「今日は、先輩だけですか?」
部室でみんなが来るのを待っていると、最初にやってきたのは、偶然なのか、しずくだった。
「うちのクラスだけ早く終わったからな」
「先輩って普通科ですよね?歩夢さん達と終わるのは一緒では…?」
授業が終わるのは、どこの科でも同じだろ…。
後あるとすれば…教室からの距離とかホームルームでの先生の話の長さの違いくらいだろう。
「担任が出張でいないから、ホームルーム無しなんだよ」
「それで早かったんですね」
「そういう事」
と言って、僕は、事前に持ってきていたお茶を紙コップに入れて飲む。
しずくは、鞄を机の上に置き、僕の隣の椅子に座る。
いつもは、反対側の椅子に座るのに、今日はなんで隣に座っているんだろう?
と思っていると、隣からスッと手が伸びてくるのが見えた。
「なんで避けるんですか!」
何かしらの企みがあると思って、しずくから伸びてきた手を交わしたら、しずくが頬を膨らませながら怒る。
「絶対に…何かしようとしてただろ」
「む〜どうして分かるんですか!」
「いや…今まで同じようなことを何回もしてただろ…嫌でも…分かるわ」
「そこは!私の演技に乗ってくださいよ!」
「えぇ…」
しずくの演技力が凄いのは認めるけど、そのまま乗ったらしずくに流されてしまうパターンだよな。
「とりあえず…私を触ってください!」
「難易度下がってない…?この間まで、胸触ってとか言ってたのに…」
「私…気付いてしまったんです…先輩に触られるならどこでもいいって!」
あぁ…とりあえず…そっち系の道は避けれたけど…益々、しずくが誘惑してくるパターンだよね…これ。
「だからといって…何もやってないのに…触るのは嫌だよ」
「そう言いながら!かすみさんを撫でてたりしてたじゃないですか!
「何もしてないという意味が違う気がする…」
「だ・か・ら!触ってください!どこでもいいので!」
椅子から立ち上がって、身体を押し付けてそう言ってくる。
もうだめだ…。何もかもが…。それとしずくの顔も近い…。ちょっとでも僕が動いたらしずくの顔と触れ合うくらいに近い。
「な…何やってるんですか!」
という声が聞こえた事で、しずくに流されてしまうのかと思ったが、しずくが咄嗟に僕から離れ、声がした方を向く。
「せつ菜先輩ですか…せっかくのチャンスだったのに…」
「しずくさんもですが…〇〇さんもしずくさんの誘惑に負けて、どうするんですか!」
とせつ菜は、僕の所にやってきて僕のことを縦横に揺らす。
そのせいで、脳が揺れる。
「えへへ…先輩と距離が近くなりました//」
と遠くでしずくがそう言っているのが聞こえたのだった。