大学図書館の会議室に私が到着したころにはかなり緊迫した空気が存在していた
今回の会議もかなり苦労する案件になることは間違いない
「欲が深すぎる人間は身を落とすだけなのに。他人の心配している暇がないのは私も同じね」
では会議を開始しますというとまずは簡単ないつものつまらない話から始まるが、
本題の次回の本の購入について議論が始まるとかなり激しい言い争いが始まった
はっきり言って議論というより口論に近い話だ。どの本が必要で不必要なのかを議論するのだ
あらさがしをするのは当然のことである
これでは会議というよりも喧嘩をしているのとほとんど同じような状況であった
私はまたいつもの論争が始まったと表情には出さなかったが、ため息をつきたくなったが何とか我慢した
「水川カオリさんはどのように考えているのかしら?」
大学図書部の顧問をしている相川リナさんは議論の内容をしっかりメモに取りどれを採用するか品定めをしている
さすがはこの広い大学図書館の図書部顧問をしている力量はある
私はそんな彼女が少しうらやましかった。
私は会議の空気を慎重に見極めながら私の希望購入書籍に関する話も少しずつ入れていく
このあたりの『微調整』がかなり難しいところではあるがやらないわけにはいかない
図書部の部員として仕事はあるのだから
「なるほど。皆さんはかなり高価な本を学校の経費で落としたいと?」
リナさんの突然の言葉に会議室内の空気が一気に凍り付いた
まぁ、これもいつものことなのだが。それでも慣れない人間にとってはかなりビビってしまう
それだけ強力な力を感じる声なのだ
「カオリさん。あなたはいつも通り控えめね」
「リストを絞り込んでいるので」
リナさんの質問に私は冷静に返答した
私もいくつか高価な学術本の購入希望があるが
それでもほかの図書部員の購入希望リストと比較するとかなり金額は低い方である
「いつも言っているけど、私利私欲で本の購入希望書の提出は許されない」
そのことはわかっていますねとリナさんは強い口調で言うと会議室内は静まった
さすがは戦場を渡り歩いていたと話を聞いているだけあって発言には威力があった
場の空気を一気に冷やすという。今までは火山が爆発する寸前だったのに急速冷却されて凍り付いた
「この大学図書館の本の購入会議は公平にしっかりとした議論を行うことを重要にしています」
そのことをしっかりと理解するようにとリナさんが言うと今度は冷静に会議が再開した
先ほどまでの怒号が飛び交うような状況ではなく、冷静な話し合いの議論になった
私はその光景を眺めるだけにしようと考えた。
たまには高みの見物も良いかもしれない。
暴力ではなく、議論で解決することは良い事である
もし私の目の前で暴力が発生して大切な人が傷つくような状況になれば、私は黙っていない
大切な人を守るためには手段を選ぶ余裕がなければなおさらである