愚直な軌跡   作:ネオニューンゴ

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 今回は話のきり処が難しかったためかなり短めとなっております。それとUA一万突破&お気に入り100件ありがとうございます。また恋愛が絡んできて多くの感想を頂き大変嬉しく思っております。一応ハイメはアリサに惚れましたが、だからヒロインはアリサ決定ではなく、あくまでまだヒロインは未定であります。ハイメにとって苦しい展開が続きますがよろしくお願いします。


第十三話 テストの結果と貴族クラス

 テスト結果発表日、あれからいくつかの大きな出来事があった。まずアリサの家のメイドであるシャロンさんという方が学生寮に現れたこと、これによりアリサは平民という身分に違いはないがどうやら普通の家庭ではないと思っていたがなんとラインフォルトの娘だったらしい。ラインフォルトとはラインフォルト社、帝国最大にして世界最大級の製造メーカーで兵器全般の生産ラインを担っている。そのため死の商人と揶揄される事もありある意味普通の貴族より影響力は大きいが確かに家名を隠したがるのも頷ける話だった。

 もうひとつの出来事はフィーとラウラが仲違い、元々仲が良かった訳ではないがラウラが一方的にフィーを避けているようだった。当のフィーはどこ吹く風で気にしておらずそれが余計に達が悪い。マキアスがポロリとラウラにフィーが猟兵団に在籍していた事をこぼしてしまい恐らくそれが原因でフィーの事を避けているのだろう。

 実習前にイベントが多くあったが何はともあれ今は中間試験の結果発表日の昼休み、やれるだけの事はやったしいつもよりは手応えはある、大丈夫な筈だとハイメは意気込みながら廊下に張り出された結果を確認する。

 

「よ、43位……」

 

 102人中43位という結果に頬をひくつかせるハイメ、確かに半分より上と言えば上だが喜べばいいのか悲しめばいいのか分からない、とはいえⅦ組の中では下から2番目でフィーがほぼ基礎知識0の状態から77位なので次回以降は確実に順位を上げてくるだろう事を思うと何とも言えない気持ちになる。とはいえ予想以上にⅦ組メンバーが優秀過ぎるのだが……さらにクラス別の総合平均点の結果でⅦ組が一位を出しているのがまた何とも言えない気持ちに拍車を掛けた。皆が喜んでいる中いまいち貢献出来たのか出来ていないのか分からないハイメをその姿を遠巻きに眺める他なかった。

 

(いや、切り替えよう午後からは実技テストがあるんだ、そこで挽回するんだ)

 

 一応ハイメはテスト期間に合間を見つけてはサラに師事してもらい前よりは攻め方は良くなっている……筈なので実技テストで巻き返そうと意気込む。昼休みが終わりグランドへ行くとサラが前回までのテスト同様に戦術殻の起動準備をしているとそこへ貴族クラス、Ⅰ組のパトリック=ハイアームズとその取り巻き達がが現れる。

 

「何やら面白そうな事をしているな」

 

 マキアスが露骨に不審そうに彼等を見ているが本人達はそんなことは気にもとめていないようだ。貴族クラスと面倒を起こすと録な事にならないと思ったハイメは一応面識があるためパトリックに用件を伺う。

 

「今は授業中の筈ですが……どうされたのでしょうか?」

 

 ハイメが質問をすると不愉快そうにパトリックは口を開く。

 

「前にも言っただろう凡人平民、無駄な努力を時に気付かせてあげるのも上に立つものの責務だと」

 

 パトリックの言葉に数名が殺気を放っているが当のハイメが言い返さないためかパトリックはさらに饒舌になる。

 

「それにⅦ組諸君は舞い上がっているようだからね、フンよく集めたものだ、浮浪児に野蛮人に猟兵上がり、それに成り上がりの商人の娘だと!?全く同じ学院に通う僕らの品位まで疑われてしまうよ、まぁだからといって平々凡々の一般庶民までいるのもどうかとは思うがね」

 

 Ⅶ組メンバーに対する明らかな挑発と侮辱、普段あまり怒りを覚えないハイメでも自分以外の人間を乏されればさすがにカチンとくる。マキアスもこめかみに青筋をたてながらパトリックに言い放つ。

 

「ご用件をどうぞ」

 

「フン、余裕のない奴め!まぁいいそんなガラクタ相手だとつまらないだろうと思ってね、今日は特別に僕達が相手をしてあげよう」

 

 こうして変則的なⅠ組との模擬戦を行う事になったのだが女子メンバーは無し、貴族であるユーシスもなしとパトリックは難癖をつけてきて結局リィン、マキアス、ガイウス、エリオット、ハイメの五人が戦う事になるが始まる前にユーシスが警告をしてくる。

 

「奴はあれでレイピアの名手だし取り巻きも宮廷剣技を修めている、油断は出来ん相手だぞ」

 

 女子組からも激励を受け五人はグラウンドの中央に集まり各々の得物を構える。

 

「それでは……はじめ!」

 

 サラの開始の合図で各々が動き出す。先手をとったのは中央突破を狙うⅠ組……ではなくそれを逆手にとったハイメだった。Ⅰ組のパトリックを含む前衛三人が中央突破を仕掛けるなかⅦ組はリィンとガイウスが大きく左右から回り込むように動く。

 

「フン!所詮は平民だな!凡人を残して我々の後衛を狙いにいくとは!」

 

 Ⅰ組の戦略としては三人で中央突破をしまずはエリオットとマキアスを倒す算段だったのだろう、視線と足の動きで三人の動きを予想していたハイメは近くにリィンとガイウスがいない事を確認し振脚を放つ。

 

「ぬわぁっ!」

 

 ハイメの振脚により予想だにしなかった形で体勢を崩し機動力を失うパトリック達、そこにマキアスとエリオットがアーツを放つ。すんでのところでパトリック達はそれを避けるが三人固まっていた筈が既にバラけてしまっている。

 

「リィン!ガイウス!」

 

「あぁ!」

 

「任せてもらう!」

 

 予め左右に展開していたリィンとガイウスがパトリック達を追撃する。当然Ⅰ組後衛組をさせまいと牽制してくるがリィンもガイウスも巧みに動き中々的を絞らせない。そうこうしてるうちにエリオットとマキアスは前進している。これでⅠ組は左右、そして前後に分断された形に対してⅦ組は左右にリィンとガイウス、真ん中にハイメ、そのすぐ後ろにはエリオットとマキアスと包囲網を完成させる。パトリックはこの状況を打開するべく前衛一人を引き連れてリィンの方へと向かっていく。リィンは後退しつつハイメは2対1の状況を作らせないようにリィンの方へと向かう。しかしタッチの差でパトリック達がリィンに肉薄する。

 

「くっ……」

 

「捉えたぞシュバルツァーの浮浪児め!」

 

「伏せろ!リィン!」

 

 後ろから聞こえるハイメの声を信じてその場にしゃがみ姿勢を低くするリィン、するとリィンの上を飛び越えハイメの飛び膝蹴りがⅠ組生徒に直撃する。リィンを捉えた、そう思い攻撃にばかり意識がいっていた彼はまともな防御をとる事さえできず大きく吹き飛ばされ痛みに喘いでいた。

 

「形勢逆転だ!パトリック!」

 

 ハイメの後ろから出てきたリィンが太刀を振りパトリックは防御を余儀なくされる。しかしパトリックの執念かそれとも貴族としてのプライドが為したのかすぐさまパトリックは鋭い三段突きを放ちリィンに決して軽くはないダメージを与える。リィンはダメージのせいか片膝を着く。これで状況はパトリックとハイメの一騎討ちとなる。

 

「凡人が!貴様なぞすぐに始末してやる」

 

「自分にもⅦ組としての意地というものがある!」

 

 パトリックの鋭い突きにハイメは体を細かく左右に動かしながら回避する。そんなハイメに対しパトリックは苛立ちを募らせ遂に上体を大きく前に出して突きを放つ。

 

「好機!」

 

 パトリックの突きに合わせるようにハイメは三段蹴りを放つ。一発目でパトリックのレイピアの軌道をずらし二発、三発目はがら空きの体に叩き込む。

 

「ぐっ……まだまだ!」

 

 体を大きく仰け反らせながらも何とか踏ん張るパトリック、ハイメはパトリックを戦闘不能に追い込むべくさらに攻撃を仕掛ようとするがダメージが回復したⅠ組生徒がそれを防ぐべくハイメに切り掛かる。

 

「パトリック様はやらせん!」

 

「クソッ!後もう少しのところで……!」

 

 ハイメは悪態を吐きながら意識を攻撃から防御へと切り替える

二人の攻撃全てに対応はしきれずなるべくクリーンヒットを貰わないよう相手の攻撃をずらすように立ち回る。

 

「クソッしぶとい!いい加減に倒れろ!」

 

「これしきの事で!」

 

 攻防は続き徐々にハイメが不利になっていくが持ち直したリィンが復帰し有利となる。Ⅶ組内でトップクラスの連携経験を持つリィンとハイメ、連携の差で最後はパトリック達を押しきる形となる。丁度同じくらいのタイミングでガイウス達もⅠ組生徒を倒しており互いを健闘しあっていた。

 

「ふぅ~なんとかなったよ~」

 

「二人のお陰で戦いやすかった、ありがとうエリオット、マキアス」

 

「いやいや君が前衛を張り続けてくれたお陰さ」

 

 ハイメがチラリと横を見るとリィンは頷き破顔する。手を上げハイタッチを交わす二人を恨めしそうに見上げるパトリックは立ち上がり肩を震わせる。

 

「調子になるなよ!平民風情が!今回はたまたまだ!同点首位?貴様らがでかい顔をするんじゃない!平民は平民らしくしていればいいんだ!」

 

 パトリックは敗北の悔しさからか感情を爆発させてしまう。そんなパトリックの姿にどこか自分を重ねるハイメだったが他の者はそうはいかない。

 

「貴族とはそんなに偉いものなのか?」

 

 Ⅶ組の誰かがパトリックに言い返してもおかしくない状況でガイウスが目をスッと細め真っ直ぐにパトリックを見つめる。貴族制度に馴染みのないガイウスだからこそ言えた言葉なのだろう。サラは「良い観点ね」と小さく呟きパトリックはガイウスの問いに答える事が出来ず狼狽えてしまう。その後も何か言いたそうなパトリックだったがサラが場を収め一応事態は収束を迎える。

その後残りのメンバーの実技テストもつつがなく終了し実習先とメンバーの発表となる。

 

A班 リィン、ユーシス、ガイウス、ハイメ、アリサ、エマ

 

目的地 ノルド高原

 

B班 エリオット、マキアス、フィー、ラウラ

目的地 ブリオニア島

 

 ブリオニア島は帝国西方に位置して遺跡で有名な島でありノルド高原は帝国北東にあり帝国に属さない地として有名だった。そして……

 

「良い機会だ、皆には俺の実家に泊まってもらうとしよう」

 

 ガイウスは故郷に戻れる嬉しさからか瞑目しながらもどこか嬉しそうにそう言うのだった。

 

 

 

 

 

 




 という訳で13話でございました。正直この回は滅茶苦茶苦心しました。改めてⅠのパトリックを見ると逆に誰だお前状態で最初は適当にこの話は流そうと思っていましたがこりゃヘイトが向かない方が難しい、ならいっそとパトリックにはヘイト役を買って貰いました。ここでパトリックファンの皆様に謝罪させて頂きたいと思います、すみませんでした。
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