Re:ゼロから始める寮生活   作:夜はねこ

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エピローグ2

 あれやこれやと色々あって、僕たちは学園に雑用係として滞在することとなった。そしてこのエリオール寮を拠点とさせてくれるらしい。昔は趣のある古い古屋というオンボロ寮と化していたみたいだ。確かに見た目はオンボロ寮といった感じだが、中はその風貌を微塵も感じさせない綺麗なお屋敷といった感じだ。

 それはさておき、今私の目の前には銀髪の美少女がいる。彼女の紫紺の瞳は魅入られるように美しい。

 

「さて、ユウくん。紹介いたします。エリオール寮、寮長の」

「オマエ、オレ様に氷ぶっ放してきたオンナなんだぞ!!」

 

 グリムが校長の声を遮り、叫んだ。彼女に飛び交かろうとして、

 

「この子に何かしたら末代まで祟るよ? まぁその場合、君が末代なんだけど」

 

 中性的な高い声が新たに空気を震わせた。

 驚きながら僕とグリムは視線をさまよわせた。明らかに少女の声ではない。どこにも、その声を発した人物らしき姿はない。

 戸惑い、困惑する僕たち。そして、僕たちに見せつけるように、少女が左手を伸ばす。

 上に向けられた掌、その白い指先の上に『それ』はいた。

 

「あんまり期待を込めて見られると、なんだね。照れちゃう」

 

 そう言ってはにかむように顔を洗ったのは、グリムより小さい、掌に乗るサイズの直立する猫だった。

 毛並みは灰色で耳は垂れ、僕の常識で言うならばアメリカンショートヘアという種類の猫が一番近い。鼻の色がピンク色で、妙に尻尾が長いのを除けば。

 

「パック。」

 

 彼女が猫を嗜めるように呼ぶ。パック。それが猫の名前らしい。

 グリムは驚いて固まっている。いや、お前同じようなもんじゃん。

 

「ふふふ、ボクの名前はパック。エリオール寮の副寮長。大きさ自由で持ち運びに便利。さらにユーモアあふれるトークで退屈な日常を彩ったりしちゃう。ひとりに一匹! 生活のお共に。詳しくは精霊議会に問い合わせてみてね」

 

 器用に指を鳴らしてセールストークをかます猫。いまいち要領を得ない内容だったが、たぶんそういう芸風なのだろうと僕は納得。

 

「ええと、よろしく?ユウです。」

 

 友好的に差し出した手に、パックが体ごと飛び込んできてダイナミック握手。片方は手で片方は全身なので、傍目から見ると僕がパックを握り潰しているように見える。

 モフモフ感に癒されながら、それから僕の視線は傍らの少女へ。

 

 

 僕とパックのやりとりが面白かったのか、口元に手を当てて、白い頬を紅潮させ、銀髪を揺らしながら少女が笑っている。そんな姿も美しく、どきまぎした。

 

「――エミリア」

 

「え……?」

 

 笑い声に続いて伝えられた単語に、僕らは小さな吐息だけを漏らした。

 彼女はそんな僕の反応に姿勢を正し、悪戯っぽく笑い、

 

「私の名前はエミリア。ただのエミリアよ。エリオール寮、寮長の3年生。特待生としてこの学園に滞在してるの。よろしくね、ユウ」

 

 彼女は手を差し出した。

 その差し出された白い手を見下ろし、おずおずとその手に触れる。指が細く、掌が小さく、華奢でとても温かい、女の子の手だった。

 

「よ、よろしくお願いします!!」

 

 僕もまた笑い、固く少女――エミリアの手を握り返したのだった。

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