転生したらガンダムビルドファイターズの世界だった件 作:裸の錬金術師
「いい?いくよ、コウ!」
「おう、お手柔らかに」
プラフスキー粒子で象られた宇宙空間のバトルフィールドに二体のガンプラが対峙している。
その内の一体はコウの操作するストライクガンダム。バックパックには大気圏の内外を問わず機体に高い機動性をもたらす高機動用パック、エールストライカーが装着されている。
そして、もう一体はコウの親友アネガオオジ・タイガの操るガンプラ。水色と白を基調とした爽やかなイメージを醸し出すカラーリングのガンダムであり、バックパックには剣にも見える2つの突起物を装着している。
ガンダムOO外伝、『機動戦士ガンダム00P』の主人公機であるガンダムラジエルの強化態。
────名前はセファーラジエル。その第1形態と呼ばれる姿だ。
「いけ、GNプロトビット!」
タイガの掛け声と共にセファーラジエルのバックパックの突起物が分離し、まるで水を得た魚の如く動き始める。
よっしゃ、撃ち落としてやると息巻いた次の瞬間、相手からの攻撃を示すけたたましいアラートが響き渡った。
* * *
あ、ありのまま、今起こった事を話すぜ!
「────突然、アラートが鳴ったと思ったら、いつのまにかエールストライカーパックが破壊されていた」
な・・・・・・、何を言っているのかわからねーと思うが、おれも何をされたのかわからなかった。
頭がどうにかなりそうだった。催眠術だとか超スピードだとか、そんなチャチなもんじゃあ断じてねえ。もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ・・・・・・。
「何言ってんのよ・・・・・・?一旦、落ち着いて。これからちゃんと説明するから」
混乱のあまり俺の口からでた譫言に、アスカが「突然、何を言い出すんだコイツは?」といわんばかりの表情をしている。
俺たちが今いるのは、私立玄海学園ガンプラ部の部室。
せるびえんて・たこ〜んの店舗大会から数日、ガンプラバトルを本格的にやることになった俺はアスカとタイガの2人によるガンプラバトルについての基礎的な講義を受けていた。
今日はガンダムシリーズでもお馴染みの『オールレンジ攻撃』についてだったのだが・・・・・・。
「そもそも、あんなのどうやって避けんだよ!!!」
GNプロトビットが分離するところまではなんとか俺でも確認できた。だけど、そこから先の動きはまるで捉えることができなかった。
「そうね、方法は幾つかあるんだけど・・・・・・。一番メジャーなのが"アラートを確認して回避"、かなり難易度は高いけど"目視で回避"、まるでニュータイプ、"勘で回避"。そして・・・・・・」
「そして・・・・・・?」
うーん、この時点でだいぶ無理言ってる気がするんだが・・・・・・!?
「最後に、"がむしゃらにとりあえず動く!"、かな」
「なんじゃそりゃあ!!!」
我ながらまるでマンガの如く盛大にズッコケてしまった。
* * *
『Gunpla battle Simulation mode Start up』
『Battle Start』
なんだかんだで本日2回目のガンプラバトルが開始された。まぁガンプラバトルとは言っても所謂CPU戦。だから相手もコンピュータ制御のハイモックたちだけだ。
俺の機体は変わらずストライクガンダム。しかし、バックパックが破壊されたために先程とは異なる、オレンジ色で特異なシルエットのストライカーパックが装備されている。
───その名もガンバレルストライカー。
ガンバレルとは『機動戦士ガンダムSEED』シリーズに登場する架空の兵器で、多数の飛行砲台を同時に制御しオールレンジ攻撃を行う兵装である。つまり、今度はオールレンジ攻撃をやってみる練習ってことだ。
先程、アスカとタイガから受けた説明によるとどうやら2つの選択肢があるらしい。
右のコンソールを捻り、武装メニューから4つ目のスロットを選択すると、さらに2つの項目が現れる。
これこそがガンプラバトルにおけるオールレンジ攻撃の手段、自動操作と手動操作だ。
まずは、左側のスロット───自動操作の方を選択してみる。
するとバックパックに接続されている4つのガンバレルが動き出し、自動でハイモックたちを追尾、攻撃を始めた。
「うお!これがオールレンジ攻撃か!」
「すごいでしょう?じゃあ、ガンバレルの動きをよく見てみて」
「うん?」
アスカに促され、じーっとガンバレルを眺める。確かに、さっきのタイガとの模擬戦で相対したGNプロトビットの動きと比べるとその動きに微かな違和感のようなものが感じられる。
「どう?動きが違わない?」
「なんか・・・・・・動きが単調?だな」
「気づいた?そう、これがオートモードのデメリット。CPU操作だと人が操作するより動きが機械的になっちゃうのよね」
・・・・・・なるほど、そういえば俺が元いた世界でよく遊んでいたガンダムのゲームもそうだった。やはりCPUの動きが人間のそれに比べると見劣りしてしまうのは仕方ないっちゃ仕方ないのかもしれない。
「それじゃあ、次はマニュアル操作ね。右のスロットを選んでみて」
言われた通りに右のコンソールを捻り、今度は左側のスロットを選択する。
すると、先程まで自在に動いていたガンバレルたちが急速に集まり、指示を待っているかのように機体の周りに停滞している。
たしか、ガンバレルのようなオールレンジ兵装の操作も他の武装と同じく右のコンソールで行うはずだ。
気合いを込めるようにコンソールを握りなおす。
「よっし、とりあえずやってみるか!」
* * *
「これで、終わりだッ!」
瞬時に何度も叩きつけているせいで、右手の指々が悲鳴をあげている。そんな右手で操っている、背後から放たれたガンバレルの射撃で最後まで残っていたハイモックが爆発四散した。
『Battle Ended』
「つ、つっかれたぁ〜」
バトルが終了し、操縦空間から解放されると同時に思わずへたりこんでしまった。指も攣りそうになってる。
───たった4つ。たった4つのガンバレルを操作するだけでここまで疲労するなんて・・・・・・。
いや、よく考えてみりゃオールレンジ攻撃はガンダム作品においてニュータイプやイノベイターみたいな特殊な人間が、特殊な脳波を用いて複数の端末を思考制御するようなもの。そんなのをこっちではロクな空間認識力も持ち合わせていない自分の頭と手だけで全部行うわけだからそりゃこうも難しくなるのも道理っちゃ道理だ。
それに、ふと思い出したのだが、『ビルドファイターズトライ』のアドウ・サガもガンプラバトルにおけるファングの使いすぎで右手を負傷していたっけ・・・・・・。なるほど、こんなことをずっと行っていれば痛めてしまうのもわかる気がする。
「いや〜コウってばバトルのセンスはすごいなぁって思ってたけど、流石に初見でコレを使いこなすのは厳しかったかぁ」
アスカの心底残念そうな言葉にタイガもうんうんとうなずいている。
「あー!もう、決めた!!!」
そんなこんなでとりあえず自分のガンプラにオールレンジ兵装を付けるのはやめとこうと誓うコウなのであった。
次回、「蛇の尻尾」
次回は修行編、第2弾!なんとあの人も登場予定!?
ぼちぼちしか更新できませんが是非お待ちくださいませ!