学校が始まってまだ慣れていないので、今回は短めかも。
写真は良い。
思い出を残すのに、これほど適した物はないだろう。
わたしも、昔の結芽ちゃんの写真は一枚も捨てずにとっている。
だけど、
「これは違くない?」
「何も違くありませんわ。とても可愛らしい寝顔が取れてますわよ?」
呆気らかんと言い放つ寿々花ちゃんは、反省の色が全く見えない表情のまま、手に持っていた一眼レフカメラを渡してくる。
……慰安旅行に持ってくるものじゃなくない?
普通のデジカメで良い気がしたが、相手は俗世が大好きなお嬢様。
偶にしか来ない、仲間や友人達との旅行に、心が踊っているのかもしれない。
わたしは、そう考え付けて、
……可愛い。
抱き着きながら眠っている結芽ちゃんの寝顔が、可愛い過ぎる!!!!
あっ、ヤバイ、ちょっと待って……鼻血出てきそう。
急いで寿々花ちゃんからポケットティッシュを貰い、適当な大きさにちぎり、丸めて花に突っ込む。
女子高生としてあるまじき姿だが気にしない。
なにもかも、結芽ちゃんが可愛過ぎるのが悪い!!
…いや、それにしても、わたしの妹は天使じゃないか?
未だに眠っている筈なのに、結芽ちゃんは甘えるように抱き着いてくる。
出来るなら、可愛さを点数で付けて上げたいが……無理だ。
兆や京を超えた、恒河沙や那由多なんて使っても、表しきれない程の可愛さがある。
「寿々花ちゃん?」
「なんですの? 鼻血止めのティッシュ追加ですか?」
「いいや、違うよ。…この写真、言い値で買いたいんだ。勿論、プリントする権利ごと」
「……はぁ、とんだ姉バカですわね。お金なんか積まれなくても、貴女にあげますわ」
さっきとは打って変わって、呆れたように言う寿々花ちゃん。
なーにが姉バカだ。
可愛い可愛い、そりゃもう世界一可愛い結芽ちゃんが妹になって、大大大好きにならない人間が居るのか?
それと、念の為に言っておくけど、真希ちゃんや寿々花ちゃんたちも、十分姉バカ気質あるからね?
わたしが居ない時、甘やかしてるの知ってるんだからね?
「…そう言えば、真希ちゃんたちは? 寿々花ちゃんだけってことはないでしょ?」
「えぇ、今は温泉に入っています。私も先に行こうとしたんですが、偶然二人の寝ている姿が目に入ってしまって…」
「ふ〜ん。じゃあ、そろそろ結芽ちゃんを起こさなきゃね」
「お願いします。…すいませんが、私は温泉で汗を流してきますね。何分、任務が忙しかったものですから」
「いってらっしゃーい」
起き抜けの変なテンションで気付かなかったが、寿々花ちゃんは特別警備隊の制服のままだったみたい。
…もしかしたら、本当に任務が入って急いでこっちに来たのかも。
まぁ、今のが演技だとしたら、女優になってもやっていけると太鼓判を押して上げたいよ。
そう、心の中で彼女を褒めながら、結芽ちゃんの体を優しく揺する。
「結芽ちゃ〜ん? 朝だよ〜?」
「ムニャムニャ……まだ、朝早いよぉ〜」
「起きないと、イタズラしちゃうよ〜?」
ビクリ! と、体が跳ねる。
今ので、確実に起きた筈なのに、結芽ちゃんは一向に体を起こそうとしない。
さては……二度寝するだなぁ?
ふっふっふ、お姉ちゃんは騙せないよ!!
…最初は、軽くジャブ程度に耳元でフーってしてあげよう。
それでも起きなかったら耳を甘噛み、最終的にはご褒美で釣る。
うんうん!
我ながら完璧な作戦だ。
立てた作戦を実行に移すため、わたしは体を結芽ちゃんの方に寄せ、口を耳元まで近付ける。
そして、
「フー…フー…」
「ひゃっ!? ……ふふっ…!」
擽ったいのを我慢してるのだろう、笑い声が漏れたが……まだ起きない。
流石結芽ちゃん、中々に手強い。
でも、次は耐えられる?
「あーん!」
「うにゃあ!? …な、何するのお姉ちゃん!?」
「やっと起きた。もう、寝たフリなんかしちゃダメだよ? 今度やったら……結芽ちゃんが嫌いな、肉詰めピーマンオンリーの夕ご飯を作ります」
「うっ! …そ、それはやだぁ!? こ、今度からしないから、それだけはぁ〜!!」
「分かったなら良いよ。…そうそう、真希ちゃんたちも、もう来てるみたいだから、お風呂入って外出る準備しようか?」
「真希おねーさんたちもう来てるの!! 分かった! すぐ準備するー!」
真希ちゃんたちが来たと聞くと、結芽ちゃんは満開の桜にも劣らない笑顔を咲かせ、布団から出て行った。
早々に準備を始めてる所を見ると、姉妹旅行だけじゃなくて、みんなとの旅行も楽しみにしていたらしい。
……本当に可愛らしいが、少し妬けるなぁ。
でも、お姉ちゃんなんだから、我慢我慢。
わたしは、そう自分に言い聞かせて、結芽ちゃんに続くように準備を始めた。
◇
準備を終えて、全員揃ったわたしたちは、昨日回った所も回れなかった所も含めて、ブラブラと歩いていた。
お土産屋が目に入ると、事ある事に入って行く結芽ちゃんをみんなで止めながら……
「結芽、嬉しいのは分かる少し落ち着いてくれ。迷子になったら困るだろう? 人が少ない訳じゃないんだから」
「だいじょーぶだよ! わたし、そんなに子供じゃないもん!」
むくれる結芽ちゃんも可愛いが、わたしは少しだけ疲れてしまった。
慰安旅行兼姉妹旅行の筈なのに、疲れるとは何事か。
苦笑しつつも、みんなを見守る。
何時もより一歩後ろに下がって、並んで歩く姿を眺める。
性格も容姿も違う筈なのに、まるでみんなが姉妹かのように見えた。
……むむむ、そうすると、わたしが長女なのは確定事項として次女から五女まではどうなるんだろう?
真希ちゃんはパワフルで、考えるより行動するタイプに近い。
感情的な感じもあるし……次女って柄じゃないよねぇ。
四女や五女でもないし、間に立って色々と取り持つ三女かな。
寿々花ちゃんは落ち着いてて、色々な視点からみんなを見てくれる。
仲間思いな所も含めると、次女がピッタリ。
ふーむ、ここまで来ると、後は簡単かも。
結芽ちゃんは五女の末っ子以外有り得ないし、夜見ちゃんもどっちかって言うと、手のかかる妹タイプだから四女。
纏めると、長女わたし、次女寿々花ちゃん、三女真希ちゃん、四女夜見ちゃん、五女結芽ちゃん。
凄い……!?
上手く纏まってる、みんながみんな納得出来る例えだよ!!
現にほら、
「もう、結芽? 顔をこっちにお向けなさい。食べカスが付いてますわ」
「えっ? どこどこ?」
「拭いてあげますから、ほら」
買って貰ったおやつで口を汚した結芽ちゃんを、寿々花ちゃんがお世話してるし。
夜見ちゃんたちの方は、
「夜見? 流石に大きくないかい? ハンドボールくらいある気がするんだけど?」
「大丈夫です。残しませんので」
どこで何時買ったのか爆弾おにぎ──いや、訂正訂正、爆弾おむすびを食べている。
ごめん、ごめんよ夜見ちゃん。
謝るから、その冷たい視線をこっちに向けないで。
おむすび、おむすびだよね?
お姉ちゃん覚えてるから、あんまり睨まないでよ。
……と言うか、その爆弾おむすびどこで買ったの?
それらしい露店なんかも見当たらなかったし、何時買ったのかも分からないんだけど。
情報過多な状況に圧倒されていると、何時の間にか、結芽ちゃん甘やかしタイムが始まっていた。
食べカスを拭き終わった寿々花ちゃんが、何故か結芽ちゃんを撫でてるし。
夜見ちゃんは爆弾おむすびをおそそ分けしてるし、真希ちゃんに至っては手を繋ごうとしている。
……なんでだろう、さっきより情報過多になった気がするのに、自然と頭が情報を整理していく。
今、やるべき事は一つ。
それは……わたしも混ざることだー!!
「結芽ちゃんは…結芽ちゃんはわたしの妹なのー!!」
「ちょっ!? お姉ちゃん? なんでいつも突然なの!?」
「ふ、二人共、あまり道端で騒ぐのは──」
「黙りなさい三女!! 長女のわたしの命令は絶対なの!! 結芽ちゃんを甘やかす権利はわたしだけのもの!」
「さ、三女……? ボクが…三女なのかい? 次女じゃなくて?」
「…案外妥当な所ではありません?」
「私もそう思います」
「ほら、次女と四女も、あなたが三女だと言ってるのよ!」
ボケ倒してるが、これでいい。
姉妹として、家族としてやって行くなら、少しバカっぽく居られるのが丁度いいんだ。
……だけど、結芽ちゃんを取られたくないのはホントだよ?
◇
今日も、朝から色々あったが、この旅行で分かったことが一つだけある。
お姉ちゃんは……エッチだ。
次回もお楽しみに!
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摘花ちゃん視点の過去話は見たい?それとも日常の話が見たい?……過去編は少し重いかも
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過去話やろ!
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日常一択!