暗く、重く
最近俺は学校に行くのが憂鬱だ・・・何故かって?
「おはようございます!青野くん!」
「・・・おはよう、隠岐さん。」
俺の隣の席の女子、隠岐紅音が最近やたらと親しげに話しかけてくるからだ・・・いや、それはいいんだ。話しかけてくるのは別にいい。問題なのはそれに過剰反応するクラスメイト共なんだよなぁ・・・
「青野くんは志望校どこにするんですか?」
「・・・んー、悠央かな・・・」
悠央高校。この辺り、というよりこの県でもトップクラスの高校だ。特にこだわりがあるわけじゃないけど、うちの学校からは年に1人か2人しか行かないような学校だから一緒に行くやつもいないと思っただけの理由なんだよな。
「おぉー、凄いです!私も行けるでしょうか・・・?」
いや、志望してるってだけじゃ凄くもなんともねぇだろ・・・っつーかそれは困る。困るんだが・・・
「・・・や、そんなすごいことじゃないよ。それと・・・隠岐さんなら頑張れば行けるんじゃない?」
無理だよ、諦めろ。なーんて言えねぇよなぁ・・・
「はいっ!頑張りますね!」
「やっほー、紅音!ちょっと青野借りていい?」
げ、最悪・・・
「借りていいって私の物じゃないよ、恵美ちゃん。」
「あ、そっか。じゃあ青野、来・て・く・れ・る・よ・ね・?」
いやでーす!!断固お断りしまーす!!と言えるはずもなく・・・
「・・・ああ・・・」
そう、こいつこそが諸悪の根源。クズ中のクズ。隠岐さんの魅力に惑わされ心酔してる迷惑女、桐原恵美。大人しく惑わされときゃいいものの隠岐さんが男と話すのは絶対許さない、自分の言うことを素直に聞かないのは許さないと言ったばかりの態度である。
「・・・うぅーん・・・」
後ろで何やら唸っている隠岐さんは放置しつつ桐原について行く。
ああ、憂鬱だ・・・・・・
「ねぇあんた。どういうつもりなの?」
「・・・どういうつもりも何も無いですけど・・・」
「はぁ!!?じゃあ何で紅音と会話したのよ!!」
「何でって・・・話しかけられたからですが。」
「何!!?紅音のせいにする気!?あんたは紅音に話しかけられても返事しなきゃいいのよ!!あんたなんかと会話すると紅音が穢れちゃうわ!!」
「ねぇ、分かってるわよね?あんたの大切な妹ちゃんを傷つけたくないなら黙って言うことを聞くのよ?いいわね?」
「・・・・・・・・・」
「いいわね?って聞いてんのよ!!いい!?紅音にもう話しかけないでって言いなさい!!そうすりゃ見逃してやるわよ!!!」
「・・・・・・分かりましたよ。」
「ふんっ・・・最初からそう言っときゃいいのよ!」
結局、隠岐さんに話しかけられたのは放課後だった。話しかけようとしても隠岐さんが誰かと話していたり教師に呼び出されたりで話しかける機会がなかった。
「・・・あー、隠岐さん。ちょっと今大丈夫?」
「っはいっ!大丈夫です!」
話しかけられただけでこんなにも嬉しそうな表情をうかべる隠岐さんに実質絶縁を告げるような言葉をぶつけるのはとても心苦しい・・・心苦しいがやらない訳には行かないのだ。
「んっとね・・・その・・・」
「・・・・・・・・・ごめん・・・もう話しかけてこないで・・・・・・?」
歓喜に彩られていた隠岐さんの表情が一瞬にして絶望に染まるのがわかる。これ以上この場にいられない。今まで他人を拒絶することなんて何回もあったのに・・・何でこんなにも俺の心は鋭く痛むのだろうか・・・・・・
「・・・・・・さよなら・・・・・・」
そのまま鞄を持って足早に教室を出る。
「何あいつ、酷いね。ねぇ紅音?あんなやつと関わらない方がいいよ?」
後ろで諸悪の根源が何か言っていたようだが・・・もう関係ない事だ。俺と隠岐さんは明日からは話はしない。アイツらと関わることももう無くなる。これでいいんだ・・・・・・これで。
家に着いた俺はシャンフロをする気も課題をこなす気もわかずそのままリビングのソファに倒れ込んだ。夢花はまだ帰ってないみたいだ・・・ああ、このままここで消えてしまいたい・・・・・・なんてな。
ピロン♪
俺の気分とは裏腹に明るい通知音がSNSに何らかのメッセージが来たことを伝える。体を起こす気もわかず、寝っ転がったままノロノロとメッセージを確認する。
【葵さん】
秋津茜:葵さん、今日シャンフロで会えませんか!?
葵:・・・どうしても今日じゃなきゃダメ・・・?
秋津茜:はい!どうしてもです!!
葵:んー、分かった。あんまり長くは入れないから。
正直、気は進まない。シャンフロをやるような気分でもないし、秋津茜にこんな姿見せたくない。それに秋津茜もあの告白もどき以来ほとんど会ってないし・・・・・・はぁ、とりあえず家事するかぁ・・・
秋津茜との待ち合わせの1時間前に魚人族の里で目を覚ます。
「葵くぅーん、おはよぉーう。」
「あー、おはよ。俺ちょっと待ち合わせしてる人がいるんで行ってくるわ。」
「あー、それってぇー、あれでしょぉー?秋津茜ちゃぁん!」
何故バレたし。うーむ、そんなにもわかりやすい顔をしてるだろうか。
「そーそー、それそれ。フイフティシアまで行ってくるわ。」
「はいはぁーい。行ってらっしゃぁーい。」
あー、憂鬱。行きたくねぇー!
フィフティシアの裏路地にあるカフェ、蛇の林檎。あの外道共が良く集まりに使う場所らしい。今回ここで待ち合わせをしたはずなんだが・・・ああ、いたいた。
「・・・・・・ん、秋津茜。早いね。」
ちょっと声かけるのに躊躇いがあるな。
「あ、葵さん!いえ、私も今来たところですので!」
よかった、そこまで遅れたって訳でもないか。いや、そもそも待ち合わせ時間までまだ30分近くあるんだけどなぁ・・・
「んで秋津茜。話って?」
「あ、えーっと・・・」
ん?何か言い出しにくいことなのか?流石に呼び出しておいてなんにも考えてないなんてこたぁないだろうし・・・
「秋津茜?どしたの?」
「実はこの前の告白の返事をしたくて!呼びました!!」
「・・・へぁ?」
予想の数倍とんでもないこと言われた気がする。え、待って。告白ってあれ?あのクソ恥ずいセリフ言った時のこと?
「この前新大陸の森で葵さん、私のこと大好きだって言ってくれたじゃないですか!それに対してまだ返事してなかったなって思ってたんですけど・・・・・・」
そうだったらしい。いや、困る。返事を求めて告白したわけじゃないし、秋津茜と付き合って楽しませられる自身も俺にはない。それに、今はそんな気分じゃないしなぁ・・・
「あー、うん・・・あれかぁ・・・・・・えっと、ごめん秋津茜。今そんな気分じゃないって言うか・・・」
「思ってたんですけど!!」
「ひゃい!」
ビビったわ!いきなり大声出すんじゃないよ、秋津茜ぇ・・・
「その・・・葵さん何かありましたか?すごく元気がないように見えます!私に何か出来ることがあればなんでも言ってください!!」
・・・・・・・・・はぁ。そう来ちゃったかぁ・・・だから会いたくなかったんだよね。秋津茜に会ったら絶対にバレるし・・・・・・耐えられなくなってしまうから。俺が俺で居られるこのゲームで出会えた大切な人。そんな人にこんな状態で会ってしまえば・・・・・・甘えたくなってしまう・・・
「・・・・・・・・・ねぇ、秋津茜?」
ああ、でも・・・・・・
「はいっ!」
もしも彼女が俺を受け入れてくれると言うなら・・・・・・
「・・・俺はさ、本当は弱っちくてどうしようもないやつだからさ・・・・・・拒絶されないかが怖いんだ。だからさぁ・・・約束、してくれる?」
俺の事を嫌いにならないで?・・・・・・そんなどうしようもなく自分勝手なお願いも言えてしまう。嫌われるのが怖くて、頼れる人を演じて、甘えずに甘えさせて。でも本当は頼りたかったのだ。甘えたかったのだ。現実で擦り切れた心を電子の世界でいいから癒したかったのだ・・・!
「・・・・・・なりません・・・!なるわけないです!!私にとって葵さんは見習うべき人で、一緒にいると心がポカポカする人で・・・・・・とっっても!大好きな人なんです!!もし、葵さんが嫌って言っても離れませんから!!」
・・・・・・はは、だってよ。
「・・・・・・ふふ、そこまで言ってもらえるなんて思わなかったよ。・・・うん、秋津茜。聞いてくれる?」
自然と・・・言葉は口から滑り出た。今までにあった色んなこと。隠岐さんに酷いことを言ってしまったことや、仲直りしたいと思ってること。抱えていた重く苦しいものを吐き出すかのように言葉は止まらなかった。
全てを語り終えてふと我に返る。こんなにも自分勝手な悩みを抱いていた俺に幻滅するのでは?隠れていたはずのそんな考えがあふれてくる。だから聞いてしまう。傷ついたとしても、聞かずにはいられないのだから。
「秋津茜・・・どう思った?正直に聞かせて欲しいな・・・」
「葵さんは悪くないです!それにその女の子も話せば分かってくれますよ!絶対!!」
そうなのだろうか。でも秋津茜はゲームの
「そう・・・?でもリアルの俺はゲームの中みたいに強くは居られないんだよ?他人に対して強く出られないし・・・隠岐・・・ゴホン!その女の子に話しかける勇気もないから・・・」
「んーー!もうっ!何でそんなこと言うんですかっ!!」
「え、だって・・・」
「だってもヘチマもありません!!」
「ええ・・・」
いつのネタだよ、それ・・・
「だいたい私に言ってくれたこと忘れちゃったんですか!?無理に周りに合わせようとしなくていいって!それでも周りに残ってくれる人はいるって!!」
「怖いのは分かります!誰だって好んで他人に嫌われたくなんてないです!でも!ここで葵さんが踏み出さなきゃ一生そのままなんですよ!?そんなのって・・・あんまりじゃないですか・・・!!」
・・・・・・・・・
「・・・・・・秋津茜・・・」
「あの日、あの時、私は貴方に勇気を貰いました。私は
・・・私のままでいていいんだって。そう思える勇気を!だから今度は私が貴方に勇気をあげる番です・・・!!・・・・・・失礼しますっ!!」
秋津茜が急に怒り始めたかと思ったらキスされた。・・・・・・???・・・・・・!!?・・・・・・!!!!????
混乱する視界の中、秋津茜の目が目に入る。もしかしたらシャンフロの中で初めて見たかもしれない秋津茜の素顔。初めて見る秋津茜の顔は強い決意の色に彩られており・・・・・・ああ、この目だ。俺は・・・・・・私は
あれは、確か去年のこと。いつも元気な隠岐さんがいたく沈んでいる時があった。訳を聞いてみれば、陸上の大会で負けた人が泣いてしまったんだとか。その時の私はかける言葉を持ち合わせていなかった。ただただ沈んだ表情の隠岐さんを見ることしかできなかった。その翌日の事だ。沈んでいたはずの隠岐さんが元の様子に戻っていた。なんでも自分の在り方を見つけたとか何とか・・・・・・その時の目。その時の何か深い決意を決めた時の目だ。それが今、俺を真っ直ぐに見つめている。
抱きついている秋津茜から伝わる体温。触れ合う唇から伝わってくる熱い想い。例えこの世界が0と1からなる文字列の世界なのだとしても、今この時、この瞬間に伝わってくるこの暖かい想いは決して幻想などではなく確かなものなのだろう・・・・・・
「・・・・・・ぷはっ!」
秋津茜の唇が離れていく。ちょっと名残惜しい気が・・・・・・ってうあああああ!!!!??
「・・・あ、秋津茜・・・?」
「ちゃ、ちゃんと仲直りしないと許しませんからぁっ!!!」
捨て台詞のようにそんな言葉を投げつけて秋津茜はそのまま逃げるように走り去ってしまった。
「ちょ、もう・・・・・・ぇぇえええええ!??!?!?」
あー、あー、あー、うああああああああ!?!?!?え、ぇぇえええええ!?!?
むりむりむり!もうかえる!!ねるぅ!!!
・・・・・・他に客居なくてよかった・・・
・・・いやぁ・・・どうやって話しかけよう・・・話しかけんなって言っちゃった手前言い難い・・・ああ、そうだ。えーっと、ノートの端でいっか・・・かきかき・・・
『昼休みに人目につかないように屋上に来て欲しい』
よし、はい隠岐さん・・・気づいてぇー、机の上ー、気づいてぇー!あ、気づいた。・・・・・・見ないで、そんな煌めいた目でこっちを見ないで・・・!浄化されてしまう・・・
時が経つのは早いものでもう昼休みである。屋上は普段解放されてないけど・・・優等生ってこういう時イイネ!適当に理由をつけてら鍵を貸して貰えた。・・・まぁ、伊丹先生にはバレてた気がしたけど・・・
「・・・屋上って初めて入った気がします・・・!」
ん、来たか・・・
「・・・まぁ、普段解放されてないからねー」
「青野くん!」
あああ、純粋な目・・・心が痛いっ・・・!
「えっと、青野くん。話しって何ですか?」
うん、うん・・・よし!
「・・・・・・ごめんなさい!!」
「昨日隠岐さんの気持ちを全然考えてない独りよがりのこと言っちゃったこと謝りたくて。」
「隠岐さんは大した返しもできない俺なんかにも沢山話しかけてくれて、それなのにあんなこと言っちゃって・・・・・・」
「本っ当に、ごめんなさい!!」
こういう時はとにかく謝るんだよ!でも本当に思ってるので!マジですいません!!
「えっと、大丈夫です!気にしてないので!」
いや、嘘でしょ。あんだけ悲しそうな顔してて気にしてないとか。・・・・・・気ぃ使ってくれてんだろうな。
「・・・や、私が言えたことじゃないけどさ、隠岐さん嘘ついてるよね。正直に言って欲しい。それがどんな罵倒でも私は受け入れる。受け入れなきゃいけないんだ。」
放った言葉は、傷つけた心は、無かったことにはならないのだから、せめてどんな言葉も、想いも、受け止めなくてはいけないんだ。
「えーっと、その、ですね・・・しょ、正直に言うと傷つきました!とっても!」
うぐっ・・・
「だってだって!1年生の頃から同じクラスで、いっぱい話して!友達だと思ってのに、いきなり話しかけないでなんて言われて!!傷つかないわけないじゃないですかぁ!!」
・・・そっか・・・友達、か・・・そうだよね。
「・・・そうだよね・・・ホントごめん。ごめん!」
「青野くん!!」
「・・・はいっ!」
なんか昨日もこんな感じのことあったな、とか思い
「青野くんは私のことどう思ってるんですか!?」
み゛っ・・・
「え、ええ!?そ、それはどう言った意味でぇ・・・?」
ど、どどどどどう意味かなぁ・・・?
「どういうも何も無いです!私は・・・青野くんのことをとっても大切に思ってますよ!別に私が大切に思っているからって同じように思って欲しいってわけじゃないけど!それにしたって青野くんは私に対して他人行儀すぎです!!もう3年近い付き合いなんだからもう少しフレンドリーに接してください!!」
・・・やべぇ、なんも言えない。だって超ド正論なんだもん。
「・・・あっ、ハイ。」
「えっと、うん。隠岐さんのことはー、うーんと、少なくともリアルじゃ家族の次くらいには大切な人、だよ。うん。」
何も考えずに言ったと思われるかもしれないけどホントのことだ。リアル限定無しだと秋津茜が上に来るけど・・・でも隠岐さんだって大切な友人・・・・・・うん、友人だ。
「そ、そうですか・・・」
「う、うん。そう。」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・そ、それで!青野くんはそんなに大切に思ってる私に対してなんであんなことを言ったんですか?」
・・・・・・まぁ、確かに気になるよな。
「や、それはちょっと・・・」
「私のことなら気にしないでください!どんな真実でも受け入れる気ですから!」
・・・いや、言えねぇ。例えあの女がどんだけクソだとしても隠岐さんにとっては大事な友人だろう・・・多分。知らないのなら知らないままの方がいいのだ・・・・・・どうせあいつ悠央には来れねぇだろうし。
「・・・・・・や、言えない。無理、絶対無理。ごめん。」
「隠岐さんが嫌いだから言わないとかじゃなくて、隠岐さんのことが大切だから。だから言えない。」
・・・なんか変なこと口走った気がする・・・
「・・・分かりました。じゃあ、これからはちゃんと話してくださいね!約束ですからね!!守らなかったら怒りますよ!!」
「・・・うん、約束。もう隠岐さんを悲しませないよ。」
「はいっ!絶対ですよっ!」
何とか仲直りすることが出来たな・・・とりあえず隠岐さんを教室に帰す。・・・・・・どうせ避けられえねぇよなぁ・・・・・・
「青野ぉ!ちょっと来なさい!!」
案の定、6限が終わったあと桐原が俺を呼び出してくる。はっ、ちょうどいいわ。どうせもう夢花の小学校に根回しは済んでる。無理に騒ぎを起こすことは無いと思って、今まで耐えてたが・・・・・・もういいやぁ!!はっちゃけてこうか!!
「ああ、いいよ?」
はは、イラついてる。余裕な態度が気に食わないってか?
「えっと、青野くん・・・?」
・・・そういや隠岐さんと帰る約束してたな・・・・・・
「んー、すぐ終わらせるから玄関で待っててくれる?ごめんね、ついさっきあんなこと言ったばっかなのに。」
「いえ、大丈夫です!じゃあ待ってますねー!」
あー、可愛い・・・・・・・・・・・・・・・え?あれ?んん?あれーーー?
「青野ぉ・・・!!もういいわ、公開処刑よ!!」
はは、ガチギレじゃん。ウケるわ。てかもう本性隠す気ないねぇ。
「ねぇ、皆!こいつは紅音に色々吹き込んだ挙句一緒に帰る約束までしてるのよ!?許せないと思わない!!?」
わーい、隠す気マジでないじゃーん。隠岐さん居ないからってはっちゃけすぎじゃない?
「はぁ!?許せねぇ!」
「・・・最っ低・・・・・・」
どこぞの鉛筆仕込みの煽り術・・・まさかリアルで使うとは思ってなかったけどっ・・・!
「・・・・・・悪いねぇ、
さぁさぁ、全力で飛ばしていこうかぁ!!
「・・・・・・はっ、はああああぁ!?!?」
「っざっけんなぁ!」
「誰が負け犬よ!!」
ああ、悪辣なる鉛筆の囁きが聞こえてくる。・・・「煽られて平常心失ったヤツとか完全にカモじゃーん!」激しく同意だっ・・・!
「ええ〜、反応しちゃうって言うことはぁ、自分達でもそう思ってるんじゃないんですかぁぁ??」
「・・・あっ!しょうがないかぁー!こーんなひ弱な男の子1人糾弾するのにもクラス全員でかからないと出来ないような人達だもんね!!」
「ごめんねぇ、現実突きつけちゃってぇ!必死で目を逸らしてたのにねぇぇっ!!」
いや、楽しいーっ!溜まってたストレスが目に見えて減ってくぅー!!
「あんた、自分の立場が分かってんの!!?妹がどうなってもいいの!!?」
「そっ、そうだそうだ!」
「青野の癖に生意気なのよ!」
「土下座しろ!土下座!」
くく、弱者が吠える姿は滑稽ですなぁ、ペンシルゴン軍師ぃ!!
「あははははっ!状況を理解していない
さぁさぁ、取りいだしたりますはICレコーダー!録音音声が加工できないやーつ!今までの脅迫の歴史が入っているのさ!!
「な、何よそれ!」
え、知らないの?マジで?ははっ、ウケる・・・・・・いや、ウケねぇわ。マジでぇー・・・相手がアホすぎると煽りが効力をなさないのかぁー。何かもういいかなぁ・・・
「あー、これあれね。ICレコーダー。会話録音出来るやつ。あんたの今までの暴言とか脅迫とか全部入ってるから。」
「別に公開しようとかは考えてないんで。もう俺に関わらないで。以上。」
あ、いいこと思いついた。
「じゃあ俺、
かんっぜんに空気が凍りついてるぅ!楽しいぃー!
教室からさっさと逃げ出し、昇降口に急ぐ。・・・あ、ちょっとしょんぼりしてる。
「遅くなった!!ごめん、紅音!・・・あ゛」
「え!?」
やっべ・・・完全にさっきのノリのままだった。・・・うう、どうしよ・・・・・・
「え、も、もう!いきなりどうしたんですか・・・・・・い、伊鈴・・・くん?」
あ、これもう逃げられねえやつだ。
「何となく呼びたくなっただけ!帰ろ、紅音!」
「あ、待ってくださいよ、伊鈴くん!」
・・・・・・ま、こんなのも悪くないかな。