3月25日・・・・・・特に祝日という訳でもなくイベントがある訳でもない。が、俺にとっては非常に、ひっじょぉーに大切な日なのだ。そんな日をあと数日後に控え、俺はリビングで水揚げされた魚のごとく悶えていた。
(女の子宛の誕生日プレゼントって何買えばいいの!?!?)
分かんねぇよ!そもそも今まで誕生日プレゼントあげた異性って母親と妹だけだぞ!?母親は妹と一緒に選んだし妹のは本人と一緒に選んだし・・・・・・とはいえ今回はその手法は使えない。いくら男女関係に疎い俺でも流石に分かる。彼女のプレゼントを買うのに本人と一緒に選ぶのは・・・・・・流石にまだ俺はその領域には至ってない。
「・・・・・・あ゛ー・・・・・・」
どうする?どうしよう。今どきの女の子って何貰うと嬉しいの?リアルマネー?いや、まさかな。
「あー、宿題多いっ!・・・・・・お兄ちゃん、何してんの?」
「あー、ちょっとな。お兄ちゃんにも色々あるの」
「ふーん?ちょっと待って、当てるから。・・・・・・んー、彼女へのプレゼントで悩んでるって感じかな?」
何故バレた!?俺ってばそんなにダダ漏れなんか。紅音にもバレバレだったのか・・・・・・?
「んふふー、全くお兄ちゃんはしょうがないですなぁ。この超絶可愛い妹様がプレゼント選び手伝ってあげてもいいよぉ?」
・・・・・・確かにそれも考えたんだが、妹に彼女のプレゼント選んでもらうってどうなの?彼氏としてだけでなく兄としても色々ダメな気が・・・・・・
「む、なんか色々考えてるけどムダだよ!じゃあ聞くけどお兄ちゃん何かプレゼント候補考えてる?」
ふふふ、妹よ。兄をあまり舐めるものでは無い。無論考えてあるとも。
「そうだな。紅音はワンタン麺が好きらしいから通販でいいとこのワンタン麺を・・」
「はい、バカ!大バカだよ!!」
「何で!?」
解せぬ!
「いや、確かに紅音さんならそれでも喜びそうな気はするけどさぁ・・・・女の子としてはですよ?好きな男の子から始めてもらうプレゼントっていうのは特別なものなんだよ。それをワンタン麺って・・・・・・はぁ」
やめろ、その『ビー玉を宝石と勘違いしてる子供を見るような目』で俺を見るな。悲しくなってくるから・・・・・・
「いい?別に高価なものじゃなくていいんだよ。贈り物は心だって言うけどホントにその通りだからね。お兄ちゃんだってそこら辺を歩いているおじさんから貰ったチロルチョコと私から貰ったチロルチョコだったら私からの方が嬉しいでしょ?」
いや、それ以前にそこら辺を歩いているおっさんから貰ったチロルチョコなんざ怪しくて食えるか!
「・・・・まぁ、そうだけど」
「それに中学生であまり高価なものを貰っても遠慮しちゃうしね。紅音さんの性格を考えるにあまりゴテゴテしたものは好まないだろうし・・・・ちょっとしたアクセとかかなぁ」
アクセサリーねぇ・・・・ああ、そういえば
「この前商店街に買い物行った時紅音に似合いそうなヘアピンあったな・・・・・・」
「えっ、いいじゃんお兄ちゃん!そういうのだよ、そういうの!ほら、そうと決まったら行くよ!!」
「え?今から買いに行くの?マジで?」
「あったりまえでしょ?売り切れちゃったらどうするのよ」
確かにー。じゃあ行くかぁ。
「んー、でもお兄ちゃんとお出かけするのも久しぶりですなぁ」
「そうかぁ?この前の週末も一緒に買い物行っただろ」
「ちーがーうーよー!そういう事務的なやつじゃなくて遊びに行く的な意味の方!!全くもう・・・・・・お兄ちゃんにはもう少し女心というものを学んでもらわないといけないなぁ・・・・」
「あー、そうだな。確かに俺が悪かったか。受験中はあんまり夢花に構ってやれなかったしこれからはもうちょい構ってやるよ」
ほーれ、うりうり。頭撫でちゃる。
「うにゃー!やめろー、髪崩れるー!」
「くくく、悪い悪い。ま、行こうぜー」
「もう!これはスイーツ案件だよ!」
「へいへいっと・・・・・・ああ、ここだここ」
そんなくだらない会話をしてるうちに目的地に着く。
「ああ、ここかぁ。なるほど、お兄ちゃんにしては珍しく良いチョイスだね!」
「珍しくは余計だ・・・・・・そうそうこれだ。良かった、まだ残ってたか」
3日前買い物の帰りに何かプレゼントとしていいものは無いだろうかとキョロキョロしていた時に夕日の光を反射し俺の目に映り込んできた1つのヘアピン。紅く輝く小さな・・・・・・宝石では無いか。綺麗な石をはめ込んだそれは何故か俺の目を強く引き付けたのだが・・・・
「ふむふむー、なるほどなるほど・・・・・・」
妹サマの審美眼には叶ったかね?
「いや、いいよ、お兄ちゃん!すっごくいい!・・・・・・ただ、紅音さんって陸上やってるでしょ?こういうタイプのヘアピンとかだと部活中は使えないかもね」
ふーん、そういうものなのか・・・・・・だったら
「んー、じゃあ普段使い用にもう1つ買うとかか?」
「そうだねー、それがいいかも」
結局その後色々見て周り、紅いヘアピンとシンプルな黒に赤い線が入ったヘアピンを買うことになった。ふふ、これなら紅音も喜んでくれるかな?
「いやー、いい買い物だったぁ!」
「ほんとになぁ。ありがとな、夢花」
「ふふふ、お兄ちゃんのためですから!という訳でぇー、私気になってるスイーツがあるんだけど・・・・」
「はいはい、付き合ってくれたお礼に奢ってやるよ、お嬢様?」
「あはは、私も半分くらいは出すよ。行こ行こ!」
別にいいのにな。こういう時くらいお兄ちゃんにカッコつけさせて欲しいものだ。
カランカラン♪
「いらっしゃいませー!2名様ですか?」
「はい、そうです!」
「では、こちらの席にどうぞー」
「良かった、席空いてて。ほら、お兄ちゃん行こっ!」
「お、おう・・・・」
「ん?どしたの、なんか変だよ?」
「いやいや、ここ完全に女子限定みたいな雰囲気じゃん・・・・大丈夫?こんな空間に俺連れてきて。浮いてない?」
マジで見渡す限り女子しか居ない。制服姿であったり、私服であったり格好は様々だが・・・・あ、あれうちの中学のジャージだな。そういや紅音も今日部活だって言ってたな・・・・・・
「なんの心配してんのさ・・・・心配しなくても大丈夫だよ!ここに来ることを見越してお兄ちゃんの服選んだから」
「そうなん?じゃあまぁ、いいか・・・・」
「それよりそれよりぃ!じゃーん!季節限定デラックスパンケーキ!!どうどう?美味しそうでしょ!」
夢花が非常に楽しそうに見せてきたのは何と言うか・・・・・・生クリームやら果物やらを盛りすぎてパンケーキ部分が見えなくなってるパンケーキの写真だった。いや、美味しそうだよ?でもさぁ・・・・多くね?え、それ一人分?マジで?
「私は当然これ頼むけどお兄ちゃんはどうするの?同じの頼む?」
「あー、そうだな・・・・じゃあこの宇治抹茶パンケーキにしよっかな」
流石にあれを食べ切れる気はしないからなー。どうせ分け合うことになるし。
「店員さーん、注文お願いします!」
「はーい、ただいま!」
「注文お伺いします」
「あっ、じゃあ限定パンケーキと、宇治抹茶パンケーキをひとつずつ」
「限定パンケーキと宇治抹茶ですね。今当店では、カップル限定サービス期間中でして男女ペアでこられたお客様にはサービスドリンクをお付けしているのですがいかがでしょうか」
「サービスドリンク?お兄ちゃん、どうしたい?」
「いいんじゃねぇの?タダで貰えるんなら貰っとけ・・・・・・まぁ、カップルサービスを受けていいのかって疑問はあるが」
「うふふ、大丈夫ですよ。兄妹で来られる方も多いですし、親娘で来てる方もいましたから」
「あ、そうなんですね。じゃあお願いします」
「はーい、ごゆっくりー」
「♪〜〜♪〜〜」
「やけにご機嫌だな。そんなに食べたかったのか?」
「ん?・・・・んー、それもそうだけど・・・・・・やっぱ秘密!」
「え、逆に気になるんだけど」
「まぁまぁ、いいじゃん。それよりどんな風にプレゼント渡すの?」
「あー、そうだな・・・・・・」
結局頼んだパンケーキが来るまで俺たちはそんな他愛もない会話を続けていた。何故かは知らんが、ちょっと前まではあまり機嫌が良くなかった夢花も楽しそうだったし、たまにはこういうのもいいだろう。
そして数日が立ち・・・・・・