初めてのスミレの家で、緊張の面持ちで旧市街を歩く。
スミレのアパートは、旧市街の中でも端っこの方にあって、正直交通の便はよくない。
少し、栄えている新市街地や旧市街の中枢に比べると寂しいような気もして、ボルトは道中問いかけた。
「委員長、こんな所に住んでたのか」
スミレはそんな問いに、苦笑い気味に答える事しか出来なかった。
「うん。お父さんもお母さんもいないし、お金も余裕がある訳じゃないから」
「そ…そっか」
スミレの生まれ、そして当初里に来た目的を思えばそれは仕方ない事だったのかもしれない。
彼女自身は、きっと里への復讐が失敗するにせよ成功するにせよ、死ぬつもりすらあったはずだ。
だからこそ、両親がいないスミレでも借りられた部屋に余裕はそれほどない。そして、それは里に来た頃は別に良かったのだろう。
それがこうしてボルトによって光に連れ戻された今、復讐のための住みかはスミレの日常を彩る場所へと変わったのだ。
ボルトがスミレの生い立ちが、この寂しい旧市街の端っこに追いやったのだと思うと、悲しそうな眼をして…スミレはそんな陰りを吹き飛ばすかのように、安心させるかのように微笑んだ。
「でも、今は前より全然ましなんだよ?火影様がアカデミーに行っている間は援助してくださってるの」
「え、父ちゃんが?」
「うん!」
ゴースト事件の後、スミレが木ノ葉に残ることを決めた時、木ノ葉が…というかナルトがスミレを対象に援助をしてくれていた。
考えても見れば当然で、スミレは両親が不在で、元々逃亡生活をしていたせいかお金に余裕がある訳でもない。
なんなら、父親の身勝手な復讐に巻き込まれた被害者という側面が強い。
だからナルトはゴースト事件が終わると、スミレにアカデミー卒業までの家賃や学費の援助を行っていた。
自分が三代目火影にそうされていたように、彼もまた両親不在のスミレを手助けしていたのだ。
「だから私、ボルト君に…皆に出会えて…本当に良かった」
そう言って笑うスミレに、ボルトの中にあった小さな寂しさは消えていた。
彼女がそう言ってくれるが、ボルトには嬉しかったのだ。
自分がやった事が無駄ではないと、言って貰えた気がしたから。
2人は無事にスミレのアパートへとやって来た。
木造建築のアパートで、2階建てだ。
スミレの部屋は2階の中央の部屋で、普段自分とは違う場所にあるアパートをまじまじと見る。
「中は意外に広くて、必要な物はちゃんとあるから余り困ってないんだよ?」
そんなボルトの視線を受け、鍵を開けながら住み心地は申し分ない事を教える。
鍵を開けると、ボルトが一歩下がるのを見てスミレは首を傾げる。
なんで彼が一歩下がるのかが分からなかったからだ。
「じゃあ委員長、俺はここで待ってるぜ。」
「え、どうして?」
「どうしてって…その、女の子の部屋に上がるのは問題があるだろ」
もちろんサラダの家とかにだって行ったことはある。
けどサラダの家と違うのは、親がいないこと。
スミレが1人暮らしをしている部屋に入るのは、気持ち的に紳士ではないとボルトは考えた訳だ。
しかし、それはそれでスミレが困る。
「大丈夫だよ。それに、ちょっと遠かったでしょ?お茶くらい出させて?」
あくまでもスミレにとってはボルトはお客さんで、お客さんをもてなすのは当たり前だと言う。
こうでも言わないとボルトが部屋に入って来てくれないと思ったからだ。
純粋に自分のせいで外に彼を待たすのは申し訳ないのだ、スミレは。
「そ、そっか。分かったってばさ」
そうして、スミレの顔を立たせるためにボルトは快諾した。
その事にはにかんだスミレは改めて部屋の扉を開けて先導する。
ボルトもスミレの後を追うように、同年代の、1人暮らしをしている女の子の部屋へ初めて踏み入った。
しかし、問題はここで起きたのだ。
小さな玄関で忍足を脱いだスミレは、思い出したかのように振り返る。
「あ、ボルト君。そこ小さな段差あるから気を付け――ッ」
「うわあっ!」
古いアパートであることには変わりないため、所々にどうしてそうなったと言うべき段差が存在する。
この場所に住み始めて既に半年は経っているからスミレは慣れているが、初見では分かりにくい。
それを教えるために振り返ったスミレだったのだが、一足遅かった。
ボルトの情けない声が響いた瞬間、スミレの視界にはボルトが自分を押し倒すように転んでいて、スミレも咄嗟の事で反応する事が出来ずに、押し倒された。
ごんッ!と鈍い音を鳴らしながら、2人は床へ倒れてしまった。
それだけなら兎も角
「…っ」
「…っ?!!!」
痛てて…そう呟いて起き上がろうとしたボルトが眼を見開くと、目の前には信じられないとばかりに眼を大きくしたスミレの姿。
それと同時に感じる、唇に張り付いたような柔らかい感触に、ボルトは急激に身体を熱くさせながら身体をバッと起こし電光石火の如く謝罪した。
「すすすすすまねえ!!」
スミレも、自分の唇に感じていた感触と幸福感が消えるのを感じ、そして目の前に顔を真っ赤にしたボルトを認識して…次に自分の唇に起きた出来事を急激に理解し始め…眼に視える範囲全てがゆでだこのように真っ赤に染まって――
「は·····はわわわわわわわわわわわ!!」
暴走した。
*
3分ほどの暴走の後、ボルトとスミレはお互いその事に触れずにボルトはリビングへ通され、ボルトの背後ではスミレが実習用のリュックサックに自分の着替えや下着を入れていた。
お互い、無言のまま、その顔を羞恥に染めたまま時間だけが流れていく。
背中合わせのまま、スミレは自分の着替えを入れ終えてリュックの口を閉じる。
「その、本当にすまねえ委員長」
やがて気まずい雰囲気に耐えられなくなったボルトは、背後で項垂れるように謝罪した。
スミレは一瞬、何かを言いたそうにして…結局口を閉じる。
考えれば考える程、驚きと羞恥、そして…幸福を感じていたなんて言える訳なかった。
でもだからこそ、彼がそれを気にしないように。
「ううん、早く言わなかった私も悪いから、大丈夫」
顔は赤いままだけど、スミレの言葉自体には嘘はない。
別に、過去のマギレのように無理やり迫られた訳でもない。
完全に不可抗力の事故なのだから、偽りのない本心だ。
けど、だからといってラッキーといえないのはボルトの人の好さ。
「でも……その。委員長の初めてを……俺は」
父親に似て、恋愛ごと自体にはとても疎いボルト。
なんなら前のスミレとマギレの時のように他者の告白とかを見ている方が過剰に反応してしまうきらいがある。
疎い父親と、恥ずかしがり屋の母の血が見事に交じっている訳だが、だからといって女性のファーストキスの意味を知らない訳じゃない。
それも、まだ11歳のスミレの口づけをだ。
彼女にだってこれから先、誰かを好きになると言うのに、その初めてを奪ったことにボルトは少なからず罪悪感を感じていた。
例えビオラが自分とスミレの子供だとしてもだ。
しかし、ボルトの父親のファーストキスよりも遥かにマシなのはご愛敬。
スミレは、背後のボルトに向けて首をふるふると横に振る。
「ボルト君が気にする事はないよ。それに·····」
——私は、初めてがボルト君で良かった
そう言おうと思って、やめておいた。
恥ずかしいなんてものではない。彼は、あくまでもクラスメイトとして謝ってくれているのだから邪な気持ちを話す事は何だきけない気がした。
それに…その続きを聞こうとボルトが振り返ると同時にスミレは勢いよく立ち上がった。
「じゃ、じゃあ行こ!」
「お、おう」
それが羞恥を誤魔化す為のものだと、ボルトも分かっていたがスミレの気遣いに感謝しながら立ち上がる。
2人はスミレの部屋を出て、そのままうずまき家へと向かっていく。
お互い先程の事が尾を引いているのか無言で、偶にお互いを見るとパチリと眼があってしまい目をそらしてしまう。
付き合いたてのカップルのような事をしまくっていた。
そうこうしてい内に、2人は無事にうずまき家へ到着する。
「ただいまー」
「お邪魔します」
先程とは違い、ボルトが先陣を切る形で玄関の扉を開けると2人の事を感知したのかドタバタとリビングから音がして、次にビオラが姿を現した。
いつの間にか元々着ていた幼児服ではなく、真新しい黄色と紫の花が彩られたものへ変わっていた。
「パパ、ママ!」
昨日よりかは早い帰宅に、ビオラはとても嬉しそうに笑って2人のひざ元へ突撃する。
2人は示し合わせた訳でもなく、同時にビオラを受け止める。
2人とも、さっきの事もあって恥ずかしいが当たり前のようにビオラを引き連れてリビングへと戻る。
「お帰り2人とも」
「ただいま母ちゃん」
「お邪魔します」
お帰り…その言葉を、普段は聞かないスミレは一瞬胸をポカポカさせる。
家族の温かさを、その意味を、噛みしめる。
スミレはリュックをヒマワリの部屋へと持って行くと、再びリビングにやって来る。
ボルトとヒマワリ、そしてビオラの3人が仲睦まじく絵本を読んでいた所らしい。
というよりも、2人が帰って来る前に読んでいた絵本を読んでいると言うべきか。
ボルトの膝にビオラがちょこんと座り、ヒマワリは隣から覗き見る。何も知らなかったら3人兄妹のようにも見えるが…
(私と…ボルト君の子供)
ビオラを見つめ、その事実に胸がドクンと震える。
さっきの事故のせいで、よりその事を意識してしまう。
今朝までは敢えて意識してこなかった、彼氏…或いは”夫”がボルトだと言う事を。
嫌な訳じゃない、寧ろ嬉しいとすら思ってしまう。
けど…もしかすると、ビオラがここにいるからこそこれからの未来が変わってしまう可能性だって無きにしてもあらず。
その事にスミレは複雑な思いを向け――
「ママ!」
いつの間にか、絵本を読み終えたビオラがボルトのひざ元から降りてまたスミレの足元に抱きついた。
「…っ」
そのビオラの頭を、ぎこちなく撫でてあげると彼女は嬉しそうにはにかむ。
自分が感じた一末の不安なんてあっと言う間に消し炭にしてしまうような、そんな笑顔だ。
どうしてもビオラの事を愛おしく感じて、スミレは膝を折ってビオラを優しく抱きしめる。
「どうしたの?」
「ぬえたん!」
「え?」
そのまま問いかけたスミレは、意外な言葉に呆けた表情を見せる。
彼女の表情を見ると、にこにこと鵺がいないのかと楽しみにしているようで笑っていた。
どうやら未来では、鵺がビオラのお守りをしているのかもしれないと…かつては里を壊す為の兵器だったのに、そんなことになっているかもしれない事にスミレは嬉しさを感じた。
…のだが、まだ鵺は里を襲わせた兵器だと、思っている者も少なくない。
そんな鵺を、ここに出していいのだろうかとスミレは不安気にヒナタへ振り返る。
ヒナタはスミレがここに宿泊すると決まった際に、ナルトから彼女の過去を聞いていた。
既にビオラという関係者が来て、日中は家にナルトがいない事もあってもしかするとスミレの事で対応してもらう必要があったかもしれないからだ。
だから当然鵺の事も聴いていた。
「大丈夫よ、ビオラちゃんも鵺に会いたいみたいだし」
だから許可を笑いながら出すと、スミレはホッとした。
「ビオラ、ちょっと離れて」
鵺を出す為に優しく声をかけると、ビオラは顔を輝かせてテクテクと下がる。
一瞬スミレはボルトの方を見て、右の親指を噛んで血を付け、左の掌へ付けるとそこから小さくなった牛頭天王が現れる。
「口寄せ」
リビングに口寄せの術式が現れると、ボンッと煙が現れその中から小さな鵺が姿を現した。
鵺はスミレの足元に落ちると、”どこだここは!”とでも言いたげに周りを見渡す。
「ぬえ!…?」
すると、なにやら自分を見つめてくる赤ん坊が1人。
どことなく、自分の契約主と、その契約主が惚れている男に似ている。
彼女は鵺を見つけると、パーッと顔を輝かせて凄まじい勢いで鵺に突撃した。
「ぬえたん!」
鵺に向けて小さな両手を命一杯に広げ、おいでと呼びかける。
最初こそは”なんだおめえは”とでも言いたげに見つめていた鵺だが、次第にビオラから感じるチャクラに何かを思ったのか、猫なで声を上げながらビオラの両手へスポンと収まった。
「わぁ!この子可愛い!」
鵺を初めてみたヒマワリも直ぐにビオラに追随し、2人で鵺を愛でる会が発足した。
しばらくその様子を見ていたスミレだったが、やがて思い出したかのように立ち上がりヒナタへ夕餉の手伝いを申し出る。
ボルトもしばらくビオラたちを見ていたが、この分なら任せても大丈夫そうだと判断し庭へ出る。
「もう少しだと思うんだけどなぁ」
水風船を取り出して、今日スミレが作ってくれた玉子焼きの断面図を浮かべる。
あの断面図のように、水風船の中の水を回し回し回しまくれば割れる筈だと。
その事を意識し、チャクラを回転させる。
「——ッ!」
荒々しく暴れまわる水風船に、もう少しだと思った瞬間…集中を乱すように玄関のドアが開いた。
「ただいま」
「うわっ!」
瞬間、その事に驚いたボルトのチャクラが乱れると同時に、既に臨界に迫っていた水風船がパンっ!と破裂した。
その大きな音に、ヒマワリもヒナタも、ビオラもスミレも庭へ顔を向けると、途中のチャクラ暴走のせいで荒々しく破裂した水風船の水がかかってびしょぬれになっているボルトがいた。
ボルトの近くには、嬉しそうな、気まずそうなナルトも立っていた。
わなわなと震えるボルトは、牙をむき出しにして帰って来たナルトに叫んだ
「父ちゃんいきなり帰って来るんじゃねえってばさ!」
「い、いやーわりわりい。でもよボルト、やったじゃねえか!」
「うぐっ…あーもう、服濡れちまったじゃねえか」
素直に賞賛をされてしまえば、ボルトも強く言い返す事が出来ずにただ唸る。
代わりに照れくさそうに濡れてしまった服を脱ぐ。
「これなら次の段階に行けるな」
そんなボルトに近付きながらナルトはポケットから今日買ってきておいたものを取り出した。
「って、今度はゴムボールかよ~ッ!!」
今度は2段階目の威力の段階の修業に必要なゴムボールを見た瞬間、ボルトの叫びが空を焦がしたのだった。
*
夕餉を終えて、子供女性陣はお風呂に入る。
男性陣はまた庭へ出て、螺旋丸修業を始めていた。
「もっと効率の良いやり方ねえのかよ!」
「ない。これでもかなり工夫されたやり方なんだ。」
「うぐっ」
そんなのはボルトだって分かっている。
水風船やゴムボールを使わずに練習した場合の難しさは、想像に難くない。
これはかなりマシなやり方なのだろう。
けど出来ないものにイライラが募り…ゴムボールが雷遁を纏いながら破裂した
「よっしゃー!出来ただろ今の!」
「いやそれは雷遁で割っただけだろ」
「くそーっ!!」
出来たと思ったボルトは喜色の声を上げるが、ナルトにダメだしされて唸り声を上げながら地面へ倒れた。
息を荒々しく吐きながら夜空を見上げ、自分のできなさに苛立つように髪をむしる。
これまで基本的に何でもできていたことの弊害か、それともナルトの目の前だからか、どちらにせよ彼がここまで出来ない事に苛立つのは珍しいとスミレがいれば思っただろう。
「少し休むか」
「…ああ」
返事したボルトの隣にナルトは腰を下ろし、ボルトと同じように夜空を見上げる。
ビオラが来るまでは、こうして息子と夜空を見上げたのは何時が最後だっただろうかと思う。
彼女が来てくれたから…この時間がある事をナルトはよく分かっていた。
だからこそ、ボルトに言わなければならない事がある。
「ボルト」
「なんだよ、父ちゃん?」
夜空を見上げながら、隣に座ったナルトも見上げると彼はどこか寂しそうな表情をしていた。
その理由は…
「カラスキのチャクラが溜まる。だから明後日の夜、ビオラを未来に帰す事になった」
未来に帰すと言う事は、もう彼女とは会えなくなってしまうと言う事。
それが本来当然の事で、本当に未来から来たのなら自分達が出会う事はまだなかったことになる。
けど、何の因果かこうして出会ってしまって…帰ると聞いて、寂しいと思ってしまう感情があった事にボルトは一番驚いた。
「そっか」
「ああ」
複雑な表情をするボルトを、ナルトは微笑まし気に見て提案する。
「だからボルト、明日はスミレとビオラでどこか行ってきたらどうだ?」
ボルトは驚き父の顔を見るが、ナルトはどこまでも優しい表情をしていた。
それがナルトがボルトに提案した、”家族”としての時間を過ごせと、言っているような気がしたからだ。
「分かったってばさ」
そしてボルトは、その提案を受ける事にしたのだった。
*
夜、案の定というべきか、再びビオラの甘えん坊モードが炸裂し結局この日もボルトとスミレ、そしてビオラの三人で寝ることに。
今日はボルトの部屋に床布団を引き、そこに3人が並ぶ形になっていた。
ヒナタが昨日の事を受け、物置からお客様用のを出していてくれたらしい。
ボルトはビオラが寝た後、スミレに先程のビオラが帰る事を伝えた。
スミレは驚き眼を見開いた後、寂しそうな、良かったような複雑な表情を浮かべた。
「そう…なんだ。良かった·····のかな」
「ああ、これでいいはずだってばさ」
お互いに、確かめるように頷く。
ボルトは改めて、スミレに誘いをかけた。
「それで委員長、明日なんだけどさ·····」
「うん、分かってる。3人で思い出……作ろ?」
スミレもボルトが何を言いたいのかが分かり、ビオラのお腹の上に乗せていたボルトの手に自分の手を恥ずかしそうに乗せる。
ボルトの誘いが一種のデートの誘いだとは分かっている。
ビオラがいるとは言え、休日に、年頃の女性と、それも…何の因果か将来の妻と出かけると意識する事は年頃のボルトには羞恥そのものだ。
どちらかというとスミレの方が今を受け入れているように見える。
「ああ…どこに行くか…考え…とかねえと」
「ボルト…くん」
スミレの答えを聞いたボルトは、翌日のお出かけコースを考えようとして…眠気の方が強かった。
スミレも、ボルトの声に引きずられるように共に眠りに落ち…摩訶不思議な3日目は幕を閉じたのだった。
ボルトの二期って第一部終わりまで何だろうけどアニオリ作んのかな、ていうかBLEACHが終わらないとどうしようもねえみたいに聞いたけどどうすんだろ。
取り合えず、スミレが恋心を自覚する回はどこかに必要になるんよな原作通りやりたいなら。
まあ、正味本筋おえたら全然原作からズレても良いと思っている派ですが。
では、次回はパート5、リメイク前はおよそ数文で終わってしまったピクニック回です!
修業パート誰目線でやる?
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ボルト&ナルト
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スミレ&ビオラ
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自来也&サスケ
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最早全部やれ