加筆加筆加筆!
という訳でレッツラゴー!
実技試験が終わるとボルトとスミレはビオラの元へとやって来て娘の無邪気な賛辞を受け嬉しそうに笑った。
「勝ったね、勝ったね~!」
そうして、実技試験が終わるとヒナタたちはビオラを連れて一度帰る事に。
元々実技試験だけを見に来た体裁になっているし、次からの座学の時間はいた所でしょうがないという部分もあった。
まあ、案の定ビオラは帰りたくない!と叫ぶがそこら辺は既に慣れたスミレがなだめ、不承不承とビオラはヒナタたちに連れられて去った。
放課後、本日の授業を終えたボルトとスミレは悪友たちとの会話もそこそこに一緒に教室を出て行った。
「じゃあまた明日な!」
「また明日」
「お、おう。またな」
当然のように一緒に教室を出ていくボルトとスミレに、クラスメイト達は色んな事を勘繰る。
「委員長が…問題児に」
「サラダ心配しすぎっしょ」
アカデミー初期からの、スミレの友達であるサラダは彼女のここ数日の変化にボルトに染まってしまったと危惧してしまう始末。
「だって昨日とか一緒に今日来た赤ん坊と歩いてたんだよ?!」
「でも任務で預かってるだけなんでしょ~?」
「それはそうだけど…」
まさか、あの赤ん坊と接している時の2人が懐かれたお兄さんお姉さんというよりも、両親に見えたというのはサラダの勘違いである筈だ。
筈なのだが、そう言い切れない現実があった。
「まあ良いんじゃない?委員長もなんだか幸せそうだしさ」
しかし、チョウチョウの一言によってサラダの矛はようやく収まったのだった。
一方、そんな噂をされているとは露知らないボルトとスミレは校舎を出ると、彼の方から寄りたい所があるという。
「良いけど…どこに行きたいの?」
「その、委員長のその髪飾りみたいなのをビオラにあげたいんだってばさ。まあ何だかんだ?世話してやったんだからその証明?みたいな?」
「ふふっ、素直にあげたいからで良いのに」
「うっ!」
割と容赦なく心情を言い当てるスミレにボルトは唸る。
最初の頃は何だかんだ面倒に思っていたのもあって、素直にビオラに贈り物をしたいというのは虫が良すぎる気がしていたのだ。
そんなボルトの考えている事を、何となく理解していたスミレは優し気に思ってる事を伝えた。
「大丈夫、ボルト君がビオラになにか残してあげたいって気持ちは…ちゃんと伝わって来たよ」
「そ、そうか…?」
「うん!」
その眩しい笑顔に、ボルトは見惚れたように見つめてしまい、直ぐにバッと明後日の方角へ目を向ける。
そちらは旧市街の中でも、沢山ある方面でもあるからスミレは気にならなかったが、ボルトが逃げた先の顔はどこか照れくさそうに赤くなっていた。
それはそれとして、行動指針が決まったボルトは熱を誤魔化すように拳を掲げる。
「よ、よし!じゃあそうと決まったら買いに行くか!…どこに売ってるんだ?」
「はわわ…」
なぜか、自分が買いに行くはずのものをどこで売っているのか知らないボルトだった。
結局ボルトはスミレに連れられる形で旧市街にあるアクセサリーショップへ赴いた。
サラダやチョウチョウと出かけた時に見つけたお店で、過去との決別の意味を込めて菫の蕾をした髪飾りを買ったのもこの場所だった。
スミレはボルトを伴って店内へ入ると、彼は物珍しそうにあたりを見渡す。
「こんな所があったんか…スゲー、色々売ってる」
髪飾りだけではなく、シュシュやピン止め、帽子やネックレス等、本当に女の子の為のお店という感じでボルトには新鮮に感じていた。
様々な女の子を綺麗にするためのアイテムは、ボルトにある考えも出させる。
「次のヒマワリの誕生日、ここで買ってもいいかもな」
「うん、凄くいい考えだと思うよ?ヒマワリちゃんを連れてきてあげるのもいいかもね?」
「確かに、俺が選んだやつががっかりしちまうかもしれないし」
自分の妹に対するセンスに思う事があるのか、苦笑い気味にスミレの案を採用するかどうかを考えた。
といっても、ヒマワリの誕生日はまだ先だ。
今はそれよりもビオラへの贈り物の方だろう。
スミレの後を追って辿り着いた棚には、様々な髪飾りが売られていて、その中には今もスミレが使っている蕾のものもあった。
「えっと…あ、あった」
その髪飾りの量と質に圧倒されているボルトの横で、スミレは目的のものを見つけたのか手に取った。
紫と黄色で彩られた花…ビオラだ。
「それがビオラなのか?」
「うん。ビオラ自体は色合いが他にもあるんだけど…こんなにピッタリのはないでしょ?」
「ああ、すげえ似合いそうだ」
そうして、2人は割り勘でお会計を済ませ今度こそ家に帰る事となった。
「委員長が持っててくれよそれ」
「はわ…そう?分かった」
買って、軽く包装してもらったそれをスミレは大事そうに鞄へ入れる。
自分がかなり雑なことを承知しているボルトは、ネタバレにならないためにスミレに託したのである。
2人は寄り道をする事なく真っすぐにうずまき邸へと到着し、ここ数日当たり前だったビオラの熱烈な歓迎を受ける。
この後、未来に帰ることなどまるで考えていない無邪気な表情に、スミレは胸の奥から来る感情の濁流を飲み込みながらビオラの頭を撫でてあげる。
「はわわ~!」
嬉しそうにスミレの手に触れるビオラに、彼女はありったけの気持ちを抱擁する事でぶつける。
その後ろ姿を見て、ボルトはなんとなくスミレの気持ちを察していた。
家族がいない彼女にとって、理屈ではなく感情でビオラは自分の子供だと理解しているからだろう。
どんな形であれ、我が子と離れる事は、スミレにとって悲しい事に違いないんだと。
その後、ボルトはカラスキを連れて帰って来たナルトに完成した螺旋丸を見せる。
一度は極限状態で出来た螺旋丸、天才のボルトにかかれば一度完成した感触さえ分かれば単騎でも作る事が可能になっていてあっと言う間に見せつけた。
「すげえじゃねえかボルト!」
「へ、へっ!俺にかかれば楽勝だってばさ!聞いて驚けよ父ちゃん、”消える螺旋丸”なんだぜこれ!」
「き、消える螺旋丸…だと?!」
さらっととんでもない事を言うボルトにナルトは口をあんぐりと開けていた。
どういう事だと眼を開けた彼に、スミレがビオラを抱っこしながら補足する。
「えっと…ボルト君、知らない間に雷遁の性質変化も入れてたみたいで」
「マジか、流石俺の息子だってばよ!」
心底嬉しそうに笑って、ナルトはボルトの頭をわしゃわしゃと撫でまわした。
「ちょ、やめろって父ちゃん!委員長も見てるだから!」
その姿を恥ずかしく思ったボルトは、強引にナルトの手を外すが、頬は赤く全く説得力が無かった。
その後、ヒナタに呼ばれ6人は夕餉を共にする。
最後だからか、ビオラはいつも通り元気にスミレから食べさせられているが、そのスミレやヒマワリ、そしてボルトはどこか複雑そうに眺めていた。
そんな夕餉の時間も、あっと言う間に終わり続いて入浴の時間となる。
この後ビオラは未来に帰すだけなのだが、未来の昼間なのか夜なのか、帰る時間は曖昧で…最悪変な所に出る可能性も無きにしてもあらず。
もちろんカラスキには、ビオラを連れてきてしまったその瞬間の時間に戻すように頼むがそれもどこまで信用できるものかは分からない以上出来る事はするべきだろう。
その一つが入浴で身体を綺麗にする事なのだが…
「パパも!」
「い、いやビオラあのな?!」
昨日や一昨日と同じように、スミレにビオラを連れて行くようにヒナタだったがそれに待ったをかけたのはビオラだった。
昨日まではスミレとビオラ、そしてヒマワリが一緒に入っていた訳なのだが、ビオラが何かを察したのか、純粋にそうしたかったのかは不明だがボルトも一緒に入りたいと言い出してしまう始末。
「いっちょ!はいる!」
これまでそれなりに我慢していたのかもしれないが、ボルトの膝に捕まって我儘を言うビオラに誰もが苦笑いするしかない。
しかし、まだ交際もしていない…それも年頃の男女がビオラの頼みとは言え同じ場所に入浴すると言うのはいささか問題がある。
という訳でヒナタがビオラに献身的に説明をする。
「ビオラちゃん、それじゃあパパも困っちゃうわ」
さらっとボルトをパパと言っている事に誰もツッコミを入れない。
「どうちて?」
「どうしてって」
「パパと、ママと、いつもいっちょにはいってるのに!」
ビオラが不満を爆発させる。
ボルトはそう言う事かと、意味も無く天井を見上げる。
どうやら未来の自分達は、なぜかビオラと一緒に入浴することが当たり前で、彼女はそれを遂行しているだけなのだと。
…因みに、未来のふしだらな息子にヒナタは白眼になりながらボルトへ振り向く。
「いやいやいやいやいやいやいやいや母ちゃん。そ、それは俺じゃない俺だから?!」
もはや自分がビオラの父親であることを認めてしまっているが、彼としてはとんだとばっちりで母の叱責を受けるなんてまっぴらごめんだった。
まあ、そんなお叱りもビオラには関係のない話。
「パパとママとビオラで入りたい〜!」
「はわ…はわわ…」
生まれてこの方、男性とお風呂に入るなどなかったスミレは色々パンク状態だったが、ボルトとヒナタのやり取りの間になんとか暴走を抑えることが出来始めていた。
この時代に来た娘からの、最後の我儘。
もちろんスミレだって、ボルトと入浴だなんて理性が保てるか分からなかった。
けれど、ビオラが…そうしたいと言っているのなら…母として、この時代最後の願いを叶えてあげたかった。
はやる鼓動を脈打ちながら、スミレは屈めてビオラの視線に合わせて…
「じゃあ、入る?」
羞恥で今にも焼け死んでしまいそうになりながら、スミレは彼女のお願いを応える事にした。
ビオラは顔を輝かせ、ボルトはナルトやヒナタに助けを求めるように見たが、2人ともビオラに絆されたのか、純粋に諦めているのか頷くことで許可を出した。
さらっと退路を断たれたボルトに、スミレは申し訳なさそうに
「その、ごめんねボルト君」
「いや、しょうがねえだろ…ここまで来ちまったら」
諦めの境地を極めて悟ったようなボルトであった。
結局ヒナタも、当然のようにお互いバスタオルを巻いて入ることを条件に3人を送り出した。
脱衣所に辿りついた3人に襲う問題は、当然入る順番だがスミレはボルトに先に入るように促した
「そ、その。ボルト君が先に入って」
「わ、分かった」
理由としては当たり前だが服を脱ぐ瞬間を彼に見せるのが恥ずかしいからだ。
それなら先に入ってもらって、ビオラと一緒に入る方が色んな意味で心臓が持ちそうな気がしていた。
しかし、それはそれとしてボルトもこの変な状況に意識をしてしまうもはしてしまう。
背後では、スミレがどこか熱に犯されているような、不思議な声色でビオラと話していてその背後で自分は服を脱いでいる。
聞いているだけならただの変態的な行動にしか見えないが、これもビオラの為だと割り切って、バスタオルを腰に巻いて、スミレに人声をかけて風呂場へ入って行く。
スミレとビオラが入るのを待つ間、頭と身体を洗って、2人が直ぐに洗う事が出来るように先に入浴する。
温かなお湯につかりながらも、ボルトの心臓もどくどくとその時が来るのを待っていた。
そして――
「はわわ、あ、あんまり見ないでボルト君」
「あ、わ、わりい」
入って来たスミレとビオラを、もっと言えばスミレの姿を目に焼き付けてしまったボルトは慌てて視線を湯船へ落とす。
自分でも女の子のバスタオル1枚の姿を、じっと見る事は失礼極まりないと分かっていたが、それでも見惚れてしまったのだ。
スミレの身体に。
復讐者としての訓練の名残なのか、所々に細かい修業の傷。
それでも女の子らしく取り繕うとして、愛しくも感じる彼女の身体に。
ボルトは心を無にする事で煩悩を追い出し、虚無の時間を過ごす事にした。
そうしなければ、スミレの身体を見て良からぬことを考えかねない。
というか一瞬考えてしまった自分を戒める。
数分後、なにやら女の子同士で楽しそうにしていたスミレが、無心のボルトに
「じゃあ、その、ボルト君入るね?」
「パパ〜!」
「お、おう」
言われてボルトは体育座りをして2人のスペースを確保する。
と言っても元々が入ったとしても2人を想定しているお風呂なので、スミレとビオラも難なく入浴をする。
因みにだが、スミレのアパートにもバスはあるが彼女は節約の為に入浴は週に2回、それ以外はシャワーと決めている為こうして4日連続入浴というのは、彼女にとっては珍しい事だった。
「わーい!」
ビオラは待望の家族でのお風呂だからか、嬉しそうにボルトに抱きついたり、スミレに抱きついたり、本当に2人の事が好きなのだろう。
笑顔が絶えなかったビオラに、ボルトもスミレも微笑むしかなかった。
そうして、ボルトもスミレも最初はお互いのほぼ裸体故の羞恥心から口数は少なかったけれど、いつしかそれも薄まり楽しく今日の実技試験の話とかをして…上がる事となった。
最初とは違い、スミレとビオラが先にあがり、後にボルトも脱衣所へと出る。
ボルトもいつものようにラフな寝床スタイルになるとリビングへ行く。
いつの間にかやって来たのか、既に外にはシカマルやサスケ、サイと言った火影の側近たちも姿を現してナルトと話をしていた。
彼等もまた、ビオラの帰還を見るまでは気が抜けないと言う事なのだろう。
もっとも、ビオラは大して気にしないでいつものようにスミレやヒマワリにじゃれていたけれど
「委員長、あれ」
「あ、うん」
ボルトの言葉に、悲しそうな目をした後すぐに頷き鞄を手に取る。
その中からあのアクセショップの包装を取り出し、丁寧に開封する。
「ビオラ、おいで」
そうしてビオラを呼ぶと、ヒマワリの手から離れたビオラが母の元へ歩く。
ボルトもスミレの隣に並んで屈むと、ビオラはとびっきりの笑顔を披露する。
その笑顔に、スミレは寂しさが倍増してしまい、涙をこらえるように喉を詰まらせ…やがてそっとその髪飾りを、ビオラの前髪に付けてあげた。
「ママ、なーにこーれ?」
心底不思議そうに自分の前髪に付けてもらったそれを、優しく撫でるビオラ。
そんなビオラを、スミレはそっと抱き締める。
この数日間何度もしていた愛情の証明。
これが今ここにいる彼女に対して出来る、自分から送れる最後の抱擁。
「ママとパパのお守りだよ。ビオラが…未来でも元気でいられるように」
「お守り〜!」
お守りという意味はよく分かっていないビオラだったが、母と父が自分の為に付けてくれたものというのは分かったのかえへへと笑う。
そんな母娘を見たボルトも、少しの躊躇いの後、スミレを後ろから抱きしめる形でビオラも抱擁する。
スミレはそんな事をされると思っていなかったのか、大きく眼を見開き、直ぐに大粒の涙が一筋落ちる。
「じゃあビオラ…おねんね、しよっか」
「おねんね!」
スミレの一言に、そして今日はアカデミーとかに行って疲れが溜まっていたのか…ビオラは眠気に誘われ、数分後夢の世界へと旅経った。
それが別れの合図だと知らないまま。
「…っ」
スミレは、それが分かっていた事の筈なのに、その現実が来てしまったことに小さな嗚咽を漏らして抱擁を解く。
それでもビオラはスミレの事を抱きしめたままで、噛みしめたようなスミレの声にボルトはかける言葉が見つからなかった。
代わりに声をかけたのは、庭でサスケ達と話していたナルトだ。
彼は遠慮がちに、それでも里の長として必要な事を声をかける。
「スミレ、もう良いか?」
「…ぁ、っ…はい」
ビオラを抱きしめたまま立ち上がったスミレは庭へ向かうと、既にナルトの掌にはカラスキと呼ばれる亀がいた。
スミレの後を追ってきたボルトも、へんてこな亀に色々ツッコみたい事はあったけれど…今はそれよりもビオラの事だった。
「じゃあカラスキ、ビオラをここに来た瞬間の時間に帰してやってくれるか?」
カラスキはそれにこう答える。
「かしこまりました。ではビオラ様を10年後に送り届けます」
カラスキの答え、そのすぐあとにスミレの腕の中にいたビオラは不可思議な力によって持ち上げられる。
それを見送るボルトやスミレ、ヒナタにヒマワリ、そしてナルト達。
「…っ、ビオラ…ちゃんと、ちゃんと元気でいてね」
もう既に届かない位空まで上るビオラに、スミレは手を伸ばさずにはいられなかった。
目元は既に濡れて視界は意味がなさない。
だから意味がないと分かっていても、名前だけを呼んで――
「あ……あ」
やがてそれは言葉にならない嗚咽に変わっていた。
スミレにとって、この短い間でもビオラの存在が大きくなっていた。
そしてそれはボルトもそうだった。彼女の手を握りながら、走馬灯のようにビオラが来てからの摩訶不思議な5日間が駆け巡る。
そのどれもが、ビオラが来なければあり得なかったことの連続だ。
父との関係、サスケの帰還、スミレの一面…どれもが彼女がいなければあり得なかった。
彼女が本当に自分とスミレの娘なのかは、今も分からない。
けど、この5日間共にして、ボルトの中でもビオラの存在は大きくなっていた。
「ばいばい、ビオラちゃん」
ボルトは、スミレが呟いた言葉を否定したくて肩を抱き寄せた。
ハッと眼を見開くスミレに、ボルトは言葉の訂正を促した。
「ばいばいじゃないだろ」
あの異界で、死ぬことを受け入れた自分を救い出そうと来てくれた、あの日の君に重なった。
にかっと太陽のような笑みを浮かべて、彼はこういった。
「またね、だってばさ!」
それを聞き涙を流したままもう消えかかって·····いや帰ろうとしてるビオラに
「またね、ビオラ」
瞬間、時空転移が始まりビオラもカラスキも、まばゆい光と共に姿を消した。
スミレはボルトに抱かれる形で、溢れる涙を流し続けていた。ボルトも複雑そうに、彼女が未来へと帰還した空を見上げていたのだった。
その空を見ていた視界も、滲むように見えなくなった。
*
時間は既に日付を超えていた。
彼女は、いつの間にか違うように感じた感触によって眼を開ける。
「むにゃむにゃ」
眠たい眼を開けたビオラは、目の前にいる母親が目に入る。
さっきまで夢でも見ていたのだろうか、どういう訳かかなり大きいけれど間違いなく母親だった。
次に反対へ目を向けると、そこには先程の父と同じような下着だけで寝ている父親。
こんな時間に夜泣き以外で起きるビオラが珍しかったのか、両親は揃って目を開けた。
母親はビオラになにか違和感を感じ…直ぐにそれがさっきまで彼女に無かったはずの髪飾りだと気がついた。
「ビオラ、その髪飾りどうしたの?」
ビオラは目の前の2人が、先程までの2人と違う事に気がついていないのか、それとも彼女にとっては先程までの事が夢だったのか、とにかく無邪気な笑みで答えた。
「ママとパパがくれたの!」
2人は顔を見合わせ、彼女の言った意味を咀嚼する。
けどいくら考えても自分達は未だ髪飾りをビオラへ送った覚えはない。
それでも、母は何となく、心に圧縮されていた感情が解凍されたようにこの言葉を送った。
「また、会えたね」
その言葉に首を傾げたビオラだったが、今はまだよく分からないのか嬉しそうに頷いた。
「うん!」
言わなきゃいけない言葉、それが今この言葉だと…母と父は思っていたのだった。
*
ビオラの帰還後、サスケに螺旋丸を見せボルトは彼の弟子入りとなった。
本来なら大筒木の道具であるカラスキが帰ってしまった時点でサスケがこの里に留まる理由はそれほどないのだが、そこはナルトがごねてしばらく里への滞在が決まっていた。
明日からはサスケとの修業が始まると言う訳だが、その話は追々としよう。
うずまき邸、ボルトの部屋で昨夜までは3人で寝ていたベッドにボルトと、スミレの姿があった。
手を伸ばせば届く距離で、お互いの吐息すらも感じられる近距離で彼らは何回目かの言葉を交わしていた。
「ビオラちゃん、帰れたかな?」
「もうそれ5回は言ってるって委員長……気持ちは分かるけどさ」
ビオラがいないにもかかわらず2人が共にいる理由はボルトが誘ったからだ。
ビオラが帰り、歯磨きや寝る準備をするスミレの後ろ姿にどうしても放っておけなかったボルトが
——その、委員長、一緒に寝ないか?
ようやくスミレと寝られると喜んでいたヒマワリからスミレを奪う形になった訳だが、そこはもう頼んだのと純粋にスミレがその誘いを受けたから。
因みに一緒に寝る位ならとヒナタも許可を出した。元々ビオラが帰ってから我慢しているのは眼に視えていた。
それに、今更同衾をするなというのも変な話だと思ったのもある。
「だって…私達には分からないから…」
「そこはもう、あのカラスキって奴がちゃんとしてくれている事を祈るしかないってばさ」
本当に彼女が未来から来たのなら、その未来に辿り着くまでそれが事実なのかは確かめようがない。
だからこそ今は自分達の出来る事を精一杯やるしかないのだと、ボルトは励ました。
その励ましを受けて、スミレは心細そうにしながらも頷く。
「そう…だよね。私達に出来る事は…もう、ないよね」
「ああ、だから今日はもう寝るしかないってばさ、委員長」
もう直ぐに日付が変わる。
2人がこうして同衾したのは22時を過ぎたころだと言うのに、寝るに寝付けずにぐるぐると会話していた。
けど、疲れたのは2人とて同じ。
ようやく諦めの付いたスミレは、ゆっくりと寝返りを打ってボルトの方へ顔を向ける。
「ボルト君」
「ん…なんだ委員長…っ」
そんなスミレに釣られる形でボルトも寝返りを打つことでスミレを見つめる。
窓から差し込んだ月に照らされた紫の瞳は、不思議な魔力を伴ってボルトに刻み込まれた。
不安と、不満に揺れる瞳を吸い込まれるように見ていると…スミレは意を決したように口を開いた。
「委員長は嫌、”スミレ”って呼んで?今日や…あの時みたいに」
「——っ」
”委員長”というスミレのあだ名、アカデミーが始まってからつけられたその名はクラスメイト内でのスミレの尊敬が籠っているもの。
あの問題児クラスを、はわわと言いながらも纏め続け、クラスの為に献身し続ける彼女に相応しいあだ名だと誰もが思う。
そしてスミレ自身も、里に来てから出来た繋がりの証明としての”委員長”というあだ名はアイデンティティの1つとも言える。
しかし、あだ名ではなく名前で…ボルトにはそう呼んで欲しい。
それは委員長という自分ではなく、”筧スミレ”をちゃんと見て欲しいという彼女の生まれて初めて持った欲求だった。
ボルトは眼を見開き、彼女がそう言って欲しいと言った意味が全て分かった訳じゃないけれど…それでも、彼女がそう言って欲しいと言っているのならそれは叶えてあげるべきなのだろう。
それがビオラと離れて傷心したスミレに出来る最高の薬であるのなら尚更に。
寂しそうに笑うスミレに、昨日まではビオラがいて行けなかった傍まで近づくと、そっと抱き締めて――
「お休み、スミレ」
「…ぁ、うん。お休み、ボルト君」
顔を真っ赤にしたスミレは幸せそうに微笑み、ぎこちなくボルトを抱きしめ返しながら2人は眠りにつくのだった。
どうかビオラが、未来で元気にいられますようにと願いながら。
お疲れさまでした!
前のビオラでは、自然とスミレ呼びにしていたのですが、先月号見てから絶対変更した露と思ってこんな感じになりました!
今月も沢山スミレ出てハッピー。尚、スミレ呼びはお預け。
勝手に妄想してしまったのが、スミレ呼びされなくて拗ねた?悲しくなった?スミレがどさくさに紛れて人神樹に取り込まれて、なんやかんやでボルトがとげ玉でスミレを助けて倒れて来たスミレを受け止めた時にスミレ呼びしてとか思った。
時間があったら書いてみようか。あればね。
因みに、スミレの人神樹がサスケの刀を持って折ろうとするけどボルトが十羅の時以上に激昂するまでがワンセット。
という訳で、ビオラリメイクこれにて終了です!
因みに合計文字数は7万5千字と約3万字の加筆でした!
修業パート誰目線でやる?
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ボルト&ナルト
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スミレ&ビオラ
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自来也&サスケ
-
最早全部やれ