人が生み出した神様の私と世界   作:アイバユウ

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私とルミナさんと研修先

 

あの日からしばらく時間が経過してついに教育実習に行く日を迎えようとしていた

 

「カオリ!私も同じ高校になったわ!急遽変更という形でね」

 

「ルミナさん、どうやったんですか」

 

「学長に頼み込んだの。もしネルフ関係でトラブルがあったとしても私が表に出ますって説得したの」

 

その言葉に私は嬉しかった。同じクラスの仲間がいれば心強い

お互いが親しい関係ならなおさらだ。応援があれば教育実習も乗り切ることができるだろう

 

「ねぇカオリ。私は用意はできたけどそっちは?」

 

「どうせ帰ってくる場所はここだし。通勤すると思えばそれほど距離がないから。必要な教材だけを持っていくだけ」

 

「さすがは成績トップの実力を持つ者って感じね。何か勉強の秘訣でもあるの?」

 

それは私が神様に近い立場だからだとはいえるはずがない

全知全能の私だからあらゆることを記憶している

だから大学の試験やレポートなどは簡単な作業でしかない

 

「それじゃ、行きましょう」

 

私とルミナさんと一緒に大学寮前にある第三新東京市が運営している市バスの停留場に向かった

そこからバスに乗り込むと割り当てられた高校に向かった

高校に向かっているバスの中でかすかにだが、火薬のにおいがした

おそらく誰かが拳銃を持っているのだろう。狙いは私か。

ゼーレの構成員か、ネルフの構成員か。私は慎重に気配を探った

神様の特権で彼らの脳内の記憶を調べると嫌な結果が出た

火薬のにおいをさせていたのはネルフ本部保安諜報部の構成員だ

 

「どうかしたの?カオリ」

 

私は神妙な表情をしているのに気付いたのか。

ルミナさんが質問をしてきた。私は何でもないわと答えた

話すわけにはいかないのだ。私が私であるためにはうそをつき続けるしかないのだ

私はもう碇シンジではなく水川カオリなのだ。

今日からは教育実習だが、彼らと接触する機会も増えてくるだろう

これからの未来は私にも想像できないけど、自分の手でつかみ取るしかないのだ

未来を。それがどんなに過酷なことでもだ

 

「平和が続けばいいのに」

 

私は周囲に気づかれないように独り言をつぶやくとため息をついた

どうやら大学にいろいろと迷惑をかけてくれたのが誰なのかすぐにわかった。

あのエヴァのチルドレンがいる高校を教育実習先に選抜したのはネルフサイドの圧力であることは明確だ

 

「カオリ?どうかしたの?」

 

「ルミナさん。なんでもないですよ」

 

これから面倒なことになることが分かると楽しみよりも苦労を感じる

私に再び尋問をするつもりなのか。それとも監視を続けるつもりなのか

何かへまをしたことを見つけて、そのことで情報を引き出そうと思っているのかもしれない

いづれにしても何を考えているのか。私の監視を強化して何かをするつもりなのか

それともアスカやレイたちと接触させて何か狙いがあるのか

できることなら彼らとはあまり接触したくない

 

 


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