ドレッドヘアーの男《E》の気迫に呑まれかけるリィンとハイメだが気持ちを強く持ち直し戦闘態勢に入る。そんな二人を見てEは満足そうに口元を歪ませる。
「まず気持ちは合格だなぁ!」
「き、貴様!武器はどうした!?」
「あーん?こんな奴等相手ならいらねぇんだよテメェはさっさと離脱するんだな」
Gが離脱しようと動くと同時にアランドールもGを確保しようと動くが先に動いた筈のアランドールの腕が気付けばEに捕まれている。
「おいおいつれないことしようとすんなよ、一応警告しといてやるけど見逃しといた方が身のためだぜ?」
「へっ、出来る事ならそうしたいが生憎それは許されない立場なんでねっ」
「リィン……今のEという男の動き……」
「あぁ……見えなかった……」
二人はEと呼ばれる男の底知れぬ力を感じ嫌な汗が流れる、自分の本能が目の前の男には手を出すなと警告をしているようだった。出来ることならば今すぐこの場から逃げ出したい……そんな気持ちが二人を支配する。
「Eここは任せたぞ」
「……!させない!」
「逃がすか!」
それでも二人を突き動かしたのは正義感によるものなのか反射的に動いてしまったのか、二人はGの離脱を阻止すべくGとの距離を詰める……が、それを当然Eは許す筈もない。
「慌てんなよ」
一瞬で目の前にEがあったから現れたかと思うと次の瞬間には空を見上げていた。二人が自分が転ばされたと認識したのは転ばされて10秒程たった後だった。そうこうしている内にGはこの場から離脱をしてしまう。だがリィン、ハイメ、レクターの三人の頭の中から既にGという男は消え去り目の前の脅威、Eという男にどう対処すべきか頭をフル回転させ考える。そんな三人を今度はつまらなさそうに見てEは口を開く。
「あんまり待たせんなら……こっちから行くぜ?」
突然の開戦、いや既に戦いは始まっていたのだ……それなのに敵を前にして思考の海に潜るという本来ならばあり得ないミスをしていた三人の体に緊張が走る。Eの動きに最初に反応したのはやはりというべきかレクターだった、得物であるレイピアを抜き放ち接近するEに対し高速の突きを放つがEは体をほんの少し動かすだけで全ての突きを回避する。
「ちぃっ!」
「反応したのは流石鉄血の子ってかぁ?まぁ赤点ギリギリだけどなぁ!」
お返しとばかりにEの拳がレクターの顔面を捉える、後退を余儀なくされたレクターと入れ替わるようにリィンとハイメがEと対峙する、二人は左右から同時に攻撃を仕掛けるが……
「紅葉斬り!」
「烈空穿!」
「おっそぇなぁ!?」
リィンの太刀は弾かれハイメの蹴りは掴まれてしまう。そのまま掴んだハイメをリィンに放り投げあっという間に二人は無力化されてしまう。
「太刀のガキは八葉か、んで蹴りのガキは……なんつったか?オルディスの方で……まぁいいか思い出せねぇ程のヘボ流派なんて」
Eは驚く事に一回の攻防でリィンとハイメの使う流派を特定したらしい。しかしハイメはそんな事はどうでもよくなるくらいEの一言はハイメを怒らせた。
「貴様!鳴神流がヘボ流派だと!取り消せ今の言葉を!」
「あ~ん?」
自分が習得しようと励んでいる流派を馬鹿にされて怒らない者等いないだろう。しかしそんな事は知った事ではないと言わんばかりにEはハイメを睨み付ける。
「何でテメェみてぇなカスごときに俺が命令されなきゃいけねぇんだ?あぁ?」
「は、ハイメ一旦落ち着くんだ!」
「怒りに身を任せて勝てる相手じゃないと思うぜ?」
「ぐっ……クソッ!」
今にも飛び出しEにつかみ掛かりそうな勢いのハイメをリィンとレクターが何とか諌める。溢れんばかりの怒りの感情を悪態を吐く事で少しでも和らげようとする。心は炎のように燃え盛っているが何とか頭の中だけは冷静さを取り戻すハイメ。そんなハイメの様子を面白くなさそうに見るE。
「チッ、んだよ来ねぇのか……つまんねぇな」
どうやらEからは仕掛けてこないようなのでそれに甘える形で三人は作戦会議を行う。
「いいか、三人で一斉にやるぞ……それでも倒せる相手じゃあなさそうだが生憎こっちも退けないなから……学生にはちと荷が重すぎる相手だが付き合ってくれ」
「えぇ、このまま奴を放っておくと石切場の中で戦ってる皆まで危ない、せめて皆と合流するまでの時間位稼いでみせます」
「自分も……奴には一矢でも報いないと気が済みません」
「よく言った、波状攻撃を仕掛けるぞ、まずお前ら二人が同時に行って最大級の技を仕掛けてくれ」
「いえ、自分が最初に一人でいきます」
「ハイメ!」
「リィン、自分も冷静さを完全に失った訳ではない……自分の蒼嵐雷斧は連撃前提の技だ、悔しいが奴には通じると思えん、何とか体勢だけでも崩してみせるから後は頼むぞ」
「決まりだな」
「オイオイあんまり待たせんなよ、ただでさえ退屈なんだからよぉ」
「今その余裕そうな笑みを消してやる……!」
作戦通り先ずはハイメがEへと肉薄する、ハイメは自分の持てる最大限のスピードを出しその勢いで膝蹴りを放つ、当然のようにEは避けるがハイメもそれくらいは予想している、そのままの勢いで回し蹴り、三段蹴り、足払いと仕掛けるがことごとく当然のように避けられてしまう。
「うぜぇ、死ねや」
Eは拳を突き出しハイメの腹を抉るように打ってくる、しかしハイメはEから攻撃を仕掛けられるのを待っていた、もし何かEに対してこちらから有効なワンアクションを起こせるとしたら相討ち覚悟のカウンターしかないと思っていたからだ。覚悟はしていたが想像以上の一撃に肺から酸素が絞り出され激痛が襲ってくる、それでもハイメを突き動かしたのは自分の流派を馬鹿にされたという怒りだった。
「……!」
崩れた体勢から執念で震脚を放つハイメ、それが功を奏し若干ではあるものの確かにEの体勢が崩れる。
「ハイメ!くっ焔の太刀!」
そこにリィンが走り込み最大級の太刀をEに放つ、Eは煩わしそうに両手をクロスさせリィンの攻撃を防御する。リィンの太刀はEを捉える事に成功した……がリィンの最大級の技をものともしていない様子だった。
「学生にしてはまぁまぁだな、そこに転がってるカスよりはやるぜ」
「ハイメを馬鹿にするな!」
「もちっと力を着けてから吠えるんだなぁ!」
Eのラリアットがリィンの顔面を捉えリィンは地面に倒れ伏す。しかしレクターが既にEの背後をとっており……
「もらっ……」
「わねぇよ」
闇討ちのタイミングで言えばレクターのとった行動とタイミングは完璧と言っても差し支えなかった。倒れながら見ていたリィンとハイメもこれは決まったと思ったがEのポテンシャルはその上をいった。レクターにアイアンクローを決め意識を落としに掛かる。
「ぐあああああっ!」
「テメェレベルが三人ならまだしも学生混じりじゃあ俺は殺れねぇなぁクックック……落ちな」
どうにかEの手から抜け出そうともがくレクターだが動きもだんだんと弱々しくなり遂に体から力が抜けだらんと腕が下がる。その光景を見ながら二人は自分の体が震えているのに気付く。心が恐怖に支配された二人を待っていたのは圧倒的な暴力だった。
「さぁ~て授業の時間だカスども、圧倒的な相手に立ち向かったらどうなるか今からじっくりと体に教え込んでやるぜ」
Eは掴んでいたレクターを地面に叩きつけ追撃を入れようとする、それはさせまいと二人は駆け出すが……
「青いねぇ……誘ったんだよ!」
「何!?」
「くっリィン!うおっ!?」
Eはレクターからレイピアを奪いリィンを迎撃した後ハイメに向かって躊躇わずレイピアを投擲してくる。ハイメは回避するのがやっとでその間にEはリィンの体に蹴りを入れ、すぐさまハイメへ接近し顔面に拳を叩き込む。なす術なく地面に叩きつけ倒れ伏す二人、自分達もレクターの後を追うのは必然だった。Eが近付いて来るがこの状況を打開するヴィジョンが浮かばない二人は思わず目を瞑ってしまう。
「そこまでよ!」
「よくもやってくれたものだな……!」
状況を変えたのは巨大蜘蛛を撃破し駆けつけた他のメンバーとミリアムだった。アリサの放った矢がEの足元に突き刺さりEは舌打ちをしながら動きを止める。
「チッガキ共がわらわらと」
「レクター!」
「抑えろミリアム、奴はとんでもないぞ」
「えぇ……何とかあの三人を回収して離脱するのが得策ですね」
遅い来る筈だったEが止まり一瞬安堵しかけたハイメだったがすぐにマズイという思考に切り替わる。恐らくこの相手は今いる全員で挑んでも返り討ちにされてしまうそう確かな予感……いや確信があった。ここで全滅するならば己がたとえ滅ぼうと多くの生還者を出すべきだと判断する。
「くっ皆リィンとその赤髪の方を連れて逃げてくれ!死んでも自分が時間を……!」
「馬鹿を言うなハイメ!その役目は俺が引き受ける!俺にはまだ奥の手が……」
「ギャーギャー喚くな……ったくこれだからガキは嫌いなんだよ、そんなに死にてぇなら選ばせてやるぜ」
Eは瞬時にハイメとリィンを掴み起こし胸ぐらを掴む。一瞬の内に起きた出来事に他のメンバーは理解が追い付かないが無情な宣告が下される。
「オイ、ガキども!どっちを捨てるか選びな」
「そ、そんな……」
「外道が……!」
「そんなの選べる訳ありません!」
「二人を解放しろ、さもなくば……!」
全員の反応が予想通り過ぎたのだろう、Eは舌打ちをし二人の胸ぐらを掴む手をさらに高く掲げる。それにより二人は苦悶の声を出し必死に逃れようと足掻くがEの手はまるで鋼鉄で出来ているかのようにビクともしない。
「ならどっちを助けたいか選びな、ほら早くしねぇとどっちもやっちまうぜ?」
その問いを投げ掛けた瞬間全員がチラッとリィンの方を見たのをEは見逃さなかった、今度は満足そうに笑みを浮かべる。
「そうだよなぁ?捨てるのは選べないけど拾うのは選べるんだよなぁテメェ等みてぇな奴等はよぉ!だが……駄目だねぇ!」
Eは二人を掴んでいた手を放したかと思うとおもむろにリィンの頭部を地面に押し付けるように投げ捨てる。あまりの行動に一同が驚くのも束の間、ハイメ以外の全員に攻撃を加え意識を落とす。
「き、貴様ァ!」
「クックック、可哀想になぁ?どんな気分だ仲間に見捨てられて?でも仕方ねぇよなぁ?テメェとそこに転がってる黒髪のガキとじゃ価値がちげぇ、アイツらはその点合理的な判断をしたようだぜぇ?」
ハイメは今まで感じた事のない殺意が自分の中に芽生えているのを感じる、しかし今はこの気持ちを否定する術を未熟なハイメ自身持ってはいなかった。
「殺す、殺してやるぞぉ!」
「出来もしねぇ事をさも出来るようにほざくなよカスが、ちと身の程ってやつを教えてやるか?授業がてらゲームをしようぜ」
「何!?ふざけているのか!」
「大真面目さルールはいたって簡単、ソイツらの内一人が起きるまでに俺に一撃いれてみな!つってもこれじゃゲームにならねぇからな俺はテメェのワンランク上程度の力しかださねぇ、もし俺に一撃入れられたらテメェら全員見逃してやるよ!どうだ乗るか!?」
沸騰しそうな頭を無理やり抑え考え込むハイメ、確かにEの言うゲームは破格の条件だ。今のハイメ自身怒りに身を任せようとたとえ奇跡が起きようとEを戦闘不能に追い込む事は不可能だろう。悔しいが全てEの言うとおり、ハイメはあまりにも無力だ。それにどんな仕打ちを受けたとしてもハイメは仲間を助けられるならその可能性に掛けてみるべきだと判断する、感情を殺し努めて冷静に、理性を働かせハイメは返答する。
「グッ……クソッ、後悔するなよE!すぐに終わらせてやる!」
「御託はいいからさっさと来いよ!」
ハイメはEに肉薄し一撃、二撃、三撃と攻撃を放つ。Eは宣言通り、スピードもパワーもかなり落としてハイメの攻撃に対応しているがそのことごとくをいなされてしまう。
「ホラホラどうしたんだ?すぐに終わらせんだろ!?」
「抜かせ!」
ハイメは休むことなくEに連撃を繰り出すが全くハイメの攻撃をものともしないE、ハイメは段々と情けない自分に苛立ちを募らせる。
(クソ!何でだ!?宣言通りEはかなり手を抜いて自分の相手をしている、なのに何故!一撃がこんなにも遠いんだ!)
「お?そろそろ気付いてきたか?イラついてきたか?そらよ!」
Eは足払いをしハイメを転ばせる、何とか体勢を崩さないよう膝を着き地面に着地するがそれだけに過ぎない。Eはハイメを見下ろしながら口を開く。
「才能ある奴等、恐らくテメェ以外のガキどもはこのゲーム、差異はあれどクリア出来るだろうなぁ?でもテメェは出来ねぇ、何でだと思う?」
そんな物はハイメ自身よく分かってる、自身が最も欲し憧れそれでも手に入る事はないもの……そう
「才能だよ、テメェにはあまりにも足りなさすぎる、おっと勘違いすんなよ?別に無能と言ってる訳じゃあねぇんだ、ただテメェは自分に出来る事以上の事は出来ねぇ、確かに鍛練を積めばそこそこの戦士にはなれるだろうなぁ?でもテメェが他の奴に追い付く事は決してねぇ、そりゃそうだよな?これぐらいの事ならある程度の才能あるやつはやってのけちまうんだ、テメェがどんなに努力しようが他の奴等はテメェ程努力しなくたってテメェレベルなんざ軽々超えちまうんだからよ?死にものぐるい?大いに結構!だがたとえ死にものぐるいに努力しようがテメェは自分に出来る以上の事は出来ねぇ!他の奴は出来るけどな!これが現実ってやつだぜ!ハハハハ!」
ハイメの握る拳に力が入る、そんな事は自分がよく分かっている。自分では奇跡でも起きない限り今の状態のEですら一撃入れることは叶わない。それでも奇跡を望まずにはいられなかった、こんな自分でも受け入れてくれる仲間の命が掛かっているのだ。たとえ自分とリィンが天秤にかけられリィンが選ばれたとしても仲間を助けたい、その思いだけは揺るぎなかった。
(奇跡……起きないのなら起こしてやる!師匠、未熟な自分をお許し下さい!)
何かを決意したようにハイメは起き上がる、ハイメの纏う空気が変わった事にEも気付き眉をピクリと動かす。ハイメはがむしゃらに攻撃を繰り出しEは攻撃をいなす、そしていきなり拳を突き出すがEは特に顔色一つ変えず腕を掴みハイメを転がす。顔から地面に倒れそうになるハイメだが手で体を支えた体勢から体を回転させ蹴りを入れるがこれも不発に終わる。
「馬鹿が!武術を捨てやがったな」
「こうでもせんと貴様には一撃入れられないからな!うおおおっ!」
ハイメの動きに鳴神流の動きは見る影も無くなっていた。そう例えるならばそれは武術を知らない大人の喧嘩のような出鱈目な動き、たとえ自分の誇りである武術を捨てようともハイメは皆を守りたかった。そんな決死のハイメの思いも目の前の男の前では儚く砕け散る。Eの一撃がハイメの脳天を捉えハイメはその場で悶絶する。
「だから馬鹿だって言ってんだろ、才能の無いテメェが武術を捨てるだぁ?とんだ傑作だぜ、そういうのは……なぁっ!」
うずくまるハイメにEの蹴りが入り今度こそ限界が訪れたハイメは地に倒れ伏す。そんなハイメの頭をEは踏みつけグリグリと地面に押し付ける。
「俺のように才能がある奴がやるから成功すんだよ、テメェみてぇなカスが真似しようが上手くいくわけねぇんだよ、クククク残念だったなぁそろそろ時間切れのようだぜ?」
Eの足から解放されたハイメは目線で誰が意識を取り戻したか確認する。否、正しくは自分の想い人であるアリサが意識を取り戻していないかを確認する。こんな様を見られたくないそんな一抹の思いすらも叶う事はなくアリサと視線が合ってしまう。
「そんな……何で、どうして……」
「クククク、テメェ俺が質問した時真っ先にあの女を見てたからなぁ?感謝しろよ?テメェが一番気にしてる相手が一番に起きるようわざとそのガキだけ手加減してやったんだからなぁ!」
「は、ハイメ……」
「おおっと動くなよメスガキ!テメェが動いたらテメェ等全員皆殺しだぜ?さてと俺様の簡単な授業も出来ないカスには補習が必要だよなぁ?おいカス、テメェはこれから全員起きるまでに俺様のサンドバッグだ、もし全員が起きるまでにテメェが意識を失わなきゃもしかしたら全員見逃してやるかもなぁ?メスガキもだ!起きた奴にちゃんと伝えとけよ、テメェ等が手ぇ出したら皆殺しだってな!ハハハハ!」
そこから始まった暴力はこれまで以上に一方的なものだった。ハイメは苦悶の声を上げる事すら許されず倒されては無理やり倒される。最初の方は襲いくる痛みとアリサにこんな情けない姿を見られているという羞恥心があったがすぐにそんな物は吹き飛んでしまう。それほどEの攻め手は苛烈を極めた。残ったのはEの言った気まぐれにすぎないかもしれない意識を失わなければ全員見逃してくれるかもしれないという細い希望だけだった。それでも、こんな自分にもプライドはある、せめて皆が傷付かないよう一人、また一人と意識を取り戻す度に手を突き出し動こうとする他のメンバーに制止をかける。それすらも億劫になりただひたすらに続く暴力に恐怖すら覚えながら意識だけは強く持つ。実力では完敗だがせめて心だけは負ける訳にはいかなかった。何度も意識が飛びそうになりもう駄目だと思うのを数えるのも億劫になってきた所で最後にリィンが意識を取り戻す。
「うっ……俺は……」
「チッ耐えやがったか」
「ど……うだ……こ……れで……」
「メンタルとフィジカルだけは及第点のようだなカス、まぁいいだろう次会う時はもう少しマシになってるんだな」
そう言い残しEの足音が遠ざかっていくのを感じながらハイメは指先すら動かすにも激痛がはしる体をゆっくりと仰向けにする。チャリンと音がして胸ポケットから謎の老人から貰ったペンダントがこぼれ落ちる。
(ハハハハ……お前のお陰なのか?Eが気まぐれで退いてくれたのは……)
「ハイメ、おい!大丈夫か!」
ハイメがどうにかペンダントを手繰り寄せていると皆がハイメの元へと駆け寄ってくる。大丈夫だと言いたいが声も出ず、ならば手を上げて意思表示をしようと思ったが何とか動かす事は出来るものの少し動かすのが精一杯だった。
「ご、ごめんなさいハイメ!私!私!」
(泣かないでくれアリサ……キミが無事なのが自分は何より嬉しいんだ)
「ハイメ!俺のせいで……こんな……俺はまた!」
(違うんだリィン……これは自分の弱さが招いた結果なんだ)
「今手当てを……駄目ッダメージが大きすぎる、なんて私は無力なの!」
(何を言っているんだ委員長、自分は大丈夫だ……ああ、こんな顔じゃ大丈夫に見えないか……笑わなきゃ)
「馬鹿者!何を笑っている!何が可笑しいというのだ!何が……」
(どうしたんだユーシス?いつもと大分調子が違うぞ?)
「ハイメ……ありがとう、俺達はお前に救われたんだ!お前を……犠牲にして……」
(ハハ、お礼なんていいんだガイウス……本当なら全滅だったかもしれないのをここまで持ってきたんだ、自分は皆の役にたてた……よな?)
「どいて!今は時間勝負だよ!僕がガーちゃんでゼンダー門へ超特急で運ぶから!こんなおっきな恩、返させないなんて言わせないよハイメ!」
(ミリアム、ありがとう……なんだか眠くなってきたな少しだけ意識を手放しても……いいよな?今回は我ながら結構頑張れた……よ……な……)
ハイメは意識を手放す、ミリアムは絶対に間に合わせると言いながらアガートラムにハイメを乗せ、残されたメンバーは祈る他なかった。