転生したらガンダムビルドファイターズの世界だった件   作:裸の錬金術師

3 / 7
ガノタの中学生が転生したらビルドファイターズの世界だったヤツの第3話です。
楽しんで頂けたら幸いです。


第3話 「蛇の足」

 

 

 

 

 

 

ーーきて

・・・・・・きて

・・・おきて

起きて!・・・・・・起きなさいよ、このッ!

 

ドカッ!!!

 

「どわぁ!?」

 

鈍い衝撃が走り、何事かと瞬時に頭がフル回転し、一瞬の内に眠気が吹き飛ばされる。

 

 

いきなり叩き起こされ頭が混乱しているコウの目の前に、いかにも不機嫌そうな表情をしたアスカが立っていた。

その手には大きめのクッションが握られている。

 

「なんだよ!今日は土曜で学校は休みだろ?」

 

「なーに言ってんのよ!今日は"一緒"にガンプラを買いに模型店に行くって約束してたでしょ?もしかしてもう忘れちゃったの?」

 

・・・・・・そうだった、すっかり忘れてた。

 

先日、初めてのガンプラバトルを行った後、玄海学園ガンプラ部に入部することになった。

そして、もしこの世界が夢でないのならば、ガンプラバトル用のガンプラを新しく作ろうと思い立ちアスカとタイガに相談してみたところ、どうやら2人の行きつけの模型店があるらしいということで後日そこに案内してもらえることになったのだ。

 

「あー、ごめん。すっかり忘れてたわ」

 

「どうせそんなとこだろうと思った!」

心底呆れたとでも言いたげな顔でアスカが言う。

 

「すぐに準備するから下で待っててくれ」

 

「はいはい、じゃあなるはやでね」

 

そう言い残しアスカは俺の部屋を出て行く寸前、ちらりとほんの一瞬だけ、奥の棚の方に視線向けた。・・・と思ったら何事もなかったかのように部屋を出て行ってしまった。

「?」

俺も棚の方を見る。

そこには俺が幼少の頃から作っていたガンプラが幾つか飾ってあるだけだった。

 

 

 

 

 

* *

 

 

 

 

 

その模型店は家からそれほど遠くない場所に位置していた。

自分の記憶が正しければここは業務用スーパーだったはずだが・・・その面影は微塵もない。

その"元の世界"では業務用スーパーだった模型店は、かなり建物の規模が大きい。けれどももしかしたらガンプラが世界的に普及しまくっているこの世界だと当然なのかもしれない。

入り口にはでっかく、せるびえんて・たこ〜んの文字。

ここがタイガとアスカ行きつけのガンプラ屋なのか・・・・・・

 

「いつまでそこに立ってんのよ?早く入ろ!」

「・・・・・・おう!」

 

なんか変な名前だなと思いつつも、意を決してアスカの後に続きその足を踏み入れた。

 

 

 

 

「おお・・・!」

 

その中は結構、広大で思わず圧倒されてしまう。

まず、目に入ってきたのはいくつもの商品棚。数え切れないほど沢山のガンプラの箱がみっちりと並んでいる。

イメージ的には"ビルドダイバーズ"に出てきていた「THE GUNDAM BASE」が近い。

奥の方にはいくつか縦長のテーブルや作業台が並んでおり、何組かの人だかりが出来ている。さしずめあそこは、休憩所兼ガンプラを組み立てることできる場所といったところだろうか。

 

そして入り口から見て右側に見えるアレは…!

間違いない、あれはガンプラバトルシステムだ!

店内に設置されているバトルシステムの内の何台かは青い光が溢れ出している。・・・システムが稼働している証拠だ。

遠目から見てみると小学生のような小さい子から自分より大きな高校生ぐらいの人たちもいる。

彼らのバトルの様子は観客も横合いから直接観戦可能なだけでなく、横には観戦用のモニターも設置してありコウは最も近いフィールドとそのモニターに目をやった。

 

漆黒の宇宙を舞台に、"高機動型ザク"と"スターク・ジェガン"が鎬を削り合っている。

・・・・・・意外にも高機動型ザクの方が有利な戦況のようだ。そのザクは鋭い反応でスターク・ジェガンの攻撃を躱し、的確にザクマシンガンを叩き込んでいる。

 

おそらくコレこそが"ガンプラバトル"の醍醐味の一つなのだろう。

これが本来のガンダムの世界でのMS同士の戦闘だった場合、そのスペック差によりジェガンとザクが対等に戦えるなんてことはほぼほぼありえない。

 

しかし、ガンプラだったら話は別だ。

アニメ・ビルドファイターズによると、不思議なことにガンプラの性能はそのガンプラの作り込みによって左右されるという。

素組みのガンプラとスミ入れや塗装をしたガンプラだったら絶対に後者の方が良い性能を叩き出すしフルスクラッチのものならば、より良い性能となることは言わずもがなだ。

 

 

瞬間、スターク・ジェガンが動いた。

肩のミサイルポッドを素早くパージし、ビームサーベルによる接近戦を仕掛ける。ザクもヒートホークを構え一気に距離を詰める。

ジェガンのビームサーベルとザクのヒートホークが激しくぶつかり合う。

横に薙ぎ払われたビームサーベルを上手く躱し、その隙を逃さないようにザクがヒートホークを一閃。

間髪入れずに、両断されたジェガンは爆発四散した。

 

『BATTLE ENDED』

 

 

やっぱりすげぇ・・・・・・!コレがガンプラバトル!本当にガンプラが自在に動いてバトルしている!

 

「コウ、なにしてんの。こっちこっち!」

 

アスカの呼び声と手招きで我に返り、慌ててその後を追うと、アスカは店の奥の方へと向かいカウンターに立っている男性に話しかけていた。

 

「オノさん!大会のエントリー、まだ間に合う?」

 

「おう、アスカ。遅刻ぎりぎりやんか!

受付はこっちやから急げよーって

ちょっと待った!そっちの兄ちゃんは誰や?

タイガと出るってゆうとらんかったか?」

 

アスカに追いついたところでその男の人の意識がこちらに向いた。

彼は見たところ40〜50代の中年男性で短く切り揃えられた派手な金髪が目を惹く。

強いて言えば『SEED ASTRAY』の"ロウ・ギュール"の声を当ててそうな感じの人だ。

 

「タイガは用事ができて来られなくなっちゃったのよ。で、彼は私の幼馴染みのコウ。

今日の大会はコウと出るから」

 

・・・・・・ん? 大会?? 

アスカは何を言っているんだ・・・?

 

「なぁアスカ、大会って何のことだ?今日はガンプラを買いに・・・」

アスカは急に申し訳なさそうな顔になり、信じられないことを言い出した。

 

「ごめーん、実はここの店舗大会に出てくれるパートナーとして来てもらったってのもあるんだ」

 

は・・・・・・!?

 

「ちょっと待て!そんな話、1ミリも聞いた覚えがないぞ!?」

「うん、言ってなかったもん」

 

ええ・・・・・・?

こんなこと言うヤツって本当にいるんだ・・・。

 

想定外の事態にオノさんも思わず

「いや何も教えとらんかったんかい!」

とツッコまずにはいられなかったようだ。

 

「大丈夫だよ、コウにはバトルのセンスがあるし!」

アスカのこの謎の自信は一体どこから出てきているんだろう?

 昨日ちょろっとバトルしただけの初心者中の初心者なんだが・・・と言いかけてやめた。

うーん、やっぱり出るだけ出てみるか。

実は昨日のタイガとのバトルの興奮がまだ残っていて早くガンプラバトルをやりたいと体が訴えているのを感じた。それにもしかしたらこの大会が自分のバトル用ガンプラの新しいアイデアを与えくれるかもしれない。

 

「わかった。その大会に出るよ」

少し考えて了承するとアスカは心底嬉しそうな顔をした。

「いいの!?やった、これで大会に出れる!」

 

 

そんなアスカを横目にオノさんが俺に話しかけてくる。心配半分呆れ半分といった感じだ。

「本当に大丈夫か?タイガの代わりはなかなか荷が重いで?」

「まあガンプラバトルド素人だから気楽に行きますよ」

「はっ、いい具合に力が抜けとんな。強くなる奴ってのはそういうもんやで」

 

(そういうもんなのか・・・?)

 

「男同士の話はあとあと。エントリシートは?名前とGPベースの登録をするんでしょ」

 

「せっかちは嫌われるで!まあ、ええ。シートはこっちや」

急かすアスカを茶化しつつオノさんが言う一枚の紙と円形の電子機器を取り出した。

その機器にはヤジマ商事のロゴマークがプリントしてある。なるほど、おそらくコレはGPベースを登録する用の端末なのだろう。もしかしたらGPベースは、前の世界におけるバナパスポート的な役割もあるのかもしれない。

 

「兄ちゃんは・・・・・・ガンプラを持っとらんのか」

「はい。本当だったらここで買って作る予定だったんですけどね・・・・・・」

「じゃあ、店のやつ貸したるからそれ書いたら付いて来てや」

(貸し出しガンプラ!そういうのもあるのか!)

・・・・・・そういえばビルドファイターズAで若かりしメイジン・カワグチが初めてイオリ・タケシと戦うとなったときに、貸し出しガンプラを借りたという体でνガンダムヴレイブを使用していたっけ。

 

 

 

 

 

 

* *

 

 

 

 

 

 

 そのショーケースにはいくつものガンプラが展示されていた。そのどれを取っても素晴らしい完成度を誇っているというのが見てとれる。

「ほら、これが貸し出し用のガンプラや、

全部で20機。選んだらまたカウンターんとこまで来てな?オレは先に戻っとるから」

それだけ言うとオノさんはそそくさとその部屋を後にした。もしかしたら大会の運営が大変なのかもしれない。

 

いやしかし、これは凄い。

色々なガンダム作品から様々な機体がチョイスされている。

 

『機動戦士ガンダム』から"プロトタイプガンダム"

『機動戦士ガンダムSEED』から"デュエルガンダム"

『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』から"ガンダム・ヴィダール"

『機動戦士クロスボーン ・ガンダム 』より"クロスボーンガンダムX1・X2・X3"

『機動戦士ガンダムクロスボーン ・ガンダムゴースト』より"クロスボーンガンダムX0"

"ゴーストガンダム"

 

う〜ん、実によりどりみど・・・・・・

ちょっと待て、クロスボーン・ガンダム系だけやたらと多すぎじゃないか!?

・・・・・・まあいいか、今は気にしないでおこう。

 

また順々にガンプラを見ていくとある機体が目についた。

 

ーーその名もデスティニーガンダム 。

だがそのカラーリングは見覚えのある青ではなく全体的にオレンジを基調としている。

そう、本当の名前は「デスティニーガンダム ハイネ・ヴェステンフルス専用機」。

読んで字の如くハイネ専用に調整されたデスティニーガンダム。その最大の違いはオレンジを基調としたカラーリングを置いて他にない。当機を含むデスティニーガンダムを主力にした特殊部隊「コンクルーダーズ」において運用される予定だったのだが、ハイネの戦死により部隊編成そのものが永遠に失われてしまったという、まさに"幻の機体"である。

俺は半ば無意識でそのガンプラを手に取っていた。

 

(やっぱりカッコいいな・・・!)

 

元々、デスティニーガンダム は大好きなガンダムの1つだった。しかもそのバリエーション機体、好きにならないはずがない。

よーし、決めた!このガンプラにしよう。 

 

 

 

 

 

 

 

* *

 

 

 

 

 

 

 

「アスカのことやから、どうせなんも説明しとらんのやろ。俺から大会のルール、教えとくわ」

部屋から出てきた俺を待っていたのはオノさんによるルール説明だった。

「これから兄ちゃんが参加するんは、この店主催のバトル大会や。バトル形式は公式大会、全日本ガンプラバトル選手権 中高生の部と同じタッグマッチやな」

「ーー全日本ガンプラバトル選手権?」

・・・・・・ちょっと待った。

全日本ガンプラバトル選手権大会っていうのはたしかガンダムビルドファイターズトライで主人公たち、トライファイターズが挑む日本最大規模のガンプラバトル大会だったはずだ。

アスカが続ける。

「そう、去年まではガンプラバトル選手権世界大会っていうのがあったんだけど、今年からガンプラバトルのメインスポンサーがPPSEからヤジマ商事に代わって、ルールや参加資格とかが変更されたの」

 

"PPPE"も"ヤジマ商事"もビルドファイターズ作中で聞き覚えのある単語だ。

たしかビルドファイターズの最終盤でPPSE社のプラフスキー粒子生成の要であった巨大なアリスタが暴走し、セイたちガンプラファイターの活躍によってアリスタが消失した上に、社の中心人物だったマシタ会長やベイカーもアリアン世界へと逃亡したことで経営が立ち行かなくなった結果、大会終了後にPPSE社は活動休止に追い込まれてしまった。

その後、経営者とプラフスキー粒子という最大の商品を失い経営が立ち行かなくなったPPSE社の研究施設や工場を買い取り、消失したプラフスキー粒子の精製方法を模索。 ニルスたちの努力によって新粒子の生成に成功した事から、以降は同社がガンプラバトルを主催し、バトルシステムの製造・販売を進めるようになった。これはビルドファイターズトライで描写されていたはずだ。

 

 

・・・・・・なるほど、つまり俺はビルドファイターズとビルドファイターズトライの間、いや、ビルドファイターズの一年後、もっと言えばビルドファイターズA-Rの第8回世界大会と同時期に来てしまったってことか!?

 

 

 

 

 

 

* *

 

 

 

 

 

 

「そんでな、全日本ガンプラ選手権やねんけど・・・」

この異世界?の正体がわかり少し愕然としている俺に構わず、オノさんが説明を続けようとしたその時、店内にアナウンスが響いた。

 

ガンプラバトル店舗大会「蛇の足杯」のエントリー受付は終了しました。

ただいまより、大会を開始いたします。

対戦形式は2対2のタッグマッチです。

大会ルールをご存知でない方は、店内のスタッフかホームページ等でご確認ください。

それでは、第1回戦Aブロック、シノノメ・コウニシカド・アスカペアと・・・・・・

 

(始まった!?しかも1回戦目かよ!

やばい、ちょっと緊張してきた・・・・・・!)

 

「1回戦目か〜!ワクワクしてきた!」

緊張で震えてきた俺とは対照的に、アスカの体が見るからにウズウズしている。よっぽどバトルが楽しみで仕方ないらしい。

 

「すまんな、説明の続きは後でにさせてもらうわ。それよか緊張なんかせんと、とにかく全力でぶち当たってこいや」

「りょーかい!行こう、コウ!」

オノさんと自信に溢れたアスカに背中を押され、少し緊張がほぐれた・・・・・・ような気がする。

「・・・・・・よし、行こう!」

 

 

 

 

 

 

* *

 

 

 

 

 

 

俺とアスカは六角形のユニット越しに対戦相手たちと向かい合っていた。相手の2人組はおそらく自分たちよりも年上の高校生。だからといってビビってはいられない。

 

『Please Set your GP base』

 

『Beginning Plavsky particle dispersal』

 

バトルシステムから発せられる電子音声と同時にGPベースをセットし、水色の粒子が柱状に噴出する。

 

『Field 1 Space』

 

『Please Set Your Gun-Pla』

 

四人それぞれが自身の機体を設置する。

俺は借り物のハイネデスティニーを。

ちらりとアスカの方を見ると彼女の前にウィングガンダムのEW版が置かれていた。

(EW版ウィングか・・・・・・!いいセンスしてるじゃんか!)

もうこの時点で少しテンションが上がってきた。

何を隠そう、俺はガンダムW系のガンダムはEW版が大好きなのだ。しかもこれから動くところを見られると思うと弥が上にもテンションが上がるに決まってる。

 

 

『BATTLE START』

 

「シノノメ・コウ、『デスティニー』行きます!」

「ニシカド・アスカ、『ウィングガンダム 』出ます!」

 

ウィングガンダム(EW)とハイネ専用デスティニー。

極彩色のトリコロールとオレンジ。

それぞれ異なるカラーリングの"翼"を持つ二機のガンダム が虚空の戦場へと飛び立った。

 

 

 

 

 

 

 




次回「黄昏の運命」



いや、この話書いてる時にワルキューレにハマっちゃいまして、ずーっと『ワルキューレが止まらない』を聴いてました。
マクロスΔは良いぞ!!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。