「可愛いなぁ〜」
放課後、冷蔵庫の中に何も無かった為、スーパーまで行って、その帰り道に鳴き声が聞こえてきたと思って、その声が聞こえる方に向かうと、野良猫だろうか猫が居て、思わずそう口から出た。
「こんなのみんなには見られたくないよな…」
と猫を抱えこんでそう呟く。
「何が見られたいけないんですか?」
背後から球に聞こえてきた声に思わずびっくりする。
その僕にびっくりしたのか、抱えていた猫が飛び出してどこかへ走っていく。
「しずく!?」
「はい!先輩が居たので、思わず声をかけました」
としずくは、ニコニコ笑顔でそう言ってくる。
制服姿だから、学校からの帰りなんだろうか。
「ところで、先輩。さっき、可愛いって言ってませんでした?」
「言ってないけど…?」
さっき、あの猫に可愛いとは言ったけど…誰も居なかった…。
もちろん、しずくもだ。聞かれている筈がない。
「嘘ですよね?さっきの猫ちゃんに向けて言ったんですよね?」
バレてる…。
「聞いてたの?」
「はい。先輩って意外と可愛いところがあるんだな〜って思いました」
あっ…完全に見られてた訳ね。不覚だ。
「でも…納得できない事があるんです…」
「何?」
「猫ちゃんには可愛いと簡単に言いますけど…私には言ってくれないって思って…それに納得出来ないんです」
それについてはなんて言えばいいのか…。
「えぇ〜と…」
「先輩は、私より猫ちゃんの方が可愛いんですか?」
「それはないから!」
「なら、先輩は、私に可愛いって言ってくれないんですか?」
「しずくはいつも可愛いから、いつも言ってたら…意味が無くなるかもと思って…」
最初の頃は、慣れない事も毎日やってたら慣れてしまっては意味が無くなるからね。僕でいうしずくに抱きつかれて胸が当たっても何も思わなくなったように…。
「先輩…言ってくれないと分からないですよ〜」
と頬を手を当てながら顔を横に振り撒くっている。
「ごめんて…」
「ただ謝れるのは違う気がします…」
「嫌な予感がするけど…何か気になる事でもあった?」
こういう時のしずくは、何を言いだすか分からない。
「そうですね…先輩の家に行っていいですか?」
「いいけど…家には連絡入れとかないとダメだからね」
「わかってますよ」
としずくは、ポケットの中からスマホを取り出して家に連絡していた。
そして、しずくの表情は、ずっと変わらず笑顔で居た。
「先輩に迷惑をかけないのであれば、泊まりに行ってもいいでした!」
笑顔でそう言ってきた。
「それなら、大丈夫だな」
と言うと、しずくは僕の手を握ってきて
「それじゃ!先輩行きましょ!」
としずくは言うのであった。