理由は後書きに書いておきます。
ゆっくりとお楽しみ下さい。
七月も終わりに差し掛かった頃、夏休みに入ったと言うのに全く休みがない日々に辟易していると、ある一つの任務が舞い込んできた。
「夏祭りの巡回任務?」
「あぁ。お前達には十分に休みをやれてないからな。花火もやるみたいだし、気晴らしにもなるだろ? 巡回自体をしっかりやってれば、出店で遊んだり、食べたりするのも問題ないさ」
「……本当に良いんですか?」
「任務だと忘れず、遊び過ぎなければな」
真庭本部長は、そう言って任務の依頼書を渡すと、さっさと自分の仕事に戻ってしまった。
自室に戻る道すがら、貰った依頼書に目を通すが、書かれていたメンバーは良く見る面子ばかり。
薫たちも居れば、ミルちゃんたちも居る。
そこそこの大所帯になるだろう。
巡回範囲もそこまで広くないし、二人一組が丁度良い。
……ふふっ。そうと決まれば!!
結芽ちゃんに似合う浴衣と、結芽ちゃんが喜んでくれそうな出店の場所をピックアップして……あとは花火が良く見える穴場スポットも探さなくちゃ!!
忙しくなるぞー!
「待っててねー! 結芽ちゃーん!!」
◇
「ねぇねぇ、お姉ちゃん! 浴衣似合ってる? 可愛い!?」
「可愛いよ〜! 最っ高に可愛いよ〜!! いっぱい写真撮りたいから、ちょーっと動かないでね!」
「はーい!」
天使の羽根が幻覚として見えるくらいには可愛い結芽ちゃんを、精一杯写真に収める。
桜色を基調とした浴衣には彼岸花が描かれており、可愛らしさと綺麗さ、その両方を併せ持っている。
紅色の帯も、色合いが良く、とても似合っている。
買っておいた桜の髪飾りも、悪くない。
そして、最後に注目すべきなのは、髪型!!
いつものサイドテールじゃなくて、わたしと同じポニーテールにしてくれている!
総合的な評価?
誰がどう見ても、百点満点中百兆点に決まってるでしょ!!
今の結芽ちゃんを見てこの回答をしない人が居たら、目に消毒液をかけたくなるよ。
「──良し! もう大丈夫だよ〜。そろそろ巡回任務始めようか?」
「そう言えば、他の人たちは?」
「予定まで少し早いけど、みんな先に来て巡回任務始めてると思うよ。早く来たら早く来た分だけ働く事になるけど、遊んだりする時間も増えるからね」
「じゃあじゃあ! わたしたちも早く始めよ!」
「ちょっ!? 結芽ちゃん!! 引き摺らないでー!」
わたしの手を握った結芽ちゃんは、引き摺るように巡回任務を開始した。
堅苦しく任務と言ってるが、基本的には難しい事なんてない。
範囲内を見回って荒魂が現れたらそれを祓うだけ。
勿論、暴動なんかが起きてたらそれも止める。
刀使と言う名が組織の内外共に一般的だが、正式名称は特別祭祀機動隊。
列記とした国家公務員の端くれなのだ。
警察がすぐに来れない場合や、揉め事程度なら、収められる。
もっとも、拘束権がある訳じゃないが。
「お姉ちゃん! お姉ちゃん! りんご飴に綿あめ、チョコバナナもあるよ!! 買ってきて良い?」
「良いよ。でも、ちゃんとあげたお小遣いの中でやりくりするんだからね?」
「だいじょーぶたよ!」
……まぁ、余計な事を考えるのはよそう。
なんたって、今日はお祭りなんだから。
取り敢えず、はしゃぐ結芽ちゃんの写真を、撮れるだけ撮っておこう。
綿あめの大きさに驚き、瞳を輝かせる結芽ちゃん。
可愛い、天使!
りんご飴をチロチロ舐める結芽ちゃん。
超可愛い、大天使!!
チョコバナナを美味しそうに頬張る結芽ちゃん。
超絶可愛い、天使の中の大天使!!!
ふぅ……五百枚は撮れた。
結芽ちゃんが任務で居ない日、心を癒す為のティータイムでスライドショーにして見よう。
きっと、これを見れば、数時間──いや、数日は頑張れる!
そうやって、一人勝手に盛り上がっていると、クイクイと袖を引っ張られた。
結芽ちゃんだろう。
何か──
「結芽ちゃ──んぐっ!?」
「どう! 甘くて美味しいでしょ?」
「…お、美味しいよ」
ごめん、結芽ちゃん。
正直、味とか分からなかった。
突然のあーんと、間接キスで脳が軽くバグって、美味しいしか返せなかったよ。
でも、まぁ、
「えへへ、良かった! すっごく美味しかったからさ、お姉ちゃんにも食べて欲しかったんだ〜!」
笑顔だから良いか。
わたしはそう納得して、もう一度、結芽ちゃんと手を繋ぎ直した。
◇
お姉ちゃんが、「花火が良く見える穴場スポット、案内してあげるね!」と意気込んで歩き続けてはや数分。
段々獣道を歩いて行ってるような気がするのはわたしだけだろうか?
それにしても、浴衣着たお姉ちゃん、綺麗だなぁ。
ぼーっと、ただそれだけを考えて歩き続ける。
藍色を基調とした浴衣には、舞い散る桜の花びらと三日月が描かれていて、とても幻想的で、似合うだろうなぁって思ったからこれを選んだ。
最初は遠慮していたお姉ちゃんも、わたしの褒め殺し&おねだり攻撃に乗せられて、渋々着付けに入ったが……正直想像以上に似合っていた。
本気でメイクなんかした暁には、ナンパで人波が形成されそうだ。
本当に、それぐらいに綺麗なんだ。
少しでも、大好きなお姉ちゃんに近付きたくて髪型もポニーテールにしたもらったけど、気付いてくれてるのかな?
分からない……分からないけど、気付いてくれてると良いな。
「良かった〜! 間に合った! 結芽ちゃん見て、着いたよ!!」
「ここが…穴場スポット?」
「そうそう! ほらほら、ちゃーんとベンチもあるんだよ!」
獣道を越えた先にあったのは開けた空間で、ポツンとベンチが一つ置いてあった。
左を見ると、明らかに人の手が入った舗装された道が見えたが、あれはわたしの目の錯覚だろうか?
まぁ、良いや。
お姉ちゃんも笑顔だし、それで納得しておこう。
一応、右も見て見ると、屋台の方を見下ろせる、きっと、丘のような場所なんだろう。
見晴らしも良いし、ここなら花火も綺麗に見れる。
「良くこんな場所見つけたね?」
「ふっふっふ〜、どうやって見つけたか知りたいでしょ? それはね──」
良くぞ聞いてくれました、そう言わんばかりのドヤ顔で話を続けようとしたお姉ちゃんを遮るように、光の花が空に散った。
ドーン、と大きな音を立てて。
間が悪い、そんな事も気にならなくなるくらい綺麗だった。
多分、下に居る人たちも、わたしたちと同じように空を見上げている。
目が離せない、離したくない、だけど、誰かと思いを共有したい。
どこか矛盾する感情の中、隣に立つお姉ちゃんを見やると。
「……綺麗」
そこに、お姉ちゃんは居なかった。
燕摘花は──お姉ちゃんはそこに居なくて、ただの摘花という少女が、空散る光の花に、思いを馳せている。
綺麗だった。
掴もうとしたら消えてしまう、霞のような儚さを持つ、綺麗さだった。
壊したくなかった。
だから、何も言わず、そっと手を握り直す。
いつも、可愛いと言ってくれる。
いつも、大好きだと言ってくれる。
いつも、正直に言葉にしてくれる。
けど、こんな感情が籠った言葉、過去に掛けられた事があるか?
もしあったとしても、片手で数えられる程度だろう。
バカみたいだ、わたし。
まるで、自分の昔に嫉妬してるみたい。
花火のように儚く、刹那に消える運命だった、昔の自分に。
惨めだ、惨めだけど、生きているのだから、わたしの方が幸せだ。
だって、わたしがここから頑張れば、チャンスなんで幾らでもあるから。
「お姉ちゃんの方がもっとずっと……綺麗だよ」
世界中の誰よりも、世界中のなによりも、わたしのお姉ちゃんは綺麗だ。
シスターズプロフィール⑦「夏休みの宿題は?」
摘花「パッパと終わらせますかね。あとに残しておくと、色々と面倒ですし、任務もありますので。」
結芽「えーっと……さ、最初の方に頑張って終わらせるかな〜。だ、だって、あとに取っておいても苦しいだけだしね!(本当は最終日に姉に手伝って貰って終わらせています)」
──────────────────────
ここからは言い訳タイムです。
投稿が遅れた理由の半分は課題ですね。ちょっと自分で色々と見誤ってました。
そして、次の理由が、大賞に応募する作品を書いてた事です。
正直、そこまで影響でないだろって鷹を括ってましたがやられました。
応募作品はプロットまで行っても本編詰まって書けないし、しまいにはスランプ気味になって二次も上手くいかなくなるし。
始めて、自分の話でボツ出しましたよ。
今回の話もスランプ気味で無理矢理書いた感もあるんで、違和感を感じたらご指摘の方お願いします。
それでは、次回もお楽しみにお待ち下さい。(何週間かかるかは言ってない)
摘花ちゃん視点の過去話は見たい?それとも日常の話が見たい?……過去編は少し重いかも
-
過去話やろ!
-
日常一択!