朝起きたら別に最新話を投稿した訳でもないのにアクセス数が伸びている……何かあったのかな?と思う。
とりあえず日課の日刊ランキングを漁りに行く。
何か見覚えのある作品がある。
別の作品と間違えてね?えっなんか不正でもしたんか俺?と首を捻る。
とりあえず本当なら嬉しいので割とリアルで精神ダメージを負いあまり執筆が進んでいなかったが執筆意欲が湧く。
この話を投稿←今ここ
という訳でにわかには信じがたいのですがこの作品が日刊ランキングに名を連ねていました。正直今でもえっ……と疑っているのですがもし本当ならば読者の皆様のお陰でございます本当にありがとうございます。また軌跡シリーズの二次創作にほんの少しでも貢献出来たのならばこれ程嬉しい事はありません。夏にでる創の軌跡に向け軌跡熱が少しでも広がるといいなぁと思う所存でございます。長々と前書きを書いてしまいましたが十一話になりますどうぞ。
二回目の実習が終わりハイメがⅦ組に復帰してから少しの時間が流れた。普段通り学生生活を過ごし時は昼休み、ハイメはある事に頭を悩ませていた、それは修行の方法である。先日の一件以降ハイメが行っていたクオーツの恩恵を受けずに魔獣と戦闘するという方法をやめるよう教官、クラスメイトにキツく注意されてしまいハイメは独力で今以上に自分の力を伸ばす事に限界を感じ始めていた。正確には身体能力はある程度身に付いたと自負しているが技術面がまだまだ未熟だと、折角身に付けた身体能力を活かしきれていないのではないかと考えるようになった。ならば誰かに師事をお願いするしかない。そこで思い付いたのが教官であるサラに師事をしてもらうか戦闘スタイルの近いアンゼリカに師事してもらうかで頭を悩ませていた。
「うーむどうしたものか……」
「また考え事かハイメ」
「ガイウス……」
ガイウスがハイメの様子を見かねたようで声を掛けてくる。手には町のパン屋で買ったであろう昼食がありハイメが視線を向けるとガイウスは紙袋から二つのパンを取り出す。
「よかったら一緒にどうだ?俺で良ければハイメの悩みを聞かせてもらえないだろうか?」
「そうだな今考えてもすぐに答えはでないしご一緒させて頂こう」
ガイウスが風に当たりながら食べたいという事で二人は途中で飲み物を購入し屋上へとやってくる。5月後半という事もあり気温は丁度良いのだが風があるためかいつも昼食時に賑わっている屋上の利用者は少なかった。二人は適当に空いている場所を見つけ昼食にありつく。
「しかしガイウス、このパン本当に貰ってしまっていいのか?」
「構わないさ、実はあまり形がよくなく売り物にならないからと譲って貰った物だからな」
「そうだったのか、それではありがたく」
ハイメは少しの間昼食に舌鼓をうちつつガイウスをちらりと横目で見る。ガイウスと話す機会は少ないわけではないが多い訳でもない、それでも何故かこちらが困っている時や考え事をしている時にスッと現れ話を聞いてくれる。リィンとはまた違ったリーダーとしての資質をハイメはガイウスに感じていた。パンを食べ終えるとポツリ、ポツリとハイメは悩んでいた事をガイウスに話し出す。ひとしきり話終えるとガイウスは真剣な表情で空を眺めながら少しの間沈黙して一言「難しいな」と言った。
「俺はそのアンゼリカ先輩の事をよく知らないから何とも言えないがハイメはその二人から何を教えて貰い何を身に付けたいんだ?」
「それは……その技術を……」
「答えが漠然とし過ぎているな、誰に師事を受けるかよりまず自分は何を師事して貰いたいかというヴィジョンを明確にした方がいいんじゃないか?そうすれば自ずと道は見えてくる筈だ」
「確かに……流石だなガイウス」
「丁度午後の教官の授業は一対一の模擬戦なんだ、そこで何か掴めればいいな、勿論俺が相手なら手加減はしないが」
「臨むところだ、改めてありがとうガイウス」
その後予鈴がなるまで屋上で風に当たりながらとりとめもない雑談をしつつ次の授業に備える。教室に戻り待っていると程なくしてサラが教室に入ってくる。そのままグラウンドへと移動し模擬戦の組み合わせが書かれた紙を取り出した……のだがそれを見たⅦ組一同固まってしまう、その様子にサラは大変満足そうだ。一番先に我に帰ったリィンがなんとか声を絞り出す。
「こ……これは……」
「普通にやるんじゃつまらないからトーナメント形式にしてあげたわよ♪こっちのほうが燃えるでしょ?」
事実上のⅦ組単独戦闘能力の最強決定戦、反応は様々だが皆どこか闘志に満ち溢れていた。ハイメの出番はどうやら一番最後のようだ、そして相手は……
「先程いった通りだ、手加減はしないぞハイメ」
「ガイウス……あぁよろしく頼む」
ガイウスは腕を組ながら表情はいつもと変わらないが瞳に静かに闘志を灯している、ハイメ自身2回の実習でガイウスと一緒になった事がなく本気で戦う所を見ていないが手強い相手なのは間違いないだろう。
(といっても今の自分に手強くない相手などいないのだが……)
「よーしそれじゃあちゃきちゃきいくわよ!自分達の番じゃなくても見て吸収出来る事はしっかり吸収しなさい!」
一戦目はフィーvsアリサ、フィーの変幻自在な攻めと機動力にアリサは対応しきれずあっさりとフィーに懐に潜り込まれフィーの勝利。二戦目、ユーシスvsマキアス、一戦目同様ユーシスの間合いにマキアスが入れば即ゲームセットのこの一戦、マキアスはなんと自らユーシスへと突っ込んでいく。虚を突かれたユーシスは一歩で遅れ反撃を試みるがマキアスの銃弾の雨にさらされ思うように動けない、何とか突破しマキアスに近づくもマキアスはユーシスが近づくと地面を撃ち砂埃を起こす。こうなると攻撃範囲の広さでマキアスが有利になりユーシスはそのまま敗北してしまう、今回はマキアスの作戦勝ちに終わる。三戦目リィンvsラウラ、同じ剣を使うもの同士のこの一戦、熾烈な剣の打ち合いになるがパワーでラウラに分があり徐々にリィンが不利になる。起死回生の一手を打つべくリィンは一旦距離を取りカウンターに賭けるもそのカウンターごとラウラは持ち前のパワーで押しきり剣士対決はラウラに軍配が上がった。続く四戦目、エマvsエリオットの試合、序盤はエリオットの手数に圧されているように見えたエマだがじりじりと距離を空けておりお互いの導力杖の攻撃範囲から外れると素早くアーツを駆動する。負けじとエリオットもアーツを駆動するが時すでに遅し、エマのアーツをもろに喰らってしまいエマの勝利となった。そしていよいよハイメvsガイウスの試合が始まる、ある意味注目の一戦として観戦にもどこか熱が入る。
「正直……この組み合わせどうなんだ?」
とリィンが首を傾げる。リィンもハイメ同様唯一ガイウスとは特別実習で一緒になっていないためガイウスの実力を計り損ねていた。そんなリィンとは対照的に他のⅦ組メンバーは黙りこくってしまう。
リィンが何事かと思うとエマが沈黙を破る。
「その……最初の実習で私達が何とかやれたのはフィーちゃんも勿論なんですがそれ以上にガイウスさんの力が大きいんです」
「正直Ⅶ組の中ならガイウスと一番やりたくないかな」
「ハイメに勝機があるとすれば自己強化から一気に押しきるくらいだが……」
「フン、奴はさせてくれないだろうな」
「えぇ……ハイメの勝つ確率はかなり低いでしょうね」
エマに続きフィー、マキアス、ユーシス、アリサまでもがガイウスが圧倒的優勢と判断している。改めてリィンはガイウスという男の凄さを感じるがそれを一番感じているのは今まさにガイウスと相対するハイメだった。
(どうする?正直ガイウスに自分が勝っている点などスピードくらいしか……いや、それすらも怪しいかもしれない、ここは剛龍招来で短期決戦を仕掛けるのがベストか……?)
「準備は出来たかハイメ?」
「あぁ胸を借りさせてもらうぞガイウス」
「双方準備はいいわね?それじゃあ……はじめ!」
サラの合図と同時にハイメはガイウスから距離を取る、一気に剛龍招来で決めるつもりだったがガイウスは槍を振るい旋風を起こす。
「読めていたぞハイメ!ゲイルストーム!」
「くっ!」
距離をとったため回避には成功したがいきなり目論見を潰されたハイメ、これで剛龍招来での勝ち筋は完全に断たれてしまう。
当初の作戦が失敗に終わった事にハイメは歯噛みしながらも気持ちは切らさない。
「クソッまだだ!」
地面を蹴り一気に間合いを詰めようとするハイメ、ガイウスは槍のリーチの長さを活かした迎撃をしハイメは自分の攻撃の間合いへ潜り込めず逆にガイウスはの猛攻に晒されてしまう。
「どうしたハイメ、これで終わりか!?」
「まだだ!」
ガイウスの突きに合わせるように蹴りを放つ、槍から伝わる衝撃に思わず後ずさるガイウス。これで一旦仕切り直す形となる。どうにかガイウスの猛攻を凌いだハイメは次の一手を思案する。
(ガイウスの視線、足運び、間違いない右から攻めてくる……ならば左から回し蹴りを放ち、態勢を崩して決める!)
先に動いたのはガイウス、ハイメの予想通りガイウスは右から攻めてくる。ガイウスに合わせるようにハイメは駆け出し左側から回し蹴りを放つ。
「これはいったか!?」
リィンが声を上げたその時、ガイウスは咄嗟に槍を左手に持ち替えて槍を薙いでくる。これにハイメは対応しきれず逆に態勢を崩されかけるがなんとか片足で踏んばる。しかしそれすらも読んでいたかのようにガイウスの次の一手は足払いだった。尻餅を着き顔を上げると眼前には槍の穂先がある、ハイメの完敗だ。ガイウスを見上げるハイメとハイメを見下ろすガイウス、図らずともその構図はガイウスとハイメの差を現すようだった。そんな事を考える自分に嫌気が差したハイメは思わず顔を背けてしまう、そのタイミングでサラが終了の合図を告げ、ガイウスとハイメは下がっていく。
「お疲れ様だハイメ、何か掴めたか?」
と声を掛けてくるガイウスに二重に負けた気分になる、何故自分の攻撃に対応出来たのか今すぐ聞きたい衝動を抑えハイメは声を絞り出す。
「あ……あぁ、今日の仕事が終わったら教官の元へ行こうと思う」
「そうか、何か掴めたならば俺も相手をさせてもらって良かったよ」
ガイウスの笑みに敵わないなと思いつつも気持ちを無理矢理切り替え観戦に集中する。この後フィーがマキアスを破りラウラがエマ、ガイウスを破り二人の対決となる。予測不可能なこの対決は多彩な攻めでラウラにしたい事をさせなかったフィーが勝利を飾る。こうしてフィーがこの模擬戦の覇者となった。
「……やったね」
言葉の割にいつもの無表情ながら控えめなピースサインを作っているフィーに他のメンバーは惜しみ無い称賛と拍手を贈る。
こうしてサラの講義の時間は終わり時は放課後、ハイメは今日の分の仕事を終え教官室を訪れる。自由奔放なイメージのあるサラが教官室にまだいるだろうかと若干の不安を抱きつつ入室するとハイメの予想とは裏腹に机にかじりつき書類もにらめっこするサラの姿が目に入る。タイミングが悪かっただろうか、後日出直すべきか……とハイメが悩んでいるとサラが丁度顔を上げ視線が合う。
「あら~ハイメじゃない?なぁに?ようやく教官である私を頼る気になったのかしら?」
「えっ……はいそうなのですが……急ぎの仕事中ならば後日出直しますが」
「訪ねてきた教え子を無下には出来ないわよ、てことでトマス教官あとよろしく♪」
「えっ!?え~?」
「さぁ善は急げ!キナジウムへ行くわよ」
サラに仕事を押しつけられるトマス教官にハイメはの中で謝りながらサラとキナジウムにある武術修練場へと向かう。
「それで、私に用って事は今日の模擬戦での事よね」
「はい、最後自分はガイウスが右側から攻めてくるの読んでいました」
「でも負けた……自分なりに敗因は考えてきたのかしら?」
「自分同様ガイウスもこちらの動きを読んでいたのではないかと思うのですが……」
「んー、それもあるかもしれないけど多分外れね、正解は恐らく貴方の攻撃は読む必要がないから」
「なっ……!」
攻撃を読む必要がない、それはハイメ自身の攻撃が全く脅威ではないという事になる。まがりなりにも武術を師事した自分の攻撃が脅威ではない、つまり……
「攻撃力が不足している……?」
「残念またまた不正解、それじゃ答え合わせといくわよ、どこからでもいいから私に一撃入れてみなさい」
そう言って構えるサラにハイメはいきなり自分の出せるトップスピードを出し回し蹴りで頭を狩りに行く……が右手で防御され左手で押し返される。続けて足、腕、と狙う場所を変えてもことごとくサラに防御される、しかもその場から一歩も動かず武器すら抜かれずだ。
「ハァハァ……実力の差は重々承知していたつもりだがここまでとは……」
「あら?なら今度は私が貴方を攻撃するわ……そうね、今の貴方の半分くらいのスピードで攻撃するから防いでみなさい」
「なっ!それはいくらなんでも……!」
「いいからいいから♪構えなさい!いくわよ!」
サラは確かにハイメのスピードの半分くらいの速度で動き間合いを詰めてくる。しかもサラが選択した攻撃の手段は大振りなアッパー、いくらなんでも攻撃の挙動が大きすぎる、すかさず顔面を防御するが反対の手でボディに予想外の一撃を貰う。
「ぐうッ」
「ほらほら次いくわよ!」
一旦距離を空け再度ハイメの方に突っ込んでくるサラ、しかし動きの合間合間に小刻みなステップを入れ狙いが絞れず今度は足を狙われ回避すべく大きく後退してしまう。
「わかったかしら?貴方どこか自分のスピードを過信してる節があって動きそのものがとても単調なの、だからどんなに早くても攻撃が対応されてしまう、それに防御もおなざりね、貴方は武器を使わない生粋のインファイターなのに自分が対応出来ない攻撃はそうやっていちいち距離を空けないと回避できないのかしら?」
「うっ……それは……はい」
サラの指摘に思わず言葉を詰まらせるハイメ、こんな分かりやすい弱点があった事、この短時間で弱点を2つも見抜いたサラの凄さに思わず気圧される。
「取り敢えず大きな問題はその二つね、すぐに……は難しいでしょうね、本当はみっちりしごいてあげたいけど貴方学院での仕事もあるのよね……うーん、とりあえず次の自由行動日は私に付き合いなさいな、放課後は毎日は無理だけど空いてる時は手を貸すわ」
「すみません、自分が不甲斐ないせいで教官の時間を使わせてしまい……」
「バカ!そこはありがとうでしょ~♪貴方は生徒で私は先生、悩んでいる生徒を無下には出来ないわよ、あっ出世したら私にしこたま奢りなさいよ~?無料で飲む酒ほど美味しいものはないんだから」
「はい!是非奢らせて下さい!」
窓の外を見ると完全に日が落ちていたため今日の修練はこれで終わりとなりサラはまだ少し仕事があるからと教官室へと戻っていく。その後ろ姿を見送りサラが修練場を出ていった事を確認しハイメはその場に大の字で寝転がる。思い起こすのは今日1日、そしてガイウスとの対決……
「同じ歳なのにあそこまで差がある……わかっていた、納得していた……つもりだったんだろうな……」
悔しい、思い返せば思い返す程自分の未熟さに腹が立つ。あの時こうすれば、何故安易な攻めをしたのか、まだ心のどこかでガイウスの実力を甘く見積もっていたのでは?今考えても意味のない……それでも思わずにはいられない思いが溢れて止まらない。
Ⅶ組メンバー、そしてサラの前では必死押し留めた、せめてこんな情けない姿だけはまた見せまいと、明日からは切り替えるだから今だけは……
「う、うああああ……」
ハイメ=コバルト、彼がトールズ士官学院特化クラスⅦ組の本当の意味で並び立つのはまだ……果てしなく遠い……
めでたい事が起きたのに話は割と暗め、というかまぁいくら気持ちを新たにしても実力は変わらないし劣等感や罪悪感といった負の感情はそう簡単にはなくならないよねというお話でした。