早朝、蝶屋敷を出た俺は煉獄家への帰路に着いた
サクラに金平糖を食べさせると張りきって空を飛んでいる
歩きながら、昨夜のしのぶとの会話を思い出す
「姉さんの夢は私が引き継ぐわ」
「…鬼と仲良くなるって夢か?」
「えぇ…気に掛けるくらいだけどね。命を賭けてまでは難しいけれど、話すくらいはね」
そうか…あれだけ鬼を憎み嫌っていたしのぶが、カナエさんの夢を継いだか…良い兆候だな
「そっか。応援するよ!俺に出来る事があれば何でも!」
「ふふふっ…そうね。頼りにしてるわ」
気が付くと煉獄家に到着していた
中に入ると槇寿朗さんが木刀を振っている
「おはようございます槇寿朗さん」
俺が声を掛けるとにこやかに笑いながら
「あぁ、おはよう。出掛けていたようだな」
「はい。蝶屋敷に行っていたんです」
「ふむ…胡蝶の…花柱は大事なかったか?」
そうだった…槇寿朗さんとカナエさんは上弦の鬼と交戦し、倒したが柱を引退する事になったんだ
「カナエさんはお元気そうでしたよ。恋人の風柱様と仲睦まじく…」
「そうか…良かった。若い命を散らさずに済んだ」
「槇寿朗さん。これをどうぞ」
任務先の町で見つけた逸品【トウガラシ】料理に入れたり、粉末にして酒に入れたりする所もあるらしい
「ほう。これは野菜か?」
「はい!これを食すと体が芯から熱くなるらしいです」
「なるほど。瑠火に調理して貰うよ…あぁそうだ。杏寿朗が帰っているぞ」
引退した槇寿朗さんに代わり、新しい炎柱には杏寿朗が就任した。階級は甲に至らなかったが、下弦の弍を討伐した功績を以て昇格。柱として認められたらしい
道場に居ると聴いたので向かったが、他にも誰かが居るようだ
道場内に竹刀で打ち合う音がする
「うむ!甘露寺はこの間の一件で、成長したな!」
「は、はいぃぃ~~!」
桃色と黄緑色の混ざった美女が、体全体を使って竹刀を振るっている。柔らかくしなやかに、舞い踊るかの様だ
「以前と比べ物にならないな!見事だ!」
「はぁ…はぁ…ありがとうございます!」
二人が構えを解いたのを見てから声をかける
「久しいな杏寿朗」
「うむ。また強くなった様だな、見れば分かるぞ」
「杏寿朗こそ、柱になったそうだな。おめでとう」
「あ、あの…は、はじめまして!師範の弟子の甘露寺蜜璃です!」
杏寿朗と話していたら密璃ちゃんが挨拶をしてくれた
「俺は河上雅晃。杏寿朗の友だ、宜しくな?密璃ちゃん」
「はっ、はい!!(か、カッコいい…)」
なんだか口元を押さえてぴくぴくしてるが平気かな?
「折角来たんだ。手合わせでもしよう!」
「あぁ、望むところだ」
壁に掛けてある木刀を取って、杏寿朗と向かい合う
「では、甘露寺。合図を頼む」
「は、はい…(凄いわ…師範 と河上さんが…きゃー♪)始め!」
「「炎の呼吸 壱ノ型 不知火!!」」
互いの初撃は不知火、型の基本であり必殺
速さ、鋭さ、威力。全てが同等以上。
互いの技が激突し、鍔競り合う
そのまま二人は次の技を繰り出す。
「「炎の呼吸 陸ノ型 焔連撃!!」」
炎の型を体現するかの如き、足を止めての乱撃
もはや斬撃は見えず、木刀がぶつかり合う音だけが聴こえる
「やるな杏寿朗!次で決めるぜ」
「うむ。来い!」
炎の呼吸に【呼吸】を混ぜる
【炎蝕の呼吸・壱の型 蒼応無尽(ソウオウムジン)】
【炎の呼吸・肆の型 盛炎のうねり】
壱の型 不知火による超速の突進と左右いずれかの斬撃に、回転による遠心力を組み合わせると。すると、どうなるか。炎の熱が上がり続け、空気を蝕み、色が変わる。これを【炎蝕】と言う杏寿朗の木刀を斬り、寸止めし、残心。蒼い炎の幻影と熱が残り、まるで蒼炎に焼かれたかの様な気分を覚えた杏寿朗であった
「…それは。いや、恐らく…君だけの呼吸か!」
「あぁ、炎の呼吸から派生した炎蝕の呼吸だ。まあ、型は炎の型を元にしているけどな」
杏寿朗との手合わせを終えたのだが
「すいません河上さん、私とも手合わせをお願いできませんか!?」
「あ、あぁ。いいよ」
一息着いてから、見てあげることにした