屋敷に戻ると普段は閉められている
門が開け放たれていた
「来客でもないのに開いてる?警備員も居ないし…父さ~ん?母さ~ん!」
屋敷に入り、何個かのドアを開けていくと警備員が居た。死体となった状態でだが
「ひッ…(落ち付け、警備員を殺した犯人に、聞かれてはまずい)」
数秒で恐怖に蓋をして、側に落ちていた抜き身の刀を拾う
居間に辿り着くと、酷く鉄臭い…異臭がする
中を覗くと
胃から何かが昇ってきた
咄嗟に口を閉じ手で押さえ付ける
今朝まで普通に談笑して、送り出してくれた父と母、使用人に至るまでがズタズタに引き裂かれ、辺り一面が血の海で壁にまで真っ赤な血が飛び散り、染め上げられている
「ヴッ…おぇぇ!!」
あまりの惨状に堪えきれなかった
胃液特有の酸っぱい匂いに加え、血の匂いも漂い始める
たまらず外へ飛び出した
「ケケケ…お前で最後だぁ、久しぶりのご馳走だァ」
先程までは居なかった血塗れの化物が居た
体格は普通だが血走った瞳に鋭い爪、額から僅かに生えた角
まるでお伽噺の鬼の様だった
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*藤の花の家(屋敷)*
鬼殺隊に所属している者を支援してくれる
一般隊士から柱まで負傷したり補給したい場合に利用する
その家によって役割が違う。主人公の家は貴重な書物を保管する事と医療関連が役割だった模様
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「いつもは、藤の花の匂いで近づけねぇが、何故か匂いがしなくてよぉ…旨かったぜ?弱った鬼狩り共なんざ、オレの相手にならなかったぜぇ!」
そうか、昨日は薬の出荷日だった
出荷日には薬を受け取りに数人の男達が訪れ
常に屋敷を漂う花の香りが薄くなるんだ
「化物め、よくも父さんと母さんを!!」
「騒ぐ騒ぐ…喰ってやるからせいぜい逃げな」
化物がこちらに向かって飛び掛かって来る
酷く遅く、ゆっくりと
スロー再生しているかの様だ
ならばと、あと少しの所まで引き付けて
普段、人には危険なので全力で放てない
全力のまわし蹴りをぶちかました
無論、いつもの呼吸をより深くしながら
「ぶげぇ!?」
ドパァンと炸裂音と衝撃で化物が屋敷までぶっ飛び
屋敷の壁に突き刺さった。
びくんびくんと痙攣していたが
やがて動かなくなった
そして威力が出過ぎた代償か、蹴った足が酷く痛む
骨にひびが入ったのかもしれない
「痛ッ…なんだあの化物は…凄い硬さだ。まるで鉄の棒を蹴った様な…ん!?」
化物が動きだし、壁を破壊した
首ががくりと折れ、顔はぐちゃぐちゃ
だが再生し始め、ゆっくりとこちらに向かってくる
やがて顔が再生し終わると
奴はニタリと邪悪な笑みを浮かべ
口を開いた
「痛かったぜぇ、だけど残念、その刀ならともかく、生身じゃ鬼は倒せないぜ」