ボルトとスミレ 基本的にif   作:レオ2

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まちがえた


ビオラ Remake part5

 翌日、ボルト、スミレ、ビオラの姿は様々な場所を巡った後、千住公園にあった。

 今日はアカデミーの毎週定期的にある休みの日。

 朝ご飯を食べた3人は、そのまま家を出て出かけることとなったのだ。

 

「おっきいねえ」

 

 3人は朝の内はファイヤーパークで動物たちを鑑賞したり、お花屋で部屋に飾る観賞用の花を見たり、背丈的には完全に兄妹のような光景だがまさか誰も親子だとは思うまい。

 それはボルト達を知っていれば余計にそう思う筈だ。

 

「あれ、ボルト?」

 

 旧市街を回っていた時、ボルトの背中ではしゃいでいたビオラに少し辟易としていた彼にかけられた声に、ボルトは面倒くささを滲みださせて振り返った。

 

「サラダ…」

 

 正直、ある意味一番会いたくなかった人かもしれないと思った。

 サラダは買い物の帰りなのか、ボルトとスミレという光景を意外そうに見ながら近づいた。

 

「サラダ、こんにちは」

「委員長も、休みの日に2人が一緒にいるなんて珍しいね。…って、ボルトその子なに?」

 

 と、サラダはボルトの背中に抱きついているビオラの存在に気がつき指をさす。

 ビオラは何か面白いものでもと思っているのか、機嫌よくきゃっきゃっと喜んでいた。

 

「あ、ああ…この子はな?」

 

 ボルトはどう説明したものかと、明後日の方角を見る。

 従妹…という事にしても、自分にそんな存在がいない事はサラダも当然知っている。そもそもそんな子がいればどうして今まで自分が黙っていたのかを聞かれる羽目になる。

 かと言って、自分の子供だと言うのは論外だろう。

 白けた眼で見られる事に想像が出来てしまう。

 困ったボルトを見て、スミレが慌てて助け舟を出した。

 

「この子はね、今火影様のお家で預かってる子供なんだ」

「火影様が?!」

「あ、ああ。この子の親がな?遠い所へ任務に行かなくちゃダメみたいでよ、それで家で預かってたら俺が懐かれちまったんだよ。」

「フーン、だからあんたがお守りしてるって訳?でも委員長はどうして?」

 

 スミレはクラスメイトで、ボルトと何かあったのかは分かるのだが、彼らが2人でいると言うのは珍しい事でもあったのは本当だ。

 ボルトが赤ん坊といる理由は納得出来たのだが、そちらはまだ納得出来ていなかった。

 その事に応えようとした瞬間、ビオラが待ちくたびれているのか隣にいるスミレに向けて手を伸ばし

 

「マ…」

 

 マ…と続けようとしたビオラの口を、スミレは慌てて人差し指で止める。

 

「マ?」

「ん~!」

「は、はわわ!な、何でもないよ?私は今朝ボルト君と会って」

「その、委員長にもなんか懐いちまったから付き合って貰ってるんだってばさ」

 

 ある意味本当の事でもあるので絶妙に嘘だとは気がつかれないラインを攻めていく。

 サラダは「ふーん」と言って、ボルトとスミレ、そしてビオラを見比べて…不意に笑った。

 

「な、なんだよ。俺達がお守りしていたら悪いのかよ」

「ううん、そうじゃなくて…あんたたちなんかそっくりだなって思って」

「「…っ!」」

 

 あからさまに動揺したが、サラダもまさかこの3人が親子だと言う事に気がついた訳ではない。

 ただなんとなく、赤ん坊の髪色や瞳が目の前の2人に不思議と似てるなぁ位の感覚でしかない

 

「そ、そんな訳ないってばさ!じゃあ俺達もう行くぜ」

「え、ちょボルト?!」

「ごめんねサラダ、また明日!」

 

 スミレも何となくサラダの前にずっといるのはぼろが出ると感じてしまい、3人は慌ててその場を離れて行った。

 ボルト達からしたら逃避の為の全力ダッシュなのだが、背中のビオラからしたらアトラクションか何かなのか、楽しそうに両手を万歳して風を感じている様だった。

 そうして3人の姿は千手公園へとやって来た。

 スミレとしては、かつて反逆の為に鵺を召喚した場所でもあって気まずい事この上ないのだが、アカデミー生もあまりいなくてゆっくり出来る場所となったら場所は限られる。

 それに、もう既にお昼時なのもあって3人は原っぱの上に予め持ってきておいたレジャーシートを広げ、そこに座った。

 

「はぁ…まさかサラダに会うなんてついてねえぜ」

「そ、そうだね?」

「ごー、ごー!」

 

 ボルトもようやくビオラを背中から降ろす事が出来て、一安心しているとシートの上に転がったビオラはスミレがもって来ていたランチボックスに手を伸ばしていた。

 それを見て、スミレは小さく微笑みボルトとビオラの前にランチボックスを置いた。

 

「今日もヒナタさんと一緒に作ったの」

 

 そうしてランチボックスを開けると、何種類かのサンドイッチが姿を現した。

 

「おお~!」

 

 カツに卵にコロッケなど、様々な種類のサンドイッチにボルトは目を輝かせる。

 隣ではビオラもボルトとよく似た輝いた眼で見ていた。

 その余りにそっくりな表情に、スミレは微笑を抑えきれない。

 

「何種類も作るの手間だったんじゃねえか?」

「ううん、2人で作ったからあまり気にならなかったかな。それに…」

 

 スミレは途中恥ずかしそうに頬を染め、言葉を濁してしまった。

 

「それに、なんだってばさ?」

「は…はわわ…その…」

 

 口から出かけた言葉に羞恥を感じているのか、もじもじとして…

 

「ボルト君とビオラが喜ぶところ想像したら…作るのが楽しくなっちゃって」

 

 これまで1人で暮らしていたスミレにとって、一昨日や昨日もそうだが誰かに振舞うお弁当というのは特別なものだ。

 それも、相手は自分を闇から引っ張り上げてくれた恩人。

 そして、自分の娘だと言うビオラ。

 2人が自分の作ったサンドイッチを食べて、喜んでくれる姿を想像するだけでスミレは嬉しく思って、ついつい作り過ぎてしまったと思う位には作ってしまったのだ。

 

「そ、そっか。じゃあ、遠慮なく食べるぜ」

 

 スミレのその表情に、最近は何故か必要以上にドキリとしてしまうボルトは、気を取り直すようにサンドイッチへ手を伸ばす。

 

「ビオラはこっちね」

 

 もちろん、ビオラにはそのままボルト達が食べるようなサイズではなく小さなサンドイッチを作っておいた。

 その前にスミレはナプキンを取り出すと、ビオラにかけてあげる。

 きゃっきゃっと喜ぶビオラに、スミレは小さなサンドイッチを口に運んであげると、ビオラは小さな口を命一杯に開いてパクリ噛り付いた。

 

「はむ…はむ…!」

(可愛い)

 

 小さな口でもぐもぐと食べるビオラに、トゥンクとしたスミレ。

 隣ではボルトもカツサンドを食べていて、彼も満足そうで嬉しかった。

 

「美味え、美味しいってばさ委員長!」

「おいちい!」

 

 父親の真似だろうか、ビオラとボルトの感想を言う時の表情が完全に一致していて微笑ましさを感じた。

 

「よ、良かった。沢山あるから食べてね」

「おう!」

 

 ボルトはまた一つサンドイッチに手を伸ばし、スミレも自分が作ったたまごサンドを食した。

 3人とも、食べている間は味の感想を言い合ったり、作る時の秘話を聞いたりと穏やかな時間が流れていた。

 

「お、ビオラ口ついてるってばさ」

 

 そう言ってボルトがビオラの口元からサンドイッチの欠片をとってあげたりと、そこにある光景は身長的な事が無ければどこかの家族がピクニックしているような、微笑ましい光景だった。

 

「ふふ」

「あ、委員長にもついてるぜ?」

「へ?」

 

 2人のやり取りを微笑んで見ていたスミレだったが、ボルトが自分へ視線を向けたと思ったらどうやらスミレの口元にも同じようにサンドイッチからはみ出していたたまごがついていたらしく、スミレに手を伸ばしてそのたまごを人差し指で取った。

 それだけならまだ呆然とするくらいだったのだが…

 

「は、はわわ…はわわ!ぼ、ボルト君?!」

 

 そのままぱくりとボルトが食べてしまった。

 トマトのように顔を赤くしたスミレは両手で顔を隠してしまった。

 

「何やってんだ委員長?」

「は、はわわ…」

「ママどーしたの?」

「さあ?」

 

 なぜかボルト基準ではスミレが唐突に自爆しているという絵面になっているのが何とも言えない。

 少しすると、まだ耳の端がほんのりと赤いままスミレは両手を下げ、またランチタイムへと変わる。

 ただ3人が、サンドイッチを食べているだけの絵面。

 それなのに、ボルトは以前にも思い出した家族でピクニックに行ったことを思い出していた。

 お弁当を食べる自分やヒマワリ、そしてそれを見守るナルトとヒナタ。

 あの時の状況が、まるきり今のこの状況と重なる事に訳も無く鼓動を早める。

 

「ボルト君、どうしたの?」

「え…」

「ごめんね、もっと作っとけばよかったかな?」

 

 言われてからボルトは何故か自分の左手が突っ込まれているランチボックスを見ると、そこには既にサンドイッチがなかった。

 どこか申し訳なさそうなスミレの声に、ボルトは慌てて首をふる。

 

「い、いや全然大丈夫だってばさ。少しボーっとしただけだし」

「そう?」

「パパ、あそぼー!」

 

 ボルトの様子が変わった事にはスミレも当然気がついてはいたが、その前にビオラがボルトの袖を掴んで立たせようとする。

 自分の訳の分からない鼓動の音を誤魔化す為に、ボルトはこれ幸いと立ち上がる。

 

「おお、良いぜ!ヒマからボール借りといたんだ」

 

 言いながら自分がもって来たリュックサックから子供用のゴムボールを出して、レジャーシートを出るボルト。

 

「委員長もやるか?」

「ママも!」

 

 靴を改めて履いた2人が振り返る所を見ると、やっぱり親子だと言われた方が全然納得出来てしまう顔立ちにスミレは納得しながら首を横に振る。

 

「ううん、私は荷物見てるからボルト君とビオラだけで遊んで?」

「そうか?悪いな委員長」

 

 そう言ってボルトはビオラの手を掴んで、少々離れた所に行く。

 その後ろ姿を見送ったスミレは、ビオラがこちらを不満そうに見ているのが見え、小さく手を振ってあげると直ぐに嬉しそうに笑った。

 

(ボルト君、楽しそう)

 

 しばらくボルトはビオラにボールを転がしてあげたりして遊んで、ビオラが何かを為す度に嬉しそうに笑う。

 アカデミーにいる時や、うずまき家にいる時とはまた違う種類の優しい表情。

 なんだかんだビオラの事を面倒くさがるように見えていても、最終的には可愛がっている事にスミレは嬉しく思った。

 

「——」

「——!」

 

 本来なら、今は出会う筈のないビオラと一緒に過ごす度に、自分の中にある感情が強くなっていくのを感じていた。

 これまで感謝だけの気持ちだった筈のボルトに対する感情に、好意を抱き始めたことも。

 最近…否、ゴースト事件の後から時々彼を見るたびに胸がドキドキして、彼の事を眼で追ってしまう。

 …他の女の事話しているのを見ると、胸がモヤモヤする。

 その気持ちが、ビオラが来てからさらに強くなっていく。

 

(だめ、なのに)

 

 ボルトと、楽しそうにボールを転がすビオラを見ながらそんな事を思う。

 

「あ、委員長!」

 

 ビオラが投げるのをミスしたボールがスミレの待つレジャーシートへと転がっていく。

 スミレは思考を中断して、転がって来るボールをとると座ったままボルトへと投げかけす。

 

「サンキュー!」

 

 受け取ったボルトの笑顔に、スミレまた鼓動を早めて、それを悟らせないために小さく手を振る。

 そのままボルトはビオラとしばらくボールを投げ合って、スミレはそれを眺め続けていた。

 明日にはビオラは帰ってしまう、出来る以上の思い出作る今日の目的は達成できたとスミレは思う。

 スミレの視線の先で、しばらくボルトとボールを投げ合っていたビオラがボルトに近付き抱っこをせがむと、ボルトが抱っこをするのが見えてスミレは立ち上がった。

 

「悪いスミレ、ビオラ寝ちまった。ボールを頼む」

「うん、沢山遊んだからね」

 

 2人が使っていたボールを拾い上げると、2人はレジャーシートまで戻って行く。

 

「ビオラ、楽しそうだったね」

「ああ、俺はちょっと腰いてえけどな」

 

 ビオラが投げるボールは、大概ころころと転がすようなものが多く、それを取るにはボルトも腰を屈めないといけないからだろう。

 

 「あはは、お疲れ様ボルト君」

 

 自分は荷物番をしていただけなので何とも言えないが、労っておいた。

 レジャーシートの上に、持ってきておいたタオルを引いてビオラはその上で眠り始めた。

 

「どうする?お家に帰る?」

 

 まだ夕暮れどころか昼間だが、朝から歩き回ってビオラの体力が尽きたのだから早いかもしれないが家に帰ってベッドで寝かせると言う選択肢もあるだろう。

 けどボルトは首を横に振る。

 

「ちょっと俺も休憩させてくれってばさ。それに、気持ちいだろ、風」

 

 言われてスミレは眼をゆっくりと閉じてみる。

 そうすれば、風が小さく吹いて草木の香りがスミレの鼻をくすぐる。

 今日は天気も良く、確かに…日向ぼっこするにはよい日だった。

 

「そっか…こんな楽しみ方もあるんだね」

 

 知らなかった、スミレは寂しそうに笑う。

 この里に来てから、この里に来る前から、スミレにはそんな余裕はなかった。

 こうして外でまったりするなんて生まれてから一度も考えたことが無かった。

 それが、今はそんな知らなかった楽しみ方を出来ている。

 隣の隣にいる、ボルトのおかげで。

 

「委員長も寝てみろって」

 

 明るくそう言ってくれるボルトの言う通り、スミレは寝てみた。

 レジャーシート越しに伝わる地面の感覚に、近くなったビオラの寝息が伝わって来る。

 そして、先程感じていた風がより強く感じた。

 

「わぁ…」

「な?気持ちいだろ?」

 

 普段は電車の上に乗って風を感じているボルト、あまり彼自身は意識していないのかもしれないがこうして風を感じるのは一種のリフレッシュになっているのかもしれないなとスミレは思った。

 そうしてシートの上で寝ころんだ2人は、ビオラを挟みながら他愛のない話をする。

 主な話題は、ボルトがナルトから聞いたと言うカカシの名言だ。

 

「それでよカカシのおっちゃんが言ったらしいんだ」

 

『忍者の世界には様々なルールや掟がありそれを破ればクズ呼ばわりされる。だけどな……仲間を大切にしないやつはそれ以上のクズだ!』

 

「って言ったんだぜ?!くーっ!かっけえよな!」

「う、うん。そうだね」

 

 ——でも、ボルト君はもうその言葉と同じ位、カッコいい事をしているよ

 

 そう言おうとして、慌てて口を閉じる。

 カカシが七代目に言ったというその言葉も、ボルトはきちんと履行していると思っている。

 きっと里のルールに照らし合わせれば、忍者ですらまだないボルトがあのゴースト事件を調べるのはあまり褒められたものではないことは確か。

 かぐらの時も、彼はアカデミーのルールではなく自分の心情で友達を助けるために必死だった。

 ボルトにとっては当たり前の行動なのかもしれないけれど、それによって救われた人間が沢山いる事を、スミレは知っている。

 そして、目の前のボルトとナルトがよく似ていると言う事も、スミレは知っていた。

 

(ボルト君、アカデミーではあんなだけど、やっぱり七代目が大好きなんだね)

 

 大体アカデミーではクソ親父とか言っているボルトだが、こうしてナルトの物語を聞いて、それに目を輝かせて話してくれる辺り本当は父として大好きなのだろう。

 彼が嫌いなのは”火影”であって”父”ではないのだから。

 なんなら、火影の息子は息子なりに背負う重圧も、心無い声だってあった筈なのに、彼はそれらに負けずに真っすぐ人を助けられる人になっている。

 それは凄い事だと、スミレは思っている。

 

 そして、それは間違いなくナルトから受け継いだものであることもまた。

 この2日間で、ボルトが入浴する時間でスミレもナルトといくらかお話をさせてもらった。

 元反逆者の立場から言わせれば、正直長の家とか肩身が狭いことこの上ないのだが、ナルトは気にするなという旨と…自分が化け狐と恐れられていた時期の事、3代目火影のおかげでそれなりに自由に生きられたことを話してくれた。

 だからこそ、スミレの事も自由に、自分の道を選ばせてあげたいと思ったという話をしてくれた。

 その時の温かさは、間違いなくボルトと同じものを感じた。

 

 そうして、ボルトとスミレはしばらくナルトの話を盃に話していると、いつしか遅い時間になりお開きにする事にしたのだった。

 

 

修業パート誰目線でやる?

  • ボルト&ナルト
  • スミレ&ビオラ
  • 自来也&サスケ
  • 最早全部やれ
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