アニメ五話、神回!アニメ五話、神かい!?
ええ神です。みなさん是非とも見てみてくださいね。
生徒会のキャラがうまくつかめない……
ほんの少しの
希望があれば十分です。
──スタンダール(仏)
恋などかまっている暇がない。
青春の日々は勉学の日々。己を鑑みて欠落している個所を埋め、またも前進、まだ前進。
予習、復習、また復習。ときに復習、まだ復習。そして復習に、また予習!時たま授業で、やはりわからず、ずっと復習、ようやく理解。されどまだずべてにはいたらず、そうしてる間に進度の速さがゆえに置いていかれて、遂には教師を親の仇がごとく憎みつつも、されど勉強、またも勉強!!今や常に寝不足、徹夜すらも辞さぬ日々。
嗚呼、我が人生、なにゆえこうなる。
「おっしゃ終わったオワタ、FUCK!!!」
そんな歓声に近い罵倒の声が自分以外誰もいない部屋──自分の部屋なのだから当たり前だ──に響く。現在午前四時すぎ。もうすぐ日本の夜が明ける。
さっきまで、へーこらへーこら言いながら取り組んでいた、明日の授業の予習と課題をまとめたプリントやノートを机の上からなだれ落とすようにして片づける。
ざばぁと大雑把に床に置かれていた学生カバンへと落とし込んだせいで、そのうちのいくらかがこぼれ落ちた。付箋だらけの教科書がページを広げて床に突っ伏してしまう。だがそれにも構わずに、少年は内心ざまぁとどこかで思っている。この男、性根っからして勉強とは相いれぬ
──秀知院学園!!
国内偏差値にして77前後を誇り、かつては貴族、士族の名家の子息・令嬢たちを教育するために創立された、綿綿たる伝統を誇る由緒正しき名門校である!!
貴族制が廃止されたい今でも富豪・良家に生まれた有能かつ多才な人材が、それこそ将来国をも背負うであろう者たちが数多く修学している。
もちろんその学習内容は一部においては大学の範囲にすら食い込むというほどの高度さを誇り、進度もそこらの中堅校、進学校とは比べ物ならないほどである。
そんな学園の一生徒たるこの少年もまた、その凄まじさにただただ圧倒されつつも、彼なりの対抗を示しているのだった。
── 平凡!!
この少年こと、
発展・応用力はもちろん、そもそも記憶力・理解力すら脆弱!!今日やっても明日にはほぼ忘れる!!それが数学の公式・証明なんて小難しくて論理的なとくればもう爆沈!!唯一誇れるものは根性のみとくる。
だが秀知院学園──全国の富豪・名士の子女ら、その才媛たちが通うハイスぺ学園においては
それも幼稚舎から中等部までなあなあで上がって来た者のうちの大半が高校への進級試験で落とされたことにより、また下手な純院の生徒よりも出来る奴らが編入してきたことから、その水準は上がるばかり!!
さぼるなど以ての外!生徒たるもの常に勉学の精神を保ち続ける秀知院学園において、真に平凡たるものは本当ならば振り落とされていく運命にあるのである!!
だがそんな残酷な運命を、失鹿は多大なる努力と家柄ゆえの財力──学習塾ならばカリスマで名の通るはどの家庭教師を、彼一人のために雇うことで──なんとかはじき返しているのだった。
それでもなお、彼の成績は平均である。いや、模試では着々と成果をあげつつあるのだが。
明らかに努力の量と、その成果が釣り合っておらず、失鹿は自分自身を卑下してしまいがちであった。
「はぁ......」
前々から険しくなりつつある目つき、荒れ気味になりつつある肌、一周回って変に冴えわたる脳──すべてがだんだんと異常になり始めている。
そう思いながら、ほんの少しだけの眠りについたからかもしれない。
失鹿春宮は秀知院高等部にに入学してからの忙しく、短い睡眠の中で熟睡するばかりの日々であったゆえに久しく見ていなかった、かつては寝るたびの“お決まり”であった、長い長い夢を見た。
彼は夢の中で愚鈍な、豚のような三十路前の男だった。中学でいじめられ、引きこもり、そのままずっと部屋に籠った、いわゆるニートだった。
皮脂で汚れた、度のずれた歪んでいる眼鏡をかけていた。ぼさぼさで脂ぎった髪を切らないままに長くのばしきっていた。痘痕ずらで、いつもたるんだ腹を揺らして、ゼイゼイと臭い息を吐き出していた。
ある日、二階の自分の部屋にあったベランダから庭へと飛び降りることにして、自分の人生を終えた。
自分が嫌いだったわけではない。
ただ、あの日。
自分が学校で盗人の汚名を着せられて、そのことを告げたときにただ一言だけで済ました父に、父がそういうならといって逃げてしまった母に、ひどくひどく問いかけてやりたかった。
父さん、母さん。
僕はなんの為に生みだされたのですか。何のために死ねばよいのですか。
それは、今の自分──失鹿にとっても、大きな命題であり、人生をかけるべき命題にも等しい。
人はこのような夢を大抵悪夢、もしくは白昼夢と呼ぶ。
だが失鹿にとってはそう遠くない過去の日々、幼少期より毎晩繰り返されていた夢であった。彼はこの夢がなんであるのか、いまだに結論づけられていない。もしかしたら前世の記憶なのではないのか、というのも彼自身の願望でしかない。
夢というのは一般的に願望を示すという。だが同時に逆説的な意味もあるともいう。
いわく具体的なストーリー性のある夢であれば、その変化に自分の心の内面が現れるという。また同じテーマの夢を見る「反復夢」というものでは、自分が死ぬという内容の夢を見るというならそれはむしろ自分が大きく変わる、良い意味の可能性があるとすらいうのだ。
極論、悪夢は吉兆なのだ。
なら、もしかしたら、僕はある意味で選ばれてる人間なのかもしれない。
そんな楽観的な観測はすでに掻き消えて等しいが──自分の平凡さと、周りの人間たちを見ての消極的な発想ばかりに囚われたようになってから、失鹿は努力をするようになった。自分を高めるためではなかった。ただ、今世において生まれながらにして与えられたものを失わないためだけの、そんな自分になるためだけの、努力だった。
≪*≫
どんなに遅くに寝ることになっても朝五時には必ず起床するのも、高等部に入ってから身についた習慣の一つであった。
失鹿家の世田谷区にある屋敷はちょっと豪勢な一戸建てといえば十分に言い表せる規模のものだ。使用人も、その数もそれ相応である。
具体的に言えば世話焼きなばあやと、隠居同然の老執事がひとりずつ。どちらも失鹿家本邸で昔から働いていた功労者であり、失鹿春宮にとって彼のことをは幼いころから知られている、なんともやりにくい相手である。
とくに半ば呆け気味の後者はともかく、前者のほうは家事労働から今の主人である失鹿の世話まで、何においても、まだまだキレッキレな超スーパーババアであるから始末に負えない。
それは朝の目覚めにおいても同様であった。彼女は主人の依頼どおりに5時には全ての支度を整え、失鹿のことを叩き起こしに来るのである。
失鹿も相手が使用人だとはいえども──いや、使用人だからこそ、不遜な真似はせず、眠く、固く閉じられた目をこすってこじり開け、慢性的寝不足による響くような頭痛に内心悪態をつきながらも起きだすのである。
とはいえどもこの状態で勉強とは流石に無理がある──下手すれば学校の授業中に
だからこそ、失鹿は体育会系でもないくせに早起きをして学校へと赴く。
早朝の日の光を浴びることこそが彼にとっての儀式であり、これにブラックのコーヒーが加わって目覚めの方程式が完成する。また静寂に包まれた人のまばらな登校路に、誰もいないしんとした教室の無音な冷たさは痺れたような麻痺したような、はっきりとせず脆弱さ丸出しの頭脳には最高の癒やしであるのだった。
というわけでつぎこそ頭脳戦やります、正直スンマセンでした。