「―――好きだよ。大好きだ」
んんんんん、恥ずかしっ!いやいや、ここは平静を保たねば・・・
「・・・ごめんなさい・・・」
んぐぇ。とんでもねぇカウンターをくらったぜ・・・ああ、もう帰りてぇ・・・めっちゃ恥ずい・・・
「・・・・・・私、もう分からないんです・・・周りの人が私に今まで向けてくれていた笑顔が、言葉が、本当に心の底から出たものなのか・・・」
「・・・皆みんな、心の底では迷惑だと思ってるんじゃないか、楽しいのは私だけなんじゃないかって・・・」
「・・・ホントは葵さんに好きだって言われて、凄く嬉しいんです。・・・・・・でも、この状況を早く終われせたいから言ってるんじゃないか、ホントは好きでもなんでもないんじゃないかって思っちゃうんです・・・」
・・・ああ、そういうごめんなさいか・・・良かった!秒で振られたかと思いました!・・・んー、でも、ホントは好きじゃない、ねぇ・・・
「ねぇ、秋津茜。俺はさぁ、こういう真面目な場面で嘘つくやつって大嫌いなんだよね。・・・・・・それでも俺が秋津茜のことを好きって言ったのが嘘だと思う?」
「・・・・・・思わないです・・・けど・・・」
「・・・・・・でも、でも!分かんないんです!ホントの心が!・・・今まではそんなこと思ってもみなかったんです!周りの人がどう思ってるかなんて!だって、だって!私は今まで諦めることしか出来なかったから!それでも頑張って!諦めずに色んなことをやれるようになったんです・・・!」
「・・・だから、頑張れるのに、私に出来ない事を簡単に出来るのにそれをやろうとしない人は嫌いだし、そんな人になりたくないんです・・・!」
「・・・葵さん、私のことを好きだって言うなら答えてください・・・私は・・・間違ってるんですか・・・?」
秋津茜が間違ってるか、かぁ。過去に何があったかは知らんが・・・いや、なんとなく想像は着くけどさぁ・・・うん、でもそうだね
「秋津茜が間違っているか、そうでないかで言えばまぁ、間違ってる」
「・・・っ、で、ですよね・・・」
「まぁ、最後まで聞け。頑張ろうとしても、頑張れない人もいる。諦めたくなくても、諦めざるを得ない人もいる。だからそんな人に頑張ることを、諦めないことを押し付けるのは間違ってる」
「でもな、世の中は正論だけで回ってるわけじゃない。正しいものが必要になる時もあれば、間違っているものが必要になる時もある。秋津茜の何にでも諦めずに挑戦する姿を見て救われた人だっているだろう」
「人は神様じゃないんだからみんなを救うことも出来なければ、みんなから好かれることも出来ない。だからさ、いいんだよ別に。自分をすり減らしてまで周りに合わせる必要なんてない。好かれようとしなくなんていい。自然に振舞って、それでも周りに残ってくれた人がお前に1番合う人ってこった」
んー!恥ーずーいー!何言ってんの、俺!びっくりだわ!この口か?この口なのか!?あああああああああ!!!
「・・・そうなんでしょうか・・・私は自分の楽しいように過ごしていいんですか・・・?」
「良いって言ってるだろ?・・・それに、秋津茜が楽しいように過ごしても、絶対に見捨てないやつが1人は確実にいるしな」
うわあああああああ!!!はぁああ!?!?んああああああ!!言ってて恥ずかしいー!!全力で逃走したーい!!ほらぁ、ちょっとキョトンってしてるじゃーん!!お面のせいでみえないんだけどねぇ!
「・・・・・・あおのくん・・・・・・」
んん?
「待って、秋津茜。今なん」
ドンッと軽い衝撃と共に秋津茜の体温が余すことなく全身に伝わってくる。え、何コレ。何で!?
「あ、秋津茜さーん・・?」
「・・・・・・・・もうちょっとだけでこのままで居させてください・・」
先程よりも強く秋津茜が抱きついてくる。それはまるで親にしがみつく幼子のようで、零れ落ちた自分のカケラを俺の中に見ているようで・・・・・・何故か俺にはそんな秋津茜がとてつもなく愛おしく思え・・・・・・手は、口は勝手に動いていた。
「ん・・・・・・よしよし。大丈夫、大丈夫。秋津茜はいい子。ちょっと疲れちゃったね。今だけは・・存分に休んでいいよ?」
「・・・・・・はい・・」
寒い冬に温め合う動物のように、互いに互いを抱きしめ合う。傷ついた心を癒すために、人の温かさで凍りついた心を溶かすために。人の目などない深い森の中、俺と秋津茜は優しく、されど激しく、互いに抱きしめあった。
「・・・・・・ん、もう落ち着いた?」
「・・はいっ!」
「まぁ、その、何だ・・・・・・どうしても耐えられないような辛いことがあったら・・・・頼ってくれな?・・・・俺も秋津茜は笑ってる方が好きだし・・・・・・」
「・・そっか・・えへへ・・・・そっかぁ・・・・・・」
あ、なんか凄い嬉しそう・・・良かった、良かった!そうでも考えねぇと恥ずか死ぬ!・・・・・・いや、普通に恥ずかしいわ!すぐにでもこの場を離脱したいっ!
「んん、あー、秋津茜さーん?」
「はいっ!何ですか、葵さん!」
わーい、すごい元気そう。やはり光属性。立ち直るの早いなぁ・・・
「まぁ、とりあえず帰ろっか。今日は疲れたでしょ?」
俺もちょっと疲れた。明日も普通に学校だしなー。・・・めんどくせっ
「・・・私、もうちょっと葵さんと一緒にいたいです!」
んみゅー、嬉しい。けど困る。もう結構夜だし・・・つーか俺どんだけ暴れてたんだろうなぁ・・・
「んー、じゃあスカルアヅチまでだよ?」
「はいっ!・・・えいっ!」
「みゃっ!?」
秋津茜がいきなり腕に引っ付いてきた。何この子、可愛いかよ。ってか積極的過ぎん?え、これが光属性パワー?てゆーか秋津茜さんてば、何がとは言わないけど結構あるんだね・・・
「あー、あのー、秋津茜ー?コレはどーゆー?」
「こうしてたいんですけど・・・ダメ、ですか?」
「全然いいよ!」
ノータイム返事やめろや!さっきから口がよく回るねぇ!あああ、今思い出しても恥ずかしい。ゲーム内で告白ってそれたんなる出会い厨じゃん・・・てかそもそも秋津茜の中身が女の子じゃない説も無くはないんだよなぁ・・・チラッ
「?」
すっごいキラキラした目でこっちを見てる。うーん、溢れ出る小動物感。これの中身がおっさんとか有り得ねぇな、うん。いや、でも、うーん。
「あのさぁ、マナー違反を承知で聞くけど秋津茜ってリアル女の子?」
あー、聞いちゃった。出会い厨?出会い厨になるの?俺。超リアルなゲーム始めたら出会い厨だった件、始まっちゃう?
「はい、そうです!えっと、私も葵さんのリアルのこと聞いてもいいですか・・・?」
んんんん、それは・・・でも秋津茜も答えてくれたし・・・うーん、まぁいっか。質問によるって感じで。
「いいよー、何が聞きたいの?」
「葵さんってすごく大人な雰囲気ですけど、その、何歳くらいですか?」
年齢かぁ・・・まぁこんくらいなら大丈夫かなぁ。一応他の人には言わないようにしてもらえれば。
「んー、そんな大人じゃないよ。まだ中学生。」
「ええっ!そうなんですか!?じゃあ、私と一緒ですね!」
今明かされる衝撃の事実。秋津茜氏は中学生だった!!いや、まぁそんくらいかなーとは思ってたけどね?
「ふふ、ひょっとしたら同じ学校かもねぇ。」
「えへへ、そうだったらいいですね!じゃあじゃあ・・・」
狂気の忍は過去に閉ざした心を赤とんぼの少女に救われ、赤き龍の忍は暗き闇に閉ざされた心を昏い青の少年によって救われた。2人の忍びの物語は未だ終わらず・・・
「あーー!!!ノワルリンドさんのこと忘れてました!!」
「確かにぃ!!」
「秋津茜ぇぇぇ!!!我をおいていくなぁああああああ!!」
ちょっとキャラを掘り下げるための補足。
この後2人ともろくに寝れてません。秋津茜は初めて異性に告白されて舞い上がったため。葵の方は伝える気なんて一切なかった思いを不用意に伝えたことへの自責の念と反省。基本リアルの葵は陰キャというか他者とのコミュニケーション捨ててるので。