ボルトとスミレ 基本的にif   作:レオ2

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おはようございます。四カ月ぶりくらいの更新。お待たせいたしました。多くは言わずレッツラゴー!


それぞれの悩み

「会いたかったですよ、うずまきナルトさん」

 

 そうウラシキが言った。

 場所は演習場、あの下忍が集合した日から二日経っている。スミレとビオラはハコベの部屋で、ボルトはナルトの家でそれぞれ過ごしていた。最もスミレとビオラは偶々を装ってボルトとナルトに会いに行ってたんだが。スミレはボルトの反応を見る限りどうやらこの時のサスケが何をやっていたのか大体わかったようだ。それをボルトがどう思っているのかは流石に分からないが見ている限りだと気持ちの整理は出来たのかもしれない。

 ……とそんな事を言ってる場合ではない

 

「へ? 俺の事知ってるのか?」

 

「そりゃあもう有名人ですからね!」

 

 その言葉と共にウラシキは釣竿をナルト目掛け投げつけた。そのスピードは短期決戦の為か最初ボルトとスミレで戦った時よりも早かった。

 

「しまっ!?」

 

「ナルト!」

 

 ボルトとサスケが思わずそう言ったのと同時にナルトは赤い釣り竿に貫かれた。ビオラが思わず駆け出しそうになったのを見てスミレは慌ててビオラの腕を掴んだ。

 

「離してママ!」

 

「待って、様子がおかしいよ!」

 

 スミレがそう言うのと同時にウラシキは釣り竿を引き戻したのだがその先端にはナルトの……もっと言えば九尾のチャクラがなかった。ビオラがナルトの方を見るとナルトは体をあちこち触っているが特に異常があるわけではない。何でナルトがウラシキのチャクラ回収が通じないのか、スミレはそれを考えた。未来の自分たちになくて今のナルトにあるもの。それは

 

「そうか、九尾を封印する為の封印術」

 

 この時代のナルトはまだ九尾と仲が良かったわけではない。寧ろ仲は悪かった方だろう。今ほど仲良くなったのは今から二年後……いや、ナルトが17歳になる前日なので約4年後だろう。それだけ長い時間九尾、九喇嘛とは相いれなかったのだ。

 とそんな事を考えていたらナルトが何とウラシキ目掛け飛翔した。

 

「何したか分かんねえけどいきなり攻撃してくる奴は容赦しないってばよ!」

 

「馬鹿よせ!」

 

 ボルトの声も空しくナルトは突撃した。しかしそんな直線的な動きがウラシキに通じる訳なくウラシキは逆に釣り竿を貫くんじゃなくて拘束するために振るった。ナルトあっさりと捕まりぐるぐる巻きにされてしまった。

 

「うわっ! なんだこれ!?」

 

「少しやり方を変えましょうか」

 

 そう言って去ろうとするがウラシキの目の前にサスケが現れ刀を振るう。しかし白眼で動きを先読みされサスケの攻撃は躱される。何か大規模の術を使おうとしても今はナルトを盾に使われてジリ貧だ。だけど今ナルトを連れていかれる訳にはいかない。

 咄嗟にボルトが叫ぶ

 

「スミレ、援護!」

 

 ボルト自身は螺旋丸を作り上げ影分身を出す。スミレはボルトの言葉に頷きウラシキに向けて焦点を合わせる。

 

「水遁・水練波!」

 

 強力な水弾がウラシキに迫るがウラシキは簡単にそれらを躱す。だけどそれは陽動、ウラシキが躱した先には

 

「風遁・烈風掌!」

 

 ボルトはウラシキの回避ルートを割り出しボルトストリームを放った。本体ボルトはウラシキに超接近する。そんな様子をたった今来た自来也は見ていた。

 

「あれは?」

 

 自来也が注目したのはボルトが使った螺旋丸だった。自来也がそれに驚いたのも無理はない。何故なら螺旋丸を出来る人は限られる。一人は自来也、もう一人はナルトの父親で自来也の弟子にして螺旋丸の考案者、四代目火影、ミナト。そしてナルトだけだ。そんな螺旋丸を今旅芸人というボルトが使ったのだ。驚かないわけない。

 

「おっと! 同じ手は通じませんよ!」

 

 ウラシキは前回この攻撃を受けたことを思い出しながら緊急回避した。ボルトはウラシキを通り過ぎ着地した。自来也はサスケの隣に来ながら状況を確認する。目の前には謎の敵とぐるぐるに拘束されたナルト、そして旅芸人とその客であるという少女二人、しかしどう考えても旅芸人ではない。そして恐らく少女達の方もだ。空中にいる敵はめんどくさそうな顔になりながら言った

 

「ここにいては邪魔が増える一方ですね」

 

 そう言った瞬間、ウラシキの腰にある赤い入れ物から岩石が飛び出してきた。

 

「ボルト君!!」

 

 その岩石はサスケ、ボルト、自来也のいる場所に降り注いだ。しかし三人を潰すわけではなく三人を取り囲むように降り注いだのだ。

 

「スミレは大丈夫か!?」

 

「私は大丈夫!」

 

 そんなスミレとビオラの目の前にウラシキが現れる。

 

「おや、あなた方は捉えられませんでしたか」

 

「あれをどかしなさい!」

 

 そう言ってビオラは熱くなりやすいボルトの血なのか突撃しかけた。それに気が付いたスミレはまた止める

 

「今はダメ! 私たちだけじゃ勝てない!」

 

「でも!」

 

 スミレの状況把握能力にウラシキはニヤリとして返す

 

「察しの良いお嬢さんは尊敬に値しますよ。あなたにあの時のお返しをしたいところですが今は時間が惜しい、失礼させてもらいますよ」

 

 そう言ってナルトをぷらーんと引っ張りながらどこかに飛んで行ってしまった。それを悔し気な表情で見届けたスミレは直ぐに岩石に封じられてしまったボルトに声をかける

 

「ボルト君大丈夫?」

 

 そうすれば中から声がする。

 

「ああ、俺達は何ともないってばさ」

 

 その言葉にスミレは安心した。ボルトの言葉の後に自来也の声が聞こえた

 

「いったい、何が起こってるんだ?」

 

 それにはサスケが答えた

 

「奴の名はウラシキ、九尾のチャクラを狙っている」

 

「ただの旅芸人ではないと思っていたがまさか九尾という言葉が出てくるとはのぉ」

 

「俺たちはやつを始末する任務を受けているある国の忍。やつの狙いが木ノ葉隠れのうずまきナルトだとわかりやってきたんだ」

 

 自来也はサスケの言葉を吟味する。ビオラはウラシキが逃げていった方向に眼を向けハラハラしている

 

「では奴はなぜ九尾を狙う?」

 

「何をたくらんでいるのか俺たちにもわからないが強大な力を手に入れ平和を脅かそうとしているに違いない」

 

 それはウラシキが最初モモシキ達と一緒に来た時点でお察しである。サスケは一拍置き聞いた

 

「尾獣のチャクラを狙う犯罪者集団のことは知っているな? 以前うずまきナルトがソイツらに狙われたということは俺たちも知っている。その集団と何らかの関係があるものと国ではにらんでいる」

 

 スミレはその組織を知ってる。何故なら昔父から聞いたことがある。何でも根が誹謗中傷されるようになった原因である第四次忍界大戦はサスケが言った犯罪組織、”暁”がおっぱじめたからだ。

 

「……そこまで知っておるとはのぉ」

 

「俺達はウラシキの狙いであるうずまきナルトを守るために来た」

 

 自来也はサスケ、ボルトを見て考える。だが直ぐに頬を緩め今取るべき最善の行動をとることにした。

 

「詳しい話は後だ。今はナルトを助けなければならん」

 

 そこで岩石をどうにか壊そうとしているスミレとビオラに言いながら印を結ぶ

 

「そこのお嬢さんたち、離れておれ。口寄せの術!」

 

 スミレとビオラは自来也の言葉に大人しく従い離れたのと同時にボルト達を拘束していた岩石が自来也の口寄せした巨大蛙によって破壊された。

 

「スミレ、ビオラ!」

 

 その蛙の上に乗っていたボルトが手を伸ばす。スミレとビオラは跳躍し二人も蛙に乗った。蛙はそのままウラシキが逃げていった方向に走る。そして人探しならこちら側にはある意味エキスパートがいる。

 

「鵺! お義父……ナルトさんのチャクラを探して!」

 

 スミレはこの世界に来てから一番暇だっただろう鵺をとうとう解き放った。言い方は大げさかもしれないが鵺からすれば本当にそうなので鵺は元気よく飛び出してきた。流石の自来也もそんな口寄せ獣は初めて見た

 

「お前さんたちもただの客ではなさそうじゃのぉ」

 

「ぬえー!」

 

 鵺は独特の鳴き声で蛙とコミュニケーションをとっている。蛙は鵺の鳴き声を聞き偶に進路を変えている。その間に自来也にウラシキのチャクラの取り方とかを聞いてきた。

 

「あいつの釣り竿に貫かれたら簡単にチャクラを取られる……って思っただけど何でかあいつは抜かれなかった」

 

 ボルトの疑問の声にスミレが答える

 

「ナルトさんには九尾を封印する為の封印術がある。多分そのおかげだよ」

 

 相変わらずの頭の良さにボルトは舌を巻きつつも返す

 

「じゃあ大丈夫ってことか?」

 

 その言葉を否定したのは自来也だった

 

「いやそうとも限らん。奴がもし無理やりにでも封印をこじ開けようとすればまずいことになる」

 

「まずい事?」

 

 ビオラがよく分からないと言いたげな顔で自来也を見る

 

「九尾の力が暴走し最悪外に出てしまうだろう。そうなれば皆が危機に陥るだけではなく……ナルトも死ぬ」

 

 その戦乱の時代らしい物騒な言葉にビオラは息をのむ。ビオラは今のこの時代、そしてボルト達の時代よりも平和になった世界で生きてきた。だから”死闘”という経験がない。殺す気でかかってきた盗賊とかはいたが小さいころからある程度忍の訓練、そして母親譲りの科学忍具の知識があればどんな敵も返り討ちに出来た。しかし今から向かう先にはそんなのが通用するのか分からない敵とそんなリスクを背負った祖父。

 ビオラは自分の時代のボルトに言われたことを思い出した。自分には経験が足りないと。今なら少し言ってることが分かる。未来のボルトは……

 

(私が命を懸けた戦いをしてこなかったから……そんな意味でも経験が足りないって言ったんだ)

 

 命を懸けた戦いは時に人を惑わせる。それを未来のボルトはその身をもって知っている。それをビオラに伝えたかった。しかしこればかりは口で言っても分からない。それに気が付きビオラは少しだけ震えた。そんなビオラの気持ちを現代のボルトは分かったのか前を見ながら言った

 

「ビオラ、怖いならここでお前は降りろ。元々お前には関係ない事なんだ。ここで降り立って誰も文句は言わねえ」

 

 ビオラはそんな言葉をボルトを見ながら聞いていた。ボルトのその言葉は年は自分と同じくらいなのに今の自分よりずっと大人っぽい発言だった。しかしその声色はビオラも聞いたことがある。小さいときからよくボルトがビオラを心配していた時と同じ声色だ。つまり今のボルトはビオラを心配している。

 今のボルトにビオラを育てた過去なんてない。だけどあの世話した日々はかけがえのない思い出だ。例えあのビオラと年が違っても思う気持ちは未来のボルトと同じだ。それがビオラには嬉しかった。

 

(何時からだろう? パパの心配がムカつくようになったのは)

 

 勿論褒めてくれる時は褒めてくれる。だがそれよりもここに来る原因になった喧嘩だって言ってしまえばボルトの心配が発端だ。確かに心配する気持ちもあったのだがビオラは旅に連れて行ってくれない理由を自分の実力を知らないから言えるんだと思っていた。自分の実力を見て判断してくれないことにビオラは怒っていた。

 

(だけど……あの時私は)

 

 さっきウラシキがボルト達と交戦した時、ビオラは動けなかった。未知の敵である大筒木にビオラはボルトとスミレ程早く反応出来なかった。それがビオラには悔しかった。ようやく動けたのはウラシキが逃げようとした時だった。それで皮肉にもボルトの言っていた意味が分かった。自分に足りないもの。それは……

 

「ふぅ~はぁ~!」

 

 ビオラは深呼吸をした。それによってさっきまでやたらと鼓動が早くなっていたが収まっていく。そして前を見ながら返事を返した

 

「大丈夫、私も戦える。もう止まったりしないから」

 

 そうどこか吹っ切れた表情で言った。その表情はボルトが下忍試験の時に吹っ切れた表情と同じだった。それにスミレは気が付き思わず口元が緩む。しかし直ぐに前に向いた。何故なら鵺の反応が臨戦態勢のそれに代わっていく。つまり目的地は近いという事だ。

 

「分かった。無理だけはするなってばさ」

 

「うん!」

 

 今はその心配を素直に受け取ることが出来た。そしたら鵺が吠える

 

「ぬえー!」

 

「鵺、近いの?」

 

 スミレはそう呟き自来也は口寄せを解除した。近くまで来たらサスケも感じる事が出来た。ナルトから九尾のチャクラが漏れ出ていることに。一行はそのチャクラがある場所まで走った。その間に自来也とサスケはウラシキ対策を施していた。そして5人と一匹がウラシキの元に到着した時に見た光景はウラシキとウラシキの目の前に九尾の衣を纏って倒れているナルトだった。

 

「なんだよあれ」

 

「九尾のチャクラか」

 

 その封印がはがされかけているナルトを見てサスケは今の最善策を叫んだ

 

「俺が奴の相手をする! お前たちはナルトを」

 

 その言葉と共にサスケはウラシキに一瞬で距離を詰め刀を振るう。流石のウラシキも片手間でサスケを相手しながらナルトのチャクラを回収は不可能。これでサスケが本調子ではなかったらまだやりようはあったが生憎サスケは全開だ。

 

「ふんっ!」

 

 ウラシキは釣り竿を振るう。サスケはそれを刀でガードしたが釣り竿はウラシキの元に戻らずまるで生きてるかのように動きサスケの背中を貫いた。

 

「ふふ、あの時は貴方のチャクラを貰えませんでしたからね……ん?」

 

 ウラシキは回収した釣り竿を見れば何も無かった。普段ならチャクラ取れる筈なのにだ。そんなサスケの背には「封」という文字が出てきて消えた。

 

「やはり封印術の類で防げるようじゃのぉ」

 

 自来也がそう言ってる間にボルトはナルトに近づこうとする。自来也もボルトの後ろからついてい来る。そしてボルトに言った

 

「九尾のチャクラが漏れ出ている。気を付けるんだ」

 

「でも、早く何とかしないと」

 

 その頃、ビオラはナルト達の方に足を進めようとしていたがスミレがそれを止めた

 

「ママ?」

 

「私達はどちらかが危なくなった時のバックアップだよ」

 

 片や未来の七代目火影がライバルと認め輪廻眼を持って忍界最高レベルのサスケ、片や伝説の三人の1人で未来の七代目火影の師、簡単にどちらもやられやしない。今中途半端に割り込んでも足を引っ張るだけだ。スミレはそう考えバックアップに徹することにした。

 

「うん……分かった」

 

 ビオラはそう言ってボルトやナルト達の方を向いた。ボルトは膝を折りナルトと目線を合わせナルトに問いかけている。ナルトは一見正気を保っているように見える。しかし一瞬の変化に気が付いたスミレはボルトに叫ぶ

 

「ボルト君避けて!」

 

 スミレがそう叫ぶと同時にナルトの眼が変わった。それと同時に雄叫びを上げボルトに襲い掛かった。そのスピードは完全に油断していたボルトには速かった。しかしボルトに反応出来なくとも自来也は違う。咄嗟にボルトを抱え後退した。

 九尾の衣を纏い暴走状態になっている。その惨状を見たボルトは未来のナルトを思い出し何かの間違いだと思いたく

 

「そんな……そんな事ないってばさ! ちゃんと声をかければ」

 

「無理だ、離れろ!」

 

 自来也の言葉を聞かずボルトは暴走状態のナルトに駆け寄る。それを見ていたビオラが焦った声でスミレに言った

 

「ママ、あれじゃパパが!」

 

 今のナルトはビオラも見たことがない程のチャクラを放っている。未来では余り九尾……九喇嘛の事は知られていないが未来の祖父に教えてもらった。「木の葉の英雄だってばよ」、とそうどこか懐かしさと悲しさが滲み出ていた顔で言ったのを覚えている。その時ビオラは「じーじが英雄じゃないの?」と思った。

 だけど今のナルトの状態はどう考えても危険だ。未来で強敵と出会った事のないビオラが今のナルトを危険だと考えてしまうのはある意味必然だった。しかしスミレはそんなボルトを見てもGOサインを出さなかった。

 

「どうして!?」

 

「……チャクラは想いを繋ぐためにあるものだから」

 

「はあ!?」

 

 そんな突拍子もない事を言ったスミレにビオラは思いっきり意味が分からないと言いたげな顔になる。それもそうだ。いきなりポエマーのような事を言い出すのだ。ビオラじゃなくても言いたくなる。しかしボルトはもうナルトの目の前に来てしまっていた。

 

「んな事ないよな? 聞こえてんだろ、おい目を覚ませよ」

 

 ビオラはハラハラしてる顔で見ている。そしていつでも駆け出せる準備をしていた。サスケとウラシキの戦いはサスケが押している。

 ボルトが目の前でしゃがみこんだらナルトが少しづつ落ち着き始めている。それに自来也は驚いた顔になる。今までナルトが暴走すれば声掛けでは決して正気に戻らなかった。それなのにボルトの呼び声には反応しているのだ。

 九尾の衣が徐々にボルトをも覆っていく。

 

「ほら、やっぱり」

 

「どうして……」

 

 ビオラはそこで先程スミレの言った事を思い出した。チャクラは繋ぐためのもの。

 

(パパのチャクラに反応してるの?)

 

 ビオラの隣ではスミレが手を握りしめ祈っている。

 

「ウ……う、俺は……」

 

「そうだ。そのまま……」

 

 そこでナルトの意識が戻り始めたように見えた。しかし……

 

「ウアアッ!!」

 

 戻りかけたのにナルトは再び暴走状態になってしまった。ナルトはボルトに向け自分の爪を振った。ボルトはそれを反射的にガードしたが手の甲にナルトの爪痕が刻み付けられていた。

 

「いかん!」

 

 傍観に徹していた自来也が叫びボルトとナルトの間に割り込み「封」と書かれた札をナルトのおでこにピタッと貼り付けた。そうするとナルトに纏っていた九尾の衣が無くなりナルトはそのまま自来也に倒れてきた。

 

「ぱ……ボルト君!」

 

 ビオラは間違ってパパと呼びかけたが何とか止まり言い直しながらボルトに走り寄る。そんなビオラをスミレはあっさりと追い越しボルトに走り寄る

 

「ボルト君大丈夫?」

 

 ボルトに声をかけるがボルトはその視線を自来也に寝かされているナルトを見ていた。それをスミレは心配そうに見ている。今ボルトの中でどんな思いが駆け巡っているのか……スミレはなんとなく分かった。

 一方サスケとウラシキの戦いは押されていると感じたウラシキがその瞳を輪廻写輪眼に変え異空間を開き

 

「ここは態勢を整えるとしますか」

 

 そう言って退散した。

 一行は洞窟から出てナルトを寝かす。もう既に辺りは夕焼けに染まっていた。そんな中でスミレはボルトの傷の手当をしていた。手の甲に包帯を巻きつけながら言った

 

「傷は浅いから直ぐに治るよ」

 

「あ……ああ。ありがとう、スミレ」

 

 ボルトはどこか上の空でそう呟き今度はナルトを見ながら言った

 

「さっきのは何なんだ……あれじゃあまるで……まるで」

 

 そこでボルトは止まった。目の前にスミレがいる事を思い出したからだ。こんな言葉はスミレも傷つけると気づいたからだ。だけど……ボルトはさっきのナルトを見てこう思ってしまった

 

(まるで……化け物じゃねえか)

 

 そんな様子をスミレは心配そうに見ていた。しかしこればかりはボルトの気持ちの問題だ。そして多分自分が励ましても……ボルトが吹っ切れるかは別問題だ。

 自来也はそんなボルトを見ながらナルトの過去を話した

 

「ナルトの中にいる九尾の力は強大でのぉ。そのせいでナルトは里のものから忌み嫌われていた」

 

「え?」

 

「そんなバカな」と言いたげな顔にボルトはなった。それもそうだ。ボルトはよく未来のナルトから話を聞いていたがそんな話は一回も出てないからだ。そして今のナルトは忌み嫌われるどころか寧ろ称えられているのだ。そんなナルトが忌み嫌われていたと言われても戸惑うのは必然だ。

 

「昔里を襲ったのは九尾だった。四代目火影は九尾をまだ生まれたばかりのナルトに九尾を封印した」

 

 その言葉にボルトは驚愕と戸惑いを隠せていない。まさか自分の祖父がナルトに九尾を封印したとは。驚きで止まっているボルトを見ながら自来也は続けた

 

「あやつは里の為に九尾の化け狐の入れ物になってくれたのだ。しかし里の者たちはそんな目では見ない」

 

「そんな……」

 

 それを聞いて辛くなっていたのはボルトだけではない。ある意味似た境遇のスミレも、そんな理不尽な目にあっている人を初めて見たビオラもその顔に影を出す。自来也は倒れているナルトを見ながら言った

 

「あやつはそれでも皆から認められようと前を向いているバカもんではあるが少しづつ前に進んでいる。あんな事をされれば誰しも恐れるのは当然なことだ。だがバケモンと括ってしまえばそれまでになってしまう」

 

 自来也はボルトが胸中で呟いた事を的確に当て言った。ボルトはそれを否定する

 

「俺はそんなつもりで言ったんじゃ」

 

「分かっておる」

 

 そんな言い合いをしていたらナルトが目を覚ました。どうやらさっきまであったことは覚えていないようだ。だがボルトの右手の包帯を見て眼を見開いて思わず聞いた

 

「もしかして……俺がやったのか?」

 

 そう言った瞬間ボルトの視線が一瞬揺れたのをナルトは見逃さなかった。ナルトはボルトに頭を下げた。その顔は悔しさか情けなさか、顔をしかめていた。

 

「すまねえってばよ!」

 

「いやそれは……傷も浅いし気にするなよ」

 

 しかしナルトはボルトの言葉を聞いて無く呟いた

 

「こんなんじゃダチを連れ戻せねえ。もっと強くなんねえと」

 

 そんなどこか悔しそうな表情で頭を下げ続けるナルトを見てボルトは不安そうに自分の掌を見る。

 

(俺は父ちゃんを守れるのか?)

 

 少なくともウラシキに負けては意味がない。ウラシキの強さは未知数だ。最初戦った時はウラシキが油断していたのとスミレの作戦が上手くいっただけだ。今回も上手くいくとは……いや上手くいかないだろう。そういう対応力がウラシキにはある。

 そんな二人を見てビオラも不安そうな顔になる。自分はここにいるメンバーの中では一番経験が足りないからだ。そんな時

 

「のぉ! お前もわしの元で修業してみるか?」

 

「「え?」」

 

 自来也は唐突にナルトとボルトに問いかけ二人は仲良くハモッた。そんな二人をスルーし自来也が背を向けているサスケに聞いた。曰くウラシキはまた来るのだろ? と。サスケの答えはイエスだ。ならば対策を立てるために修業しようと言う事だ。

 

「おっと……そろそろ取材の時間じゃ。まあ考えておけよ」

 

 そう言いながら自来也はどこかに行ってしまった。それをナルトとボルトは訳も分からず見送ったのだった。

 

 ★

 

 この日は現地解散になった。ナルトは監視の任務も忘れ一楽に、ビオラはサスケに少しこそこそ話をした後二人でどこかに行った。そしてボルトとスミレは里の中を歩いていた。誰も知り合いがいないのを良いことに恋人繋ぎをしている。普段なら二人ともそれで幸せな気分になれるのだが今回はそんな気分になれなかった。二人ともそれぞれ先程の出来事が頭にこびりついてるからだ。スミレに関しては母親と父親に関してもあるから余計に心労がたかっている。

 それでも恋人繋ぎをしているのはそうする事で二人の不安が少し消えるからだ。二人は無言でどちらともなくあのゴースト事件終盤にミツキとスミレが戦ったあの丘まで来た。

 そこからは未来の様に近代化している里ではなくまだ発達する前の里だった。もう既に周りは暗く里もライトアップされている。そんな中ボルトはスミレに問いかけた

 

「スミレ……なんかあったのか?」

 

 それにスミレは手を握り返しながら返した

 

「ボルト君こそ……元気ないよ」

 

「それは……」

 

 あっさりと図星をつかれボルトは何も言い返せなくなる。そんなボルトを安心させるようにスミレは言った

 

「大丈夫。これは……本当に私の問題だから」

 

 昨日まではボルトに言えば安心させてくれると思っていた。多分、今日何もなく二人きりになれば迷うことなく言ったと思う。しかし今はボルトもボルトの悩みがある。自分の悩みと不安を打ち明ける訳にもいかない。きっとボルトはスミレの悩みも一緒に抱え込んでしまうからだ。

 

「でもっ!」

 

 そこでボルトはスミレの方に思いっきり向いた。スミレもボルトの方に眼を向けていた。二人の視線があう。二人とも少し顔が疲れているのが互いに分かった。でもボルトはスミレにそんな顔をしてほしくなくて少し体ごと顔を近づけようとした。

 だけどもスミレは自分の左指をボルトの口元にあてボルトがしようとしていた事を止めた。ボルトは「どうして?」と言いたげな顔になりながらスミレを見て……動揺した。

 

「ダメだよ……それされたら……我慢できなくなっちゃうから」

 

 そう涙と共に呟きゆっくりと絡めていた指をほどき踵を返しながら戸惑っているボルトに背を向けながら言った

 

「修業、頑張って。私も頑張るから」

 

 そう言ってスミレはボルトの声を聞かずに去っていったのだった

 

 

 

 

 

 




お疲れさまでした。最後はいつもと違う感じにしました。
BORUTOの中で化け物って聞いたらカワキとスミレが真っ先に思いつく。ボルトはスミレを見てきたから直接口には出しませんでした。
次回修業パートです。久しぶりにアンケートします!

ではでは

修業パート誰目線でやる?

  • ボルト&ナルト
  • スミレ&ビオラ
  • 自来也&サスケ
  • 最早全部やれ
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