真菰を担いで鬼を倒し
走る、走る、走る
ひとしきり走った所で藤の花が咲き乱れる
鳥居の前に辿り着いた
「…俺達だけか」
30人も居た候補者が残らず死んだ
実力はそう変わらないが
実戦では予測できない事態が起こる場合もある
そういう時に助け合えるかを試すのが
最終選別なんじゃないかな
そう考えていると
黒髪と白髪の子供が現れた
「ご苦労様でした。まずは御自分の刀を打つ為の玉鋼を選んで頂きます」
「そちらの方は怪我をしていますね。お預かりしましょう」
隠と印字された忍者みたいな人が
真菰を運んでいった
「すいません、玉鋼って1つだけですか?」
「…はい?」
「実は、刀以外にも作って貰いたい物があるんです」
僕は玉鋼を29個使って刀と武装を注文した
僕の得意とする体術を生かす為の物を
真菰の玉鋼は勝手に選ばせて貰った
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「それでは此方の鎹烏を付けます」
隊士になると人の言葉を話す烏が付くらしい
任務や報告などの役割を担う伝令役だ
「ありがとうございます。で、さっきの女の子の治療場所は何処にありますか?」
「…お望みであれば、案内させましょう」
目隠しをされて、隠の人に運んで貰った
隠とは、鬼殺隊の広報支援部隊らしい
剣の才能がなかったり、戦えなくなった人が
鬼殺隊の為に働く組織なんだとか
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幸いにも真菰は両手足の骨折で済んだらしい
治療院は女性ばかりの所だったが
僕は特別に、部屋を借りて滞在する事になった
というのも治療院に勤める
女性の研究を手伝う事が条件だが
「へぇ~藤の花を治療に?」
「はい。炎柱の煉獄さんの奥様の病に効果的らしく、僕の家で製作していたんですよ」
藤の花をすりつぶしエキスを抽出していく
それを手伝いながら話をする女性、胡蝶しのぶさん
医師の資格があるらしく、驚く程の知識と美貌
「なに?私の顔に何かついてる?」
「いえ、ところで胡蝶さんは藤の花を使って何の薬を作ろうと?」
藤の花の種子や樹皮などには軽い毒性があるが
食べられない訳ではないしなぁ
「私の姉さんは花柱なんだけど、私も早く隊士になって姉さんみたくなりたい。倒したい鬼がいるのよ。けど私には、鬼の首を斬る筋力がない…そこで考えたのが、鬼の嫌う藤の花で毒を作れないかってね。これなら私でも鬼と渡り合える」
「なるほど…という事は、鬼の体内に毒を撃ち込む戦い方。呼吸と型は出来ているんですよね」
「えぇ、それで藤の花から作られる薬の存在を知ったのよ。その時には、貴方の家は無くなっていたけどね」
エキスを濃縮させた物に
様々な薬剤を決められた分量を混ぜ
数日寝かせた物が瑠火さんの薬
しかし、胡蝶さんが求める毒はここからだ
「なるほど…今までは闇雲にエキスに色々混ぜたりしていたけれど、ベースが大事だったのね」
「藤の花から取れるエキスを、濃縮する技術は秘伝でしたからね。役立ちそうですか?」
「ありがとう!あなたのお陰でなんとかなりそう。人には薬だけど鬼には毒…うふふ♪」
真菰が回復するまで僕と胡蝶さんは
毒の研究に没頭していた
煉獄さんには手紙で知らせておいたし
真菰に関しては回復した後に送る予定だ
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今僕の前に、にこにこしながら笑う
花柱・胡蝶カナエさんが立っている
「あなたが雅晃君ね?煉獄さん、なかなか弟子が帰って来ないってぼやいてたわよ」
「あっ、はい…すいません」
「うふふ…いいのよ♪君さえ良ければここに住む?しのぶとも仲良いみたいだしねぇ」
そう、今現在
研究のし過ぎが祟り
しのぶさんは僕の膝で眠りについている
毒の試作品もいくつか出来上がり
後は試すだけまでこぎつけたのだ
「それにしても、無防備なしのぶも可愛いわぁ♥️君もそう思わない?」
「そ、そうですね」
「ん♪じゃあ私はお風呂入るから、あとで皆でご飯食べましょ?」
まるで蝶の様に、綺麗な羽織をはためかせて
カナエさんは部屋を後にした
いや、これどうしたらいいの!?
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なんとかしのぶさんを起こすと
顔を真っ赤にして俯いてしまった
「雅晃…忘れて…?」
「はい、しのぶさん」
涙目ツン台詞にやられてしまう僕
胡蝶さんと呼んでいたのだが
カナエさんが名前呼びを許してくれたので
しのぶさんにも許してもらった
この頃日課になりつつある
真菰の病室へ足を運ぶ
「あ!雅晃、今日も来たの?ずいぶん暇だね」
「まだ日輪刀も届かないしな。かなり注文付けちまったし、時間掛かるかもな」
しのぶさんの腕が良いのか
真菰の骨折は完治しつつある
真菰に全集中・常中を教えてみたが
体を鍛えられない為
回復力向上を優先させている程度だ
「かなりなまっちゃったからなぁ、任務に入る前に、鍛え直さなくちゃね!」
「ハハハ…あと数日したら真菰を、狭霧山に送り届けるから。烏を通じて文を出してあるんだ」
「へぇ~雅晃が送ってくれるんだ。隠の人かと思った」
「なんだよ…嫌か?」
そう聞くと
真菰はからかいが成功したかの様に
無邪気に笑うんだ
そんな彼女の笑顔をみて
僕は不思議な安心感を感じていた