龍ノ忍×蛸ノ忍   作:ゆくゆく

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ふと思いついただけの話・後編

 「まぁ、聞け秋津茜。今の行動は池の中にモンスターがいるのではないかという疑問に基づいた行動であり決して俺が奇行をしたとかそういうことではない、いいな!?」

 

 「そうなんですか!それで何かありましたか?」

 

 純粋っっ!心が痛むぜ・・・すまない秋津茜。

 

 「いや、見た感じ特に何もいなかった。()()()()()()()()、な」

 

 「???」

 

 「そうだな・・・ここが普通のゲームだったら別に違和感を感じるような事じゃない。でもここはリアリティお化けのシャンフロ。何かがないということはそれなりの理由があるはずだ。」

 

 「えーっと、つまり、この池には何らかのモンスターがいるかもしれないってことですか!?」

 

 「ああ、そうだ。」

 

 「・・・・・・・・・」

 

 「・・・・・・・・・」 

 

 何でこんな簡単な結論出すためにこんなイキってたんだよ・・・やっぱりまだ頭が冷えてねぇなぁ・・・

 

 

 

 

 

 

 ・・・・・・シャアア・・・・・・

 

 「?葵さん何か言いました?」

 

 「いや、何も言ってないけど・・・」

 

 ひょっとしてモンスターか?くそっ、反響定位が使えないのが悔やまれるな・・・

 

 

 

 ・・・キシャアアアア・・・

 

 「やっぱり何かいますよね!?」

 

 「ああ、間違いねぇ!と思う!準備しとけ、秋津茜!」

 

 そう叫んだ数瞬の後、池の水面が大きく盛り上がり全身に淡く水の衣をまとった巨大な竜が飛び出してきた。

 

 キシャアアアアアアアア!!!

 

 「でっかい蛇ですー!?」

 

 「ははは、一応竜って呼んでやれ!」

 

 うーん、しかしどうしたものか・・・思った以上に強そうだし、何かいい武器は・・・ほほう?これはこれは・・・・・・なるほどねぇ・・・

 

 「久しぶりにこいつを抜く・・・・・・いや、()()()かな?」

 

 世界を滅ぼしかけた災厄を封じこめた災浄大業物が一振り、津波のクリンゼン。7つの最強種、ユニークモンスターの1匹であるらしいヴァイスアッシュが持っているそのものでは無いが、その力の一部を借り受け魚人の技術の粋を詰め込んで鍛造された大海の大太刀・・・・・・絶海無蒼・虚(クリンゼン・ホロウ)

あまりにも強化を重ねすぎたせいで、システムの認めた強敵相手にしか抜けなくなってしまったのはご愛嬌っ・・・!

 

 「さぁて、まずは先駆けいっぱぁつ!魚人鉄術・刀舞(マーマンアーツ・エスパーダ)―――夜静寂・夢切・・・!」

 

 キシャアアアアアア!?!?

 

 納刀姿勢からの高速抜刀の2連撃。ほぼダメージのない一撃目で睡眠の状態異常を与え、2発目で睡眠特効攻撃を叩き込む・・・!!その特性上、状態異常無効を持つ相手には効かねぇが・・・・・・ははは、効いてんなぁ!!

 

 「葵さん!私は何をすればいいですか!?」

 

 「あんまし動けないと思うから支援と魔法攻撃で頼む!!」

 

 「はいっ!任せてください!」

 

 しかし、見た事ねぇモンスターだな・・・何とか攻撃パターンを見極めたいが・・・・・・うん?首を後ろに引いて?口の周りに纏っている水を集めて・・・?

 

 「―――っ!秋津茜ぇっ!全力でこっちまでこいっ!!」

 

 「え、ええ!?分かりました!」

 

 上手く走れないであろう俺の体で何とか俺の元までたどり着いた秋津茜を抱き抱え目の前の池に飛び込む。一瞬後、決して広くはない洞窟の中を青い光が埋めつくした。

 

 

 

 

 

 ええい、こんな狭いところでブレスを吐くな、ブレスを!!マップ全体攻撃はVRでやっちゃダメってお母さんに言われなかったんか!?うーん、水中行動持ってりゃいいけど持ってないプレイヤーには無理ではー?

 

 「「ぷはっ!」」

 

 「はぁはぁ・・・ありがとうございます、葵さん!」

 

 「ん、お礼は後で!今は目の前のクソ竜をぶった斬る!」

 

 「はいっ!」

 

 噛みつき攻撃を跳んで回避し斬撃を当てる。お、ナイスクリティカル。

 

 「ははははは!三枚おろしがご希望かなぁ!?」

 

 「葵さん、蛇捌けるんですか!?」

 

 「んん゛っ」

 

 あんまり突っ込まないで欲しいなぁ・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「あああああああ!!ふざけんなああああああああぁぁぁ!!!」

 

 大技当てようとした瞬間、ブレス打ってくるのやめろやぁ!しかも3回目ぇ!!・・・・・・とはいえ、長く続いてきたこの戦いにも終わりが見え始めている。幾度となく刀術スキルを乗せた斬撃をくらってきた水竜はその絢爛なる水の衣の殆どを失い、その奥にある鱗にも損壊が見られる。ただ、こちらもそろそろ限界が見え始めている。秋津茜は道具のほとんどが尽き、俺も回復アイテムの数がかなり底をついてきている。

 

 「っしゃ、オラァ!発狂モードに入って結構立ってんだ!いい加減素材落として死にさらせぇっ!!魚人鉄術・刀舞―――夢追伽々里っ・・・!!」

 

 ブレスが止んだのを見計らい、水面から大跳躍。そのまま空中で体をひねり、回転の勢いを利用してコストと隙がデカめの大技を叩き込む。紫電を纏った斬撃が深く水竜の肉をえぐる。

 

 キシャアアアアアアアア!?!?

 

 よっし、かなり削った・・・あれ、鱗落ちてね?ひょっとして素材?・・・・・・ちょっとくらい取ってもバレねぇかな・・・・・・

 

 「うぉ、危ねぇ!!」

 

 触れさせねぇとばかりに放たれた無数の水弾が俺が踏み込もうとした先に降り注ぐ。ちくしょう、素材のひとつくらいよこせ!

 

 「秋津茜!次のブレスの後にアレを打ってもらう!用意しとけ!!」

 

 「分かりました!お任せ下さいっ!!」

 

 恐らく俺の持っている切り札を超えた切り札・・・鬼札と言うべき刃隠心得終極奥義を除いた中で最も火力を出せるのは秋津茜の使う龍威吹だろう。本人曰く()()クターニッドにすらトドメをさした一撃。こんな木っ端竜程度なら焼き払えるはず。

 

 「オラァ、さっさとブレス打てやぁ!!」

 

 その巨体を使った押し潰しをバックステップによる最小の動きで回避し、そのまま体表に斬撃痕を刻む。

 

 キシャアアアア・・・!

 

 「っと、来たな!秋津茜、カモーン!!」

 

 「はいっ!!」

 

 走ってきた勢いそのままに飛びついてきた秋津茜を抱え、水に飛び込む・・・・・・いや、待て。今なんか挙動が変じゃなかったか?・・・・・・そう、あの挙動は他ゲーで似たようなのを見た事がある。何故か口から弾丸を吐き出してくる野生動物の群れ相手に戦う無双ゲー。その中でイルカが使ってきた技に似ているんだ。確か使ってきた技は()()()()()()()()()・・・・・・!!

 

 「秋津茜、返事はいいからしっかり掴まっとけぇ!!」

 

 秋津茜の返事も待たず、池の底に向かって高速で泳ぐ。あってよかった、水中行動!でも全然進まねぇな、これ!ちくしょう、体格差ァ!!

 

 右に、左に、後ろから追随してくる水球を全力でかわす。ああ、もうキリがねぇ!!このまま水面に向かって突っ込むか・・・!

 

 「秋津茜!このまま水面に突っ込む!攻撃用意!!」

 

 今度はしっかりと頷いたのを確認して、勢いよく泳ぎ出す。こちとらリアルじゃ水泳の授業くらいしか泳いだ経験ないけど、シャンフロじゃあプレイ時間のほとんどを水中で過ごしてんだ。今更水球ごときに遅れをとるかよ・・・!!

 

 「うりゃああっ!」

 

 一気に加速して水面を割り、そのまま空中に飛び出す・・・・・・ビンゴ!あの水球を操ってる間は動けねぇみたいだな!

 

 「秋津茜ぇっ!決めろ!!」

 

 「刃隠心得奥義【龍威吹】!」

 

 「すぅぅううう・・・・・・わああああああああああああ!!!!!」

 

 秋津茜の口から放たれた一条の光線は空を灼き、水竜の全身を焼き尽くす。

 

 キ、キシャァァァァァァ・・・・・・

 

 そして、一際大きな爆発が起こったあとには地底湖の主の姿はなく、

大量の俺たちの勝利を決定づけるもの(ドロップアイテム)が転がっているのみだった。

 

 

 

 

 

 

 

 「やっ、やった!やりましたよ、葵さん!!」

 

 「ああ、やったなぁ!最後の一撃良かったぞ、秋津茜!!」

 

 いやぁ、爽快爽快ぃ!長かった試練もこれで終了。それに・・・ふふふ、あのサイズのモンスターをたった2人で倒したことによる大量の経験値とドロップアイテム・・・・・・まぁ経験値は無駄になるんだけど・・・・・・はぁ、早いとこレベル解放しないとなぁ・・・

 

 「葵さん、葵さん!」

 

 ・・・・?秋津茜がこちらに手を向けて・・・・?・・・・・・ああ。

 

 「はい、ハイタッチ。ありがとな、秋津茜。」

 

 「はいっ!!」

 

 ちなみに、今まで自分で触ったことが無かった触手の手触りは意外と柔らかかった。

 

 「ところで、これってどうやって帰るんでしょう?」

 

 そういやその問題があったな。ここへは星忍のじーさまたちの魔法?で飛ばされてきた。なんてこった、自発的に帰る手段がないなんて。やだぞ、ここまで来てデス〇ーラするのは。

 

 「うーん・・・・・・あれ?葵さん、あの子なんでしょう!」

 

 「んー、どれどれ・・・・・・ってあー!お前ぇ!!」

 

 「きゅっ!きゅきゅぅ!!」

 

 そう、俺が秋津茜と出会った新大陸の森。あそこに俺を送り込んだハムスターが洞窟のすみに隠れていたのだ!

 

 「いや、でも助かったわ。多分こいつ転移魔法使えるし。」

 

 「え!?そうなんですか、ハムスターさん!」

 

 「きゅきゅー!きゅっ、きゅきゅ?」

 

 「んー、大丈夫かな。秋津茜もここでなんかやり残したことないよね?」

 

 「あっ、はい!ドロップアイテムもちゃんと拾いました!」

 

 「ん、おっけー。じゃあ頼むわ、ハムスター。」

 

 「きゅ!きゅー・・・・・・きゅきゅきゅーー!!」

 

 ハムスターの鳴き声と共に俺達の視界は再び光に包まれ、それとは裏腹に意識は暗転していった。

 

 ・・・・・・転移魔法っていちいちこんな暗転挟むっけー?

 

 

 

 

 

 

 「・・・・・・・・・目覚めよ・・・・・・」

 

 ・・・・・・あー?

 

 「・・・・・・目覚めるのだ、龍忍秋津茜、蛸忍聖葵・・・・・・」

 

 ・・・・・・あとごふんねかせてー・・・

 

 「・・・・・・目覚めよ・・・!」

 

 「・・・・・・うあー・・・」

 

 ここは・・・?・・・・・・ああ、星忍の間か・・・・・・はっ!

 

 「・・・すみません・・・でした・・・」

 

 「・・・構わぬ」

 

 「・・・まだ寝ておる者もおるしな」

 

 え?・・・ふと横を見るとすやすやと人の触手を掴みながら幸せそうな顔で寝こけている少女・・・秋津茜がいた。んん?なんか違和感が・・・・・・ああ、お面外れてるのか。そういや、秋津茜の顔初めて見るな・・・てか、これなんだ。傷か?そんなん残るっけ?

 

 ていうか、違和感はそれだけじゃないような・・・どこかで見たことがある?でもどこで・・・・・・

 

 「・・・んぅ・・・・・・あ、葵さん・・・・・・?」

 

 「ん、おはよ。秋津茜。」

 

 「んみゅぅ・・・・・・おはようございましゅ・・・ここは・・・・・・?」

 

 寝起きの秋津茜が可愛すぎる件!まぁ、待て。落ち着け、俺。ビークール、ビークール。お前はやればできる子だからな・・・?

 

 はい、落ち着いた。

 

 「ここは星忍の間だな。」

 

 「・・・・?・・・・・・え!?あ、すみません!」

 

 「・・・気にするな、龍忍秋津茜。」

 

 「・・・うむ、良いものを見れたしな。」

 

 は?おいおい、秋津茜の寝顔とか言うなよ?ロリコンか?事案か?

 

 「・・・そう敵意を出すな、蛸忍聖葵。」

 

 「・・・我らが真に見たかったのはそなたたちの絆。」

 

 「・・・我らの後継者はほぼ居なくてなぁ・・・」

 

 「・・・せめて、新しくなった者たちが仲良くあって欲しい。そう思ってな・・・」

 

 え?じゃあホントに今回のクエストって俺と秋津茜が仲良くなるためだけのクエスト?

 

 「・・・その通りだ、蛸忍聖葵・・・」

 

 えー、マジでー。別に秋津茜と仲良くなりたくないわけじゃないけど、なんか釈然としないって言うか・・・

 

 「あのー、よく分からないんですけど私と葵さんが仲良くなれば良いんですか?」

 

 「・・・いかにも」

 

 「じゃあ、大丈夫です!私と葵さんはとっても仲良しですから!!ね、葵さん!」

 

 「・・・うん、そだね!」

 

 なんかもういっかぁ!ベッタベタのこと言うけど秋津茜のこの笑顔が1番の報酬でしょ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ちなみに普通にマーニと秘伝書貰えました。え?秋津茜の笑顔とどっちが良かったかって?ははははは、ノーコメント!!

 

 

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